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農林水産省

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特集1 和牛(1)

牛肉の中でも値段も味も別格なのが「和牛」です。
高品質な和牛を作るための繁殖と肥育からトレーサビリティまで、和牛の魅力をご紹介します。

和牛の種類





全農茨城県本部家畜市場で6月14日に開催された子牛のセリの様子。
全農茨城県本部家畜市場で6月14日に開催された子牛のセリの様子。
写真/島 誠


和牛の種類
和牛というのは、黒毛和種・褐毛和種・無角和種・日本短角種の4品種とそれらの交雑種のことを指します。

黒毛和種
日本全国で飼育される和牛170万頭のほとんどがこの種類。肉質は脂肪交雑の面で優れる。
褐毛和種
毛色は黄褐色から赤褐色。在来牛に外国種を交配して改良を進めた品種。

無角和種
毛色は黒色。在来牛に外国種を交配して改良を進めた品種。山口県が主産地。現在は頭数減少。

日本短角種
毛色は濃褐色。東北地方北部で飼われていた在来牛に外国種を交配して改良を進めた品種。


写真提供/一般社団法人全国肉用牛振興基金協会


和牛は4品種とそれらの交雑種のみ
「和牛」とは、牛の品種に着目した区分で、日本で長い時間をかけて品種改良されてきた黒毛和種などの4品種と、それらの交雑種のみです。それ以外は「和牛」と表示することができません。

黒毛和種は、明治時代に外国種と交配し改良され、昭和19年に日本固有の肉用種に認定されました。現在は、日本全国で飼養され、国内で肥育されている和牛の90%以上がこの品種です。


繁殖と肥育は分けて行われるのが一般的
肉用牛の経営に携わる農家は、一般的には2つの形態に分かれます。

繁殖用の母牛を飼育し、子牛を産ませ、子牛を生後8~10カ月まで育てて家畜市場に出荷する「繁殖農家」と、家畜市場で子牛を購入し、20カ月程度肥育して食肉処理施設に出荷する「肥育農家」です。そのほかに、繁殖用の母牛を飼育して子牛を産ませ、子牛を肥育する「一貫農家」もあります。

家畜市場では、購買者は、血統のほか外見、体重、毛並みの色つやなど、さまざまな角度から判断して子牛を競り落とします。競り落とされる子牛の価格は、和牛人気も相まって、近年上昇傾向にあります。

競り落とした子牛は、ただ太らせればよいわけではなく、餌の配合などを調整し、体調を管理することで、世界最高品質とも言われる牛肉ができるのです。

子牛を育て、高品質な牛肉を生産するには、コストも時間もかかります。


和牛の繁殖と肥育
肉用牛は種付けから出荷されるまで約3年かかります。種付けから分娩して子牛市場に出荷されるまでが18カ月前後、さらに肥育期間が20カ月程度かかるためです。

子牛の家畜市場では繁殖農家が売り手、肥育農家が買い手です。将来の優秀な母牛を子牛から育てたいと考える繁殖農家や一貫農家も買い手となり、一頭一頭慎重に選ばれます。
和牛の繁殖と肥育




取材・文/宗像陽子
イラスト/立原圭子



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