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農林水産省

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特集2 抹茶(1)


お菓子や料理などにも利用され、健康効果も期待されている抹茶。
茶道の一日体験や家庭で作れる抹茶スイーツなどを通して、もっと気軽に楽しみませんか。


[はじめての茶道]


抹茶を楽しむ一つの方法が日本の伝統文化「茶道」。
まずは、初心者向けの教室で薄茶のいただき方などの作法を体験してみてください。
初心者でも本格的な茶道体験ができる和喜庵。須藤宗晃先生の指導のもと、お点前をいただく。
初心者でも本格的な茶道体験ができる和喜庵。須藤宗晃先生の指導のもと、お点前をいただく。


今回、訪ねたのは栃木県下野市にある茶道教室「和喜庵(わきあん)」。裏千家茶道正教授の須藤宗晃先生に茶室に案内され、はじめに体験の流れや心得をうかがいます。

詳しい説明を受けるので初心者でも大丈夫

「難しいと思っている方もいらっしゃるでしょうが、茶道は誰にでもできて、楽しいものなんですよ。しかもお茶は一服、二服と数えるように昔から薬と考えられていたもの。栄養も豊富で、元気のもとになるものです。まずは薄茶を楽しんでみましょう」

茶道に用いられる抹茶には、「薄茶」と「濃茶」があります。濃茶には上質の抹茶が使われます。須藤先生から床の間の掛物や花などの話をうかがっているうちに菓子が運ばれてきて、正客と呼ばれる床の間に近い席の方から順にいただくこと、懐紙の使い方、菓子の取り方などが説明されます。

「常にお隣の方への気遣いを忘れずに」など、日常生活に役立つ話も端々に。そして、いよいよ薄茶が運ばれてきます。


お菓子のいただき方

薄茶席で菓子が運ばれてきたら、隣の方にお辞儀をして「お先に」とあいさつをします。 薄茶席で菓子が運ばれてきたら、隣の方にお辞儀をして「お先に」とあいさつをします。
やじるし
 
次に、両手で菓子器を少し持ち上げ、「いただきます」という感謝の気持ちを表します。 次に、両手で菓子器を少し持ち上げ、「いただきます」という感謝の気持ちを表します。
やじるし
 
菓子器を元の位置に戻し、懐紙を取り出し、折り目のほうを手前にして膝の前に置きます。 菓子器を元の位置に戻し、懐紙を取り出し、折り目のほうを手前にして膝の前に置きます。
やじるし
 
菓子器に左手を添えて菓子を1種類ずつ懐紙の上に取り、指先を懐紙の端で拭きます。 菓子器に左手を添えて菓子を1種類ずつ懐紙の上に取り、指先を懐紙の端で拭きます。
やじるし
 
両手で菓子器を持ち、隣の方へ送ります。菓子は懐紙ごと手に取って手でいただきます。 両手で菓子器を持ち、隣の方へ送ります。菓子は懐紙ごと手に取って手でいただきます。


薄茶のいただき方

薄茶が運ばれたら、茶碗を畳のへり内の隣の方との間に置き、「お先に」とあいさつします。 薄茶が運ばれたら、茶碗を畳のへり内の隣の方との間に置き、「お先に」とあいさつします。
やじるし
 
茶碗を自分の膝の前に移し、「お点前ちょうだいいたします」とお茶を点ててくださった方に一礼を。 茶碗を自分の膝の前に移し、「お点前ちょうだいいたします」とお茶を点ててくださった方に一礼を。
やじるし
 
右手で茶碗を持って左手にのせ、軽く押しいただき、手前に2回ほど回し茶碗の正面を避けます。 右手で茶碗を持って左手にのせ、軽く押しいただき、手前に2回ほど回し茶碗の正面を避けます。
やじるし
 
数回に分けていただき、右手の親指と人さし指で飲み口を左から右へぬぐい、指を懐紙で拭きます。 数回に分けていただき、右手の親指と人さし指で飲み口を左から右へぬぐい、指を懐紙で拭きます。
やじるし
 
茶碗を反対に回して正面を戻し、右手で畳のへりの外に返します。最後に低い位置で茶碗を拝見。 茶碗を反対に回して正面を戻し、右手で畳のへりの外に返します。最後に低い位置で茶碗を拝見。


お茶を通して多くを学べるのが茶道のよさ

「濃茶は厳粛な雰囲気の中で行われます。薄茶の場合は大丈夫。作法がわからなければ尋ねればいいのですから、列席したみなさんと仲よく、互いを敬い合いながらお茶をいただきましょう。

服装は、最低限ミニスカートとジーパンを避けましょう。また、清潔な白い靴下を持参するとよりいいです。茶室に入る前に清潔な靴下に履き替えるのはマナーの一つで、俗世間の塵(ちり)を払って外の世界と一線を画す、心をいったん整理するという大切な意味があります。

姿勢にも気をつけ、背筋に気をスッと通すように伸ばしましょう。茶道を学ぶと姿勢や動きが美しくなり、まわりに気を配るので気働きもできるようになります。お茶を通してもてなしの心をはじめ、豊かに生きる術を学べるのが、茶道の奥深いところです」

また、最小限の道具(下コラム参照)があれば、自宅で薄茶を点てることができます。丸盆の上に必要な道具をのせて行うお点前のことを「盆略点前」といい、これならいつでも気軽に楽しめます。季節の和菓子を用意して、試してみませんか。

お茶を点てるお点前の美しい所作や、季節に合わせてそろえられた茶道具を間近で見ることができる。 お茶を点てるお点前の美しい所作や、季節に合わせてそろえられた茶道具を間近で見ることができる。


薄茶を自宅で楽しむ

家にあるものを利用して薄茶を点ててみましょう。型にこだわらず、抹茶に親しむことからスタートを。

丸盆に茶碗、茶巾(ちゃきん)、茶筅(ちゃせん)、茶杓(ちゃしゃく)、抹茶を入れる棗(なつめ)をのせたものを盆略という。茶杓はティースプーンで、棗は保存容器でもよい。 丸盆に茶碗、茶巾(ちゃきん)、茶筅(ちゃせん)、茶杓(ちゃしゃく)、抹茶を入れる棗(なつめ)をのせたものを盆略という。茶杓はティースプーンで、棗は保存容器でもよい。

茶碗はあらかじめ温めておき、茶杓で抹茶を1杯半から2杯ほどすくって入れ、80度くらいの湯を適量注ぐ。 茶碗はあらかじめ温めておき、茶杓で抹茶を1杯半から2杯ほどすくって入れ、80度くらいの湯を適量注ぐ。

茶筅で手首を前後にしっかり振る。最後はそっと引き上げる。 茶筅で手首を前後にしっかり振る。最後はそっと引き上げる。


須藤宗晃(そうこう)さん 須藤宗晃(そうこう)さん
裏千家茶道正教授。
栃木県下野市にある数寄屋建築と日本庭園が見事な和喜庵などで茶道教室を主宰。全国に多数の生徒を持つ。



取材・文/三浦良江
撮影/島 誠
イラスト/あべかよこ


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