このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー
aff 2019年9月号

ギネス世界記録™ 挑戦者たち vol.4

世界最大の木造コンサートホール

南陽市文化会館/山形県南陽市

世界一のトマトになった「とまとの森」
2015年12月に、「世界最大の木造コンサートホール」としてギネス世界記録に認定された、南陽市文化会館の大ホール。
写真提供/BAUHAUSNEO

はじめての木造大型施設建設

2015年に開館した「南陽市文化会館」は、コンサートなどに利用される大ホールや、講演会や式典などに使われる小ホールなどを有する多目的ホールです。こちらの大ホールが「世界最大の木造コンサートホール」として、2015年にギネス世界記録に認定されました。

コンサートホールのエントランス。
コンサートホールのエントランス。
写真提供/BAUHAUSNEO
コンサートホールのエントランス。
コンサートホールへ続く階段。
写真提供/BAUHAUSNEO

山形県南部を占める置賜(おきたま)盆地の北部に位置する南陽市は、面積の6割が森林です。そのうち伐採時期を迎える50年生以上の人工林が27.8パーセントを占める中、森林の手入れ不足という現状がありました。そこで、2008年度から企業の力を借りながら森林整備に取り組む「企業の森」事業をスタートし、森林資源の利活用についても検討していたところでした。

「旧市民会館が築45年を迎え、市民の皆様からの要望や、東日本大震災の被災などもあって建て替えることになりました。そのときに地元の資源である杉材を活用しようということに。とはいえ、大型木造耐火施設はそれまで国内にありませんでした。そこで、そもそも実現できるのかどうか検討するところからはじまりました」(建設当時の市役所担当者・長島透さん)

木造での可能性を、当時県内で唯一大断面集成材を扱っていた地元の会社、(株)シェルターに相談し、木造で進めることになりました。

「専門家委員会を設置し、音楽や舞台芸術などの分野から第一人者をお招きしました。音楽家の坂本龍一さんからは、『(弦楽器の)ストラディバリウスの中にいるような音響空間を目指そうよ』と、木造を推進する意見をいただきました」(市役所興行担当者・佐藤秀之さん)

最先端の耐火木造技術

木造でつくるにあたって最重要事項だった耐火構造についても、シェルターに依頼しました。

コンサートホールのエントランス。
木材を石膏ボードで囲み、さらに外側を木材で覆う。
柱ユニット組み立て中の様子。
柱ユニットを組み立てる様子。

「シェルターでは、木質耐火部材『COOL WOOD(クールウッド)』を開発していました。これは、核となる木材を耐火石膏ボードで囲み、さらに外側を木材で覆った集成材。これを使った木質耐火構造技術は特許を取得しています」(シェルター広報室・菊地彩春さん)

国土交通大臣認定の耐火性能試験にもパスしたシェルターの木質耐火構造技術を使って、南陽市文化会館の建築が進められることになりました。

最高の音響効果を持つホール

耐火技術を確保できたことで建設できるようになった木造の南陽市文化会館。「日本初の建物なので、世界でも初めてかもしれないと、ギネスワールドレコーズ社に問い合わせました。すると、柱や梁といった構造が完全な木造であることや、音楽公演が月に4回以上開催されていること、そして木造のコンサートホールとして席数1,403席は世界最大であったため認定に至りました」(菊地さん)

木造のホールは、音の反響の仕方に特徴があります。高音を適度に吸収してから跳ね返すため、低音と高音のバランスが良くなり、響きが柔らかくなります。また、大ホールの室容積が約1万2,000立方メートルと大きいため、音の残響時間が短く、音がクリアに届き、聴きやすくなります。クラシック音楽などに最適です。

大ホール内観。
大ホールの内観。年数を経るごとに音の響きがよくなっているのだとか。
お話を伺った皆さん。
お話を伺った皆さん。左から(株)シェルターの菊地彩春さん、伊藤憲昭さん、館長の板垣俊一さん、南陽市の松井久さん、佐藤秀之さん、長島透さん。

こうした美しい響きが、演奏者から愛され、観客の評判も呼んでいます。

「おかげさまでチケットの完売率は98パーセントです。イベント開催時は赤湯温泉の宿泊施設もいっぱいになるなど、地元経済の活性化にも役立ち、年間10億円の経済効果だといわれています。とはいえ、コンサートがあるのは年間50日程度で、300日は空いています。今後は市民の皆様にも気軽に活用していただけるような施設を目指しています」(佐藤さん)

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449
FAX番号:03-3502-8766