このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー
aff 2019年12月号
12月号トップへもどる
東京2020 × 和食

私を支えた「食」

田口亜希さん(射撃元日本代表)

東京オリンピック2020|東京パラリンピック2020

東京2020オリンピック・パラリンピック大会開催に向け、
トップアスリートなどの地元食材を生かした思い出深い「和食」を紹介します。

田口亜希さん(射撃元日本代表)
田口亜希さん(射撃元日本代表)

1971年、大阪府生まれ。大学卒業後、郵船クルーズ(株)に入社し、客船「飛鳥」にパーサーとして勤務。25歳のとき、脊髄の病を発病し、車椅子生活になる。退院後、友人の誘いでビームライフル(光線銃)射撃を始め、その後実弾を使用するライフル射撃に転向。アテネ、北京、ロンドンと3大会連続でパラリンピックに出場。アテネでは7位、北京では8位に入賞。2010年アジアパラ競技大会で銅メダルを獲得。現在は日本郵船(株)広報グループ、社会貢献チームに勤務。また、(公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会アスリート委員会委員の他、東京2020聖火リレー公式アンバサダーなども務める。

「かやくご飯」や「お好み焼き」は家族を幸せにする郷土料理

私が生まれ育ったのは、大阪市の松屋町という心斎橋に近い場所。私は体を動かすのが好きな子どもで、幼少期は水泳や日本舞踊などに親しみ、活発に過ごしていました。

自宅近くの市場には大阪の泉州野菜をはじめ新鮮な食材がそろっていたので、料理好きの母は一汁三菜を基本として、栄養バランスのとれたメニューを工夫してくれました。母からは食べ残しをせず、好き嫌いなく食べるようにと教えられて育ったので、苦手な野菜も頑張って食べているうちに克服できましたね。

食卓には、大阪らしい料理もよく並びました。例えば、「かやくご飯」。鶏肉、しいたけ、にんじんなどの具材に細く刻んだ高野豆腐を加え、だしと合わせて炊飯器で炊き上げます。一度に数種類の食材を摂れるし、薄味で食べやすかったですね。残りは翌日おにぎりにして、おやつに食べていました。

野菜を入れ栄養価を高めて薬効を期待するところから「かやく(加薬)ご飯」と呼ばれるようになったという説がある。手軽に作れて具材が多く、冷えても美味しいことから大阪では庶民の味として親しまれている。

野菜を入れ栄養価を高めて薬効を期待するところから「かやく(加薬)ご飯」と呼ばれるようになったという説がある。手軽に作れて具材が多く、冷えてもおいしいことから大阪では庶民の味として親しまれている。

「お好み焼き」も我が家の定番メニュー。たっぷりのキャベツと山いもの生地に、豚肉やねぎなどを入れて作るお好み焼きは、家族みんなの大好物。大人になって米国に長期滞在したときは、現地の友人を招いてお好み焼きやたこ焼きパーティーを開催するととても喜ばれました。家族や仲間たちと過ごす楽しい時間には、いつも「大阪の味」がありますね。

「お好み焼き」は安土桃山時代、千利休が菓子職人に作らせた「麩(ふ)の焼き」(小麦粉を水で溶き、鍋で薄焼きにして山椒入り味噌を挟んだ菓子)が起源とされている。

「お好み焼き」は安土桃山時代、千利休が菓子職人に作らせた「麩(ふ)の焼き」(小麦粉を水で溶き、鍋で薄焼きにして山椒入り味噌を塗って巻いた菓子)が起源とされている。

射撃を始めたのは、25歳のときに脊髄の病を発症し、車椅子で生活を送るようになってからです。パラアスリートとして活動を始めてからは、和食をベースにコンディションを意識した食事を心掛けるようになりました。

競技を始めて間もないころ、あらためて食の大切さを実感した出来事があります。それは、国際試合でドイツへ行ったときのこと。フライトの疲れと緊張から、試合前日の夕食と当日の朝食が食べられなかったんです。そして試合中、貧血気味になり、その焦りから過呼吸まで起こし、棄権を余儀なくされました。ドクターには「朝食を抜いたことによる低血糖が原因」と言われ、とても悔しかった。以来、食べるタイミングを考慮し、ゼリー飲料などを取り入れました。食欲が湧かないときの食事や補食を工夫するようになると、競技成績もぐんぐん上がっていきましたね。

選手のスキルと極限の集中力を
体感してほしい

私がやっている射撃はエアライフルの「伏射」という種目です。健常者は床に伏せて撃つのですが、私の場合は車椅子に取り付けたテーブルの上に肘を置いて撃つ姿勢をとります。エアライフルは標的までの距離が10メートル、標的の中心円は直径わずか0.5ミリメートルです。中心円は10点圏ですが、さらにその中が10分割されていて、最も中心に当てれば10.9点の満点となります。

エアライフルの距離10メートルの標的。中心円が10点圏。

エアライフルの距離10メートルの標的。中心円が10点圏。

パラリンピックなどの国際試合では50分間で最大24発を撃ちますが、ファイナルに残るための平均スコアは10.6点。つまり、すべて10点圏内の真ん中に当てないとファイナルまで進めない場合がある過酷な競技です。高度なスキルに加え、長時間、集中力を保ち続ける選手たちの緊張感あふれる試合が見どころです。

パラリンピックまでに国内大会も多く開催されるので、事前に観戦していただくとより楽しめると思います。選手にとって、皆さんの応援は大きな力になります。高い点数が出たときは拍手や声援を送ってください。

パラリンピックを機に
「皆で共生する社会」を

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は大いに盛り上がることを期待しています。各国のトップ選手たちが集うこの大会をきっかけに、射撃をはじめ、パラスポーツにぜひ興味を持ってほしい。そして、パラアスリート支援だけでなく、民間企業での障害者雇用、アクセシビリティ推進などの社会的課題をはじめ、障害の有無にかかわらず、誰もが気持ちよく共生できる社会について、もっともっと議論が進むことを願っています。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連の業務や講演活動など、精力的に活動している。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連の業務や講演活動など、精力的に活動している。

射撃競技のルールとメダルへの道

射撃競技のルールとメダルへの道

東京2020パラリンピック大会の射撃会場は陸上自衛隊朝霞訓練場。2020年8月31日から9月6日まで開催される(2019年8月現在)。

射撃の種目は大きく、ライフルとピストルに分かれる。どちらも遠方(10メートルから50メートル)に固定された円状の的を撃ち抜き、その位置によって点数が与えられる。制限時間内に規定の弾数の射撃を行い、合計得点によって勝敗が決まる。制限時間は、種目によって異なるが、ファイナル進出を決定する試合で2時間45分、ファイナル進出者はさらに1時間にも及ぶものもある。

集中力と体力を長時間保ち、1発のミスもない正確なショットを撃ち続けることが勝利への道。高度なスキルを持つ選手たちの緊張感あふれる試合では、観客も一体となって命中したときの爽快感を味わうことができる。

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449
FAX番号:03-3502-8766