ギネス世界記録™ 挑戦者たち vol.8
世界一重いザボン類・
晩白柚(ばんぺいゆ)
熊本県立八代農業高校/熊本県八代市

6人の高校生が偉業を達成
熊本県八代地方の特産「晩白柚」は、世界最大級のザボン類。普通サイズでも直径約20センチメートル、重量約2,000グラムと巨大ですが、さらに大きく育てあげたのが県立八代農業高校園芸科学科の6人の生徒たちです。2014年12月に収穫したひと玉が、「世界で最も重いザボン類」としてギネス世界記録に認定されました。その大きさは直径約29センチメートル、重量4,859.7グラム。

「世界で最も重いザボン類」として、ギネス世界記録に認定されている晩白柚(右から2番目)。通常の晩白柚(一番左)と比較すると、2倍近いサイズ感(ギネス世界記録認定当時の写真)。
同校では、1985年から授業の一環として晩白柚を育てていますが、4,000グラムを超えたのはこの1回のみ。「2014年は春からずっと雨が多く、花の数も少なめでした。夏になると毎日のように夕立があり、着果した数は例年の3分の2程度。実が少なかった分、ひとつひとつにしっかりと栄養が行き届いたのだと思います」と話すのは、当時から指導を担当している平田哲朗先生。大きく育った要因は、特別な栽培方法を取り入れたわけではなく、気象条件に恵まれたことだと言います。

約1,000平方メートルの敷地に設置された晩白柚用のハウス。晩白柚の栽培は毎年4月ごろからはじまり、週に2回から3回授業が行われる。
後輩たちも記録にチャレンジ
先輩の偉大な記録を、自分たちの手で塗り替えたい。大きな志を持った後輩たちのチャレンジは、今年も続いています。園芸科学科果実コース3年の下林裕尚さんも、記録更新に挑んでいるひとり。「入学当初は農業のことは何も分からなかったんですが、先輩が育てた晩白柚のことを知り、自分も挑戦したいと強く思ったんです。2年生の時に課題研究として取り組んだときは、ギネス世界記録には届かなくて、とても悔しい思いをしました」と、話します。

3年生の下林さん。卒業後は地元の市場に就職するため、ギネス世界記録への挑戦は今年が最後。
下林さんにとって最後の挑戦となる今年は、栄養分を集中させるために余分な枝を伐ったり、果実の肥大を促すための「ジベレリン処理」を通常の1回から2回に増やしたりと、試行錯誤の日々。真夏に草取りをするなど、大事に育ててきました。「大変なことも多いけれど、先生に教えてもらいながら仲間と一緒に育てていくのは楽しいですね。他にもみかんやぶどう、デコポンなどを育ててきましたが、無事収穫できると『頑張ってきてよかったな』と達成感があります」と目を輝かせます。

晩白柚の価値を決めるのは、大きさと見た目の美しさ。害虫や傷から守るために、ひとつひとつ袋がけがされている。
ギネス世界記録で地域を盛り上げたい
収穫シーズンは12月。同校では毎年約2,000個を生徒たち自身の手で収穫し、全国各地に出荷しています。常温で1カ月以上保存できることから、お歳暮や年末年始の贈り物として重宝されている晩白柚。しばらく家の中に飾って甘酸っぱい香りと美しい見た目を満喫した後に、シャキシャキの果肉を食べるのが、地元での楽しみ方です。分厚い皮も砂糖漬けにして食べたり、風呂に入れたりと、さまざまな使い道があります。

生徒たちが商品にシールを貼り、出荷作業を行う。全国から届く感謝の声が、何よりの喜びなのだそう。
「最近は晩白柚を作る農家が減る一方で、本校の卒業生も進学や他業種に就職する生徒がほとんどです。ギネス世界記録が、町と農業のPRにつながることを願っています」と平田先生。生徒たちと力を合わせて、さらなる記録更新を狙っています。
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