私を支えた「食」
髙宮(朝長)なつ美さん(近代五種リオ五輪日本代表)
東京2020オリンピック・パラリンピック大会開催に向け、
トップアスリートなどの地元食材を生かした思い出深い「和食」を紹介します。
過酷な競技生活を支える
和食の力
私が生まれ育った埼玉県狭山市は、全国的に知られる「狭山茶」の産地で、農業も盛んです。私は子どものころから身体を動かすのが好きで、3歳から水泳を始め、中学ではバスケと水泳、高校では陸上の中距離走とさまざまなスポーツに取り組んできました。
実家で暮らしていたころの食生活は、母の作る家庭料理が中心。食卓にはいつもご飯、味噌汁、おかずといった基本の和食が並んでいました。私は、運動量が多い割には食が細かったのですが、大好きな野菜は毎日欠かさず食べていました。母方の実家が県内で旬の野菜や米を生産していたので、自然とどの野菜も好きになったのだと思います。特に好きなのは、ピーマンの肉詰めのようにたんぱく質と野菜を組み合わせたおかず。高校時代、毎日のお弁当に枝豆入りの卵焼きをリクエストしていました。
郷土料理では秩父名物の「味噌ポテト」が好きですね。ふかしたじゃがいもをお団子状にして揚げ、味噌ダレをかけたもので、ほんのり甘味があり、ほくほくの食感が楽しめます。家族で秩父へレジャーに出掛けたときに必ず食べていた思い出の味です。
高校卒業後、警視庁警察官採用試験に合格し、警察学校へ入校。訓練時の水泳と陸上の記録が良かったことから教官の目に留まり、近代五種の選手として訓練を始めることになりました。当初は、なじみのなかった近代五種という競技に戸惑いましたが、これまでのスポーツ経験を生かせると思い、挑戦を決意。トレーニングを重ねながら、アスリートとしてのバランスの良い食生活も意識するようになりました。私が特に大切にしているのは朝食。ご飯と味噌汁、ヨーグルトが定番で、朝、きちんと食べないと練習で力を発揮できません。他にも、その日の練習メニューによってゼリー飲料や栄養補助食品、バナナなどを補食として取り入れています。
1日で5種目を戦い抜く
「キング・オブ・スポーツ」
近代五種は1人の選手が1日で、フェンシング、水泳、馬術、レーザーラン(射撃、ランニング)の5種目をこなす複合競技です。次の競技との空き時間も少なく、体力的にもハード。種目ごとに気持ちを切り替え、集中する精神力が求められます。長時間に及ぶ試合の中、最初から最後まで順位の予想がつかないので、ドキドキしながら観戦してもらえると思います。5種目それぞれを楽しみながら戦う選手たちの多彩な技術に注目してください。
リオ五輪では12位と自分では納得できない結果に終わったので、東京2020では金メダルを目指して自主練に励んでいます。現在は、得意なフェンシング、水泳のスキルにさらに磨きをかけ、課題を抱える射撃や馬術の練習に注力しています。まだ日本代表に内定していない(2020年3月現在)のですが、私にとっては最後となる五輪を東京で戦えたら夢のようです。応援してくれる皆さん、家族、そして自分自身のために競技生活の集大成として挑みたいと思います。
近代五種競技のルールとメダルへの道
東京2020オリンピックの近代五種は2020年8月6日から8日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(フェンシングランキングラウンド)、東京スタジアム(水泳、馬術、フェンシングボーナスラウンド、レーザーラン)で行われる(2019年12月時点)。
フェンシングは1分間1本勝負で総当たり戦を行うランキングラウンドと、その順位の下位選手から順に30秒1本勝負で行うボーナスラウンドで行われる。水泳は200メートル自由形のタイムレース。馬術は当日貸与された馬で障害物を飛び越えながらコースを周る。レーザーランは、これまでの3種目の得点をタイム換算し、上位の選手から時間差でスタート。射撃(5的)とランニング(800メートル走)を交互に4回行い、着順を競う。各競技の高い技術に加え、競技の全体像を描きながら自身の体力、精神力をコントロールできる選手が頂点に近づく。
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