ロボットやAI(人工知能)、ICT(情報通信技術)などの先端技術を活用して、超省力・高品質・高生産を実現する「スマート農業」。その実用化を加速するための関係者の取り組み、農林水産業の各分野で活躍する技術、さらには私たちの生活に身近な最新技術を紹介します。
琵琶湖のほとり、本州では最大規模となる約200ヘクタールという広大な農地で水稲や麦、キャベツなどを生産するフクハラファーム。滋賀県や立命館大学、企業と組み、農林水産省の「スマート農業実証プロジェクト」に参画しています。取り組んでいるのは、ロボットトラクターや自動田植機、自動給水システム、AI(人工知能)搭載のキャベツ全自動収穫機などを用いた水稲と麦、キャベツの輪作におけるスマート農業の体系の構築です。
フクハラファームはこれまでも進んで先端技術を採り入れ、新たな農業のあり方を追求してきました。「11年前に、作業日報などを記録する営農管理のクラウドサービスのモニターになったのがきっかけです」と語るのは社長の福原さんです。2014年からの5年間は、九州大学などと連携し、農業技術の「見える化」に取り組みました。
「農地の規模拡大に伴い、社員が増えたことから、各自に裁量を与えるため生産計画をきちんと作る必要がありました。最新のソフトを導入したことで記録をつけることや、記録に基づくPDCA(Plan・Do・Check・Action)サイクルで改善を図るといった文化が社内で醸成されたことが大きかったですね」
ハードに関してはスマート農業実証プロジェクトで立命館大学などとキャベツの自動収穫に取り組んでいます。「省力化の効果は大きく、作業は半分の人手ですみます。スマート農業の可能性を実感できました」と園芸課長の遠藤清司さん。キャベツの作付面積は倍にできました。
「スマート農機は、大きいほ場でこそ真価を発揮します。農地の集約と区画拡大を進め、平坦で広大な農地という好条件をフルに生かし、環境保全型と省力・高収益を両立できる農業経営モデルを追求していくつもりです」
「子どものころは、休みもとらずに農作業を行う父の姿を見て、自分には向かない、と思っていた」。そう振り返る福原さんですが、「今、日本の農業は技術的なことを含め、過渡期にあります。目まぐるしい変化の真っただ中にいられることに日々ワクワクしています」と笑顔を見せます。
フェラーリのようなトラクター
GNSSを利用した自動運転が可能なだけでなく、今やデザインに強いこだわりを持つトラクターも登場。ヤンマー「YT5113」は、イタリア車のエンツォ・フェラーリなどのデザインを担当した経験をもつ工業デザイナー・奥山清行さんが担当しました。フクハラファームも所有しています。
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