各分野の先端機器をめぐる
[林業・水産業編]
林業や水産業の分野でも、すでに活躍している先端機器や今後期待される機械があります。
「自動走行フォワーダ」は、森林作業道上の誘導電線を検知して自動走行をさせることで、伐採現場から目的地までの木材運搬を自動化。走行可能な総延長距離は約1キロメートルで、有人運転時と同じ速度で走行できます。
さらに、荷台を車体横方向に傾けることで木材をおろす、“サイドダンプ機能”を用いた自動荷おろし機能も搭載。現在は製品化に向けて、制御装置などの再設計や、誘導電線を認識するセンサーなどの耐久試験を進めています。
急傾斜地での木材生産では、ワイヤーロープで木材を吊して運搬する「架線集材」が行われていますが、切れたワイヤーの跳ね返りなどの危険があります。
こういった作業中の事故防止や作業の効率化に向け、AI を用いて自動で木材をつかみ、集材のためのワイヤー操作も自動で行う「ロージンググラップル」を開発中です。走行時に発電した電力を利用する“回生充電”や、環境に優しい生分解性オイルを使用しています。
機械化の進んでいない造林作業の省力化や効率化を目的に開発された多目的造林機械「山もっとジョージ」。アタッチメントの付け替えによって、一台で植栽前の整地や植栽後の刈り払いができ、前後左右30度までの傾斜地に対応可能。遠隔操作化、植え穴掘り用のアタッチメント開発も進めています。
真夏や真冬の過酷な環境から林業従事者を解放し、快適な車内でクレーン作業を行えるようにと考えられたのが、原木運搬用トラッククレーン「HiVision」。
クレーン脇に取り付けたカメラが撮影した画像を3次元処理。その映像をVRゴーグルで見ながら、手元のジョイスティックでクレーンを操作します。
VRゴーグルの視界は、左右270度、上下130度と通常の人の視界と同じレベル。首を動かすとゴーグル内の視界も同じように動き、違和感なく操作可能です。通常は車外に出て行うクレーン操作を、トラックの助手席で行えます。クレーン昇降時の転落や野生動物との遭遇などの危険性も減り、作業者の安全性や快適性を確保します。
定置網点検や養殖業での魚の生育状況の確認など、水産業では水中ドローンの活躍が期待されています。
「CHASING M2」は、ノートパソコン程度の大きさでアルミニウム合金製のコンパクトボディ(約4.5キログラム)。4K・1,200万画素の高解像度カメラを内蔵しているため、水中をクリアに録画することができます。
最大100メートルまで潜水できる他、水中での姿勢を制御し、軌道の微修正を行う動力装置を8つ備え、360度全方向の移動が可能です。
世界初のホタテ貝自動生剥き機の「オートシェラー」。ホタテ原貝を投入するだけで自動的に、殻・ミミ・ウロ・貝柱を分離させて貝柱だけを生のまま回収。11人分の処理能力を持っています。
また、(地独)北海道立総合研究機構の品質検査によると、生鮮・冷凍ともに色・栄養成分・うま味・食味などでは、「手剥きした貝柱と変わらない」という結果も出ています。
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