日本全国で提供されている学校給食のメニューの中から、その土地で親しまれている郷土料理や食材などを取り入れたものを紹介。その地域ならではの食の連載をお届けします。
第8回
滋賀県甲賀市の学校給食
コアユのカレー揚げ
コアユのカレー揚げ、赤こんにゃくのおかか和え、ゆばのすまし汁。地産地消にこだわった献立が並びます。ごはんは甲賀市産のコシヒカリを使用。
旬のコアユを丸ごといただく
「びわ湖の日」の特別な献立
(甲賀市西部学校給食センター)
信楽焼の産地として知られる滋賀県甲賀市では、小中学校の給食に地場産の食材を取り入れています。今回は、滋賀県が定める「びわ湖の日」(7月1日)に提供される特別な献立を紹介します。
献立のメインとなるコアユのカレー揚げには、琵琶湖産のコアユを使用します。コアユは、「アユの子ども」という意味ではなく、「小さなアユ」という意味で、成長しても10センチメートルほどの大きさにしかならないそうです。水洗いしたコアユにでんぷんをまぶし、175度の油でカラッと揚げたのち、炒った塩とカレー粉をふれば完成です。コアユの内臓には少し苦味がありますが、カレー味に仕上げることで子ども達が喜ぶ味付けになっています。コアユは鱗が細かく皮も柔らかいので、丸ごと食べる料理に適している食材です。
副菜の「赤こんにゃくのおかか和え」は、赤こんにゃくと一般的なこんにゃくを砂糖や醤油で味付け、その後、かつお節と一緒に煮て完成です。滋賀県の特産品である赤こんにゃくは、原材料の白こんにゃくを着色用の三二酸化鉄で赤く染めて作られています。そのため、通常のこんにゃくと比べて鉄分が多く含まれています。汁物や炒め物など、さまざまなメニューに取り入れやすいことから、滋賀県ではおなじみの食材です。
この日は給食の前に、栄養教諭から子ども達に向けて「びわ湖の日」についての特別なお話がありました。琵琶湖をきれいに守るための条例の施行を祝う記念日ということで、コアユの生態や食文化など、琵琶湖にまつわるさまざまな話を子ども達は熱心に聞いていました。
甲賀市のご当地メニュー
「コアユのカレー揚げ」とは?
コアユのカレー揚げの歴史
滋賀県の南部に位置し、琵琶湖に面していない甲賀市ですが、約10年前からびわ湖の日には琵琶湖産の魚を使った給食が振る舞われています。給食を通じて、琵琶湖の文化や伝統、水質問題に興味を持つきっかけになってほしいとの願いを込めて始められた取り組みです。「コアユのカレー揚げ」もその一環のメニュー。過去のメニューには、より地域性を出すために、甲賀市産の米粉と甲賀市の特産物である土山(つちやま)茶を組み合わせた「コアユのお茶揚げ」もありました。また、コアユ以外にもビワマス、イサザなどの琵琶湖産の魚も給食に登場するそうです。
コアユの実力
コアユは骨まで食べられるため、カルシウムがたくさん摂れます。また、アユは魚の中でも鉄分やリン、マグネシウムなどを多く含む魚で、不足しがちなミネラルも摂れる食材です。(監修:管理栄養士・国際中医薬膳師 清水 加奈子さん)
甲賀市はびわ湖の日の他にも、毎月19日に「食育の日」を設けています。その日は「ふるさと給食」として、たまねぎ、にんじん、忍(しのぶ)ねぎ、水口(みなくち)かんぴょうなどの野菜から、味噌、梅干し、お茶などまで、その季節に合った地元の食材を献立に取り入れています。もちろん琵琶湖産の魚も提供されており、子ども達も毎回楽しみにしているそうです。
給食ではおなじみだったけど、学校を卒業した今では縁が遠くなってしまったさまざまな「アレ」についてご紹介します。今回のテーマは、学校給食の中でも大きな役割を果たしてきた主食の「パン」です。
写真提供/学校給食歴史館
終戦翌年の1946年頃から、物資不足を理由に中断されていた学校給食が再開され始めました。当時の学校給食の主食といえば、アメリカから輸入した小麦を使用したコッペパン。このパンは、アメリカで製パン技術を学んだ田辺玄平という人物が大正時代に開発した日本独自のパンです。戦前、コッペパンは日本陸軍の配給食で、一般市民にはあまりなじみのないものでしたが、給食再開時から長らく主食として提供されました。米飯給食の導入とともに登場機会は少なくなりましたが、現在も「素朴で懐かしい味」として親しまれています。
写真提供/学校給食歴史館
1970年代になると、コッペパン以外にも、食パンやバターロール、ぶどうパン、クロワッサン、デニッシュペストリーなど、さまざまな種類のパンが給食で提供されるようになりました。2000年代になると、米の消費拡大のために米粉を使用したパンや、中東などでよく食べられているピタパン、インド料理でもおなじみのナンなど、よりバラエティ豊かなパンが登場しています。
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