

家庭で過ごす時間が増え、生活に彩りを添えてくれる花に注目が高まっている今。お気に入りの切り花を花瓶に飾ることはもちろん、さらに深く花との暮らしを楽しんでみませんか? 今回は、切り花を長持ちさせるコツ、花壇や庭がなくても気軽に花を楽しむための方法などをプロが指南。花を“飾る” “育てる” が楽しくなる方法をご提案します。

今回教えてくれたのは・・・
郷古 渉さん
(ごうこ わたる)
(株)世田谷花きに入社以来、一貫してバラを担当。2019年から2020年まで農林水産省へ出向し、省公式YouTubeチャンネルBUZZ MAFFにて花王子として出演。
https://www.youtube.com/watch?v=z_G4Spk4AnY

切り花を長持ちさせよう!

お花屋さんで買った切り花を長持ちさせるには、花瓶に移す時の水あげや、適切な温度管理を意識した場所選びが大切です。花持ちに差がつくポイントをしっかりおさえて、お気に入りの花を長く楽しみましょう。

水を吸収しやすくする水切り
花が水を吸う手助けをする技を水あげといいます。その中のひとつが「水切り」で、根本から3センチメートルほどのところで茎を切ります。容器の底の方など、深いところで圧をかけて切ると花が水を吸いやすいとされています。5分から10分ほど水につけ、花が水を十分に吸ったら、花瓶へうつしましょう。

根本から3cmほどのところを切り、5分から10分ほど水につける。
花の個性に合わせた水あげ
カーネーションやカスミソウなど水をよく吸収する花は、元気そうであれば空気中で切ってから水につけても問題ありません。その後、栄養剤入りの花瓶に入れ、元気が無くなってきたらまた水あげをしましょう。水あげには水切り以外にもいろいろな方法があるので、それぞれの花に適した水あげ方法を購入時にお花屋さんに聞いてみるとよいでしょう。

適切な温度管理
暑すぎず寒すぎず、人が過ごしやすい温度が花にとっても適温。これからの時期は直射日光があたる場所や、クーラーの風が直接あたる場所は避けましょう。やわらかい陽をあびられる涼しいところ、例えば玄関などが適しています。
花王子・郷古さんに
聞きました!
切り花のQ&A

生けるときの水の適温は?

水道水の温度で問題ありません。熱すぎず、冷たすぎず、人が飲むのに適した温度がよいでしょう。

切り花は日に当てた方が
良いの?

実は、切り花は日に当てないほうがよいです。日の光が強すぎると葉が焼けたり、花によっては全体がぐったりしてしまうことがあります。また、花瓶の中の水温が上がることで水中にバクテリアが発生しやすくなり、花が長持ちしなくなります。生活している程度の明かりで、一日の温度差が少ない場所に飾りましょう。自然光で鑑賞したい方は、窓にレースなどのうすいカーテンを引いて、日の光を和らげてあげるとよいでしょう。

食器用洗剤を入れると
長持ちするって本当?

本当です。1滴ぐらいが適量で、水中のバクテリアを抑え、水が汚れるのを遅らせてくれます。しかし、一番適しているのは花の栄養剤。栄養成分とともに、殺菌効果もあります。栄養剤が無い場合は、毎日水をかえて、水をきれいに保つことがポイントです。

初心者でも
簡単に作れます!
スワッグを作ろう
今回教えてくれたのは・・・
吉本 雄一さん
(よしもと ゆういち)
音楽・アニメ・ファッションなどに影響を受けた独自の感性で、アートオブジェや空間創出など多数制作。2012年、2018年に「フラワーアートアワード in Tokyo Midtown」にて2度のグランプリに輝いた。花王子の師匠。

ビギナーでも簡単に製作でき、飾って楽しむことができるスワッグ。リースなどに比べ、使用する花や道具が少ないので気軽にはじめることができます。オールシーズン飾ることができるのも魅力。ワイルドフラワーやユーカリ、シネンシスやスターチスといった乾燥した際に散らない植物や色が残る植物を使うのがオススメです。
用意するもの
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好みの切り花
(今回はユーカリ、ワックスフラワー、
スターチス) -
園芸用ハサミ
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麻ヒモや輪ゴム(束ねる用)
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リボンやラフィア(装飾用)
作り方
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花の下葉を取る
まずは花を並べて出来上がりをイメージしてみましょう。全体の長さや束ねる部分のバランスもチェックしながら下葉を取ります。飾る予定の場所の目線の高さなども意識してみてください。
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花を束ねる
バランスを取りやすくするため、長いものから順に上に重ねていきます。
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束ねた部分を
ヒモやゴムで固定する乾燥が進むにつれて茎が縮み、固定部分が緩んでくるのでしっかりとめます。
-
リボンやラフィアで
飾って完成!リボンやラフィアで装飾をしたら、好きな場所に飾りましょう。フックなどの耐荷重に注意してください。

あれ? 意外と簡単!
ハンギングバスケットを
作ろう!
今回教えてくれたのは・・・
小川賢治さん
(おがわ けんじ)
東京都八王子市の栄花園園主。父の代からはじまった花農家を引き継ぎ、ビオラやパンジーなど100種類ほどを生産・直売する。一級フラワー装飾技能士、一級カラーデザインの資格を活かし、ギャザリングのレッスンも行う。

吊り下げたり、かけたりできる花の寄せ植え「ハンギングバスケット」。花壇や庭がなくても、気軽に草花の成長を楽しめるのが魅力です。バスケットの種類はさまざまですが、今回は初心者でも簡単に作れるスリットタイプのバスケットで挑戦してみましょう。
用意するもの

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花苗
(今回はマリーゴールド 9ポット、ロベリア 5ポット) -
スリットバスケット
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培養土
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園芸用ハサミ
-
スコップ
作り方
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スリットバスケットに
土を入れる今回は3段になるようにつくるので、底から5cm程度土を入れる。
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余分な根を取る
ポットから苗を取り出したら、バスケットに入るように少し根を取ります。根が乾かないうちに素早く取るのがポイントです。
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バスケットに差し込む
1段目用として、花の茎部分をスリットに差し込んでいきます。
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土を入れる
1段終わるごとに土を入れます。
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2段目、3段目を作る
2段目、3段目も同様に作ります。デザインを考えながら差し込むとよいでしょう。
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完成!
3段目の花を差し込み終わったら完成です!壁掛けにしたりして楽しみましょう。

ガーデニングデビュー
しよう!
今回教えてくれたのは・・・
久保田崇雄さん
(くぼた たかお)
園芸店にて約7年勤務の後、(株)世田谷花きに入社。バラを担当後、洋ラン及び蘭鉢を担当。市場流通する植物の知識を幅広く持つ。

屋外で花を育て、季節ごとに自分好みの庭を造ることができるガーデニング。
必要な材料や、花の植え方、そして、はじめてガーデニングに挑戦する初心者の方におススメの花も紹介します。
用意するもの
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季節の花苗
(例:春/パンジー、夏/ペチュニア+合わせるカラーリーフ) -
培養土
(赤玉土や完熟した黒い腐葉土などが混ざったもの) -
鉢底石
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鉢
(根の張る物や樹木類・野菜類を植える場合は深い鉢、花苗や葉物、ハーブ類の場合はプランター) -
肥料
(はじめるとき:緩効性肥料/植物の生育に応じて:液体肥料) -
支柱
(高さのでるものの場合)
作り方
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植える場所をきめよう
日当たり、風通り、水はけの良いところが理想です。
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植える花をきめよう
花壇ならパンジーやペチュニアの苗が初心者にオススメ。チューリップやクロッカス、フリージアといった球根も初心者向けです。また、庭ならクリスマスローズやギボウシなどを株もとに植えると、半日陰になり、葉焼けの対策になります。
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土を入れよう
水はけを良くするために鉢底石などを下に入れ、赤玉土や腐葉土などの培養土を順にいれます。粒の大きい物を下に入れるのがポイントです。
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苗を植えよう
高さが均一にならないよう、また植物が育った後のイメージをして配置しましょう。背の低い物を手前に植え、高くなるものは奥に植えると立体的になります。
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水をあげよう
植え替え直後は水を多めにあげるとよいでしょう。その後は、植物の特性により水やりの頻度や量を調整します。特に、暑いときや寒いときの水やりで植物が突然傷むことがあるので注意が必要です。
より多彩に花を取り入れ、
家庭で過ごす時間を豊かに
今回は、今日から試せる花を長持ちさせる方法や、意外と簡単にはじめられるスワッグやハンギングバスケットなど、より多彩に花を楽しめるアレンジ方法をご紹介しました。自分らしい花の楽しみ方を取り入れて、家庭で過ごす時間をより豊かにしてみてはいかがでしょうか。

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品種開発から輸送まで
花が私たちのもとに届くまでの物語 -
各地の自信作が大集合!
花のオリジナルブランドカタログ -
世界へ羽ばたけ!
ジャパンブランド
花の輸出 最前線 -
花のある毎日って、楽しい!
はじめよう、花のある暮らし -
新しい花の楽しみ方
花で彩る私の時間
編集後記
初代花王子の郷古渉さん。彼はとにかく優しいんです。お花の知識を教えてくれる時も、お花の手入れをする時も。先日テレビのクイズ番組で小学生相手に花の知識対決をした時にも、本当に物腰柔らかく丁寧で、その優しさと器の大きさから来るオーラが、どう見ても王子なんです。もっと有名になってほしいな、花王子。(広報室YT)
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大臣官房広報評価課広報室
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