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農林水産省

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  • aff06 JUNE 2021
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新しい花の楽しみ方 花で彩る私の時間

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長期的に減少が続く花の消費量。新型コロナウイルス感染拡大後は、そうした状況がさらに加速しています。その一方で、時代に合った新しい花の楽しみ方を見出し、花の魅力を改めて提案する生産者がいます。今回は東京都八王子市で花の生産、直売を行う「栄花園」がオススメする“ギャザリング”をピックアップ。具体的な作り方を通してその魅力に迫ります。

花の消費の現状

お彼岸やお盆、母の日といったイベントや贈答用での需要が多くを占めている日本の花業界。しかし、若者の花離れや葬儀の祭壇に供える花の簡略化、定番とされていた母の日の贈り物がカーネーション以外のものにとって変わられるという多様化などにより、花の消費量が下降の一途を辿っています。

グラフ:年間購入額の推移・世帯主年齢別年間購入額(令和元年)

そして、さらなる痛手となったのが、昨年から続く新型コロナウイルスの影響です。卒業式や送別会、結婚式など、年間を通したイベントの中止や規模縮小などにより、花を消費する機会が大幅に奪われました。そうした状況を改善すべく、農林水産省では「花いっぱいプロジェクト」を実施するなど、花の需要拡大に向けた取り組みを盛んに行っています。

ギャザリングで体感する
新しい花の魅力

そんな中、花業界でも伸び率を見せているのが鉢物です。自宅で過ごす時間が長くなった今、家に花や植物を飾りたいという人が増加。コロナ疲れを花に癒されたり、花を育てる楽しさを新たに見出したりすることができるからです。鉢花の魅力を新しい角度で提案しているのが、東京都八王子市で花の生産・直売をしている栄花園です。

「ギャザリングという、根付きの植物を花束のように何種類も組み合わせて器に植え込む、新しい植物の楽しみ方を学ぶ教室を開いています」と語る園主の小川賢治氏。
「花を育てる中で、綺麗な花とはどのようなものだろう、それがわからないで綺麗な花が作れるだろうか、と考えるようになりました。そんな時に出会ったのが、完成した瞬間から人を魅了することができる“ギャザリング”です」
考案したのは、愛知県を拠点に活動するガーデンデザイナー・青木英郎氏。植物が成長し大きくなるのを何ヶ月も待つのではなく、植え込んだ時から豪華で華やかな装飾作品に仕上げられ、時間の経過と共に新たな表情を楽しむことができます。また、日持ちがよく、切り花が飾れない環境にも置くことができ、手間がかからないといった利点もあります。
「花の集合体であるギャザリングは、花自体も綺麗であることが大切です。その美しさを構成する質のいい苗の提供ができる生産者だからこそ貢献できると思いました」と小川氏。

現在、週2回、5名ほどの少人数制をとり、ギャザリング教室を開催。花の選び方から、植え方までを丁寧に参加者に伝えています。
「参加してくださる方のオリジナリティを最大限に活かすことを目標にしています。好みの花を選んでいただき、それに合うカラーや植え方をその方の園芸キャリアに合わせてアドバイスしています。初めての方でも楽しんで頂けるよう導いていけたらと思っています」

ギャザリングに
挑戦してみよう!

家庭で過ごす時間が増えた今、切り花を花瓶に飾る以外に、鉢植えの花を育てるという新しい楽しみ方をはじめた人も多いはず。花束のような華やかさが鉢植えで実現するギャザリングは、暮らしに花を取り入れるのにぴったりのアイテム。早速作り方を見ていきましょう。

どんな花がおすすめ?

植物をアレンジする時のポイントは「色、高さ、形態」です。形態にはまっすぐ上に伸びるもの、上に伸びてから外に広がるもの、垂れ下がるものなど様々あります。それぞれの花の高さや特徴を活かしながら、ふんわりとナチュラルに植えたり、しっかりと苗を積み上げて高さを出したり、自分好みの完成像を目指して植えていくといいでしょう。組み合わせは、花苗1種類に対して、葉物を2種類で1ユニットを作るのが基本です。メインとなる花の種類を2から3種類に抑えてユニットを作るとまとまりの良い作品が作れます。

用意するもの


  • (ナデシコ・アイビー 各9ポット、ヒポエステス 3ポット)

  • バケツ(根・土を捨てる用/手を洗う用)

  • 水ゴケ

  • リング

  • 培養土

  • 園芸用ハサミ

  • スコップ

作り方

  • 1

    リングに土を入れる

    リングの高さより低めに土をふんわりまんべんなく入れる。

  • 2

    余分な根を切る

    花をポットから取り出し、余分な根を周りからハサミで切る、または手でほぐす。

    ☆ポイント:リングのサイズに合わせて、
    根が乾かないうちに素早く根切りをしよう。

  • 3

    ユニットの作成

    3種を1つに束ね、株元を水ゴケで包み、ミニブーケを作るようにユニットを作成する。

    ☆ポイント:ユニット作成のデザインが肝心!

  • 4

    リングに差し込む

    出来上がったユニットをリングに120度ずつずらしながら差し込む。

    ☆ポイント:自然に花の流れができるように差し込もう。

  • 5

    水ゴケで周りを囲む

    全ユニットを植え込んだら、リングとユニットの隙間(内側、外側共に)に水ゴケを植え込む。

  • 6

    完成!

    全体を見て、葉やつるを動かしてバランスをとれば完成!

    ☆ポイント:高い位置に飾るとより綺麗に見えます。

ギャザリングを始めたい人へのアドバイス

ギャザリングを楽しむコツは
自分好みに仕上げること

初心者の方でも、比較的きれいな作品をつくることができるのがギャザリングの魅力。まずは、自分好みの色や種類で好きなように植えてみましょう。自分でデザインをして作り、楽しむのが醍醐味です。また、花を引き立たせる鉢にこだわるのもおすすめ。手軽に美しい寄せ鉢が楽しめる新しい園芸の世界をぜひ楽んでみてください。

より花が身近にある暮らしを
「花いっぱいプロジェクト」

新型コロナウイルスの影響を受け、急激に冷え込んだ花の需要を喚起するため、家庭や職場での花飾りや花の購入促進を広く呼びかけるプロジェクトです。例えば、花業界では2月14日を「フラワーバレンタイン」と題し大切な人へ花の贈り物をする統一キャンペーンを展開。商業施設をはじめ、花と親和性の高い異業種とのコラボレーションイベントを開催し、ターゲット層へのさらなる認知拡大、バレンタイン商戦の生花店への集客、売り上げ拡大に取り組みました。花いっぱいプロジェクトでは、このような業界の取組を公式HPで紹介し、花の利用拡大を呼びかけています。
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kaki/flower/pjt2021/index.html

プロフィール写真

今回教えてくれたのは・・・

小川 賢治さん
(おがわ けんじ)

栄花園園主。父の代からはじまった花農家を引き継ぎ、ビオラやパンジーなど100種類ほどを生産・直売する。一級フラワー装飾技能士、一級カラーデザインの資格を活かし、ギャザリンングのレッスンも行う。

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特集タイトル

編集後記

今回ご紹介したギャザリング、見事でしたね!誌面をつくる中で思い出したのは祖母の家の庭。四季折々の花が咲く広い庭で、幼少の頃はよく駆け回って遊んだものでした。マンションでの生活が長かった私にとって、広い庭のある家は少しうらやましいと感じることも多かったです。でも庭がなくても、切り花を飾ったり、スワッグやハンギングバスケットを作ってみたりと、花を楽しむ様々な方法があることを改めて感じました。自分にあった方法で、花を楽しみ、生活に潤いを持たせていきたいですね。(広報室AY)

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お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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