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農林水産省

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  • aff06 JUNE 2021
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大学農系学部に潜入! 発掘! 凄モノ情報局

大学の農学系学部が研究・開発した製品と、その製品化までの道のりを紹介します。

第1回

地域産業も環境もWIN-WIN!

東海大学のゼロエミッションな芋焼酎づくり

東海大学のゼロエミッションな芋焼酎づくり

産官学連携の共同研究プロジェクトとして、廃棄物を出さないシステムを構築し、それを社会実装することを目的とした“ゼロエミッション”な芋焼酎づくりに取り組む東海大学農学部。このプロジェクトがスタートしたことにより、芋を栽培する農家、焼酎を醸造する蔵元、そして環境にとってそれぞれWIN-WINな循環が起こっているといいます。
そこで今回は、このプロジェクトが一体どのようなサイクルで動いているのか、そして、プロジェクトから誕生した芋焼酎とデザートソースの開発ストーリーに迫ります。

ムラサキマサリが醸造粕処理問題の突破口に!?

プロジェクトがスタートした2007年当時は、焼酎ブームの真っ只中。そのおかげで九州産のサツマイモと芋焼酎の需要が増える一方で、多くの蔵元は焼酎を醸造した際に大量に出る、焼酎粕の処理問題に直面していました。
そんなとき、農研機構九州沖縄農業研究センターは、アントシアニンを豊富に含む紫芋の一種、ムラサキマサリから、焼酎粕を機能性食品素材として使用できる可能性を見い出します。そこで東海大学農学部に、ムラサキマサリを始点とした焼酎づくりを提案。さらに、焼酎メーカーである 房の露(株)と(有)木之内農園の協力も得て、焼酎粕を出さない産官学連携のゼロエミッションプロジェクトがスタートすることになりました。

ゼロエミッションプロジェクトの仕組み

ゼロエミッションプロジェクトの仕組み

ゼロエミッションな芋焼酎作りを実現するために、東海大学はまず、これまで廃棄物として処理されてきた焼酎粕を有効利用した食品開発に取り組みました。そして、トライ&エラーを何度も繰り返しながら、ようやく誕生したのがデザートソースの「阿蘇の紅」です。
さらに、焼酎粕をより大量に処理できるよう、家畜の飼料として消費したり、その家畜の排泄物を堆肥化してムラサキマサリの栽培に使用したりすることで、廃棄物を出さないサイクルを可能にしました。

プロジェクトが農家・蔵元にもたらす好影響とは?

ゼロエミッションプロジェクトが社会実装されたことで、環境にはもちろん、それに関わる農家や蔵元にも好影響が! 一体、どんなメリットをもたらしているのでしょうか?

農家

出荷に必要な負担を大幅に軽減

画像:農家

青果としてムラサキマサリを出荷する場合、貯蔵を経て、そこからさらに両端のへたを切る、水で洗う、大きさの選別をするといった作業が必要です。しかし、この芋を焼酎の原料として出荷する場合、芋を掘ってそのまま大きな出荷用の袋に詰めるだけで済むため、従来行っていた工程を省いて大量の出荷をすることができるようになりました。

蔵元

産業廃棄物処理のためのコスト負担を軽減

画像:農家

焼酎粕をそのまま食品素材に転換できるようになったことで、それまで産業廃棄物として引き取ってもらうために支払っていた費用をかけず処理することが可能に。これにより、環境負荷とコストを同時に削減しながら効率の良い醸造が実現しました。

プロジェクト発の阿蘇の味覚!
芋焼酎&デザートソース

プロジェクトから誕生した東海大学自慢のブランドが、芋焼酎「阿蘇乃魂」と、デザートソース「阿蘇の紅」。ここからは、それぞれの商品の特徴と、よりおいしく楽しむためのアレンジメニューについてご紹介します。

クセがない華やかな香り。本格芋焼酎「阿蘇乃魂」

画像:本格芋焼酎「阿蘇の魂」

この芋焼酎に使用するムラサキマサリは、東海大学農学部で栽培されたものが必ず含まれていることを条件に、焼酎メーカー 房の露(株)が醸造。まるで果実酒のような、フルーティーで豊かなコクと甘みを感じる味わいが特徴で、女性からの人気も高いのだとか。

画像:本格芋焼酎「阿蘇の魂」

また、ロック、水割り、ソーダ割りなどお好みの飲み方に、デザートソース「阿蘇の紅」を数滴垂らすことで、全く新しい味わいへと変化するそうです。「阿蘇の紅」の甘みと酸味が加わることでさらに飲みやすくなるため、芋焼酎が苦手な人もチャレンジしやすい1杯に。焼酎が淡い桜色に染まり、見た目にも美しくなります。

アントシアニンたっぷり!
新感覚のデザートソース「阿蘇の紅」

画像:「阿蘇の紅」

ほんのり芋の香りと酸味を感じる、ジャムとジュースの中間のようなデザートソース。「阿蘇乃魂」を醸造した際に生じる焼酎粕を利用しているため、機能性成分であるアントシアニンと食物繊維を豊富に含んでいます。また、甘みの元となっている希少糖はカロリーも低く、ヘルシーに楽しめるのも嬉しいポイント。ヨーグルトやソフトクリーム、パンケーキなどに甘味料としてプラスするのはもちろん、牛乳や豆乳と割ってドリンクにするのもおすすめ。

まとめ

環境負荷を減らすだけでなく、農家や蔵元の経営支援も期待できるゼロエミッションプロジェクト。東海大学は今後も、ドリンクやスイーツなど様々なアプローチから、焼酎粕を利用した商品の開発を目指しているそう。プロジェクトがより大きなサイクルとなることで、これまで“廃棄物”と見なされていた焼酎粕が、地域活性化のヒーローとなる日も近いかもしれません。

東海大学 熊本キャンパス

画像:東海大学 熊本キャンパス

熊本県熊本市東区渡鹿9-1-1
096-382-1141(代表)

https://www.u-tokai.ac.jp/

今回 教えてくれたのは

写真:荒木朋洋 東海大学九州キャンパス長

東海大学
荒木朋洋
九州キャンパス長

九州キャンパス長(学長補佐)。学校法人東海大学評議員。

写真:安田伸 教授

東海大学
安田伸 教授

博士(農学)。「食品素材の機能性に関する研究」と「生理活性物質の機能性と代謝調節」、「代謝物の機能性」に関する研究に取り組んでいる。

写真:東海大学 農学部 バイオサイエンス学科 多賀直彦 講師

東海大学
農学部 バイオサイエンス学科

多賀直彦 講師

博士(農学)。「微生物の大量培養による物質生産」、「発酵食品由来微生物の有用物質」、および「皮膚常在菌の有効利用」などの研究に取り組んでいる。

写真:東海大学 農学部 バイオサイエンス学科 多賀直彦 講師

東海大学フェニックスカレッジ熊本オフィス
農学教育実習センター リーダー

本田 憲昭

房の露株式会社とともに本格芋焼酎「阿蘇乃魂」を初醸造。コックソース株式会社の協力を得てデザートソース「阿蘇の紅」の商品化に携わる。

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代表:03-3502-8111(内線3074)
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