

料理を引き立てたり季節感を演出する香辛野菜&つまもの。さまざまな種類がありますが、今回はおなじみの品目の特徴や用途、また、みょうがの生産現場とその生態まで、幅広く紹介します。
おいしさを引き立てる
香辛野菜&つまものとは
料理に彩りを添えたり、味にアクセントをつけたりと重宝される、香辛野菜&つまもの。
季節感を演出してくれるのもその魅力です。ここでは、おなじみの香辛野菜&つまものを紹介します。
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しょうが
<利用部位:根茎>
(概要・用途)
口の中に広がる辛みと刺激、独特の芳香が特徴的な熱帯アジア原産のスパイス。生が手に入りやすい日本では、刻んだり、擦りおろすなどしてさまざまな料理に使われてきました。新しょうがは甘酢づけ、葉しょうがは焼き魚の付け合わせでおなじみ。 -
わさび
<利用部位:根茎、葉茎>
(概要・用途)
日本に古来から自生していた多年生植物で、水が綺麗な涼しい場所で育てられます。日本現存最古の薬物辞典「本草和名」には、漢字名「山葵」として登場し、今は主に薬味として活用されています。 -
大葉
<利用部位:葉、花穂、果実>
(概要・用途)
中国原産のえごまの変種で、葉や茎が紫色のものを「赤じそ」、緑色のものを「青じそ」と呼びます。近縁には「ちりめん」や「片面じそ」「レモンジソ」などの品種があります。「青じそ」は薬味としておなじみです。
コンピュータを駆使した
みょうがの養液栽培に
密着

二重のシートを使って遮光し、美しい赤色に。
どのような栽培方法ですか?
土を使用せず水に肥料を溶かした培養液で栽培する、養液栽培という方法を用いています。培地には環境にやさしいヤシ殻を使用。私のところではチッ素やリン酸、カリといった肥料の元となる原液をコンピュータで24時間自動制御し、1時間ごとにその時のみょうがに必要な種類の肥料を適切な濃度で与えるという管理をしています。以前は1時間ごとに決まった量の肥料を与えていましたが、現在では廃液のpHやEC(電気伝導度)をみて与える肥料の濃度や時間を決めるなど、より精度の高い管理を行っています。

肥料濃度を管理するシステム。

それぞれのタンクに異なる肥料が入っており、不足している成分だけが自動で与えられるようになっています。
光の照射や温度を自動調節
みょうがの成長力を最大限に活かすには、光を当てる時間の調節とハウス内の夜間の温度を高く保つことが重要です。光の照射時間とみょうがの成長の関係に着目し、夜の23時から翌日の2時までは電球をつけて照らし、24時間のうちに昼の状態を2回作ります。そうすることで光合成が活発になり、成長も促進されます。また、夜温は常に20度に保つよう自動調整し、与える水の温度も管理しています。地中温度が25度を超えると水が、25度を下回ると温水が出る仕組みになっています。

成長促進のため夜間も電気で照明。

地中温度によって水温を調節。
吉田さんの育てたみょうがの特徴
最大の違いは収穫量。露地栽培に比べて、約15倍から20倍のみょうがが育ちます。まずは茎の成長に大きな差があります。露地栽培では2次茎までしか育たないのですが、養液栽培では最大5次茎まで成長します。さらに、それぞれの茎から育つ実の数にも違いがあります。2、3個程度しかつかない露地栽培に対し、養液栽培では多いものでは8個から10個程度の実がつき、1つの根から平均して80個から120個ものみょうがが収穫できるのです。また、遮光を駆使し、美しい赤色を出すこともこだわっているポイントです。

収穫時の草丈の高さは3mを超える。
今回教えてくれたのは・・・

吉田 尚人さん
JA前橋に勤める傍ら、日本農業新聞群馬県支部の記者として、2,000件以上の取材を行う。取材の中でみょうがづくりに出会い、45歳で就農。群馬県で初めてみょうがの養液栽培をはじめ、今年で17年目。現在では鹿児島県や福島県といった県外への栽培指導も行う。
みょうがのあれこれを大解剖!
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みょうがの生態
ショウガ科ショウガ属の多年草であるみょうが。半日陰などの湿った土壌を好み、日本では本州から沖縄まで各地で自生しています。夏になると地中で花茎を伸ばし、その先端にできたつぼみが土から顔を出します。私たちが普段食べているのが、この地下茎の先につく若いつぼみ(花穂)で「花みょうが」と呼ばれるもの。先端の紅色が鮮やかで、ふっくらしつつ、身がしまっているのが良質の条件です。また、地上に伸びる草丈は偽茎と呼ばれ、一般的には40センチメートルから1メートル程度に伸び、葉は20センチメートルから30センチメートルほどで先が尖っていて、光沢があるのが特徴です。
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みょうがの種類
一般的にみょうがは「花みょうが」と「みょうがたけ」の2種類に大別されます。
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花みょうが
植え付け後1年から2年で収穫します。土の中の茎から顔を出した開花前のつぼみを食用とします。特有の香りと苦味があり、シャキシャキとした歯触りが特徴。6月頃から10月すぎの初夏から秋にかけての間が旬のみょうがは、それぞれの収穫時期に合わせて「夏みょうが」、「秋みょうが」と呼ばれています。
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みょうがたけ
みょうがの若い茎(偽茎)を2週間から3週間遮光し、軟白化させたもの。植え付け後1年半から3年で収穫します。収穫時の偽茎は、20センチメートルから 40センチメートル程となります。淡い紅色と白のグラデーションで、清涼感があり、繊維質でシャキッとした歯触りが特徴。色ツヤがあり、身がしまっているものが良質です。
みょうがを食べると
忘れっぽくなるってホント?
由来にはいくつかの俗説がありますが、その1つを紹介します。お釈迦様の弟子であった周利槃特という人は、自分の名前すら忘れてしまうほど物忘れの激しい人でした。彼の死後、お墓から見たこともない植物が生えてきたため、「自身の名を背に荷って、長い時間努力をし続けた」という意味をこめてその植物は「茗荷」と名付けられ、このことから転じて、茗荷を食べると物覚えが悪くなるとされた、というものです。
今回教えてくれたのは・・・

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編集後記
夏におなじみの薬味、みょうがとわさび。どちらも、ざる蕎麦に入れて食べると美味しいですよね。しかし、私が美味しいと感じるようになったのはここ数年のことです。それまでは、みょうがのあの独特の風味やわさびのつんとした辛さは、あまり得意ではありませんでした。年齢を重ねると味覚って変わっていくものですね。ちなみに、このほかに、「昔は苦手だったけれど今は好きな食べ物」として思いつくのが、トマト、それにワカメ。トマトは今ではいちばん好きな野菜ですし、ワカメも味噌汁に入っていると大変美味しいと感じるようになりました。(広報室AY)
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