

イタリアンブームやエスニック料理ブームなどの影響で広く知られるようになったフレッシュハーブ。その特徴や生産現場の紹介と、ハーブをより身近に楽しめる“おすすめフレッシュハーブを使った簡単レシピ”や“初心者でも育てやすい家庭菜園のコツ”に迫ります。
フレッシュハーブの魅力
鮮やかな色で料理に彩りを添えてくれるフレッシュハーブ。それぞれの香りを生かし、料理に添えて味わいにアクセントをつけたり、刻んでソースにしたり、スイーツに添えたりと、活用方法は様々です。ここではフレッシュハーブのさまざまな魅力を植物分類学上の分類ごとに紹介します。
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シソ科
スイートバジル
インドが原産地で寒さに弱いため、コップの水に挿し、15度くらいの室温で保存すると長持ちします。葉は甘くさわやかな香りが特徴。種子のバジルシードは、水に浸けるとゼリー状に膨らみ、デザート等に使われます。
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シソ科
ローズマリー
地中海沿岸が原産の、古代ギリシャ時代から料理に使われてきた清涼感のある香りが特徴的なハーブ。常緑低木で、花の種類も豊富です。羊肉やイワシなどクセの強い素材の臭み消しに役立ちます。また、ローズマリーチキンは手軽にハーブの香りが楽しめる人気メニューです。
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キク科
よもぎ
春の野草らしいさわやかな香りとほろ苦い味わいが特徴的な、日本全国に自生している和ハーブ。食用として、新芽を摘んで草餅などに使う他、葉を煎じてお茶にしたり、浴用、お灸のもぐさにするなど、幅広く使われてきました。
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セリ科
パクチー
地中海沿岸が原産のタイ料理やベトナム料理などに欠かせないハーブ。葉や茎には非常に個性的な香りがあり、スパイスとして使われる完熟した種子は爽やかな柑橘香が特徴的です。
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セリ科
ディル
南ヨーロッパや西アジアを原産とする、羽のような形をした柔らかな葉をもつハーブ。葉の部分を指す「ディルウィード」と種子を乾燥させた「ディルシード」に分かれます。古代エジプトから栽培されていたといわれ、魚や酢と好相性です。
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セリ科
イタリアンパセリ
原産は地中海沿岸。鮮やかな緑色のフラットリーフと、穏やかな香りがイタリアンパセリの特徴で、爽やかな風味が料理を引き立てます。古代ギリシャ・ローマ時代では花環として香りも楽しまれたそうです。
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セリ科
チャービル
原産はヨーロッパと西アジア。「美食家のパセリ」と呼ばれ、柔らかでレースのように繊細な姿、上品な香りと甘みが特徴的。熱を加えすぎると香りがとんでしまうため、調理の仕上げに使い、彩りや飾りつけにも適したハーブです。
JAおきなわとエスビー食品(株)が取り組む
フレッシュハーブの協業生産
JAおきなわが栽培するフレッシュハーブの中でも一番人気のスイートバジル。JAおきなわ、生産農家、エスビー食品(株)が三位一体となって30年以上試行錯誤しながら生産体制の整備に取り組んできました。始まりは1990年代のイタリア料理ブーム。食文化に根付かせるべく目指したのは、1年中途絶えることのないバジルの安定供給です。バジルは寒さに弱いため、冬場の生産地として白羽の矢が立ったのが沖縄県。ハーブの認知度が低かった当初、賛同してくれる農家は2軒ほどでしたが、エスビー食品(株)は生産者の安定した収益に注力。半年ごとに生産計画を立て、生産農家で栽培したハーブはそれに基づき買い取るという仕組みを作り上げました。現在では、20軒程度の農家と契約できる規模にまで拡大。冬場、特に通常の2倍から3倍の需要があるクリスマスシーズンには、冬場でも暖かい同県がエスビー食品(株)の出荷量の大半の生産を担っています。その大量のバジル生産をサポートしているのが、JAおきなわが手がけるハーブセンター。那覇空港から車で15分という好立地にあり、パック詰めや出荷を担当しています。生産農家は栽培・収穫に注力できるという分業が確立されていることも、仕組みが長く続いている理由の1つです。

ビニールハウスでのスイートバジル栽培の様子。

パック詰めから出荷までをハーブセンターで担う。
自宅で楽しめる
フレッシュハーブの簡単レシピ
普段の料理にフレッシュハーブを取り入れると、自宅でも華やかで本格的な味が楽しめます。おもてなし料理にも最適な簡単レシピをご紹介。
レシピ 1
スモークサーモンのジェノベーゼパスタ(2人分)

フードプロセッサー(またはすり鉢)にバジル(20グラム)、空煎りした松の実(大さじ1)、パルメザンチーズ(大さじ1)、にんにく(1かけ)、オリーブオイル(60ミリリットル)、塩(小さじ2分の1)を入れ、ペースト状になるまで混ぜ合わせ、ジェノベーゼソースを作ります。次に、スモークサーモン(40グラム)を半分に、パプリカ(適量)を1センチメートル角に切ります。フライパンにゆでたスパゲッティ(200グラム)、切ったスモークサーモンの半量とパプリカ、ジェノベーゼソースを入れ、熱しながら和え、塩、胡椒で味を調えます。器に盛りつけ、仕上げに、もう半量のスモークサーモン、バジル(適量)を飾れば完成。
レシピ 2
ハーブカマンベール

チャービル(3枝)、ディル(2枝)、イタリアンパセリ(2枝)を洗い、水気を切って、枝から外した葉を細かく刻みます。カマンベールチーズ(1個/ホール)の表面全体にオリーブオイルをハケで薄く塗り、岩塩とブラックペッパー(少々)と刻んだハーブを全体に均一につけます。お好みで切り分けていただきます。
今回教えてくれたのは・・・
エスビー食品(株)
ハーブ事業部
家でハーブを育てよう!
食のシーンに活用できるハーブは、家庭でも簡単に育てられる植物のひとつ。初心者でも気軽に始められるように、ハーブ栽培のポイントを紹介します。
~苗から育てる~
ハーブは大きく分けて多年草、一年草、二年草がありますが、初心者にはライフサイクルが長く、耐久性のある多年草の苗をプランターで育てる方法がおすすめ。市販の培養土に植え付け、たっぷり水やりをするだけで栽培を始められます。
<苗選びのポイント>
しっかりとした苗で、葉の色つやが良い
長く店頭に出ている苗は、弱っている場合も。生き生きとした元気な苗を選びましょう。
ポットを触ると柔らかく、底から根が
出ていない
根詰まりしている苗はポットが硬くなっています。柔らかく、ポットから出しやすそうな苗を選びましょう。
<育てやすいハーブ>
多年草:ローズマリー、タイム、セージ
一年草:パクチー、チャービル、ディル
二年草:パセリ
パクチー、チャービル、ディルを種まきする場合は、秋か、春の早い時期がおすすめ。バジルは春まきにします。

ポットから苗を土ごとそっと取り出して植え付けましょう。
~再生栽培で育てる~
ハーブの栽培は、そのハーブの原産地の環境に近い条件で行うことがおすすめ。日本で自生している三つ葉やせりは、多年草かつ耐寒性があるので、どの季節でも気軽に栽培を始められます。調理で余った三つ葉やせりの根を、プランターに植えるだけで育ちます。自宅で育てたハーブを使って、ぜひお料理に活用してみてください。

三つ葉は寒さにも強いので、秋からの再生栽培もおすすめです。
今回教えてくれたのは・・・
【各種ハーブ紹介・ハーブの育て方・一部写真提供】
ハーブスペシャリスト・Yumenoki Factory主宰
榊田 千佳子さん

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とうがらしとこしょうの世界 -
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活用法はさまざま
フレッシュハーブの世界
編集後記
どうも、無類の香辛料・ハーブ好きです。香辛料では胡椒と山椒の椒ツートップ、ハーブではセロリとミョウガとパクチーとミントとワサビのすっきりファイブに目がありません。麻婆豆腐は麻(痺れ)と辣(辛み)のマーラーが重要ですが、私が好きなマーラー比は麻:辣=8:2、花椒モリモリで唐辛子はほんの少し。辛い料理でお腹を壊しやすい方は、マー多めがお勧めですよ。ところで、お子様、お孫様の夏休みの宿題は終わりましたか?自由研究がまだの場合は、ぜひaffでネタを探して教えてあげて下さい。(広報室YT)
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