私たちの身近な食材の1つであるきのこ。食用きのこにはたくさんの種類があり、風味や食感はさまざまです。それぞれのきのこの特徴を知って、美味しいきのこ料理を楽しんでみませんか?
もっと知りたい!“きのこ”のコト
食用きのこ図鑑
全10種類
きのこのイラストを
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説明を読んでみましょう。
01
えのきたけ
アジアからヨーロッパ、アフリカなど広い地域で見られるきのこで、エノキやコナラなどの広葉樹の根本、倒木、切株、枯木の幹などに発生します。明治期に原木栽培が始まり、昭和になると暗室で菌床栽培されるようになりました。野生のえのきたけは茶色でカサが大きく、柄も短めでスーパーマーケットなどでよく見かける細長い姿とは別物のようです。
リラックス効果があるとされるギャバが豊富に含まれています。火の通りが早いので、サッと炒めるようにするとシャキシャキとした食感が楽しめます。一方、じっくり煮るととろみが出ます。
02
ぶなしめじ
ブナやトチノキなど広葉樹の倒木に自生しており、日本でも昔から見られましたが、季節を問わずに食べられるようになったのは、人工栽培が開始してからになります。
ぶなしめじは癖のない味わいが特徴で、栽培したものは年間を通して食べられます。栽培したものに比べて大型になる野生のぶなしめじは、秋に旬を迎えます。色を白く品種改良したぶなしめじなども販売されています。
食物繊維に加えてカリウムやビタミンDなどが含まれています。また、うまみ成分のグルタミン酸が含まれているので、汁物や煮物などに使うとおいしい出汁もとれます。
03
しいたけ
シイ、ミズナラ、クヌギなどの広葉樹の倒木や切り株などに発生します。日本では鎌倉時代の頃から食べられていたようです。江戸時代には現在の原木栽培の原型となるしいたけの栽培方法が開発され、乾しいたけが広く出回るようになりました。
栽培は、原木栽培や菌床栽培で行われています。
食物繊維の他、カリウムやビタミンD、うま味成分のグアニル酸も含まれています。生しいたけはソテーや炒め物などにして食感を楽しむのがオススメ。一方、乾しいたけは煮物や汁物などに使うとうま味や香りが堪能できます。
04
まいたけ
秋にミズナラやコナラなどの広葉樹の根元に発生します。
現在市場に出回っているものはほとんどが人工栽培によるもので、天然物は希少価値が高いとされています。シャキシャキとした独特の歯応えが特徴で、加熱しても食感が損なわれにくいです。
きのこ類の中でもまいたけに多く含まれる成分がプロアテーゼというタンパク質分解酵素。
肉と一緒に漬け込んで調理すると、肉のタンパク質を分解してくれるのでとても柔らかく仕上がります。
05
エリンギ
ヨーロッパ原産。地中海性気候の地域を中心に自生しており、生きているセリ科植物の根に寄生することが多いです。日本には自生しておらず、1990年代に入ってから人工栽培が行われるようになりました。味や香りにクセがなくて食べやすく、弾力があってコリコリとした食感がアワビに似ていることから「白あわびたけ」と呼ばれることもあるのだとか。
さつまいもよりも食物繊維が豊富に含まれています。調理する時には、繊維にあわせて縦に裂くと味が染み込みやすく、繊維に対して直角に輪切りにするとホタテの貝柱のような食感も楽しめます。
06
なめこ
ブナやナラ、サクラなどの広葉樹の倒木、切り株、枯れた木の幹などに生えます。野生のなめこの旬は9月から11月で一箇所に集中的に群生します。
販売されているものは小粒なものが多いですが、最近はカサの大きななめこも販売されています。
食物繊維はもちろんですが、カリウムも含みます。味噌汁の具材や、大根おろしと和えてポン酢などを加えたなめこおろしとして食べるほか、カサの大きななめこは、天ぷらなどにするのもおすすめです。
07
ひらたけ
広葉樹の倒木などに生えるきのこで、『今昔物語』にもひらたけの記述があり、古くから食べられてきたことがわかります。
カサの部分が平たく、重なり合いながら大きな塊となって成長します。日本に限らず、世界中の温帯の山林に自生しているので、世界各地で食用として用いられています。
食物繊維やカリウムのほか、葉酸なども多く含みます。香りが良くて歯応えがあり、オリーブオイルとの相性がいいので、和食はもちろん洋食にもあいます。ソテーにしたり、パスタに使ってもおいしくいただけます。
08
きくらげ
日本、中国、朝鮮半島から東南アジアの温帯、熱帯に分布しており、北米や南米でも確認されています。野生のきくらげは広葉樹の枯れ木や切り株などに発生します。きくらげには複数の種類があり、国内で栽培・流通しているほとんどは、きくらげよりやや大きく肉厚で白く細い毛が生えている「あらげきくらげ(荒毛きくらげ)」と呼ばれるもの。
かつては中国から乾燥したものを輸入して中華料理などに使うのが一般的でしたが、最近は国内の生産量が徐々に増加しており、生のものも流通するようになってきました。
食物繊維やビタミンDが豊富。生はプリプリ、乾燥はコリコリとした食感が特徴で、乾燥したものは中華料理やとんこつラーメンによく使用されています。生も乾燥も、加熱してから食べるようにしましょう。
09
マッシュルーム
(ツクリタケ)
原産地はヨーロッパの草原地帯で、欧米をはじめ世界中で食べられているきのこです。日本では自生しておらず、明治時代に人工栽培に成功し徐々に普及していきました。
フランス語では「シャンピニオン」と言い、フランス料理の定番素材のひとつ。日本ではホワイト種が主流ですが、ブラウン種も出回っています。
うま味成分のグアニル酸とグルタミン酸が含まれており単体でも美味。肉厚を活かして丸ごとアヒージョやホイル焼きなどで楽しんだり、新鮮なものは生食できるので、薄くスライスしてサラダなどに使うのもオススメです。
10
まつたけ
日本や中国などアジア地域に広く分布し、『万葉集』には「秋の香」と記されるなど古くから食べられてきたと考えられます。アカマツの根本などに生えますが、人工栽培の方法が確立されておらず、野生のまつたけも減少傾向にあることから、国産まつたけは希少となっています。
マツタケオールとメチルシンナメート(桂皮酸メチル)による芳醇な香りが特徴的ですが、海外ではまつたけの香りが苦手な方も少なくないのだとか。
食物繊維のほか、カリウムや葉酸などが含まれています。七輪などを使っての炭火焼、土瓶蒸し、吸い物、炊き込みご飯など、食感や香りを楽しむ調理法が一般的です。
今回教えてくれたのは・・・
国立研究開発法人 森林研究・整備機構
森林総合研究所
服部 力 研究ディレクター
木材腐朽菌(木材を腐らせるきのこ類)や木材腐朽菌による樹木病害を専門とする。
(有)スタジオ食代表/管理栄養士・料理研究家
牧野直子 さん
各メディアにおいてダイエットや生活習慣病予防の栄養指導、レシピ提案のほか食育活動を行っている。女子栄養大学生涯学習講師、日本食育学会評議員、日本肥満学会員。
きのこの国内生産量
日々の食卓で親しまれているきのこの国内での生産状況を見てみましょう。
きのこの国内生産量の変化
昭和60年と令和2年のきのこの国内生産量を比較してみましょう。
栽培技術の進化や品種改良などにより、きのこ類の国内生産量は昭和60年と比較して増加傾向にあります。ただし、しいたけやひらたけなど、昔から食べられてきた一部のきのこに関しては生産量が減少しています。
都道府県別きのこの生産量
令和2年のきのこの生産量上位2県を紹介します。
しいたけの菌種にこだわり、
山の恵みしいたけの魅力を
発信!
原木栽培のしいたけにこだわり、その魅力を伝える「(株)椎茸祭」。代表取締役の竹村さんに、しいたけの魅力としいたけの菌種にこだわった商品づくりについて伺いました。
(株)椎茸祭を立ち上げたきっかけの一つに、古くから料理に使われてきた和食の資産でもあるしいたけ出汁の魅力をもっと多くの方に知っていただきたいという想いがありました。
現在、主力商品はしいたけ出汁と原木栽培の干ししいたけ。商品づくりで最もこだわっているのはしいたけの菌種です。実はしいたけは菌種ごとに味わいが大きく違うのですが、販売される時には大きさや重さなどで分類されて、菌種による分類が行われることはあまりないため、色々な菌種のしいたけが混ざっており何の菌種が含まれているかわからない状態で販売されています。これでは、味の均一性が保たれず、例えばたまたま個性的な味のしいたけを食べて苦手だと感じると、それぞれの菌種に個性や特徴があるにもかかわらず「しいたけ」そのものに苦手意識を持ってしまうこともあり得ます。それは非常にもったいないことだと思い、50軒以上の原木栽培農家を訪問して、菌種ごとの味の違いを研究し、「115」「240」「193」「324」という4種類の菌種のしいたけに絞って提供することにしました。
菌種「115」のしいたけは肉厚でステーキなどに最適なのに対して、「240」はやわらかくて甘い香り、「193」はニンニクのような香り、そして「324」はコーヒーのような香りで後味がスッキリ、とそれぞれに特徴があります。これがしいたけの魅力を最も感じていただける組み合わせだと思っています。
原木栽培は木を切って菌を植え付けてから収穫までに2年半ほどかかります。更に私たちは、木を植えるところから始め、20年後、30年後にその木を使ってしいたけを栽培する体制を作っています。時間をかけて育てた原木しいたけは、「山の栄養を丸ごと食べられる」珍しい林産物だと考えています。
今回教えてくれたのは・・・
(株)椎茸祭 代表取締役
竹村賢人 さん
大学卒業後入社した会社を退職し、インドへ渡り現地の事業所でプログラマーなどを経験。帰国後にはデジタルアートの製作に関わるなどした後、2017年に(株)椎茸祭を立ち上げる。
きのこの魅力はまだまだあります。
下記ページでおいしいきのこのレシピが
多数掲載されています!
【日本特用林産振興会】
https://nittokusin.jp/
【日本産・原木乾しいたけをすすめる会】
https://j-shiitake.com
【林野庁情報誌「林野-RINYA-」令和2年11月号】
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kouhou/ kouhousitu/jouhoushi/0211.html
この記事のPDF版はこちら
(PDF : 2,219KB)
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不思議がいっぱい!
きのこの生態と豆知識 -
詳しく知って楽しく食べよう!
おいしいきのこ図鑑 -
だから美味しい!
きのこの生産現場を
のぞいてみよう -
本当に安全?
STOP毒きのこ
編集後記
きのこをよく食べます。手軽に扱えていろいろな食材と相性もよく、万能食材ですね!きのこといえば思い出すのは、小学生の時に友達のお弁当にマツタケが入っていたこと。食べたことがないマツタケを憧れのまなざしで見ていたのを思い出します。学校から帰宅して1番に母に話したくらい当時衝撃のできごとでした。(広報室KM)
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