砂糖は料理に甘みを加えるだけではなく、料理作りに役立つさまざまな性質をもっています。今回は、そんな砂糖の働きを紹介します。
料理に役立つ
砂糖のさまざまな働き
料理のさまざまな場面で活躍する砂糖。その代表的な性質をいくつか紹介します。
水に溶けやすい砂糖の性質
(親水性)
砂糖が持っている特徴的な性質のひとつが水に溶けやすいということです。常温の水100ミリリットルであれば約200グラムの砂糖が、摂氏100度のお湯100ミリリットルであれば約500グラムの砂糖が溶けます。
この性質が、他の食材の水分を奪い取る「脱水作用」や、抱え込んだ水分を離さない「保水作用」などの働きに繋がっています。
以下に紹介する砂糖の機能のうち1から6については、この「水に溶けやすい性質(親水性)」によるものです。
1 メレンゲの泡立ちを
よくする
メレンゲ作り
砂糖あり/なしで実験!
砂糖なしで泡立てた場合
砂糖ありで泡立てた場合
卵白に砂糖を加えて泡立てると、砂糖が卵白の水分を吸収して泡が安定し、気泡がこわれにくくなり、滑らかなメレンゲになります。
また、そうすることで、焼いた時にもしっとりとした味わいを楽しめます。
2 肉や卵などを柔らかく
肉や卵などに含まれるたんぱく質は、熱によって固まりやすいという性質を持っています。砂糖が肉や卵などの組織の間に入り込み水分を引き付け、卵のタンパク質の凝固を遅らせたり、肉のたんぱく質の一種であるコラーゲンと水が結びつくのを助けることで、食品を柔らかくする働きがあります。
プリン作り
砂糖あり/なしで実験!
砂糖なしで作った場合
砂糖ありで作った場合
プリン作りで使用する卵の水分を砂糖が抱え込むことにより水分が保持され、やわらかでなめらかな仕上がりになります。
3 ジャムなどに
とろみをつける
果物に砂糖を加えて加熱すると、果物に含まれるペクチンが溶け出し、砂糖がその水分を吸収することで、ゼリー状に変化します。
ジャムやマーマレードなどにはとろみがありますが、ゼラチンなどを加えているわけではありません。果物などに含まれる「ペクチン」と「糖」と「酸」の条件が揃い、加熱することによりとろみが生まれるのです。
4 酢飯や餅菓子が
固くならない
酢飯や餅菓子が時間が経って冷えても固くなりにくいのは、米や餅米の主成分であるでんぷんに含まれる水分を砂糖が引きつけることで、粘り気のある状態を保つことができるからです。
ご飯や餅などを放置しておくと、でんぷんが老化することにより硬くなりますが、酢飯や大福、求肥などの餅菓⼦は、砂糖を使用していることで、でんぷんの老化を防ぎ、柔らかい状態を保つことができるのです。
5 食品を腐りにくくする
(防腐性)
カビや細菌が活性化するためには水分が必要ですが、多くの砂糖を加えると食品中の水分を砂糖が抱え込むため、腐りにくくなるのです。
ジャムや羊羹など、多くの砂糖が含まれる食品はカビが繁殖しにくく、腐りにくいという特徴があります。
6 油の劣化を防ぐ
(酸化防止)
油を使った食品は、時間が経つと味が悪くなったり、いやな匂いがしたりすることがあります。これは油が空気中の酸素と結びついて酸化することによるもの。しかし、砂糖を加えると油の中の水分が砂糖と結びついて酸化しにくくなります。
クッキーやケーキを作る際にバターと一緒に砂糖を加えることで、バターの中の水分が砂糖と結びつき、空気中の酸素が入り込む隙間を少なくします。それによってバターの油分の劣化を防ぎ、味わいや香りを守っているのです。
7 加熱した時に
色をつける
糖とたんぱく質(アミノ酸)を一緒に加熱することによって、食欲をそそる焼色がつきます(メイラード反応)。
ホットケーキ作り
砂糖あり/なしで実験!
砂糖なしで作った場合
砂糖ありで作った場合
パンやホットケーキ、クッキー、カステラを焼くと、表面においしそうな焼き色がつきます。
今回教えてくれたのは・・・
精糖工業会
日本の精糖業の発展のため、砂糖および精糖業の社会経済的、技術的調査研究を行っている。
(有)スタジオ食代表/管理栄養士・料理研究家
牧野直子 さん
各メディアにおいてダイエットや生活習慣病予防の栄養指導、レシピ提案のほか食育活動を行っている。女子栄養大学生涯学習講師、日本食育学会評議員、日本肥満学会員。
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編集後記
食事づくりやお菓子づくりに大活躍の砂糖ですが、甘みづけだけではなく、隠れた機能が色々あって、お料理を美味しくしてくれているのですね!プリンが大好きなのですが、砂糖の分量の微妙な調整によって、やわらかく、ふんわりした口溶けのプリンや、しっかりとした弾力のかためのプリン、その間の自分だけのお気に入りのかたさのプリンを追求して作ってみたいなと思いました。(広報室KM)
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