このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー
  • aff12 DECEMBER 2021
  • 12月号トップへ戻る

再生可能エネルギーで目指す 持続可能な農業 ~営農型太陽光発電編~

営農型太陽光発電イメージ

温室効果ガス削減目標として2050年にカーボンニュートラルを実現することが世界的に取り上げられている中、日本でもさまざまな企業が再生可能エネルギーの導入による省エネルギー実現に向けた取り組みを行っています。今回は、営農型太陽光発電を活用して、農作業の効率化や災害に強い地域づくりを目指す企業の取り組みに迫ります。

持続可能な農業を目指して
営農型太陽光発電を導入

千葉大学発のベンチャー企業であり、営農型太陽光発電に向けた様々な取り組みを行なっている「千葉エコ・エネルギー(株)」では、日本の農業に直接投入されるエネルギー資源の94.1パーセントは化石燃料であると試算しています。世界的な脱化石燃料の流れの中で、農業においてもエネルギーシフトは急務ととらえ、「農業を化石燃料から解放する」ことを目指した活動をしています。今回は同社の代表取締役社長・馬上丈司さんに、現在の取り組み内容や課題、今後目指すべき姿について伺いました。

Q1

御社で行なっている
営農型太陽光発電の
特徴について
教えてください。

A1

一般的に営農型太陽光発電は、農業と発電事業を同時に行うことを指します。弊社で行う営農型太陽光発電の特徴は、自社で発電した電力を電動農機具や施設の電力に活用したり、災害時には発電した電力を地域の方々に供給できるような体制づくりを行ったりするなど、発電した電力を農業や地域の中で最大限活用するために利用していることがあげられます。

充電バッテリー式の遠隔操縦型作業機。

Q2

再生可能エネルギーに
関する事業を立ち上げた
きっかけを教えてください。

A2

大学でエネルギー政策を学んでいたのですが、大学院の博士課程を修了予定の年に東日本大震災が起きました。そのときに起きた原発事故が、再生可能エネルギーの事業に取り組むきっかけになりました。あの事故が起きる前は2030年には日本の電気の50パーセントが原発で担われるという計画でしたが、事故をきっかけに各地域が細々とやってきた再生可能エネルギーの市場が、大きく動き出したという印象です。
また、国内で化石燃料が確保できないのに、日本がエネルギー資源を化石燃料に頼り切っていることにリスクを感じていたのも確かです。国外に頼りきっている分、石油や天然ガスの取引価格が高騰したときには消費者の生活にダイレクトに響きますよね。日本で完結するエネルギーをと考えると、やはり今後は再生可能エネルギーが重要だと思ったんです。

千葉大学の講師を務めながら事業を立ちあげた、馬上社長。

Q3

再生可能エネルギーと、
農業という組み合わせに
目をつけたのはなぜですか?

A3

水力発電、バイオマス発電などもそうですが、再生可能エネルギーは、自然資源が豊富なところで生み出されます。そのため都会ではなく、そのエネルギー資源があるところで事業をした方が良いな、と。最初はエネルギーのことしか考えていませんでしたが、とあるいちご生産者の方と出会ったときに、重油を炊いてハウス栽培をしているのをみて、とてもおいしい農産物を生産しているのに、これで良いのか?と感じてしまったんです。莫大な量の化石燃料を使っている農業に触れたことがきっかけで、農地で太陽光発電を行い、再生可能エネルギーを生産し、それを農業に活用できるならばベストなのでは?と考えています。

収穫された農作物は、千葉県内のスーパーや飲食店に。

耕作面積が約1ヘクタールの千葉市の大木戸アグリ・エナジー1号機。

太陽光パネルの影の下で、本当に作物が育つのか?十分な収入は得られるのか?ということを疑問に思い、それならばまず自分たちでやってみようということで、コンサルタントとしてではなく、自分たちで農業経営を行うことにしました。設計のコンセプトを考え始めたのは、2015年の夏でしたが、2018年3月に現在の形が地元である千葉市で実現しました。

パネルの下でも農業機械を使用した作業ができる。

千葉エコ・エネルギー(株)の農場では、20代のスタッフが多く活躍している。

Q4

栽培する品目については、
どのような工夫を
していますか?

A4

今年の8月から9月にはレタス、キャベツ、ナスが収穫の時期を迎えましたし、10月から11月はサツマイモや里芋、ショウガの収穫もしています。また、今はミニ白菜や、地元の伝統野菜の「土気からし菜」も育ちはじめていますので、年明けには収穫時期を迎える予定です。年間を通して旬の野菜が収穫できるように工夫をしています。

秋には生姜の収穫期も迎えた。

10月中旬には、都内の企業関係者などを招いて、芋掘りイベントも実施。

Q5

現在力を入れている
取り組みについて
教えて下さい。

A5

営農型太陽光発電を活用することで、災害時に農村地域で電力の供給や移動手段を確保できるようにするための取り組みをはじめています。これは、令和元年房総半島台風により、千葉県各地で大きな被害を受け、私たちの地域でも8日間の停電に見舞われた経験がきっかけとなっています。当時保有していた発電設備は売電専用であったため、非常時に電気を取り出せない設計となっており、地域住民の力になれないことをもどかしく感じました。このため、エネルギーの自家消費や地域の中での消費ができるような発電設備を導入し、電気自動車などに使用しています。例えば今は、農場で発電されたエネルギーを社用の超小型EV(電気自動車)や、PHEV(プラグインハイブリッド:電気自動車とハイブリッド車の両方の機能を持つ次世代型自動車)に使っていますが、災害時にはこの自動車にポータブル蓄電池を積んで地域を回り、住民の方々の役に立てたら良いですね。

蓄電池から社用のPHEVや超小型EV車に充電。

6時間程度の自家消費電源からの充電で走る超小型EV車。

Q6

今後力を入れていきたい
ことについて教えて下さい。

A6

現在も自家発電のエネルギーは電動農機具への充電に充てていますが、今後はよりスマート農業を意識した活動もできればと思っています。今は日射計を使って日射量を測っていますが、ゆくゆくは光のほかに、風や土に含まれる水分や作物の生育状態などのデータを集めて分析し、その情報を農家の方が使うタブレットなどに流して、このエリアでは今この作業をすべき、とAIが教えてくれるものなどを導入していけたらいいですね。
農業って、どうしても若い人たちがとっつきにくいイメージがあると思うのですが、農作業をするときに荷物をもって後ろをついてくるロボットや、遠隔操作ができる草刈り機などの技術に、見たり触れたりする機会を増やすことで、「農業ってかっこいい」と思われるところまでもっていければな、と。営農型太陽光発電がきっかけで農業に興味をもつ人たちが増えたらいいなと思っています。

日射計を利用して、作物の成長も管理できる。

売電用の設備。パネルごとに作られたエネルギーを表示している。

今回教えてくれたのは・・・

千葉エコ・エネルギー(株)
代表取締役社長

馬上 丈司 さん

千葉エコ・エネルギー(株)

https://www.chiba-eco.co.jp/

農山漁村発 再生可能エネルギー

編集後記

今週は、営農型太陽光発電に向けた様々な取り組みを行っている「千葉エコ・エネルギー(株)」の馬上社長にお話を伺いました。同社の試算では、日本の農業に直接投入されるエネルギー資源の約94パーセントが化石燃料とのことで、この数字の大きさに驚きました。今、カーボンニュートラルの実現に向けてさまざまな分野で取り組みが行われていると思いますが、農業分野でも今回ご紹介したような取り組みがどんどん広がっていってほしいと感じます。(広報室SD)

記事の感想をぜひお聞かせください!

バックナンバーを読む
12月号トップへ戻る

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader