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農林水産省

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  • aff04 APRIL 2022
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お茶づくりの1年 茶畑から美味しいお茶が届くまで

写真:茶畑での集合写真

画像提供:世界農業遺産「静岡の茶草場農法」推進協議会

新緑の季節、茶畑では一番茶の摘み取りがはじまり最盛期を迎えます。新茶の摘み取りまでには、土づくりや茶樹の管理、霜などの被害への対応といった、さまざまな作業が行われてきました。爽やかな味と香りで和やかな気持ちにさせてくれる日本茶は、どのように育てられ、収穫された茶葉はどのような工程を経て製茶となり、私たちのもとに届くのでしょうか?その道のりをご紹介します。

日本有数の茶どころ、
静岡・掛川の茶園へ

写真:茶葉イメージ

静岡県掛川市で茶の生産から製茶、販売までを一貫して行う「かねじょうグループ」の松本正次郎さんに、同社の茶畑の1年間の様子や、摘み採り後の茶葉が製茶となるまでの工程などについて教えて頂きました。

今回教えてくれたのは・・・

プロフィール画像

佐々木製茶(株) 直販部

松本 正次郎 さん

同グループの生産部門である掛川中央茶業(株)が建築し販社の佐々木製茶が運営する、茶畑に囲まれた日本茶カフェ「茶の庭」を担当。「地元でもお茶摘みをしたことがない方が多い。リアルな体験もできるカフェを運営していきたい」と、お茶摘み体験など様々なイベントを企画中。
好きなお茶の飲み方は水出し緑茶。夜寝る前にポットに水とティーバッグを入れて冷蔵庫で一晩じっくり抽出。優しい甘さの冷茶は、ゴクゴク飲みたくなる美味しさ。

茶畑に浮かぶ日本茶カフェ「茶の庭」。

茶畑の1年間とは?

画像:茶畑の写真

同社の茶畑では茶摘みの時期は年間4回ほどあります。地域によって、また品種によって、茶摘みの回数や時期は少しずつ異なりますが、その年の最初に生育した新芽を摘みとりつくられたお茶は、一番茶や新茶と呼ばれています。最盛期の一番茶の季節から、二番茶、三番茶の季節を経て、休眠期の冬まで、季節によって表情を変える茶畑の1年をご紹介します。

【 一番茶の季節 】

4月中下旬頃の茶畑の様子。

一番茶を摘む4月中下旬ごろから5月上旬ごろは茶畑の最盛期です。文部省唱歌「茶摘」で歌われる「夏も近づく八十八夜」もこの頃で、立春から数えてちょうど八十八日目(2022年は5月2日)になります。芽が柔らかくて香りや栄養分が詰まっている一番茶(新茶)は、新芽を確認しながら丁寧に摘んだ生葉からつくられます。新芽の季節は短く、美味しいうちに摘みきるために、生産者は日の出と共に畑作業を始めます。

茶摘みの様子。

手摘みは、先端の芽と小さな2枚の葉のみを摘む「一芯二葉摘み」が代表的な摘み方。新芽の美味しいところだけを収穫できます。収穫は新芽の成長と時間との戦いでもあるため、摘採機も活用しながら茶摘みが行われます。 シーズンの始めに手摘みで収穫される「大走り」が特に希少価値が高く、縁起物とされています。

写真:収穫されてカゴに入った茶葉

【 二番茶の季節 】

6月中旬頃の茶畑の様子。

6月中旬から7月上旬にかけて、一番茶を摘んだ部分から伸長してきた新たな次の芽を収穫してつくるお茶を二番茶といいます。気温が高くなるため、新芽の生育速度が上がってきます。

乗用型摘採機による摘採の様子。

【 三番茶の季節 】

7月下旬頃の茶畑の様子。

7月下旬から8月上旬にかけては三番茶の季節です。夏の強い紫外線を浴びて育つためカテキンを多く含み、苦みや渋みが強い葉が採れますが、茶の樹を暑さから守るため、三番茶の摘採は生育状態の良い茶園のみに留めることが大切です。二番茶や三番茶は、ほうじ茶の原料として用いられる他、ペットボトル飲料や粉末茶の原料としても使われます。

【 休眠期 】

1月頃の茶畑の様子。

冬はお茶の樹を休ませ、2月頃から肥料を入れて土作りを行います。
静岡の伝統的な「茶草場(ちゃぐさば)農法」(2013年世界農業遺産として認定)を行っている茶園では、秋に茶園の周辺にある草地「茶草場」のススキやササを刈り取って干して乾かし、細かく刻んで、晩秋から冬に茶畑の畝間に敷き込みます。ススキは10年から20年ほどかけて土に還りますが、その土は触るとふんわりとやわらかです。そうした土で茶樹の根元を覆うことで、樹勢が良く、おいしいお茶になるといわれています。

刈られた草が束ねられ、干されている風景。
画像提供(左、右):世界農業遺産「静岡の茶草場農法」推進協議会

写真上の点線で囲われた部分が「茶草場」。静岡県に特徴的に見られる風景。
画像提供(上、下):世界農業遺産「静岡の茶草場農法」推進協議会

茶樹の手入れや土作り

画像:男性が土を手ですくって見せている写真

年間を通して、生育状況を見極めながら茶樹の枝を整えたり、深く刈り落したりして樹勢を回復させます。また、魚粕などの有機質肥料やミネラルが豊富な掛川の土をバランス良く配合し、茶園の土を整えることで、病害虫に負けない健やかな樹に育てます。 苗を植えた5年後から茶の収穫ができますが、数年に一度は樹をリフレッシュさせるために根元から剪定。小まめに手を掛けることにより、20年から30年もの長い年月にわたってみずみずしい茶葉を収穫できるようになります。

ミニコラム

風味を長持ちさせる
茶葉の保存方法とは?

画像:

茶葉の風味を長持ちさせるためには、光と空気を通さないアルミ袋に入れて保存するのがよいでしょう。アルミ袋とは、茶葉を購入した際にお茶が入っている銀色の袋のこと。すぐに使わない茶葉はアルミ袋にいれて口を密閉し、冷暗所で保管をすると風味が保たれます。なお、アルミ袋とよく似た「アルミ蒸着袋」は光を透過するため茶葉の保存には向きません。袋を購入する際は注意しましょう。また、開封前の茶葉は冷凍庫で保管することもおすすめ。使う時は、結露でのお茶の変質を防ぐため、しばらく室温下に置き、室温と同じくらいになったら茶葉を取り出して使いましょう。

掛川「深蒸し茶」の
製造工程

画像:お茶

茶園で摘まれた茶葉を、蒸して揉んだ後、乾燥させたものを「荒茶」と呼びます。荒茶の段階では、まだ形や大きさも不揃いで、茎なども混じっているため、その後、形や大きさを均一に整える仕上げ工程によって「仕上げ茶」を作ります。ここでは、荒茶、仕上げ茶それぞれの加工の工程を紹介します。

【 荒茶の製造工程(一次加工)】

1

蒸しと冷却

生葉を蒸気で蒸す様子。

生葉を蒸気で蒸し、生葉中の酸化酵素の活性を止めます。蒸し上げる工程はお茶の品質や味わいを左右する重要なポイント。一般的な煎茶は約30秒から60秒、深蒸し茶は120秒前後蒸した後、風をあてて葉の表面の水分を取り除きながら冷却します。

イラスト2

2

揉みと乾燥

左から粗揉機械/揉捻機械/精揉機械。

まず、乾燥した熱風を送りこみながら、適度に摩擦・圧迫しながら揉みます(粗揉)。次に水分の均一化を図るため、茶葉を一塊にし、加熱せず圧力を加えて揉みます(揉捻)。再び熱風を送りながら揉みこみ(中揉)、その後、お茶の形を作るために、手揉みと同じように一定方向にだけ力を加え揉みこみます(精揉)。最後に茶葉の水分含有量を約5パーセント程度に下げるため、熱風乾燥をしたら荒茶の完成です。深蒸し茶では葉が細かくなるため、随時専任の茶師が葉の形状をチェックして仕上がりを調整します。旨みを閉じ込め、お湯を注いだ際にベストな状態になるように見極めるのが職人の熟練の技です。

イラスト3

乾燥機で温風を利用し、水分が約5パーセント程度になるよう茶葉を乾燥させます。この工程により茶葉は長期の貯蔵に耐えるようになり、さらにお茶特有の香味が生まれます。

【 仕上茶の製造工程(二次加工)】

3

選別と火入れ(乾燥)

画像:選別
画像:火入れ(乾燥)

荒茶は形が大小様々な状態で混じりあっているため、ふるい分け選別し、切断して形を整えます。次に、味の決め手となる焙煎を行います。焙煎の時間や職人の腕によって様々な風味が生まれます。

イラスト4

4

ブレンドと仕上げ

仕上茶の最終ブレンドタンク。

仕上茶の品質を茶師が確認(官能検査)。

お茶の成分の分析。

形を整え、火入れを終えた後、味を均一にするためタンクでブレンドしたら製品の完成です。出来上がった製品は品質管理責任者が官能検査を行い品質の確認をします。また、研究室で茶の成分分析・微生物検査・放射能検査などを徹底し、検査に合格した製品だけをお届けします。

イラスト4

品種や栽培方法、焙煎方法などによるお茶の味わいの違いを楽しむことができる「茶の庭シリーズ」。

掛川産のキウイフルーツがたっぷり入ったジュレの中に、湯呑の中の茶柱を抹茶チョコで再現して抹茶プリンの上に重ねた「茶柱プリン」(左)と掛川抹茶をふんだんに使用した濃厚な「抹茶ラテ」(右)。

美味しさを追求!
独自の茶園名札管理システム

画像:佐々木製茶の茶業研究部員

佐々木製茶で使用する茶葉は、グループの生産部門である掛川中央茶業の農家約45戸が生産したもの。全ての茶園に生産者の名前や茶園の面積、品種を記載した名札を掲示することで、茶葉の品質向上と維持を目指した「茶園名札システム」を導入しています。さらに、茶業研究部員が定期的に各茶園を巡回して、生産状況や病害虫の発生状況を検査・改善指導することで、活き活きとした茶葉が生産されています。

取材協力

佐々木製茶(株)・
掛川中央茶業(株)

かねじょうグループのお茶栽培や一次加工を担当する「掛川中央茶業(株)」と、二次加工や販売を担当する「佐々木製茶(株)」。茶園・茶もみ工場、そして仕上げ加工と問屋業をグループで一貫して行う。2020年「掛川中央茶業(株)研究部会」が第59回農林水産祭において天皇杯受賞のほか、農林水産大臣賞、ITQI(国際味覚審査機構)優秀味覚賞など、国内外において多数受賞している。掛川中央茶業ではASIAGAP認証を取得。佐々木製茶ではFSSC22000認証を取得している。

画像提供:表記のあるもの以外全て佐々木製茶(株)・掛川中央茶業(株)

カフェで楽しむ“日本茶”

画像:スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京

最近ではカフェでも日本茶を使ったメニューを楽しむことができます。今回はスターバックス コーヒー ジャパンが展開するコーヒーショップ「スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京」(東京都目黒区)で提供されている、同社のブランド「TEAVANA™」の中から、日本茶を使用したメニューを2点紹介します。

石臼抹茶 ティー ラテ

画像:石臼で挽いた抹茶
画像:石臼で挽いた抹茶

店内の石臼で挽いた抹茶を使用した「石臼抹茶 ティー ラテ」。手摘みの宇治抹茶と、和三盆を使用しています。ミルクと合わせたふんわりとした口当たりと、優しい甘さが楽しめます。

ほうじ茶 黒煎り七味
チョコレート

画像:「ほうじ茶黒煎り七味チョコレート」

加賀棒ほうじ茶をホットチョコレートに仕立てて、ホイップクリームと黒煎り七味をトッピングした「ほうじ茶黒煎り七味チョコレート」。加賀棒ほうじ茶は一番茶の茎の部分のみを浅めに煎って、緑茶の旨みを残した上品な味わいです。ごまの香ばしさや唐辛子の爽快な香りも楽しむことができます。

スターバックス リザーブ®
ロースタリー 東京

取材協力:スターバックス コーヒー
ジャパン(株)

ミニコラム監修

プロフィール画像

農学博士

武田 善行 先生

東京教育大学大学院修士課程(現筑波大学)修了後、現(国研)農業・食品産業技術総合研究機構にて長らく茶の育種研究に従事し、「さえみどり」「めいりょく」「べにふうき」などの20品種以上の茶の育成に携わる。日本茶業学会会長・日本茶鑑定士協会会長を歴任し、現在も緑茶・紅茶を問わずお茶のおいしさ楽しさを伝える活動をおこなっている。著書には「茶のサイエンス―育種から栽培・加工・喫茶まで」(筑波書房)など。

日本茶を愉しむ

編集後記

最近”急須”が気になっています。きっかけは先週のaffの特集に掲載している、スウェーデン出身の日本茶インストラクター、ブレケル・オスカルさんの2つの急須の写真で、これがとっても素敵なんです!1つは愛知県の常滑焼の急須、もう一つは鮮やかなブルーの急須で、繊細な模様が特徴的。この急須を見てから、私も工房などを回って、お気に入りの急須を見つけてみたくなりました。
さて、いよいよ1年に1度の新茶の季節がやってきますね。みなさんも、ぜひ美味しいお茶をお楽しみください!(広報室KM)

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お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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