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農林水産省

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  • aff04 APRIL 2022
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お気に入りを見つけよう!味わいや香りもさまざまなお茶の種類

写真:お茶を急須で入れている様子

緑茶に紅茶、烏龍茶、私たちのまわりにあるこれらのお茶は、基本的に同じ種類の茶樹の葉から作られています。では違いはどこにあるのでしょうか?1つは酸化酵素による発酵の有無と度合です。発酵させずに作るのは緑茶、途中で発酵を止めて作るのは烏龍茶、十分に発酵させて作るのは紅茶です。その他にも、茶樹の栽培方法や、茶葉の加工方法によって、多種多様なお茶が作られています。今回は、味や香りもさまざまなお茶を紹介します。皆さんのお気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。

味わいや香りの違いを
楽しむ日本茶いろいろ

緑茶の美しい緑色と、紅茶や烏龍茶の赤褐色。不発酵茶である緑茶は、製造の最初の段階で加熱することにより、茶葉の酵素の働きが失われ(失活)、茶葉の緑色が保たれています。そして、発酵茶である紅茶は、製造の最終段階まで加熱しないことで、茶葉の酵素を活かし、美しい赤褐色になります。それぞれのお茶の味わい、香り、色を楽しんでみてはいかがでしょうか。

1. 不発酵茶

「煎茶」

主な産地:静岡県、鹿児島県、宮崎県

画像:「煎茶」

日本で生産量が最も多い煎茶。生葉を蒸して、熱を加えながら回転ドラム内で揉み(粗揉)、熱を加えず円運動をする揉捻機で揉み込むことで茶葉内の水分をもみ出し(揉捻)、熱を加えてさらに水分を飛ばし(中揉)、茶葉の形を針状に伸ばしながら乾燥させる(精揉)という製法で作られています。程よい渋みと、青々しい爽やかな香りや色が特徴です。生葉の蒸し時間を煎茶の2倍以上長くしたものは深蒸し煎茶と呼ばれ、濃い緑色と濃厚な甘みが特徴です。

「玉露」

主な産地:京都府、三重県、福岡県

画像:「煎茶」

一番茶の新芽が伸び始める頃に、茶樹を寒冷紗やよしずなどの被覆資材で20日間ほど覆い、日光を遮って育てた茶葉を原料にした玉露。一番茶のみを使って作られるのが特徴です。光を制限して新芽を育てることで、渋みや苦味の成分が作られにくくなり、根で生成されるテアニン(アミノ酸)が葉に移り、うま味が立った味になります。50度から60度のお湯で淹れることで、そのうま味を十分に引き出すことができます。

「かぶせ茶」

主な産地:三重県、奈良県、福岡県

画像:「かぶせ茶」

摘採の約1週間前から寒冷紗などで茶樹を覆い、日光を遮って育てた茶葉を原料にしたかぶせ茶。遮光期間が7日程度と玉露と比べて短いのが特徴です。お茶を淹れるときのお湯の温度によって味の違いを楽しむことができ、玉露と同様にぬるめのお湯で入れると甘みを感じやすく、熱めのお湯で入れると煎茶のようなキレのある味になります。

「碾茶(てんちゃ)」

主な産地:鹿児島県、京都府、静岡県

画像:「碾茶(てんちゃ)」

玉露のように茶樹を遮光して育てた新芽を摘採し、蒸して揉まずに乾燥し、さらに茎や葉脈を取り除いて製造されたものが碾茶。渋みが少なく、青海苔のような「覆い香」と、強いうま味が特徴。近年、その需要が増大し、茶園面積の大きい鹿児島県、静岡県での生産が急増しています。

画像:

この碾茶を石臼などで挽いたものが抹茶です。

「番茶」

主な産地:静岡県、鹿児島県、三重県

画像:「番茶」

新芽が伸びて硬くなった茶葉や茎などを原料とした番茶。製法は煎茶と同じです。茶期(一番茶、二番茶、三番茶など)の間に茶樹の摘採面を整えるために刈り取られた茶葉などでも作られます。また、この番茶や煎茶などを焙じて製造したものがほうじ茶です。独特の香ばしさがあり、渋み、苦みはほとんどなく口当たりが良いのが特徴です。

「蒸し製玉緑茶」

主な産地:佐賀県、長崎県、熊本県

画像:「蒸し製玉緑茶」

途中までは煎茶と同じ製造工程ですが、中揉後の精揉工程の代わりに再乾機(回転乾燥機)を用いてやや丸い形に仕上げた蒸し製玉緑茶。再乾の工程で焙煎がよく効き、火香を感じられて口当たりもよいことから、もともと輸出用として多く作られていました。ぐり茶やヨンコン茶とも呼ばれています。

「釜炒り茶(釜炒り製玉緑茶)」

主な産地:佐賀県、宮崎県、大分県

画像:「釜炒り茶(釜炒り製玉緑茶)」

蒸さずに300度から400度くらいの釜で炒って作ることが特徴。蒸し製玉緑茶同様に精揉工程がなく、その代わりに炒って、やや勾玉状に成形して仕上げます。主に九州で作られており、一番茶も二番茶も使われますが、どちらも爽快で香ばしく、口当たりが良いのが特徴です。一度に沢山の生葉を均一に炒ることができず、多くても一度に100キログラムほどしか処理できないため、他のお茶と比べ生産効率が良くありません。

2. 発酵茶

「紅茶」

画像:「和紅茶」

日本産の茶葉を使って国内で作られる国産紅茶。その中には小規模で生産されるものや、生産者が店頭やイベントなどで直接販売するもの、地域独自の特色があるものなどがあり、和紅茶、地紅茶とも呼ばれています。緑茶の一番茶を摘み終わったあとに収穫できる茶葉を使って製造されることも多く、最近では紅茶用に品種改良した茶樹が栽培されることもあります。

3. 半発酵茶

「烏龍茶」

画像:「烏龍茶」

半発酵茶(烏龍茶)は青茶とも呼ばれ、緑茶に近い軽発酵(約15パーセントの発酵)からきわめて紅茶に近い発酵(約70パーセントの発酵)まで様々です。更に、焙煎 (重火・中火・軽火)の要素も加わるので、多種多様の味や香りが楽しめるのが特徴です。日本の半発酵茶は華やかな香りが特徴で、「かなやみどり」や「香駿(こうしゅん)」などが、烏龍茶に向く品種と言われています。

今回教えてくれたのは・・・

プロフィール画像

農学博士

武田 善行 先生

東京教育大学大学院修士課程(現筑波大学)修了後、現(国研)農業・食品産業技術総合研究機構にて長年、茶の育種研究に従事し、「さえみどり」「めいりょく」「べにふうき」などの20品種以上の茶の育成に携わる。日本茶業学会会長・日本茶鑑定士協会会長を歴任し、現在も緑茶・紅茶を問わずお茶の美味しさや楽しさを伝える活動をおこなっている。著書には「茶のサイエンス―育種から栽培・加工・喫茶まで」(筑波書房)など。

微生物の力で茶葉を発酵!
珍しい日本茶「後発酵茶」

不発酵茶(緑茶)、半発酵茶(烏龍茶)、発酵茶(紅茶)、これらのいずれとも違う方法でつくられるお茶があります。それが「後発酵茶」です。今回は東京農業大学の内野昌孝教授に、日本で作られている「後発酵茶」について教えていただきました。

今回教えてくれたのは・・・

プロフィール画像

東京農業大学 生命科学部
分子微生物学科

内野 昌孝 教授

博士(農芸化学)。専門は応用微生物学と食品化学。微生物分類学で博士号取得後、食品化学関係の研究室で約20年間食品と微生物に関係する研究、地域の伝統的発酵食品に関する研究などに取り組む。現在は研究テーマの一つとして後発酵茶の製造工程における微生物の役割を調査している。

Q1

「後発酵茶」とは、
どの様なお茶ですか?

発酵茶(紅茶)や半発酵茶(烏龍茶など)は、茶葉自体に含まれる酸化酵素によって発酵させてつくるお茶ですが、「後発酵茶」は茶葉が持つ酵素の働きを熱によって止め、微生物の力で茶葉を発酵させてつくるお茶です。世界的に有名な後発酵茶として、中国のプーアル茶があります。日本にも代表的な4種類の後発酵茶があり、3種類は四国地方で、もう1種類は富山県で生産されています。摘んだ茶葉をすぐに加熱して自然発酵(植物内在酵素)を抑制し、その後、お茶ごとに真菌(カビ)や酵母、乳酸菌などにより発酵させて作られていて、独特の香りと酸味が特徴のお茶です。

イラスト1
Q2

高知県で作られている
「碁石茶(ごいしちゃ)」に
ついて
教えてください。

高知県長岡郡大豊町で作られている碁石茶は、二段階発酵が特徴的なお茶です。
初夏に枝ごと刈り取った肉厚な茶葉を、蒸し桶に詰めて大釜で1時間ほど蒸し煮し、室内(むろ)に敷いたむしろで一週間程度寝かせて発酵(カビ付け)させます。これが一次発酵です。次にこの葉を、大釜で蒸し煮した時に出た蒸し汁を加えて桶に漬け込み、上から重しをして一週間程度漬け込み二次発酵させます。漬け込みを終えたら、桶から茶葉を取り出し、これを約4センチメートル四方の大きさに四角く裁断し、ござの上で天日干しさせます。天日干しすると茶葉が乾燥して、碁石のように黒くなり、この様子が碁盤に碁石を並べたように見えるため碁石茶と名付けられたと言われています。もともとは茶粥の調味材料として利用されていました。

イラスト1

碁石茶は、カビによる一次発酵と乳酸菌を主体とした二次発酵により作られる。

ござの上で天日干しをするのが特徴。
(写真提供/大豊町碁石茶協同組合)

Q3

徳島県で作られている「阿波晩茶
(番茶)」
について教えてください。

阿波晩茶(番茶)は、徳島県勝浦郡上勝町、那賀郡那賀町、海部郡美波町などで作られる一段階発酵のお茶です。
7月頃に茶の青葉を枝からすべてしごき採り、その後、竈(かまど)に火を焚き、大釜で一定時間茶葉を煮ます。茹でで柔らかくなった茶葉に、揉捻(じゅうねん)を行い、葉の表面に傷をつけます。これは主に次の漬け込みの工程で効果を増すために行われます。次にその茶葉と先ほど茶葉を煮た時に釜に残った煮汁を桶に入れて2週間から1ヶ月程度漬け込みます。夏季の気温が高い時期に桶で密封して漬け込むことで茶葉の発酵を促します。発酵後は天日乾燥などで茶干しを行います。緑茶に比べて苦味が少ないので、生産地では夏場に水出しして日常的に飲まれています。一番茶葉を十分育て、遅くに摘むことから「晩」茶と呼ばれています。

イラスト3

阿波晩茶(番茶)は、乳酸菌の発酵のみで作られる。

2週間の発酵期間の間に独特の発酵臭が生まれます。(写真提供/内野教授)

Q4

愛媛県で作られている
「石鎚黒茶(いしづちくろちゃ)」
について
教えてください。

かつて愛媛県西条市小松町石鎚地区で作られ、現在も市内で生産が続けられている石鎚黒茶は、碁石茶と同じように二段階発酵を特徴としたお茶です。
7月頃に枝ごと収穫された茶葉を、蒸し器に入る長さに切り揃えて洗浄し、枝ごと蒸し器で約1時間ほど蒸します。蒸しあがった茶葉を広げて枝などを取り除いた後、茶葉を桶に詰めて、その上に煮沸した布をかけて蓋をし、山間の冷涼な場所で1週間程度一次発酵させます。桶の中の茶葉に生える白カビが発酵に必要な菌となります。その後、一次発酵した茶葉を手でよく揉捻し、空気を抜きながら容器につめて2週間ほど二次発酵期間を設けます。十分発酵した茶葉を軽くもみほぐしてすだれなどの上に広げ、天日乾燥させます。出来上がったお茶は、渋みがほとんどなく、特有の酸味があります。カビによる酸化発酵もしているため、黒色のお茶になっています。

イラスト4

石鎚黒茶はカビによる一次発酵と乳酸菌による二次発酵で作られている。

二次発酵の前に、茶葉を手でよく揉捻する。
(写真提供/西条市産業振興課)

Q5

富山県で作られている
「バタバタ茶」は
どんなお茶なのでしょうか?

富山県下新川郡朝日町のバタバタ茶伝承館でつくられているバタバタ茶は、一段階発酵が特徴のお茶です。
7月下旬から8月上旬頃に茶葉を刈り取り、チョッパーで荒く刻んだ茶葉を蒸煮機で蒸し、残っている太い枝を取り除きます。その茶葉を板の囲いの中に積み重ね、約60度に保たれるように2、3日に1回切り返しを行いながら約40日間かけて発酵させた後、天日乾燥を経て出来上がります。発酵時に60度まで温度が上がることから、発酵に関わる微生物はカビや耐熱性細菌が主体となっています。
抹茶茶碗よりもひとまわり小ぶりな五郎八茶碗に煮出したお茶を淹れ、茶せんが2本繋がった専用の茶せんでお茶を泡立てるという特徴的な飲み方をします。 もともと製造の過程が中国のプーアル茶に似ているため、風味も類似したまろやかさが特徴ですが、この泡によってそれがさらに引き立てられています。

イラスト5

バタバタ茶はカビ由来の一次発酵で作られており、まろやかな風味が特徴的。

煮出したバタバタ茶を茶せんで泡立てて提供している。(写真提供/内野教授)

ミニコラム

自宅で手作りウーロン茶!

画像:烏龍茶

紅茶やウーロン茶も実は緑茶と同じ「チャノキ(学名:カメリアシネンシス)」の葉から作られています。紅茶は「完全発酵茶」、ウーロン茶は「半発酵茶」に区分けされ、製造時に生葉を発酵(酵素による酸化)させるプロセスが、「不発酵茶」の緑茶とは異なるポイント。
そのため茶の生葉があれば、紅茶もウーロン茶も自宅で簡単に作ることができます。例えばウーロン茶の場合は、生葉を日干しと室内干しして葉がしおれた状態になったら、ホットプレートで炒ってから手で揉みます。さらに低温ホットプレート(約95度)でゆっくり乾燥させれば完成。自宅でチャノキの栽培からチャレンジしてみてもよいかもしれません。

取材・監修/農学博士 武田善行 先生

日本茶を愉しむ

編集後記

食事の後、喉が渇いたとき、ほっと一息入れたいとき・・・。物心ついたときから今日まで、お茶を飲まなかった日はないような気がします。そのくらい、私の生活に欠かせない存在となっているお茶ですが、これまで、その種類や特徴について考えたことはありませんでした。製法によってこれだけ多様な種類があることに驚きです。微生物の力で茶葉を発酵させる「後発酵茶」の存在もはじめて知りました。こうしたことを知ることができて、これからやってくる新茶の季節が、さらに楽しみになりました。(広報室AY)

記事の感想をぜひお聞かせください!

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お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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