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農林水産省

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aff 2022 JUNE 7月号
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農林水産業者の朝

農林水産業者の朝

第2回 レタス農家の朝 第2回 レタス農家の朝

農園星ノ環
[群馬県利根郡]

赤城山の北西麓に広がる群馬県利根郡昭和村は、
高原野菜の一大産地。
「農園星ノ環」は、この地で主にレタスを
栽培している農業生産法人です。
春に種をまいたレタスが収穫最盛期を迎えた、
ある朝の農園の仕事風景をご紹介します。

PROFILE

標高約750メートルの高原に広がる広大な畑を中心に、村内の高低差を活かした畑でレタスやほうれん草、とうもろこしなどを栽培。施設栽培で群馬県のブランドいちご「やよいひめ」も栽培している。代表取締役社長の星野高章さんは3代目。先々代が原野だった昭和村に入植して開墾した畑を受け継ぎ、1000年後も持続可能な農業の実現を目指して奮闘中。社員、パート、外国人実習生と家族のように接し、多様な人材が活躍する職場環境づくりに取り組んでいる。

公式サイトはこちら
外部リンク

みずみずしい
朝採りレタスを届けるために

AM3:00 夜明け前に収穫開始 AM03時00分 夜明け前に収穫開始

「農園星ノ環」の朝は早い。レタスは暑さに弱いので、気温の低い午前3時から収穫作業がスタートします。この日の収穫隊は農場長、パート2名、インドネシア人実習生7名の計10名。夜明け前の暗闇の中で、置き型照明とヘッドライトの光を頼りに、次々レタスを刈り取っては、手際よくコンテナに詰めていきます。

レタスは切り口から出る白い液が空気に触れると、酸化して傷みや変色のもとになります。収穫してすぐに霧状の水を吹きかけ、切り口を洗浄します。

AM3:50 「早出し」の出荷 AM03時50分 「早出し」の出荷

この日の出荷ミッションは、コンテナとダンボールあわせて500ケース。まずコンテナ100ケース分のレタスをJAの集荷場に運びます。夜明け前の1回目の出荷を、農園では「早出し」と呼んでいます。これらは真空予冷されて鮮度を保ったまま、その日のうちに首都圏の店舗へ運ばれ、「朝採りレタス」として販売されるのです。

MORNING TIPS

レタスは鮮度が命

「レタスは鮮度を維持するために、気温が低い夜明け前から収穫します。水分をたっぷり含んだ新鮮な朝採りレタスを、一人でも多くの消費者に味わっていただきたいと、日々奮闘しています」

AM4:00 畑を移動し、収穫再開 AM04時00分 畑を移動し、収穫再開

車で数分の畑に移動し、収穫作業を再開します。夜が明けてきました。瑠璃色の空が次第に明るくなっていきます。レタスを刈り取るシャキシャキという音が、空気の澄んだ早朝の畑に響き渡ります。

昇ってきた朝陽に輝くレタス畑。神々しいほど美しい風景です。昭和村の土壌は、榛名山の噴火で降った灰が堆積した火山灰土。黒土の下に軽石の層があって水はけが良く、レタスの生育には好条件なのです。

収穫用包丁でレタスを切り離し、不要な外葉を取って、根元を切り直します。動きがスムーズなので、一見簡単な作業に見えますが、実はかなり難しい。きれいに速く切るためには、プロの技が必要です。切り方が汚いとレタスの商品価値が下がってしまうので、みなさん真剣そのものです。

レタスは軟らかい野菜なので、取扱いに注意しなければなりません。見ていると、赤ちゃんを扱うように優しく持っています。コンテナやダンボールへの詰め方も、美しさと速さが求められます。葉脈の向きを揃えて入れるのがポイントです。

夜が明けたあとも、何度かトラックに積み込んだレタスが出荷されていきます。こまめに集荷場へ運ぶのも、鮮度を保つための重要な仕事です。

朝露に濡れたレタスが何ともみずみずしい。力強い生命力を感じます。ゆっくり育った春まきレタスは、葉が肉厚なのが特徴です。

MORNING TIPS

朝採りレタスの
おいしい食べ方

「生で食べてシャキシャキ感を楽しむのはもちろん、レタスしゃぶしゃぶもおすすめです。熱したカツオ出汁にさっとくぐらせ、オリーブオイルをひと足ししたポン酢につけて食べてみてください。いくらでもお替わりできますよ」

AM7:30 収穫終了、マルチの片付け AM07時30分 収穫終了、マルチの片付け

日差しが強くなる前に収穫を終え、マルチをはぎます。マルチとは畑の畝を覆うビニールシートで、土壌の乾燥や雑草対策に有効です。はぎ終わったら、広げて乾燥させます。

AM8:00 朝休憩 AM08時00分 朝休憩

事務所に戻り、疲れた体を休めます。収穫体験の来客があったりすると、休憩時間にみんなで朝食をとることもあるそうです。そんなときは、収穫したばかりの新鮮なレタスをたっぷり使ったメニューが食卓にずらり。この日のメニューは、サラダとみそ汁とチャーハン。農園だから叶う贅沢な朝ごはんを楽しみます。

AM9:00 灌注や翌朝のダンボール作りなど AM09時00分 灌注や翌朝のダンボール作りなど

休憩したら、再び作業開始。従業員はそれぞれ違う作業に取りかかります。午前中にやるべきことの一つが灌注。気温が上がる前に、ビニールハウス内で育てている苗に、栄養を吸収しやすくする薬液を散布します。こうすることで、畑に定植後も健全な生育が期待できるそうです。それにしても、こんな小さな葉っぱが、あの丸くて大きなレタスに成長するのですね。

翌朝の収穫で使うコンテナをトラックに積み込んでいる人、ダンボール作りをしている人もいます。さらにJAの育苗センターに苗を取りに行く、マルチを敷く、種をまく、畑で定植するなど、お昼休憩までの作業は枚挙にいとまがありません。

レタスの収穫シーズンは、4月中旬から10月中旬。雨の日も風の日も、毎朝休みなく続けられます。気温が上がってくると、レタスの生育日数が短くなり、次々に収穫時期を迎えるため、特に夏場は追いかけられるような忙しさになるとか。夜明け前からの収穫は大変ですが、「新鮮なまま、いち早く消費者に届けたい」という想いが原動力になっているそうです。

COLUMN

外国人実習生を積極的に受け入れ
「自立型人材」の育成に力を注ぐ

代表取締役社長の星野高章さん

農業で社会的課題を解決するというテーマを掲げる「農園星ノ環」。以前から外国人実習生を積極的に受け入れていることでも知られています。星野社長は、実習生たちが帰国後に農業で地域のリーダーとなって雇用を生み、活躍してほしいと、起業ゼミを開いたり、事業計画の立て方を教えたりするなど、「自立型人材」の育成に力を注いでいます。

(PDF:13,678KB)

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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