プレスリリース
国産麦類のかび毒の含有実態調査(平成28年度~令和3年度)の結果について
農林水産省は、国産の小麦及び大麦に含まれるかび毒の含有実態調査(平成28年度~令和3年度)の結果を取りまとめました。
その結果、それぞれのかび毒の濃度の平均値や中央値、最大値はこれまでの調査結果の範囲内でした。
かび毒の濃度は年により異なるため、今後も引き続き、含有実態調査を継続するとともに、改訂した「麦類のデオキシニバレノール、ニバレノール汚染の予防及び低減のための指針」をもとに、かび毒による汚染の予防・低減対策の普及に継続して取り組みます。
1. 調査の目的
農林水産省は、国産麦類の赤かび病の発生を防止し、かび毒の濃度を低減するため、「麦類のデオキシニバレノール、ニバレノール汚染の予防及び低減のための指針」を公表し、都道府県と協力して生産者への普及に努めています。
併せて、国産の小麦及び大麦のかび毒の含有実態を把握するために、「食品の安全性に関する有害化学物質のサーベイランス・モニタリング中期計画」等に基づいて、国産の小麦及び大麦に含まれるかび毒を調査してきました。赤かび病の発生やかび毒の産生は生産年ごとの気象状況等に大きく影響を受けることが知られていることから、継続的に調査を行っています。
今般、平成28年度から令和3年度までに実施した調査結果をまとめました。
2. 調査結果の概要
平成28年度~令和3年度に生産された小麦玄穀(各年120点)及び大麦玄穀(各年100点)に含まれるかび毒の濃度を調査しました。調査点数は都道府県の収穫量に応じて配分し、麦類の乾燥調製施設等において、乾燥調製済みの出荷段階の麦を調査試料として採取しました。
その結果、それぞれのかび毒の濃度の平均値や中央値、最大値はこれまでの調査結果の範囲内でした。
以下にかび毒の一種であるデオキシニバレノール(DON)及びニバレノール(NIV)の調査結果を示します。
表1 小麦中のDONの調査結果
調査年度 | 調査点数 | 定量下限※1 (mg/kg) |
定量下限未満の点数 | DON濃度(mg/kg) | |||
中央値 | 平均値(LB)※2 | 平均値(UB)※3 | 最大値 | ||||
平成28年度 | 120 | 0.010 | 36 | 0.029 | 0.073 | 0.076 | 0.44 |
平成29年度 | 120 | 0.010 | 35 | 0.022 | 0.036 | 0.039 | 0.45 |
平成30年度 | 120 | 0.010 | 27 | 0.048 | 0.086 | 0.088 | 0.51 |
令和元年度 | 120 | 0.006 | 47 | 0.010 | 0.019 | 0.021 | 0.15 |
令和2年度 | 120 | 0.006 | 8 | 0.022 | 0.039 | 0.039 | 0.48 |
令和3年度 | 120 | 0.006 | 25 | 0.019 | 0.051 | 0.051 | 0.61 |
※1 分析対象とする化学物質について、適切な精確さをもって定量することが可能な(具体的な濃度が決められる)最低の濃度。
2 複数の試料の分析結果の算術平均のうち、定量下限未満の濃度をゼロとして算出したもの。
3 複数の試料の分析結果の算術平均のうち、定量下限未満の濃度を定量下限値として算出したもの。
表2 小麦中のNIVの調査結果
調査年度 | 調査点数 | 定量下限 (mg/kg) |
定量下限未満の点数 | NIV濃度(mg/kg) | |||
中央値 | 平均値(LB) | 平均値(UB) | 最大値 | ||||
平成28年度 | 120 | 0.010 | 49 | 0.018 | 0.032 | 0.036 | 0.37 |
平成29年度 | 120 | 0.010 | 53 | 0.012 | 0.019 | 0.023 | 0.24 |
平成30年度 | 120 | 0.010 | 45 | 0.022 | 0.047 | 0.051 | 0.38 |
令和元年度 | 120 | 0.006 | 63 | ‐ | 0.013 | 0.016 | 0.11 |
令和2年度 | 120 | 0.006 | 35 | 0.012 | 0.031 | 0.032 | 0.21 |
令和3年度 | 120 | 0.006 | 54 | 0.009 | 0.044 | 0.047 | 0.46 |
表3 大麦中のDONの調査結果
調査年度 | 調査点数 | 定量下限 (mg/kg) |
定量下限未満の点数 | DON濃度(mg/kg) | |||
中央値 | 平均値(LB) | 平均値(UB) | 最大値 | ||||
平成28年度 | 100 | 0.010 | 43 | 0.015 | 0.12 | 0.12 | 0.85 |
平成29年度 | 100 | 0.010 | 31 | 0.024 | 0.063 | 0.067 | 0.66 |
平成30年度 | 100 | 0.010 | 14 | 0.050 | 0.13 | 0.14 | 0.86 |
令和元年度 | 100 | 0.006 | 47 | 0.008 | 0.023 | 0.026 | 0.23 |
令和2年度 | 100 | 0.006 | 24 | 0.012 | 0.027 | 0.029 | 0.31 |
令和3年度 | 99 | 0.006 | 44 | 0.008 | 0.033 | 0.035 | 0.50 |
表4 大麦中のNIVの調査結果
調査年度 | 調査点数 | 定量下限 (mg/kg) |
定量下限未満の点数 | NIV濃度(mg/kg) | |||
中央値 | 平均値(LB) | 平均値(UB) | 最大値 | ||||
平成28年度 | 100 | 0.010 | 20 | 0.059 | 0.092 | 0.094 | 0.77 |
平成29年度 | 100 | 0.010 | 13 | 0.058 | 0.087 | 0.088 | 0.95 |
平成30年度 | 100 | 0.010 | 8 | 0.12 | 0.18 | 0.18 | 0.98 |
令和元年度 | 100 | 0.006 | 30 | 0.013 | 0.028 | 0.030 | 0.34 |
令和2年度 | 100 | 0.006 | 29 | 0.020 | 0.067 | 0.069 | 0.59 |
令和3年度 | 99 | 0.006 | 37 | 0.038 | 0.11 | 0.12 | 2.6 |
3.今後の対応
農林水産省は、国産の小麦及び大麦中のDON、NIV等のかび毒の含有濃度は年により大きく異なるため、含有実態調査を継続するとともに、必要に応じて汚染の予防・低減のための研究等を推進します。
併せて、このたび改訂した「麦類のデオキシニバレノール、ニバレノール汚染の予防及び低減のための指針」をもとに、かび毒による汚染の予防・低減対策の普及に継続して取り組みます。
関連情報
・食品のかび毒に関する情報
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/index.html
・穀類のかび毒含有実態調査の結果(過去のプレスリリース)
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/tyosa/index.html#mugirui
・「麦類のデオキシニバレノール、ニバレノール汚染の予防及び低減のための指針」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/mugi_kabi_sisin.html
添付資料
別紙 国産麦類のかび毒の含有実態調査の結果について(平成28年度~令和3年度)(PDF : 980KB)
お問合せ先
消費・安全局農産安全管理課
担当者:生産安全班 三浦、酒井、小嶋、村上
代表:03-3502-8111(内線4507)
ダイヤルイン:03-3592-0306