お茶に含まれる放射性セシウム濃度の低減に向けた対応について
更新日:23年6月29日
担当:生産局生産流通振興課
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概要
東京電力福島第1原子力発電所の事故により、放射性物質が環境中に放出され、お茶について、暫定規制値を超える放射性セシウムが各地で検出されたところです。
このため、農林水産省は、お茶に関する新たな調査結果及びこれを踏まえた当面の営農対策をとりまとめ、地方農政局を通じて都府県に通知を発出しました。
技術指導通知の内容
1 新たな調査結果及び考察について
農林水産省は、5月に行ったお茶における放射性セシウムによる汚染メカニズムに関する調査に引き続き、今般、茶樹の部位別汚染度についての新たな調査を行いました。
(1)これまでの調査結果(5月実施)
生葉(新芽)、荒茶及び飲用茶の各段階における放射性セシウムの関係及び茶樹の汚染メカニズムを考察するため、茶葉及び土壌を採取して分析を行いました(参考1)。
その結果、生葉、荒茶及び飲用茶における放射性セシウム濃度の変化及び茶樹の汚染メカニズムが明らかになりました。
このうち汚染メカニズムについては、今回、生葉(新芽)から検出された放射性セシウムは、土壌中から吸収されたものではなく、古葉に付着したものが葉面から吸収され、新芽に移動したものと推定さます。
(2)新たな調査結果(6月実施)
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所(以下「野菜茶業研究所」という。)(静岡県島田市)の協力を得て、野菜茶業研究所内の茶園の一番茶摘採後の茶樹における葉層(葉が展開している部分)、枝、幹及び根の部位別の放射性セシウム含有量の分析を行いました。
その結果、茶樹における放射性セシウム含有量は、葉が展開している部分の含有が比較的多く、逆に根の部分の量は極めて少ないことが明らかになりました(参考2)。
2 調査結果を踏まえた当面の営農対策について(二番茶摘採後の取組み)
(1)生葉の放射性セシウムの管理レベルについて
お茶についての放射性セシウム濃度の食品衛生法上の暫定規制値は、生葉、荒茶及び製茶の各段階において、500Bq/kgが適用されることとなっており、荒茶の段階でも、500Bq/kg 以下で管理することが必要です。
(2)茶樹の放射性セシウム量の削減について
農林水産省がこれまでに行った調査結果によると、茶樹の放射性セシウムは、土壌中から吸収されたのではなく、古葉に付着したものが葉面から吸収されたと推定されること、また、新 たな調査結果によると、放射性セシウムは葉層に比較的多く含まれることが明らかになったことから、葉層を含めて剪定及び除去を行うことが、放射性セシウム量を削減するために効果的であると考えられます。
したがって、産地における茶園の管理に当たっては、周辺地域の23年産の二番茶の荒茶の放射性セシウム濃度を参考に、以下の管理を行ってください。
なお、いずれの管理を行った場合も、次期摘採の開始前に適切な放射性セシウム濃度の調査を行うことが必要です。
(ア)二番茶の荒茶の放射性セシウム濃度が500Bq/kg以下の茶園
この茶園においては、すでに放射性セシウム濃度が生葉、荒茶ともに基準値以下であることから、通常どおりの茶園管理を行ってください。
(イ)二番茶の荒茶の放射性セシウム濃度が500Bq/kg超の茶園
この茶園においては、二番茶の刈取り終了後に、深刈りを行って、茶樹における放射性セシウム濃度の低減を図ってください(参考3)。
なお、今回の野菜茶業研究所内の茶園における調査結果では、深刈りにより除去される放射性セシウムの量は、茶樹全体の4割程度でありました。より深く剪枝を行う中切りや台切りについ ては、除去される割合はさらに大きくなるが、二番茶の刈取り後に行うと、樹体が衰弱し葉層の再生が出来なくなり、次年産の生産に支障を来たすおそれがあります。
(ウ)一番茶の摘採後に、深刈り、中切り等を行った茶園
一番茶の摘採後に、すでに、深刈りや中切りの剪枝を行った茶園においては、通常年の深刈り又は中切り後に行う茶園管理を行ってください。
(3)刈取った枝葉の処分について
刈取った枝葉は、農地への埋却等又は一般の廃棄物として処分を行ってください。
(4)その他
茶園の放射性セシウムの低減効果については、農林水産省において引き続き調査を行っていることから、その結果を踏まえて追加の指導を行います。
<添付資料>
お問合せ先
生産局地域対策官
代表:03-3502-8111(内線4845)
ダイヤルイン:03-6744-2117
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