このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

「出張 値段のない豆腐屋さん」イベントレポート

出張 値段のない豆腐屋さん
出張 値段のない豆腐屋さん
みんなが納得する
「フェアプライス」を学ぶ
ー静岡県焼津市立焼津中学校ー
イベントレポート
焼津市立焼津中学校
農林水産省では、食品の適正な価格形成に関する理解を促す「フェアプライスプロジェクト」を展開している。テーマは「売る人にも、買う人にも、育てる人にも。フェアでいい値を、考える。」だ。同プロジェクトの一環として、2月5日に静岡県焼津市の市立焼津中学校で「出張 値段のない豆腐屋さん」を実施した。授業では生徒たちにフェアプライスの考え方を説明したうえで、豆腐の価格設定に挑戦してもらった。フェアプライスという考え方を広めるには何ができるかを考えてもらうグループワークの時間では「SNSを活用して社会にもっと広めたい」など様々な意見が交わされ、フェアプライスについて理解を深める機会となった。
その1 家庭科の消費生活の学習として実施
講師を務めた農林水産省の3人(右端が築地美佳さん)
講師を務めた農林水産省の3人(右端が築地美佳さん)
東京と名古屋のほぼ中間地点にある静岡県焼津市。水産資源が豊かな駿河湾に面し、古くから水産業の基地として発展してきた港町だ。その中心市街地にある焼津中学校で、2月5日『出張 値段のない豆腐屋さん~みんなが納得の「フェアな値段」を考えよう~』が行われた。参加した生徒は3年生106人。5時間目と6時間目の家庭科の消費生活の学習として実施された。豆腐の原料となる大豆の生産から豆腐の製造、流通、販売に必要なコストを学び、豆腐が提供され続けるには豆腐の価格はいくらが妥当なのか、豆腐の値付け体験を通じてフェアプライスについて学習した。

講師は農林水産省大臣官房新事業・食品産業部企画グループ食料システム連携推進室の築地美佳さんら3人が務めた。授業は築地さんの「日本の豊かな食を守り、未来につなげていくために、ぜひ焼津中の皆さんにも一緒に考えてほしいと思います」というあいさつで始まった。
その2 生産、加工、流通、小売でかかるコスト確認
5時間目の授業では豆腐ができるまでの工程とコストを確認した。

最初に宿題となっていた国産大豆100%で作られた300グラムの豆腐一丁の販売価格(税別)を班ごとに共有。一人ひとりが調べてきた販売価格から班の平均価格を算出して発表した。発表された豆腐一丁の平均価格は86円から140円。その価格に含まれるコストとして、大豆やにがりなど原材料費、豆腐を作る加工費、豆腐を保存する設備費、製品を輸送する物流費、そして人件費が挙がった。
宿題で調べてきた豆腐の価格やコスト費目を記入
宿題で調べてきた豆腐の価格やコスト費目を記入
豆腐が買い手の手元に届くまでには、生産、加工、流通、小売という4つの工程がある。例えば、「大豆を作っている農家では(ア)種苗費(イ)人件費(ウ)農機具費(エ)倉庫などの建設費(オ)肥料・農薬費(カ)施設などの利用費――といったコストがかかります」と講師から説明があった。また豆腐工場の製造ラインの動画を視聴。豆腐を作るにはたくさんの水や電気を使うことや、パッケージに必要な包装材料などが紹介された。それぞれの工程でかかるコストを一つひとつ確認し、生産から買い手の手元に届くまでの一連の流れである「食料システム」について学んでいった。
生徒たちは食料システムについて学んだ上で、豆腐一丁の価格決定方法について考えた。「豆腐の価格が安いと買い手はうれしいけれど、作り手や売り手は値段が安過ぎると利益が出ないのでコストを賄えず、赤字になってしまいます。赤字では仕事を続けることが難しくなります」と講師は説明し、「実際、豆腐を販売する事業者の約4割が赤字経営という調査結果もあります」と続けた。深刻な状況を聞いた生徒たちからはため息が漏れた。

そこで紹介されたキーワードが「フェアプライス」だ。「安過ぎず、高過ぎず、作り手も売り手も買い手も納得でき、これからも豆腐をつくり続けられる値段がフェアプライスです」。しかし、誰でもフェアな価格を付けられればいいが、実際には作り手も売り手も買い手も納得できる価格を付けることは容易ではない。そこで「フェアプライスで重要なことはお互いの立場を思いやること。相互理解がとても大切です」と説明があった。
その3 価格の持つ意味を再確認
6時間目の授業は、班ごとに豆腐の値段を考えることから始まった。

「フェアプライスを意識して考えてみてほしい」という注文を受け、班ごとに話し合った。そして班ごとに決めた豆腐の価格を、代表者が用意されたレジ端末に入力した。用意されたレジは入力した価格に応じて、キャラクターの表情が笑顔と真顔の2パターンでレシートにプリントされる仕組み。笑顔は平均価格より高い価格、真顔は平均価格より低い価格の入力であったことを表していた。
レジ端末に班ごとに決めた価格を入力
レジ端末に班ごとに決めた価格を入力
すべての班がレジ端末への入力が終えた後、直近の豆腐の平均価格は132円であると知らされた。各工程での必要コストは生産が35円、加工が50円、流通が5円、小売が32円と、合計122円のコストがかかっていて、残る利益は10円であることも伝えられた。この利益が「豆腐を当たり前に食べられる毎日を未来につなげるために必要な投資に使われるお金です」という説明を聞き、自分たちが入力した価格が持つ意味を再確認した。

さらに「生産から消費の一連の流れである食料システムが、どこかでつながらなくなると、豆腐が食べられなくなってしまうと同時に、食料自給率の低下や環境への負担増加、食文化の喪失など社会的な影響が大きい」ことも説明があった。
その4 あふれ出た理解、浸透のアイデア
最後のグループワークでは、フェアプライスという考え方をより多くの人に理解、浸透させていくアイデアを班ごとに考えて、模造紙とペンを使って書き出した。アイデアを出し合い、検討を進める表情は真剣そのもの。アイデアを絵に描くグループもあり、たちまち模造紙はアイデアでいっぱいに。
模造紙に理解、浸透のアイデアを書き出す
模造紙に理解、浸透のアイデアを書き出す
「TiKToKなどのSNSで幅広い世代にフェアプライスをPRする」「生産から販売までの流れを学ぶゲームを作る」「フェアプライスのロゴマークやマスコットキャラクターを作る」「作り手と売り手の仕事を体験できるイベントを行う」「値段のない豆腐屋さんの出張授業を増やす」「フェアプライスのマルシェやコーナーを作る」「値札に必要コストの内訳を印字する」――。たくさんのアイデアが発表された。今回出されたアイデアは農林水産省に持ち帰って検討してくれるという。

生徒たちは体験授業を通して、「普段当たり前に口にしている食べ物にはたくさんの人が関わっていて多くの必要なコストがあること」、そして「それらを食べられている毎日を未来につないでいくためには、作り手、売り手、買い手みんなが納得できる値段、フェアプライスという考え方が大切であること」を学んだ。生徒たちは買い手の立場だけでなく、もっと作り手や売り手の立場を考える必要があることを理解、納得できたようだった。
インタビュー出前授業を受けて
フォト:松林一樹くん
3年   松林一樹くん
納得感には情報提供が重要
豆腐の価格について、仲間と話したり、レジで入力したりしてみるなど、価格を決める体験ができたことはとてもよかった。班で調べてきた値段は100円から150円の間であったが、生産工程でたくさんの手間がかかっていることを知り、グループで相談して170円という価格を付けた。

今日の授業を受けて宮澤賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という言葉を思い出した。確かにみんなが納得する値段、フェアプライスの設定は難しいが、消費者として提供される情報をチェックして価格について理解を示すことが大切だと感じた。
フォト:小杉真史さん
3年   小杉真史さん
平等の難しさ感じた
以前「出張!値段のないスーパーマーケット」に関してニュースで見て、とても興味を持った。今回、出張授業があると知り、楽しみにしていた。

フェアプライスを考える上で、作り手、売り手、買い手という3者すべてを平等にしなければいけない点が大変難しかった。それぞれの立場で価格を考えることの重要性に気付けてとても勉強になった。

今日の授業でフェアプライスの意味を学ぶことができたので、食料品の値段について普段から考えてみようと思った。今度スーパーに行った際に、実践してみたいと思う。
  • 当サイト「フェアプライスプロジェクト」は令和4年度円滑な価格転嫁に向けた消費者理解醸成対策委託事業のうち広報事業で作成したものです。

お問合せ先

大臣官房 新事業・食品産業部企画グループ食料システム連携推進室

代表:03-3502-8111(内線4136)
ダイヤルイン:03-3502-5742

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader