このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

指定の公示について(指定番号第76号)

下記の地理表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。

更新日:令和3年2月1日
担当:輸出・国際局 知的財産課

Българско розово масло
(Bulgarsko rozovo maslo)(バルガルスコ ロゾヴォ マスロ)


1 指定年月日  令和3年2月1日
2 指定番号  第76号
3 締約国の名称  欧州連合
4 農林水産物等の区分  第19類 精油類 バラ油 
5 農林水産物等の名称  Българско розово масло
(Bulgarsko rozovo maslo)(バルガルスコ ロゾヴォ マスロ) 
6 農林水産物等の生産地  ブルガリア

 ・プロブディフ(Plovdiv)州:ブレゾヴォ(Brezovo)、カロヤノヴォ(Kaloyanovo)、カルロヴォ(Karlovo)、ソポト(Sopot)、スタンボリイスキ(Stamboliyski)、サエディネニエ(Saedinenie)、ヒサリャ(Hisarya)

 ・スターラ・ザゴラ(Stara Zagora)州:ブラティヤ・ダスカロビ(Bratya Daskalovi)、グルコヴォ(Gurkovo)、カザンラク(Kazanlak)、マグリジ(Maglizh)、ニコラエヴォ(Nikolaevo)、パヴェル・バニヤ(Pavel Banya)、スターラ・ザゴラ(Stara Zagora)

 ・パザルジク(Pazardzhik)州:ベロヴォ(Belovo)、ブラツィゴヴォ(Bratsigovo)、パザルジク(Pazardzhik)、パナギュリシテ(Panagyurishte)、ペシテラ(Peshtera)、ストレルチャ(Strelcha)

 ・ソフィア(Sofia)州:イフティマン(Ihtiman)、コプリフシティツァ(Koprivshtitsa)、ミルコヴォ(Mirkovo)
7 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1) 特性
 バルガルスコ ロゾヴォ マスロは、ダマスクローズ(Rosa damascena Mill)の花を原料とし、水蒸気蒸留法により製造される精油である。

 外観:透明な油状の液体

 色:黄色または黄緑色

 匂い:独特なバラの香り

 物理化学的指標:物理化学的指標はガスクロマトグラフィーによって計測される。主要な成分は以下の比率で含まれ、これが本産品の特性を形成する。
 ・エタノール    3.0%以下
 ・リナロール    1.0~3.0%
 ・フェニルエチルアルコール    3.0%以下
 ・シトロネロール       24.0~35.0%
 ・ネロール      5.0~12.0%
 ・ゲラニオール  13.0~22.0%
 ・酢酸ゲラニル  1.5%以下
 ・オイゲノール  2.5%以下
 ・メチルオイゲノール   2.0%以下
 ・ファルネソール       1.4%以上
 ・炭化水素      
 С17  (ヘプタデカン)      1.0~2.5%
 С19  (ノナデカン)(*)     8.0~15.0%
 С19  (ノナデカン)(**)    2.0~5.0%
 С21  (ヘンエイコサン)    3.0~5.5%
 С23  (トリコサン) 0.5~1.5%
 (*)    CH3(CH2)17CH3の化学式によって表される飽和炭化水素
 (**)   CH3(CH2)16CH = CH2の化学式によって表される(一つ以上の炭素二重結合を有する)不飽和炭化水素

 バルガルスコ ロゾヴォ マスロの特徴は、芳醇な香りと淡い黄緑の色、非常に優れた保香性、揮発性物質と炭化水素のバランスの取れた配合である。

 バルガルスコ ロゾヴォ マスロの化学的特性は後述するこの地域の地理的特徴と密接に関係しており、世界の他の地域で生産されているローズオイルと一線を画している。具体的には、シトロネロールの含有率が24~35%(他の地域のローズオイルは39~49%)、シトロネロールとゲラニオールの比率が1.1対2.5である(他の地域のローズオイルは2.3対4.8)。さらに、ファルネソールや酢酸ゲラニルなど多数の成分で構成されていることと、わずかなメチルオイゲノールも、バルガルスコ ロゾヴォ マスロの特徴である。

(2) 生産方法
◯ 原料
 (ア) ダマスクローズ(Rosa damascena Mill)
 Rosa damascena Mill種の花弁と萼片から成る生花のバラで、新芽、枝葉及びつぼみが取り除かれ、泥 や石などの不純物が含まれていないもの。
 (イ) 水

◯ バラの花の摘み取り、輸送、保管
 バラの花の摘み取りは通常5月に海抜300~400mの場所にある畑から始め、20~25日程度にわたり行う。この時期になると、バラの花がある程度成熟し、ピンクがかった赤色の花弁が14枚から40枚開き、心地よい独特な香りを放ち始める。摘み取りは午前5~6時に始め、午前11時~12時まで行う。原料の鮮度と質を保つために、摘み取り後10~15時間以内に加工するという規定を遵守し、バルガルスコ ロゾヴォ マスロの品質を確保している。摘み取られた花は直ちに蒸留所に輸送され、昼夜問わず蒸留が行われる。バラの花は、時期に応じて、直ちに加工するものと、気候が涼しく花の温度が20℃以下のときは15時間以内の間保管してから加工するものとに区別される。

◯ 加工手順
 蒸留:バラの花を1立方m当たり100kgとなるように蒸留器に入れ、その4~5倍の量の水と混ぜる。これを加熱すると、蒸気と水によりペースト状の沸騰している状態になる。自動装置を用いて攪拌する。発生した水蒸気を冷まし、蒸留することで、精油を抽出し、精油収集用のフラスコに注ぐ。1kgのローズオイルを抽出するのに約3,500kgのバラの花を必要とする。

 蒸留した精油の再蒸留:連続稼働している再蒸留塔にて複数回にわたり再蒸留する。

 ローズオイルの分離・脱水・ろ過:精油を容器(Florentine vessel)を使用して分離させ、30℃まで加熱し、ろ過をすることで不純物と水を取り除く。

 配合:一つの施設で生産されたローズオイルを組み合わせる(配合する)ことで又は様々な施設で生産されたオイルを配合(会社独自のブレンド)することで、販売用の産品を生産する。

 保管:15℃~±5℃の範囲内に温度が保たれた、格納庫のある保護を施した独立した設備にて、直射日光を避け、かつ、熱源から離した状態で、空気との接触を防止する特殊な栓があり、容量が5,000g以下の密閉状態の耐熱ガラス製容器又は漆が塗られたアルミ製の樽で保管する。

 輸送及び梱包:漆が塗られたアルミ製の樽、もしくは上部に溶接された金属板とコルクによって首部分が閉じる円筒形の伝統的容器(クンクマ)、又はガラス製の壺及び瓶に入れる。伝統的容器は、白い布を巻き、三色のリボン、紐及び保証書といった伝統的な付属品を首部分に結び付ける。梱包は0.5g~5,000gと重量に幅がある。これらを、木製のケース又は危険物の運送用に認定された箱又は頑丈な段ボール箱で、正味10kgという重量制限の下輸送する。

(3) 農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
◯ 自然・気候要素
 ダマスクローズは、従来から、ブルガリア中部にあるバラの谷(Rozovata Dolina)において標高370m~625mの場所で栽培されてきた。この地域は、保水力が低く軽量で砂質の褐色森林土が特徴で、気候条件もバラの栽培に適している。冬の寒さが厳しくないことと年間平均気温が10.6℃であることのおかげで、2月に蕾を付ける。5月と6月は湿度が高く、収穫期にゆっくりと均一的に花が咲くのに適している。

◯ 歴史的・人的要素
 バルガルスコ ロゾヴォ マスロの生産は、Rozovata Dolinaの人々の伝統的な職業の一つである。300年を超える歴史を持ち、地域の人たちは質の高い種子の開発及びバラの栽培に関する専門知識を蓄積し、また技術革新をもたらしてきた。収穫は20日から30日にわたり行なわれ、特殊な技能が必要となる。夜が明ける数時間前から早朝までの間に、花弁が1枚以上開いている花のみを、茎や枝に傷をつけないように萼片とともに摘み取る。閉じている蕾は、後で収穫するために茎に残しておく。花が蒸留器に入れられる状態にあるかの判断、花と水の比率の算定、適切な蒸留温度の決定は、経験豊富な蒸留技術者しか行えない。これらの技能は世代を超えて受け継がれ、バルガルスコ ロゾヴォ マスロが生産される蒸留所を発展させ、一貫して高品質な最終産品が生産されるのに寄与している。

 バルガルスコ ロゾヴォ マスロ固有の特性は、当該地理的範囲に関係する要素の複合作用によるものである。開花や収穫、花の油分にも影響を及ぼす気候条件としては、穏やかな気温(15~25℃)、高い湿度(60%以上)、日中と夜間の気温差が小さいこと、十分な土壌水分が挙げられる。これらの条件が整っていることにより、バラは均一的かつ完全に花を開き、そして質の高いローズオイルを大量に蓄える。貴重な成分を可能な限り抽出するために、バルガルスコ ロゾヴォ マスロを生産するのに用いる技術においては、収穫直後から昼夜問わずバラを加工することが求められる。このため、蒸留所はバラの畑に近接している。

 バルガルスコ ロゾヴォ マスロの生産及びその発展の始まりは17世紀に遡り、そのことは、Kosyo Zarev博士が2008年に発行した「Bulgarskoto rozoproizvodstvo i traditsionnata kultura(ブルガリアでのバラの生産と伝統的な栽培)」に記載されている。18世紀後半から19世紀初頭にかけて、バルガルスコ ロゾヴォ マスロは世界中の市場を獲得し、ブルガリアは欧州の香水産業の主要サプライヤーになった。また、バルガルスコ ロゾヴォ マスロは、かつて、医学においては貴重な薬剤として、さらには料理においては香りの良い調味料として、広く使用されていた。

 1878年にブルガリア公国が建設されて間もなく、バルガルスコ ロゾヴォ マスロの品質と純度を規定する最初の法律が制定された。1906年に出版された「Parva konferentsia varhu Rozovata industria(バラ産業に関する第1回会議)」においては、「ゼラニウムの輸入を禁止する省令が1889年に公布されるとすぐに、『バルガルスコ ロゾヴォ マスロ』の価格は想像を絶する高値にまで跳ね上がった」と記されている。

 ニューヨーク(米国)、ヴィシー(フランス)、ノースパース(オーストラリア)にあったブルガリア領事館や公使館からのブルガリア外務省への公式報告と1939年から1945年までの証言によると、バルガルスコ ロゾヴォ マスロに対し強い関心があったことがうかがえ、そのような関心は第二次世界大戦中でさえも絶えなかった。また、ブルガリアの昔の文字で書かれている、ブルガリア領事館から外務省宛てに送られた1939年12月19日付の手紙には、「現在ニューヨークにいる化学技術者のWilliam A. Hoffman氏から我々に対し、『バルガルスコ ロゾヴォ マスロ』の定期的な取引を希望しており、両者にとって非常に有利な条件にて同取引の取り決めを調整できるとの提案があった」との報告がある。1941年1月20日付の手紙では、外務省の経済顧問を務めていたK. Dobrev氏がヴィシーのブルガリア公使館に対して「占領下にあるフランスにて『バルガルスコ ロゾヴォ マスロ』を販売できる条件」を報告している。1944年2月24日付の手紙は、「現在『バルガルスコ ロゾヴォ マスロ』の価格は1kg当たり5,000スイスフランの水準にある」と同省に対して報告している。East-West Trading Company of Australiaは1945年10月5日に、「さらに、当社は『バルガルスコ ロゾヴォ マスロ』に大変興味があり、オーストラリアにてその生産者の代理人を務められないかとも考えている」と記している。

 バルガルスコ ロゾヴォ マスロは1880年代から現在に至るまで国際展覧会や見本市で数多くの賞を受賞してきており、その国際的な人気と世界的な評判を確立し守ってきた。Kosyo Zarev博士は上述の著作における「ブルガリア・ローズオイルが獲得してきた賞」という章にて、「質の高いブルガリア・ローズオイルは多くの展覧会や展示会、見本市にて多数のメダルや賞を獲得している」と記している。Zarev氏はさらに、バルガルスコ ロゾヴォ マスロの生産者および商社は19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウィーン(1873年)やフィラデルフィア(1876年)、シカゴ(1895年)、グラース(1902年)、パリ、アントワープ(1894年)、アムステルダム、リエージュ、ミラノ、ロンドンでの見本市にてゴールドやシルバー、ブロンズのメダルを獲得したと言及している。この本はまた、バルガルスコ ロゾヴォ マスロが自国のブルガリアで獲得した賞にも言及しており、例えばPlovdiv Fair(プロブディフ見本市)や1968 Third International Essential Oils Conference(1968年第3回国際精油会議)を挙げている。

 1964年には、ブルガリアのローズオイル産業誕生300周年を記念する各種イベントが開催され、ブルガリア商工会議所とBulgarian Rose Directorateは、同産業の発展に貢献した多くの組織にゴールドメダルや賞を授与した。1903年から毎年、伝統的なローズフェスティバルが開催されており、恒例の呼び物としてバラの摘み取りや蒸留といったレクリエーションも催されている。

 バルガルスコ ロゾヴォ マスロは、第二次世界大戦前は、世界のローズオイル需要の70%~90%を満たしていた。今日、ブルガリアは年間1.5トンから2トンを生産しており、それらは主に輸出されている。カザンラク(Kazanlak)にあるInstitute for Roses and Essential Oil Cropsが2007年7月2日にジュビリー科学会議のために公表した報告書によると、バルガルスコ ロゾヴォ マスロは現在、世界の需要の40~50%を満たしている。

 1994年、バルガルスコ ロゾヴォ マスロは、ブルガリア特許登録簿に原産地呼称保護として登録番号052-01を取得して登録された。

8 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -

お問合せ先

輸出・国際局 知的財産課

担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4284)
ダイヤルイン:03-6744-2062
FAX:03-3502-5301