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農林水産省

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指定の公示について(指定番号第92号)

下記の地理表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。

 更新日:令和3年2月1日
担当:輸出・国際局 知的財産課

Salam de Sibiu(サラム デ シビウ)

1 指定年月日  令和3年2月1日
2 指定番号  第92号
3 締約国の名称  欧州連合
4 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 食肉製品類(ハム類)
5 農林水産物等の名称  Salam de Sibiu(サラム デ シビウ) 
6 農林水産物等の生産地  ルーマニア

 Bacău郡、Braşov郡、Bucharest市、Covasna郡、Călăraşi郡、Ilfov郡、Prahova郡、Sibiu郡
7 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1) 特性
 サラム デ シビウは貴腐のある乾燥生サラミである。
 外観は円筒型のスティックで太さは均一である。長さは15cmから100cmで、直径は45mmから75mm、重量は300gから1kgである。本サラミのケーシングには細い均一な溝があり、白色の貴腐の薄い均一な層によって覆われている。貴腐は黄色がかった白色又は灰色がかった白色の色合いを有する場合がある。黄色がかった白色又は灰色がかった白色の貴腐の部分や貴腐に覆われてない部分があっても良いが、これらを合わせた部分がケーシングの全表面の10%以上を占めてはならない。

 本サラミの表面の硬さは、適度に硬いから硬いの間で、切り分けた箇所に近い部分は柔らかいが、中心に近いほど歯ごたえと弾力性が増す。サラム デ シビウのスライスは、歯ごたえと適度な弾力の両方を同時に持つ。
 風味と香りについては、硬材を用いて燻製し、貴腐を付着させ、そして長い熟成と乾燥工程を経た産品特有の風味と香りがする。強い風味の原因は、適切な熟成による十分なタンパク質分解と脂肪分解である。異常な風味や匂いは一切ない。スライスしたものの外観については、大部分が赤みを帯びた茶からルビー色で、光沢がある、身が詰まっている、むらがない、粒が粗いほか、斑点状の白い脂肪が断面全体に均一に分布されている。外縁から10mmまでの部分については、より暗い色合いの断面でもよい。サラム デ シビウをスライスしても硬さに変わりはなく、崩れない。腱や軟骨の欠片が混ざっていたり、気泡が生じていたりしてはならない。また、少なくとも60日間熟成させなければならない。

 サラム デ シビウは、その風味と、最終産品における極めて低い湿度が一因の適度に硬い食感、そして断面のルビー色が、同じ商品カテゴリーにおける他の産品との違いの要因になっている。サラム デ シビウの風味は、使用する肉、脂肪、塩、調味料のほか、煙に含まれている芳香物質、砂糖やタンパク質、脂質から発酵中に生成される芳香物質に由来する。風味の形成における最も重要な要因は、原料に含まれるアミノ酸、脂質の分解により生じるアミノ酸及び添加する砂糖並びにタンパク質の加水分解により生じるアミノ酸から、発酵中に生成される芳香族生成物(ケーシングに充填した瞬間に始まり、冷燻及び熟成・乾燥工程を通じて完成する)である。よって、長い熟成・乾燥期間(貴腐が出来てから60日以上)がサラム デ シビウの香りの生成に寄与する。

 熟成・乾燥期間終了時の物理化学的特性
 湿度:30%以下、脂肪:46%以下、タンパク質:20%以上、塩分:6%未満、
 亜硝酸ナトリウム(使用するナトリウムは化学的に還元されたもの):50 mg/kg未満

 熟成期間終了時の微生物特性:
 リステリア菌 - 25g中ゼロ
 サルモネラ菌 - 25g中ゼロ
 大腸菌 - 500~5,000 CFU/g

 次の2つのいずれかの形で販売する
 「両端が切り取られた円筒状のスティック」「ケーシングを取りスライスした状態(スライスする前にカビの付いたケーシングを外す)」

 飼料の特性や原産地について特に要件はない。

 主な原料は、一定の水準まで成長した豚(100kg超の生体重がある)から得る、厳選した生の豚肉が70%以上(骨片や軟脂、腱、靭帯、軟骨、大血管、出血部分、神経節、刻印がなされた部分があるときは、これらを肉から除去する)と30%以下の硬い脂肪である。と場副産物及び機械分離肉の使用は禁じられている。

以下の材料を使用する
 ・次の材料を混ぜたもの
  食塩(5%以下)
  自然調味料:胡椒、オールスパイス、ニンニク
  保存料:亜硝酸ナトリウムまたはナトリウムと混ぜた塩(法律に従う)
 ・法律で認められている酸化防止剤(アスコルビン酸とその塩)
 ・熟成物質 - スターターや生物学的保護培養物、砂糖 - 1%以下

任意で以下の材料を使用できる
 ・アルコール性の熟成物質 - 次のいずれか一つ
 白ワイン、赤ワイン、ロゼワイン、ブランデー、ヴィナルス(Vinars)、スパークリングワイン、スタウト

注:アルコール性の熟成物質は、サラム デ シビウの限定版・コレクターズエディションの生産で使用されるもので、当該種類の名前に明記される。いずれの種類のアルコール性熟成物質についても、使用量は3%以下である。

以下の使用は禁じられている:
 うま味調味料(グルタミン酸ナトリウムなど)、
 酸性化剤(グルコノデルタラクトンなど)、着色料、
 タンパク質性食品添加物(植物性タンパク質、動物性タンパク質)、
 その他肉の代替になり得る添加物、海塩。

 ペースト状の具を、直径60mmから90mmのコラーゲンケーシングか天然の馬腸に充填する。

(2) 生産方法
 生産地において行わなければならない具体的な生産工程は以下の通り
 (ア) 原料及び材料の受取と保管
 (イ) ボールカッター内で米粒の大きさ(約2~4mm)に肉を角切り・切り刻み、ペーストを作る
 (ウ) 加塩・調味料、酸化防止剤、熟成物質とともにペーストを捏ねる
 (エ) 天然の腸やコラーゲンケーシングにペーストを充填する
 (オ) 10℃以上の温度で、適度な風通しを保ってサラミを24時間乾燥させる
 (カ) 冷薫:9℃~24℃の空気温度、85~92%の湿度に設定し、専らルーマニア産の硬材(ブナ、オーク又はその両方)を用いて行う。燻製は3日以上10日以下の範囲で行う。
 (キ) 熟成・乾燥:60日以上。空調機能のある専用の貯蔵所において8℃~24℃に温度を設定して行う。次の手順を伴う。

 (a) カビの仕込み:熟成・乾燥用の貯蔵室に入れたら、貴腐細胞(Penicillium nalgiovensisまたはさまざまなPenicilliumの配合。ただし、そうした配合を使用する場合も、Penicillium nalgiovensisが必ず含まれていなければならない。)を含む溶液を棒状のサラミの表面に吹きかける。カビを仕込んでから10~12日後、サラミはカビ菌糸体によって覆われる。この期間中、温度は10℃~24℃に設定する。

 (b)熟成とサラミのブラッシング:カビを仕込んで25日から45日が経過し、サラミがカビに完全に覆われたら、手作業でサラミのブラッシングを行う。高い湿度のもと熟成終了にかけて形成されるカビは、黄色がかった白または灰色がかった白色を帯びる。この段階においては、温度は10℃~15℃に設定する。

 (c) サラミの乾燥:温度及び湿度を管理した状態で換気をすることで熟成貯蔵室内の湿度を段階的に低下させて行う。そのようにすることで、本産品は標準湿度の30%以下にまで乾燥する。この期間においては、温度は10℃~15℃に設定する。

 熟成期間終了時、すなわち少なくとも70日が経過した後、本産品は特性を満たさなければならない。サラム デ シビウは、手作業または機械(スティック状の場合)により一つ一つ個別に、透過性セロファンのマイクロミシン目のある包装にて、保護された環境により又は真空包装により包装する。なお、スライス状の場合は、カビの付いたケーシングを取り外した後に包装する。

(3) 農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
 地理的範囲の特殊性
 生産地における気候条件(温帯大陸性気候で冬は寒く夏は温暖)は、この産品の生産に適している。生産地は、丘陵地特有の地形が広がっており、幅広の川の流域と平地を隔てて丘がいくつかある。この地域では、豚肉産品作りの始まりは数世紀前に遡り、当初は小規模農家が自分の敷地で行っていた。その後次第に、専用の施設にて産業的に行われるようになった。これらの地域には広大な森林もあり、生産者は、本産品の燻製に欠かせない硬材を森林から確保してきた。

 このサラミの生産の歴史は、上記の地域における農地の発達及びこの種の生産に特化した労働者らの地域レベルでの活動と密接に関係する。それらの人々は、長い時間をかけてMedias-Sinaia地域外での生産の拡大に貢献してきた。伝統が長年かけて確立され、その間実質同じ生産工程が守られてきた中、本産品とその名称、そして生産地を繋げる強い結びつきが消費者の意識の中で明瞭に作り上げられた。よって、消費者がサラム デ シビウを思い浮かべる時、豚肉と硬い脂肪を塩と調味料と混ぜて当該地域にて生産される、ルビー色を帯び、白や黄色がかった白又は灰色がかった白色の貴腐で覆われたケーシングと、硬材による冷薫と長い熟成・乾燥工程によって主に生成される香りと風味を有する、同じ乾燥生サラミが思い浮かぶ。

 サラム デ シビウの評判は、サラム デ シビウに言及されている大量の文献によって証明されている。本産品の歴史的評論においては、日刊紙「Academia Cațavencu」の付録における2009年7月15日付けの記事が、「サラム デ シビウは象徴的な料理として受け継がれてきたものであり、今もそれに変わりはない」と記している。サラム デ シビウの生産及び販売への言及は19世紀末になると早くも見られた。当初は「Salam de iarnă」(冬のサラミ)と呼ばれていた。国内消費者による本産品の明らかな評価はまた、国境を超えて広がった。その結果、SinaiaやMediaș等で生産されたサラミはSibiuの税関を経由して輸出された。同税関を経由して繰り返し輸出がなされた結果、本産品はSibiuの税関からのサラミとして知られるようになり、その後「サラム・デ・シビウ」(シビウ・サラミ)と呼ばれるようになった。その名称が国内市場で確立されると間もなく、当時の広告やレストランのメニューで見られるようになった(1890年以降)。

 サラム デ シビウの特性は、環境との非常に深い関係の結果である。ここでいう環境とは、気候(地理的)要素と人的要素の両方を含んでいる。これらの要素の相互作用が土台になって、本産品はその誕生から今日まで生産され続けてきた。サラム デ シビウの工業的生産工程には手作業の工程もあるため、変わらない製法が守られてきた。「米粒」の大きさに切るために必要な目と手の連携、塩と合わせ調味料を加えるために用いるîn ploaie(レイニング)法、燻製・熟成・乾燥時におけるサラミの硬さの手作業での確認、手作業での貯蔵、そして手作業によるブラッシングには、世代を超えて受け継がれきたほとんどの作業者に備わっている高いノウハウ及び技術と、特有の風味を実現するのに必要な経験と勘が求められる。
 サラム デ シビウは、生産者が絶えず国内外の見本市に出品してきた特産品である。

8 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -

お問合せ先

輸出・国際局 知的財産課

担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4284)
ダイヤルイン:03-6744-2062
FAX番号:03-3502-5301