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農林水産省

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指定の公示について(指定番号第94号)

下記の地理表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。

更新日:令和3年2月1日
担当:輸出・国際局 知的財産課

Kranjska klobasa(クランスカ クロバサ) 


1 指定年月日  令和3年2月1日
2 指定番号  第94号
3 締約国の名称  欧州連合
4 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 食肉製品類(ソーセージ類) 
5 農林水産物等の名称  Kranjska klobasa(クランスカ クロバサ) 
6 農林水産物等の生産地  スロベニア全域
7 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1) 特性
 クランスカ クロバサは、カテゴリーI及びII(脚、肩、首)の粗挽き豚ひき肉と豚脂(背中の脂肪)で製造される殺菌済みの長期間保存できるソーセージである。
 クランスカ クロバサの詰め物は、亜硝酸塩の添加によって塩漬けし、ガーリックとコショウで味付けした後、豚の小腸に詰め、両端を閉じて木製だぼを刺して端と端が結合したソーセージを作り、温燻製にして殺菌する。
 湯で少し温めて、官能特性が得られ、素晴らしい味になった時点で温かい状態のうちに食べる。ソーセージの表面は赤茶色、中の肉はピンクがかった赤色をしており、脂肪は乳白色で溶けずに残っている。食感はピチピチ、カリカリとして汁気が多く、塩漬け、特に味付けして燻製にした豚肉に少しスモーキーな特有の深い香りがある。
 なお、加熱されていないソーセージの化学組成は以下のとおりである。
 ・総タンパク質:最低17 %
 ・脂肪:最低29 %

(2) 生産方法
 クランスカ クロバサの製造(肉と脂肪の選定及びひき肉処理、詰め物の準備・混ぜ合わせ、ケーシング充填、ソーセージ乾燥、温燻製での加熱処理、工程監視及びラベル貼付)は規定の生産地内で行わなければならない。

◯ 原料
 豚肉と脂肪。

◯ ラベル表示など
 それぞれのクランスカ クロバサは同じようにラベルを付けなければならない。
 ・各製品(ペア)には統一された粘着バンドを付けなければならない
 ・各包装製品にはラベルを付けなければならない

 クランスカ クロバサの統一表示には以下のものが含まれる。
 ・保護名称
 ・生産者のロゴ

(3) 農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
 生産地の定義はクランスカ クロバサの歴史と直結している。
 食物生産のための自然条件そして気候は独特の食文化の発展において重要な要素であり、農業は主に自給自足的農業を行ってきた。
 山、谷、盆地、平野で構成される非常に起伏の多い場所で、住民たちは、豚の餌のための耕作地を維持してきた。養豚は豚肉及び豚肉製品の生産と密接に関連しており、豚肉及び豚肉製品の生産についての報告は、ソーセージを含め非常に昔からあり、中世のフレスコ画での素晴らしい描写や公文書に残された文書(例えばVrbovec城の番人が領主宛てにスロベニア語で書いた17世紀の手紙などがある)によって証明されている。
 このような報告の代表的な製品の1つが長期間保存できるソーセージであり、その産地の人々の技能やノウハウやその固有の特徴(味)のおかげで、19世紀初期、オーストリア・ハンガリー時代にはクランスカ クロバサとして知られるようになった。
 クランスカ クロバサの評判は、多重国家であったオーストリア・ハンガリー帝国の時代に遡る。クランスカ クロバサは、間違いなく、極めて独創的で国際的にも有名なスロベニアの肉製品の1つであり、インターネットでのヒット数によっても証明されており、クランスカ クロバサは大半においてスロベニア独特の製品とされており、最近の専門文献(Meat Products Handbook, Gerhard Feiner, CRC Press, 2006; http://en.wikipedia.org/wiki/ Kransky)でもスロベニアの代表的な未発酵ソーセージとして記述されている。
 クランスカ クロバサの特性は、現在スロベニアであるがオーストリア・ハンガリー領であったクランスカ(Kranjska)に住んでいた人々の技能とノウハウの賜物である。最高品質の肉の使用、そして一貫した海塩の使用もその品質の決め手となるものであった。海塩は、クランスカ(Kranjska)においては、戦略的でさえあり、岩塩の永遠のライバル的存在であった(J. Bogataj, The Food and Cooking of Slovenia, Annes Publishing, London, 2008)。
 クランスカ クロバサの製造に関する(また、その名前の下での)最も古い説明は、Katharina PratoによるSüddeutsche Küche(1896年)とFelicita KalinšekによるSlovenska kuharica第6版(1912年)の2冊の料理本に登場する。Felicita Kalinšekは自著であるSlovenska kuharica(1912年)において、クランスカ クロバサの製造方法について説明している。
 スロベニアには、クランスカ クロバサの生産地域や地域の他の種類のソーセージと比べたときの評判に関する一連の報告がある中で、特に口頭により、クランスカ クロバサの本当の原産地又は初めて製造されたとされる場所であると主張する民族的な報告が無数にある。頻繁に挙がっているのは、LjubljanaとKamnikの間に位置するTrzin村であり、ここでは19世紀以来、非常に多くの肉屋が商売に精を出していたと言われており、市場にクランスカ クロバサを供給していたのだが、遠く離れたウィーンでも売られていた。ある口頭伝承によると、このソーセージはKranjの町にちなんで名付けられたそうであるが、別の口頭伝承では旧クランスカ(Kranjska)地方の領土内のすべての主要な町や市場町で製造されていたとしている。フランツ・ヨーゼフ皇帝の絵のように生き生きとした物語もあり、皇帝はウィーンからトリエステまで馬車で移動する途中でNaklo pri Kranju村の主要道にある有名な宿屋Marinšekに泊まった。皇帝は食べ物を希望し、宿の主人に何があるかを尋ねた。「家で食べるありふれたソーセージ以外、何もありません」と彼は皇帝に対して答えた。皇帝はソーセージを注文し、食べてみると大声で叫んだ。「ありふれたソーセージなどではない、Carniolanソーセージだ!」。
 スロベニア地方の食を特徴付けるものは、クランスカ クロバサがすべての地域で製造され販売されていることであり、スロベニア領土全体の伝統の一部であることを示している。クランスカ クロバサの評判は、ザワークラウトが添えられたクランスカ クロバサがスロベニアの代表的な特産品ということにも見られる。
 クランスカ クロバサの評判は国境を越えても広がっており、この名称が旧オーストリア・ハンガリー帝国の様々な言語に翻訳されていることで証明される(J. de Moor & N. de Rooj/ed./, European Cookery, Tradition & Innovation, Utrecht, 2004)。
 クランスカ クロバサフェスティバルが2003年以来スロベニアで開催されており、最高のクランスカ クロバサを巡って全国的な競争が行われる。

8 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -

お問合せ先

輸出・国際局 知的財産課

担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4284)
ダイヤルイン:03-6744-2062
FAX番号:03-3502-5301