このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

指定の公示について(指定番号第98号)

下記の地理表示について、指定の公示をしたのでお知らせします。

更新日:令和4年2月1日
担当:輸出・国際局 知的財産課

 Pont-l'Évêque(ポン レヴェック)


1 指定年月日  令和4年2月1日
2 指定番号  第98号
3 締約国の名称  欧州連合
4 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 酪農製品類(ナチュラルチーズ)
5 農林水産物等の名称  Pont-l'Évêque(ポン レヴェック)
6 農林水産物等の生産地  フランス

 カルヴァドス県、ウール県、マンシュ県、オルヌ県(小郡、自治体については別添(PDF : 38KB)
7 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1) 特性
  ポン レヴェックは、表面が軟質のペースト及びブラシ加工又は洗浄され、正方形又は長方形で、完全な乾燥後にチーズ100g当たり脂質45g以上である牛乳から作られたチーズである。表皮は薄白色から薄赤色である。象牙色から麦藁色の軟質のペーストは、粘着性も流動性もなく、わずかな穴を覗いて均質である。チーズは植物、牛乳、クリーム、又は軽く燻されたような種々な香りを持ったまろやかな味わいである。

 ポン レヴェックには、以下の形状がある。
 ・大ポン レヴェックは、長さ190~210mmの正方形で、包装記載の正味重量は1,200~1,600g、固形分中乳脂肪は650~850gである。
 ・ポン レヴェックは、長さ105~115mmの正方形で、包装記載の正味重量は300~400g、固形分中乳脂肪は140g以上である。
 ・半ポン レヴェックは、長さ105~115mm、幅52~57mmの長方形で、包装記載の正味重量は150~200g、固形分中乳脂肪は70g以上である。
 ・小ポン レヴェックは、長さ85~95mmの正方形で、包装記載の正味重量は180~250g、固形分中乳脂肪は85g以上である。

(2) 生産方法
〇原材料
牛乳生産条件:
  2017年5月1日以降、酪農家の乳牛群の50%以上がノルマンディ種牛である必要がある。「群」は、泌乳牛、乾乳牛、未経産雌牛で構成される酪農家の全乳牛群を意味する。乳牛は1年のうち少なくとも6ヶ月以上放牧する。各酪農家は搾乳する乳牛1頭につき0.33ha以上の草原を有し、うち0.25ha以上は牧草地として利用可能で搾乳室から移動しやすいものとする。また、乳牛郡の動物の飼料として用いるコーンサイレージ1ha当たり2haの草原を有するものとする。これにより、伝統的な給餌に沿った牧草や干し草など草を基本とした餌を確保することができる。
  生産地との関連を保証するために、家畜(飼料)の基本配給量のうち乾物の80%以上は、生産地にある区画からのものでなければならない。放牧期間以外は、乳牛に毎日干し草が供給される。補完飼料の量は群れの牛1頭につき暦年当たり1,800kgに制限される。

使用する牛乳:
  牛乳は48時間以上保管してはならず、搾乳の最初の1時間から熟成開始までは96時間以内とする。生乳の場合、この時間は72時間以内に短縮される。
  また、伝統的方法から逸脱した方法を避けるため、凝固の前には、部分的に水分を取り除くことによる牛乳の濃縮は行わない。さらに、乳製品に加えるのは、牛乳及び生産中に認可された原料の生産補助剤又は添加物の場合は、レンネット、無毒の細菌培養、酵母、カビ、塩、塩化カルシウムのみとすること。

〇生産の手順:
 ・牛乳容器は最大600ℓのタンクとし、1回の操作でチーズを成形し、牛乳の凝固回数は全ての成形チーズで同一とすること。
 ・熟成条件:パラメータを制御するため、40℃未満の温度で26時間未満とする。
 ・レンネットによる凝固の条件:伝統的な動物由来のみのレンネットを使用し、温度は32~40℃とする。
 ・凝乳生産方法:平均サイズ25mm未満に切り分け、タンク内で十分に水切りが行われるよう撹拌する。
 ・ペーストの混練と圧力による水切りによる成形前の部分的ホエーの除去。
 ・レンネットによる凝固と成形の間隔:ホエーの酸化を制限するためレンネットによる凝固後2時間未満の間に成形を実施する。
 ・成形の水切り条件:17~31℃で10時間以上。チーズは数回裏返す。
 ・加塩:レンネットによる凝固後1~4日に行う。これは表面フローラの発生に必要な最小期間である。
 ・乾燥工程と条件:乾燥は加塩と熟成開始の間の工程である。パラメータを制御するため温度条件は10~22℃に指定する。
 ・伝統的方法から逸脱した行為を避けるため、生乳、一部凝固したもの、凝乳、フレッシュチーズの0℃未満での保存を禁止する。
 ・チーズの熟成
  最低熟成期間は、大ポン レヴェックを除きレンネットによる凝固を行った日から18日間、大ポン レヴェックは21日間に設定する。熟成は温度11~19℃で、サイズに応じて最低8~9日間実施される。加塩に続く乾燥工程(温度は10~22℃)後にチーズの温度が下がるようにするため、最大熟成温度は19℃とする。ポン レヴェックは、包装後4~15℃で追加熟成される場合がある。輸送により熟成が中断される前に冷却が必要であるため、最低熟成期間には生産施設と熟成施設の間の輸送時間は含まれない。

〇表示ラベル:
  販売されるチーズには、ラベルの最大文字サイズの3分の2以上の文字で書かれた原産地呼称を含む個別のラベルが貼付されている必要がある。

(3) 農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
  ポン レヴェックの生産地には、バス・ノルマンディ地方の3県(カルヴァドス、マンシュ、オルヌ)の領土の一部とウール県の西縁部が含まれる。この区域は、年間を通じて一定の十分な降雨(700 mm超過)を伴う温帯海洋性気候を享受している。緩やかな起伏のある耕作地帯が広がり、低木で囲われた野原を中心に、密につながった河川、関連する多数の湿地がある。歴史的にこの生産地の農地の大部分を構成してきた草原は、今もなおその大半を占めている。畜産の長い伝統を持つ同地は、ノルマンディ種牛の発祥地である。ノルマンディ種牛は、より生産的なプリムホルスタイン種牛との競争にさらされてはいるが、この生産地に常に存在してきた。その頭数を維持及び増加させることが強く求められている。現在でも乳牛の飼料条件は、飼料の大部分を牧草が占め、年間6ヶ月以上の放牧中に牧草を食べることで特徴づけられている。そのため、酪農家の乳牛1頭当たりの最低草原面積が定義されてきた。さらに、特にとうもろこしに関して、草原の優位性を主張するため、酪農家は家畜に飼料を与える目的で、とうもろこし農園の2倍の草原面積を有する。これら長年の牧草地と酪農の伝統は現在でも引き継がれており、軟質チーズの製造で認識された方法を発展させてきた。この古来の技能は、限られたサイズの凝乳タンクを使用し、レンネットは動物由来のものに限定し、凝乳を極小から中規模のサイズに切り分けるチーズ加工方法によって今も生き続けている。比較的短い熟成期間後に消費されるこのチーズは、既に1622年にノルマンディの作家ヘリ―・コーディエによるポン レヴェックを称えた16編の詩で名声を得ている。この詩には「Tout le monde également l’aime car il est fait avec tant d’art que, jeune ou vieux, il n’est que crème(老若男女を問わず、クリームだけの芸術で作られているので誰もが大好きだ、程の意)」という有名な一説が含まれている。ポン レヴェックを他のチーズから差別化する取り組みの中で、18世紀初頭に木製の型が用いられるようになり、このチーズは徐々に正方形になった。

  生産地の降雨に恵まれた温暖な気候条件は、一年を通じて豊かな牧草が生産されることを意味する。このことによって、牧草を主食とする牛から牛乳を生産することが可能になる。長期にわたり牧草を食べて育った牛に由来する牛乳は、チーズ生産に最適であり、この特異性はノルマンディ種牛の存在により一層強化される。この牧草地と酪農技術とともに発達したチーズ生産技術は、ポン レヴェックの歴史的名声にとって不可欠であった。生産地の熟成期間が極めて短い「軟質チーズ」の生産技術は、極めて長期間にわたって牛乳をチーズの形で保存する必要がある気候的及び地形的制約がないことに極めてよく適合している。その結果、最高品質のまろやかで味わい深いチーズは数世紀にわたり高く評価されてきた。
 
8 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -

お問合せ先

輸出・国際局 知的財産課

担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234
FAX:03-3502-5301