株式会社ねぎしフードサービス

株式会社ねぎしフードサービスは、牛タン、とろろ、麦めし、テールスープの定食をメニューの中心として、東京都と神奈川県に42店舗をチェーン展開し、正社員142名、アルバイト1,700名からなる外食事業者です。
この度、働き方改革の取り組みについて、株式会社ねぎしフードサービス営業部長の内田昌孝さん、ストアサポート担当シニアマネージャーの北村康民さん、池袋東口店店長の蓮沼広則さんにお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。
ストアサポート担当 シニアマネージャー 北村 康民様
池袋東口店店長 蓮沼 広則様
(2019年11月27日 株式会社ねぎしフードサービス本社にて)

営業部長 内田 昌孝様
ストアサポート担当 シニアマネージャー
北村 康民様
池袋東口店店長 蓮沼 広則様
(2019年11月27日 株式会社ねぎしフードサービス本社にて)
「親切な会社」をつくる。
そして、働く仲間の幸せを
大切にする会社をめざす。~
働く仲間の幸せ、人の成長・100年企業の実現

弊社が大切にしているのが、「お客さまにおいしさを お客さまにまごころを ねぎしはお客さまのためにある そしてお客さまの喜びを自分の喜びとして親切と奉仕に努める」という経営理念です。また、「働く仲間の幸せ(人の成長・100年企業)」、「『日本のとろろ文化』と日本の農業に貢献します」、「おいしい味づくりで楽しい街づくり」といったビジョンを掲げ、100年企業の実現を目指し、経営理念・思いを従業員に共有し、自ら考え行動できる自由闊達な風土づくりを行っています。
弊社では、アルバイトを含むすべての従業員の方に、経営理念・思いを理解してもらうため、採用後、直ぐに店舗勤務するのではなく、先ず、本社(サポートオフィス)において3時間の入店前研修を実施しています。また、従業員を対象とし、経営理念の理解度テストを年1回実施するほか、経営理念を改めて考え、自らの働き方を振り返ってもらうため「私と経営理念」という文集を毎年発行しています。

における入店前研修の様子
店長プロジェクト
弊社では、店長自らPDCAサイクルを回しながら参画するプロジェクト活動があります。経営課題の一つである5大商品(「Q:味」、「S:笑顔・元気」、「C:清潔」、「H:親切」、「A:楽しさ」)を高いレベルで提供するため、10のプロジェクトチームを立ち上げています。
店長はいずれかのプロジェクトに参画し、現場の視点を大事にしながら取り組んでおり、前述した文集(私と経営理念)の発行や、後述する取り組みも、このプロジェクトによるものです。
プロジェクトチームと主な役割

働きやすい環境づくり
働きやすい環境づくりのため、従業員満足度アンケートを年1回実施しており、集計・分析結果を従業員に情報開示しています。従業員から寄せられた要望については、うやむやにせず、できないものはできないと回答しますが、できるものは次年度の経営指針書に盛り込んでいます。
また、時間外労働の削減、有給休暇の取得も促進しています。2016年7月から全従業員の労働時間は、タイムカードを活用し、1分単位で管理し、給与を支給しています。2017年から全店舗の従業員の労働時間を本社(サポートオフィス)で集約し、月3回、各店長に共有し、従業員にも周知し、時間外労働の削減や、店舗間の応援協力(ヘルプ)の実施に繋げています。
2016年からは正社員の5連休の取得を推進し、2018年の取得率は60.7%となっています。正社員の公休については、2017年度の96日から2018年度は97日、2019年度は100日と拡充し、さらに2020年度は104日とすることを目指しています。アルバイトの方の有給休暇取得も促進しており、2017年の取得率は11.96%でしたが、2018年には96.6%になっています。アルバイトの方にもワークライフバランスを考慮した働き方を勧めています。
池袋東口店を例にとると、アルバイトの方には、店舗が忙しい土日のどこかに必ずシフトを入れてもらいますが、あくまで学業や家事、育児などを優先してもらっています。この考え方は、採用面接の際も伝えますが、入店後も常日頃から店長が直接面談で伝えています。働きやすい職場であれば、口コミが広がり採用もしやすくなる効果もあります。店長自身も、家庭の行事の際には、必ず休暇を取り、ライフステージに合った働き方を確立しています。
なお、アルバイトが集まりにくい店舗では、店舗間の応援協力(ヘルプ)が必要となりますが、経営戦略上、弊社の店舗は全て本社(サポートオフィス)のある新宿から30分圏内に立地しており、適時適切な応援協力が可能です。
多能工化の推進
サービスの品質を維持しつつ、時間外労働の削減を実現するためには、従業員の多能工化も必要です。「100ステッププログラム」というカリキュラムを構築し、正社員やアルバイト、年齢・性別に関わらず、店長になるまでに身に付けるべき100項目のスキルを明示することにより、従業員が達成していることや、次に取り組むべきことを見える化しています。
お客さまの喜びと
満足の見える化
お客さまの喜びと満足を見える化するため、「常設アンケートはがき」を各店舗の全テーブルに設置し、毎月約2,000通のお客様の声をいただいています。アンケートでは、お客様に「本日輝いていたスタッフ」を回答いただき、毎月、名前を書かれた従業員約500人を「親切賞」として、そして半期・年間の集計結果で「親切大賞」として表彰しています。お客様から直接名前とお褒めの言葉を書かれることによって、「おもてなし」精神を讃えて表彰するものです。
また、アンケートでは、弊社の5大商品である「味」、「笑顔・元気」、「清潔」、「親切」、「楽しさ」を5段階評価していただき、店舗別総合満足度一覧として社内で公表しています。なお、お客さまからの改善のご指摘については、「お宝レポート」と呼び、大切に保管し、すぐにお客さまの声をもとに業務の改善に繋げる取り組みを行っています。こうしたことでお客さまの喜びを自分の喜びとして感じてもらっています。

各種コンテスト
弊社には、品質、サービス、衛生の観点から複数の認定制度やコンテストがあります。
サービスを評価する「接客ロールプレイングコンテスト」については、年2回開催し、前期は女性社員及びアルバイトの方のコンテストを、後期は店長のコンテストを実施しています。なお、店長のコンテストの審査員は、前期のアルバイトの方のコンテストの入賞者です。
店舗の綺麗さを評価するクレンリネスコンテストは年2回開催し、全店長同士で審査を行います。各店舗ではクレンリネスコンテストの入賞を目指し、PDCAサイクルを回すので、店長のリーダーシップ力とチーム力が養われます。
また、各店舗の焼き場担当者は、社内の「焼士認定」を取得した専門スタッフに限定していますが、「焼士認定」は難易度が高く、2016年度9名、2017年度4名、2018年度10名のみの認定となっており、何度も落ちる人も珍しくありません。しかし、これが品質の維持・向上や、従業員のモチベーション向上に繋がっていると考えています。

改革改善ケーススタディの共有
月1回、毎月第2水曜日の午前中に全正社員を参集した改革改善全体会議を開催し、店舗で半年間取り組んだ様々な改善活動をケーススタディ(改善事例報告)として発表・共有しています。
発表したケーススタディは点数化され、一年間で上位6店舗がノミネートされ、年度最終月に再度発表し年間上位3位を決定します。発表内容の検討や取り組み、そして資料の作成は、アルバイトも含め店舗メンバー全員で行っているため、各店舗のチーム力を競う場となっています。
労働災害の防止
従業員が安全に安心して働けるよう、例えば、これまでスープを入れた大きな寸胴を持ち運んだりする際に火傷が発生していたため、持ち運び不要で自動でスープが出てくる機械を導入したり、重いもの・高い所のものを減らすなどの工夫を行っています。また、全店舗の図面を取り寄せ、リスクアセスメントを行い、危険予知図を作成するほか、労働事故が発生した場合は、店舗から本社に速報し、各店舗に注意喚起する体制をとっています。
今後
少子高齢化により人材確保が大きな課題となっている昨今、また、離職率が高い外食産業ですが、働き手に選ばれる企業であり続けたいと考えています。一方、人材確保のためには、従業員の口コミも非常に重要なツールであり、従業員に弊社で働いて良かったと思ってもらえることが重要です。「働きやすい職場づくり」、「人を育てること」だけでなく、「人を育てる人を育てていくこと」、「育てたことを評価すること」を重視していきたいと考えています。
そして、従業員同士でコミュニケーションを取れる環境も重要であると考えています。
インタビューのご協力
ありがとうございました。
お問合せ先
食料産業局企画課
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