議事録
平成:16年7月28日
会場:農水省4階第2特別会議室
時間:9時58分~12時18分
- 開会
- 農村振興局長あいさつ
- 議題
(1)現行対策の検証及び課題の整理等について
(2)その他 - 閉会
(午前 9時58分 開会)
中山間地域振興室長
それでは、定刻になりましたので、ただいまから中山間地域等総合対策検討会を始めさせていただきます。
私、中山間地域振興室長の水間でございます。よろしくお願いします。
本日は、第7回目の会合となります。
それでは座長、よろしくお願いいたします。
佐藤座長
おはようございます。
それでは、第18回中山間地域等総合対策検討会を開催いたします。
今日も、12時には終わりたいと思いますので、検討会の進行の方、よろしくご協力をお願いいたします。
本日は守友委員がご欠席ですが、あとの委員はご出席いただいております。なお、既に16回の検討会の議事録は、例のように農林水産省のホームページに掲載されております。あわせて、そのときの資料も掲載されておりますので、時間があったらご覧いただければと思います。
それでは、始めに、農村振興局長よりご挨拶をお願いします。よろしくお願いします。
農村振興局長
おはようございます。農村振興局長の川村でございます。
本日はお暑い中またお忙しい中、この検討会にお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。中山間地域の直接支払の来年度以降の取り扱いということでご検討お願いしてから、今日で7回目ということでございます。本日は、この検証と課題の整理の素案ということでご議論いただくということを承知をいたしておるところでございます。
来年度以降の取り扱いにつきましては、8月末が省としての予算の原案を出すタイムスケジュールになっておりまして、実質的にはお盆の頃までに作業をしていくという段取りになっております。本日こういう形でご議論いただきまして、またその内容を踏まえまして、来週にでも、今度は与党の方の手続ということで検討状況等をご説明をしたいと思っておるところでございます。
我々としましても、こういった非常に重要な予算制度であるというふうに思っておりますので、先生方のご意見を十分踏まえて、来年度以降の対応について遺憾のないようにしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
本日は、どうもご苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
それでは早速本題に入りたいと思いますが、まずその前に事務局から資料の確認をお願いいたします。
中山間地域振興室長
資料につきましては1点でございます。中山間地域等直接支払制度の検証と課題の整理、取りまとめということで、座長の方から素案を提出していただいております。 それから、参考資料としまして、今まで使っておりますけれども、過去の検討会の資料と、抜粋としてご参考までにつけております。
以上です。
佐藤座長
ご確認いただいて、ございますでしょうか。
それでは、議題の1に入りたいと思います。
前回、第17回の折に、今までの議論を取りまとめるという形で素案を提出する、それを踏まえてまとめる方向で議論をしたいと申し上げたと思いますが、今までのこの委員会でのご意見等々踏まえて、事務局のご協力いただきまして取りまとめたのが、今日ここにございます制度の検証と課題の整理ということでの素案でございます。これに沿ってご議論いただいて、もう一度ぐらい時間的な余裕があれば、最終的な詰めを行いたいと思っておりますので、今日は全体的な内容について、逐一ご検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
この素案をまとめるに当たりましては、今までの委員のご意見を踏まえつつも、できるだけ事実を淡々と記載する、客観的に記載するということ、それから検証に際しては、可能なものは数量化をして明らかにすることを、基本にまとめてみましたので、それを踏まえてご議論いただければと思います。
それでは、まず順を追って進めたいと思いますが、まず表紙を開いていただきますと、IからVIというふうに6つに分かれて構成されておりますが、それについて一つずつ順次進めていただきたいと思います。その前に全体にわたって事務局の方から、この資料についてご説明をいただきます。よろしくお願いします。
地域振興課長
それでは座長素案につきまして、簡単にご報告を申し上げたいと思います。
まず、目次の方がございますが、1枚めくると、1ページで「はじめに」ということで、これまでの経緯が書いてございます。
2ページ、ローマ数字のII「中山間地域等の状況」ということで、要旨として「中山間地域等の自然的・経済的・社会的条件の不利性は、本制度発足以降において、ほとんど変化していない」と、事実関係を淡々と記述してございます。
4ページからは本論でございます「制度の効果の検証とその評価」になります。これについて少し長くなりますが、ご報告申し上げたいと思います。
IIIでございますが、「本制度は、耕作放棄地の増加等による多面的機能の低下が特に懸念されている中山間地域等において、適切な農業生産活動等が継続されるよう、農業生産条件の不利を補正するための支援として実施しているものである。本制度の効果の検証・評価に当たっては、本制度の直接的な効果である1.農業生産活動等の継続による耕作放棄地の発生防止の観点、2.水源かん養機能、洪水防止機能等の国土保全に資する活動や、景観作物の作付けや都市住民との交流活動などより積極的な活動等によって発生する多面的機能の維持増進の観点からの検証・評価を行った。その上で、3.本制度の長期的な目標である自律的かつ継続的な農業生産活動などの確立に向けた取組みの観点、4.本制度の実施により効果的的に発生した集落機能活性化の観点からの検証・評価を行った」ということで、4つの観点からの評価を行ったということを記述してございます。
第1の1「耕作放棄の発生防止」でございます。
まず要旨といたしまして、(1)「3万4千の集落協定等が締結され、66万2千haの農用地において農業生産活動等が継続的に行われ、道路や水路等の共同管理の充実や整備等の多様な取り組みが行われた。また、既耕作放棄地の復旧や、復旧農用地を活用した取組、さらに集落協定の締結に当たっての農振農用地区域への編入などが見られた」。
(2)でございますが、「本制度により耕作放棄の防止・復旧等の効果があったと考えられる。他方、本制度による耕作放棄発生防止に関する推計を用いた耕作放棄地の復旧費用の試算額が5年間の交付額を下回っていること、また、その一方で本制度による効果は、耕作放棄の発生防止だけではないことにも留意が必要」だという評価を下しているところでございます。
重複になりますが、(1)検証について、数字などのことを申し上げます。
(1)の検証の中の、段落では2段落目でございますが、「全集落協定を対象とした調査結果によれば、耕作放棄の防止に向けた農地の法面や水路・農道等の管理活動について、「協定締結を契機に活発に行われるようになった」との回答が57%あり、また、「水路・農道等の管理に係る共同作業の回数」も平均で1.6回から3.2回へと約2倍に増えている」というような事実経過が見られました。
また、段落変わりますが、「集落協定においては、454haの既耕作放棄地を復旧することが位置付けられ、これまでに334haが復旧された」という事実もございます。
また、段落変わりますが、「集落協定の締結を通じて、平成15年度までに609市町村において1万2千haが農振農用地区域内に編入されたが、これは、全国の農振農用地の平成12年度から15年度までの編入面積2万3千haの約5割を占めている。一部の市町村において、本制度の実施を契機として、将来にわたって守るべき農用地についての見直しが行われたものと見られる。本制度による5年間の耕作放棄の発生防止に関する試算によれば、約1万3千~3万haの防止効果と推計される。また、仮に当該面積がいったん耕作放棄された後、改めて農地に復旧する場合に要する場合は、806~1,860億円程度と試算される」ものでございます。
次に、(2)の評価でございます。
「本制度により、66万2千haの農用地において農業生産活動等が実施されるとともに、水路や農道の共同管理の充実や鳥獣被害対策への取組み等の多様な協定活動が行われており、耕作放棄の発生防止・復旧等の効果が生じている。
他方で、本制度による耕作放棄発生防止に関する推計に基づく、発生が防止されたとみなされる耕作放棄地の復旧費用の試算額が5年間の交付額(約2,550億円)を下回っているとの結果が得られていることに留意する必要があります。但し、本制度の実施により耕作放棄の発生防止の効果以外にも、共同取組活動による農道・水路の整備や管理水準の向上、農作業受委託の増加などの定量的な効果、耕作放棄の発生の防止によって確保される多面的機能や集落機能の活性化等の定量化が出来ない他の効果が見られることにも留意する必要」がございます。
1枚めくっていただきますと、ちょっと試算の内訳でございますが、耕作放棄の発生防止に関する試算を行っております。試算の条件では、農業センサスにおける平成7年から平成12年までの経営耕地面積及び耕作放棄地面積の増減率を用いまして、平成17年の経営耕地面積及び耕作放棄地面積を推計し、また本制度の交付対象面積においては、耕作放棄地が発生していないという事実から、本制度による耕作放棄の発生防止面積を推計したものでございます。
試算の結果によりますと、平成12年から平成17年までの間に、経営耕地面積においては、約3万haの減少が防止されたと推計される。また、耕作放棄面積においては、1万3千haが防止されたと推計される。以上により、約1万3千~3万haの防止効果が推計されるものでございます。
ここで、経営耕地面積と耕作放棄面積、2通りをとっておりますが、1枚めくっていただきますと、7ページでございますが、耕作放棄地の定義ということで、農林業センサスにおける耕作放棄地というのは、原野化した土地は除くという条件がございまして、いわゆる経営耕地面積の減少率を使って、対象の農地と非対象農地の比較をするというのが最も分かりやすい考え方だろうというふうに思いますという委員のご発言もありましたので、経営耕地面積ベースによる耕作放棄地の発生の推計と、耕作放棄地面積による推計の2通りをさせていただいたものでございます。
7ページの「耕作放棄の発生防止に係る経済的評価に関する試算」のところを見ていただきますと、試算の条件といたしまして「耕作放棄地の復旧に要する経費」及び「耕作放棄の発生防止が図られた農用地における生産農業所得額」の経済的評価(貨幣化)を試算いたしました。ただし、本制度以外による効果といたしまして、「ア)共同取組活動による共同機械の購入や農道・水路の整備」、「イ)協定締結を契機に農道・水路等の管理に係る共同作業の回数が約2倍に増加等」、「ウ)農作業の受委託面積の増加、認定農業者の増加、新規就農者の参入」、「エ)集落営農組織の育成」、「オ)耕作放棄が抑制されることによって、その農用地において農業を営まれることによって生じる多面的機能」など、経済的評価が難しいものがございますので、それについては試算から除いております。
試算の結果では、いわゆる耕作放棄の発生防止面積を、1万3千~3万ha、5年間といたしまして算出いたしましたところ、ア)耕作放棄の復旧に要する経費といたしまして、5年間で806億円から1,860億円の効果が見られると。また、イ)耕作放棄の発生防止が図られた農用地における生産農業所得といたしまして、161億~372億円の効果が見られたという試算が出たものでございます。
1枚めくっていただきますと、8ページでございますが、検証・評価の観点でございます「多面的機能の維持・増進」についてご報告申し上げます。
まず(1)検証でございますが、「本制度の実施により、農業生産活動等の継続的な実施による多面的機能の維持と併せて、1.農用地と一体となった周辺林地の管理等による国土保全機能の増進、2.景観作物の作付けや体験農園等による保健休養機能の増進やビオトープの確保等自然生態系への保全など集落の実態に合った多面的機能の増進が図られていた」。
(2)評価でございますが、「本制度による多面的機能の維持・増進について広く国民の理解を得るためには、営農と一体的な活動である「国土保全機能」を高める取組の他に、「保健休養機能」を高める取組や「自然生態系の保全」に資する取組をより一層積極的に行うことも重要である」という評価でございます。
数字的なもの、(1)の検証でございますが、検証の3段落目にございますが、「調査結果においては」というところでございます。「調査結果においては、協定締結を契機に活発に行われるようになった取組として、1.「国土保全機能を高める取組」、2.「保健休養機能を高める取組」、3.「自然生態系の保全に資する取組」を回答した集落協定が、それぞれ48%、37%、17%あり、多面的機能の増進が図られている」のが見られたところでございます。
(2)評価に移らさせていただきますが、「以上から、本制度は、多面的機能の増進につながる取組の促進に一定の効果があったと評価できる。但し、本制度による多面的機能の維持・増進について広く国民の理解を得るためには、営農と一体的な活動であり比較的活発に行われている「国土保全機能」を高める取組の他に、「保健休養機能」を高める取組や「自然生態系の保全」に資する取組をより一層積極的に行うことも重要である」という評価を行っているところでございます。
1枚めくっていただきますと、9ページでございますが、これは委員のご発言でございますが、「調査結果において、周辺林地の管理等国土保全機能を高める取組について、協定締結前から活発に行われているというのが驚くほど少ない」と。最後でございますが、「この部分は積極的活動の一貫として私は評価できるのではないかと思っています」という委員のご発言を引用させていただいているところでございます。
10ページに移らせていただきますと、今度は第3の評価・観点でございます「将来に向けた農業生産活動等の継続的な実施」の観点でございます。
要旨でございますが、検証の1でございます。「意思決定システム、地域資源管理システム、営農システムの変化など継続的な農業生産活動の体制整備等に向けた取組に動きが見られ、また、集落営農組織の育成、認定農業者数の増加、新規就農者の確保、農用地の利用権設定面積の増加も見られた」。
(2)評価でございますが、「集落レベル及び全国レベルで見ると、自律的な農業生産活動等に向けた取組の動きが見られているが、将来にわたって継続できる見通しが描かれていない状況にあると評価される。このため、集落の自律的な発展を図る観点からは、集落の将来像の明確化と持続的な農業生産活動体制等の実現を進めるための具体的な活動等について、集落の合意形成の下に明らかにする取組が求められる。また、協定面積規模が大きいほど集落協定活動が活発化している傾向があることから、集落協定間の連携等を推進することが効果的であると考えられる」という検証・評価の要旨でございます。
(1)検証でございますが、これにつきましては数字的なものがございますので、ちょっと長くなりますが、少しご報告申し上げます。
(1)検証、調査結果によりますと、意思決定システムや地域資源管理システム、営農システムの、いずれかのシステムに変化が見られる協定は、全集落協定の約9割となっているという事実がございました。
次の段落でございますが、「また」でございますが、「1.現在までに5,539協定において集落営農組織が育成され、2.認定農業者数は協定締結前後において約8千人増加し、新規就農者は約4千人確保され、4.農用地の利用権設定面積は約1万4千ha増加していること等の効果」も見られました。「さらに、協定締結を契機に、各集落がどの程度農業生産活動等の継続に向けた取組等をステップアップさせたかについて、調査結果に基づく試算によると、1.農業生産活動等の継続に向けた取組がほとんど不活発であると考えられる集団が、協定締結前は46%であったのに対し、協定締結後は3%に大きく減少」しました。また「2.農業生産活動等の継続に向けた取組が活発になったと考えられる集落は、協定締結前は6%であったのに対し、協定締結後は37%に増加」しております。「全体的にステップアップが前進している様子」が見られました。
次に、めくっていただきますと、「さらに、集落協定の面積規模別に、集落協定における生産性・収益の向上や担い手の定着等を目標とした取組状況を見ると、協定規模が大きくなるほど各種活動を協定に位置づける割合が高く、ステップアップと協定面積との関係をみると、ステップアップが大きい集落協定ほど、面積規模が大きい割合が多くなる関係」が見られました。「なお、ステップアップに関して、都道府県の評価結果において、1.自主的なマスタープランを有していた集落協定では、交付金が効果的に活用されていること、また、共同取組活動の質の向上を図るためには、自主的かつ具体的な活動目標の設定が必要であること等、集落マスタープランの必要性」が挙げられていました。
(2)評価でございます。「本制度は対症療法的に耕作放棄を防止するという短期的、防御的施策に止まるのではなく、持続的な農業生産を確保するという観点から、他の施策との連携を図りつつ、生産性向上や担い手の定着等に向けた取組を積極的に推進する施策であるべきである。本制度の実施により、農業機械や施設の共同利用・共同作業の推進等による生産性・収益の向上、担い手の定着等に向けた取組が進展し、総体として将来に向けた農業生産活動等の継続のための集落のステップアップが漸進している。しかし、その内訳をみると、農作業受託組織の設立など将来に向けた農業生産活動等の継続のための取組が行われるようになっているのは一部の集落協定であり、多くの集落協定では農業生産活動等の継続に向けた取り組みに動きが見られる程度のものとなっている。また、農業生産活動等の5年間継続という交付金の基本的要件は達成したものの、将来に向けて継続していくための軌道に乗り切れない集落協定も存在し、今後、過疎化・高齢化が進展する中で、これらの集落における農業生産活動等をどのように位置付けていくかが課題である。以上のように、集落レベル及び全国レベルで見ると、自律的な農業生産活動に向けた取組の動きが見られているが、将来にわたって継続できる見通しは描かれていない状況にあると言える。このため、集落ごとの実態を踏まえつつ、自律的な活性化を図る観点からは、集落の将来像の明確化とその実現を図るための生産性の向上、担い手の定着に向けた取組等、具体的な活動等について、集落の合意形成を推進し、これを各集落においてマスタープランのようなものによって明らかにする取組が求められると考えられる。また、協定面積規模が大きいほど集落協定活動が活発化している傾向があることから、集落協定間の連携等を推進することが効果的であると考えられる」というものでございます。
12ページには、システムの変化の状況についてのグラフがございます。
また、13ページは、集落の農業生産活動の継続に向けたステップアップについて試算をしたものがございますが、ちょっと省略させていただきます。 14ページでございます。14ページは、第4の観点でございますが、「集落機能の活性化」でございます。
まず要旨でございますが、集落における若者や女性も含めた話し合いの活発化、集落としての一体感の強まり等が確保され、自分達の集落は自分達で守ろうとの意識が高まり、集落機能の回復・向上が見られた。また、対象農用地を持たない農家、非農家の参加、及びNPO法人、都市住民等の将来の農業生産活動を見据えた多様な担い手等、地域内外を通じた者との連携も見られた」というのが要旨でございます。
(1)検証でございますが、調査結果によりますと、「話し合い活動への世帯主以外(女性や若者等)の参加」は、契約締結を契機に活発になったとする集落協定が約4割ございました。また、「水路・農道等の管理に係る共同作業の回数」も、平均で1.6回から3.2回へと約2倍に増えております。
段落が変わりまして、「一部の集落協定では、対象農用地を持たない農業者や非農家の参加や、地域の活性化や農用地の保全活動の補完のためのボランティアとの連携、NPO法人や都市住民等の地域外からの支援、将来の農業生産活動を見据えた担い手との連携、土地改良区等との連携等、地域の実情を踏まえた多様な取り組みが芽生えて」きました。
(2)評価でございます。「集落機能の活性化については、適切な農業生産活動を通じて、耕作放棄の発生を防止し、国土保全などの多面的機能の維持・増進を図るという本制度の実施により結果的に発生した効果として評価することが適当と考えられる。都道府県においても、「多面的機能を増進する活動を通じて、地域住民が集落活動の必要性を再認識した」、「集落の将来についての前向きな話し合いが増加した」、「農村社会の形成に必要なコミュニティが再構築された」等の評価がなされるとともに、関係団体からも「農地、農業資源の保全という地域農業全体の共通の課題の解決に自らが取り組むことを促すことで、自分たちの集落は自分たちで守ろうとの地域の主体性を高めて、様々な地域活動の活発化に繋がっている」、「集落協定を締結するための話し合いが、自らが地域の将来を考えるよい契機になった」との意見が出されるなど、集落協定の締結やそれに基づく活動を通じて、集落コミュニティの再構築や集落機能の活性化等の効果が生じている」という評価をしております。
1枚めくっていただきまして、今度は15ページでございますが、以上の4つの観点からの検証・評価を考えまして、5といたしまして「制度の全体的な評価」をしております。「本制度の実施により、耕作放棄の発生が防止され、多面的機能の維持・増進が図られるとともに、将来に向けた農業生産活動等の継続への動きも見られている。しかしながら、農作業の受託組織の設立など、将来に向けた農業生産活動等の継続のための取り組みは一部の集落協定にとどまっており、総体としては、自律的に農業生産活動等を継続できる状況には至っていないと考えられ、将来に向けた担い手の育成等による農業生産活動等の継続のための取組に重点を置くことが必要である」という全体的な評価をしておるところでございます。
以下、16ページからは、今度は各論に入ります。
ローマ数字のIV「制度の基本的な枠組みの検証とその評価」でございます。
まず、ここについては少し簡単にご報告申し上げたいと思います。
1「対象地域及び対象農用地」でございます。検証もございますが、(2)評価でございますが、本制度の対象となる地域についてでございますが、結論的には、適切に機能していると評価できるということでございます。また、1haの団地要件に関する「営農上の一体性」の要件の適用状況を見ますと、地域によってばらつきがあることから、制度の適正・円滑な普及を図る観点より、この考え方の明確化と他の地域における先進的な事例の情報提供が必要であるという評価をしております。
2「協定期間」でございます。検証もございますが、評価のところでございますが、一番最後、「5年以上を対象期間としたことは適当であったと考えられる」という評価をしております。
1枚めくっていただきますと、17ページ、3「交付の仕組み」でございます。検証もございますが、評価のところでございますが、交付の仕組み全体については「妥当なものと評価できる」ということを評価しております。一方、交付金の活用方法については、「将来に向けた農業生産活動等の継続のための取組を促進する観点において、十分留意する必要がある」という評価を加えているところでございます。
4「個別協定」でございますが、検証もございますが、評価のところの最後の段落でございますが、「検証の結果、認定農業者等での個別協定の締結が広く見られ、また、認定農業者や農業生産法人等の規模拡大にも役立っていると評価される」という評価をしております。
18ページ、5でございます、「その他」でございますが、交付金の遡及返還、限界的農用地等への対応等でございます。検証もございますが、(2)の評価のところをご報告申し上げます。
「協定締結農用地の一部でも転用した場合は、集落協定等の全ての対象の対象農用地に遡及返還義務が発生する現行制度の仕組みは、耕作放棄の発生防止に効果を上げていると評価できる。限界的集落については、他の集落協定のリーダーとなり得る担い手との連携等も一つの選択肢であると考えられる。また、限界的集落内の農用地や限界的農地、耕作放棄地等については、今後とも維持すべき農用地であるか否かを再検討し、適宜、林地化等を推進する必要がある。なお、以上のほか、活性化の適正かつ円滑な普及を推進する観点から、引き続き明確かつ客観的な基準の下で透明性を確保しつつ、地域の特性に配慮した制度の運営を図っていくことが必要である」という評価でございます。
以上が、個別・各論における検証と評価でございます。少し検証を省略してご説明申し上げました。
ローマ数字のV、「他の政策との関係」でございます。本委員会におきましても、他の施策との関係に触れられたご意見多数出ましたが、そこで少し簡単な要約をしてございます。
まず1といたしまして、「食料・農業・農村基本計画の見直しに係る他の政策との整合性にも十分留意していく必要がある」。2といたしまして「中山間地域等は多様な問題を抱えており、本制度を含め各種中山間地域対策の効果を一層高めるよう、地域の実情に応じた本制度と他の施策との有機的な連携を推進し、中山間地域等の総合的な振興を図ることが重要である」というものでございます。
19ページ、最後「おわりに」でございます。「本制度は、自然的・経済的・社会的条件が不利な地域である中山間地域等の農業生産活動を継続させることにより、中山間地域等の多面的機能を確保するため、国と地方公共団体の密接な連携の下に実施してきたものであり、また、直接支払いという農政史上初の手法として我が国で導入されたものである。本検討会での検討結果をもとに、本制度による効果を踏まえた検討を行っていくことが期待される」という形の終わりで締めさせていただいているところでございます。
以上、素案につきましてご報告したものでございます。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
それでは、内容について議論に入る前に、ただいまのご説明全体についてご質問あったら、まず受けたいと思います。いかがでしょうか。
柏委員
技術的な質問でいいですか。
佐藤座長
はい。お願いします。
柏委員
耕作放棄が防がれたことによって、それがどれだけの価値を守ったかということを、復旧費用で表していますね。これは、それが失われた場合の多面的機能の金銭的評価で出来るのではないか。手法の蓄積はあり、例えば農業工学研究所が、この前、日本の農業全体で37兆円という数字を出しましたし、棚田ということで考えていけば、ある程度推計値みたいなものが出てくる。こうした推計も行えば、かなり数字も変わってくるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
佐藤座長
それに関しては後ほど具体的なところで、またご議論いただきたいと思います。
ほかによろしいですか。
では、内容の議論に入りたいと思いますが、今ご説明いただいておわかりのように、各項目ごとにそれの要旨をまず枠で囲って書いてあり、そしてそれに沿って検証それから評価。ところどころに、コラム的に検証ないし評価を補足するような情報を入れているという形で取りまとめております。
まず1と2、「はじめに」と、それから「中山間地域等の状況」について、ご議論いただきたいと思いますが、どなたでも結構ですので、ご意見いただきたいと思います。
「はじめに」は特によろしいですね。
お願いいたします。
野中特別委員
「はじめに」のところは今、座長が言われたようにあまり重要でないのかもしれませんけれども、一つちょっと気になりますのは、この検討会は、都道府県の評価等を踏まえてやるということになっているわけですね。各都道府県からいただいた評価について、総体的にどうだったかというのをどこかで触れる必要があるんじゃないのかと。個別の項目の中で県はこうしたとかありますけれども、全体として前向きの評価であったとか、あるいはこういうことが特に問題になったとか、何か県の評価を踏まえる以上は、それは全体的にどうだったというのは、この「はじめに」かどこかの中で―「はじめに」じゃなくてもいいかもしれませんけれども、何かどこかで触れて、それが落ちているような気がいたしますが、いかがでしょうか。
佐藤座長
はい、ありがとうございます。
それだけ特に取り出して、触れておきなさいということですね。この中では、ところどころに入り込んでいる形なんですが、むしろ都道府県の評価という形でまとめてどこかに書きなさいというご意見。
野中特別委員
中にあるのを全部抜き出してまとめろということではないんですけれども、全体としてどういう評価だったというのは、一応どこかで言及しておく必要があるんじゃないか。つまり「はじめに」の中の数行でもいいし、という意味です。
佐藤座長
わかりました。どうでしょうか。
はい、どうぞ。
柏委員
前回も申し上げた点なんですけれども、要旨のところで「自然的」という表現に、やはり違和感を覚えます。これは「農業生産条件」という形に言い換えた方がいいいのではないか。
佐藤座長
何ページですか。
柏委員
2ページの要旨のところです。
佐藤座長
ちょっと待ってください。野中委員の意見について、どういうふうに取り扱いをしたらよろしいかというご意見を伺います。おさまりとしては「はじめに」の中で数行、都道府県の評価結果を書き込むという形にさせていただきましょうか。はい、どうもありがとうございます。
では、どうぞ。
柏委員
繰り返しになりますけれども、この「自然的」というのは、これによって、例えば農道をつくるとか、交付金を利用して、例えば自力田直しをやっていくとか、そういったことを含めて農業条件の改善の余地があるのですが、こうした意味で「農業生産条件の不利性」というような、言い方にすべきではないか、自然的不利性自体は変わりませんから「農業生産条件」というふうに翻訳した形での不利性という形であれば理解できると思います。
佐藤座長
確かに、ここのところはそういう意味で非常におかしな表現にとれなくもないのですが、ただ制度設計上、この「自然的・経済的・社会的条件の不利性」を補完するための直接支払制度を取り入れたという、一連のこういう流れがあるから、そのままこれを「不利性」ということを入れて、そこには変化はないという表現だと思うんですね。そこを置きかえてしまうと、むしろこの制度のそもそもの前提のところが、ちょっとあいまいになってしまいます。
柏委員
その前提は「不変的な自然的格差」のはず。人間の力ではなかなかどうにもならない傾斜を始めとする様々な不変的不利性。
佐藤座長
そういうものへの不利性。
柏委員
現実には「不変的な自然的格差」というものも交付金によって、いろいろな形で農業生産条件として今述べたようにある程度は緩和していくことができるわけですが。しかしながら自然的条件の格差自体がなくなってしまえば、これは条件不利地でなくなってしまう。
佐藤座長
いや……何か意見ありますか。
はい、どうぞ。
松田委員
私は、この「自然的」はこれで、良いんじゃないかなと思うんですね。歴史学や人類学の議論になると思うんですけれども、「自然とは何か」という話になって、農業で対象にしている自然は、どっちみち人間の手は加わっているわけです。人の手が加わっていくわけですから、そういう含意で、柏先生のおっしゃるような自然も、人の手が加わる川のような自然も含めて「自然的」と理解してよいのではないでしょうか。そうしないと、座長のおっしゃるように、いろいろ元に戻って大変なのではないかと思うんです。
佐藤座長
この後の議題、どうもありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。IIの「中山間地域等の状況」でございますけれども。
はい、お願いします。
野中特別委員
不利性が変化していないという表現もあるんですけれども、一般的に中山間地域はどんどん条件が厳しくなっているはずなんですよね。変化していないという認識で、現地の中山間地域の皆さんの認識と一致しているのかどうか、私は社会的条件なんかはますます厳しくなっているんじゃないかという気もするんですけれども、どうなんでしょうか。
佐藤座長
いかがですか。現状認識として。変わっていない。むしろ、もう少し厳しい方向に変わっているんじゃないかとのご指摘です。
お願いします。
清水特別委員
要旨にあります「経済的条件の不利性」は都市の産業などに押されてきていて、今までは、比較的条件のいいのところでも経済的条件の不利性が発生しているので、中山間地域全体では大変厳しい状態になっていると思います。
佐藤座長
はい、そういうご意見です。
はい、お願いします。
内藤委員
先ほど「自然的」という話が出たんですが、今、中山間地の基盤整備ができまして、そういう面では農業をするという条件においては、以前よりは私の方はよくなったんではないかと思っております。
佐藤座長
はい、どうもありがとうございました。
いかがですか。経済的にはむしろ、あるいは社会的には厳しくなったんではないかというご意見、あるいはむしろ土地改良が進んで、生産基盤はよくなっているから変化していないという、これでいいんじゃないかというご意見。両方のご意見入れるとしたらどういう表現がいいですか。両方のご意見入れて、どういう表現を……
服部委員
多分「変化していない」というのに抵抗感があるんじゃないかなと思うから、ほとんど不利性は―ちょっとうまい言葉見つかりませんけれども「緩和されていない」とか、そういう、ちょっと別の表現に変えればいいじゃないでしょうか。「緩和されいない」とか、うまい表現見つかりません、「改善されていない」とか。
佐藤座長
なるほど。「不利性は改善されていない」。
はい、どうぞ。
内藤委員
服部先生がおっしゃったんですが、「全体として」とか何か入れると何か、いい具合になるんじゃないかと思います。
佐藤座長
はい。
これは客観的な状況を記述しているので、「改善」とかという言葉は余り向いていないのかもしれないので、「全体としてほとんど変化していない」というくらいですかね。「不利性は緩和していない」。ちょっと、ここの表現は、また次回までに検討させていただくということでよろしいですか。野中委員、それでよろしいですか。
野中特別委員
はい。
佐藤座長
ほかにいかがでしょうか。なければ、では3に移ってよろしいですか。
では3、「制度の効果の検証とその評価」を1項目ずつ進めたいと思います。
まず1「耕作放棄の発生防止」。あるいはその前書きも含めて結構ですが、お願いいたします。
先程の柏委員のご意見をもう一度ご説明いただいていいですか。
柏委員
要旨の2のところに耕作放棄防止効果があったとあります。それの金銭評価をするのに、復旧費用で出しています。それで5年間の交付金額2,500億円ですから、それを下回っているという、ちょっとネガティブな書き方をされています。この算出に関してはやはり維持された、もしくは復旧されたことに伴う多面的機能の維持分を金銭評価するのが筋道だと思う。その算出方法は必ずしも、技術的に十分ではないですけれども、かなり手法的には開発されており、実際いろいろな算出がされてきた。こうした金銭評価もやってみるべきではないか。その結果によってはちょっとまたニュアンスが変ってくる、あるいはひょっとすると上回るかもしれないし、その辺を教えていただければと思います。
佐藤座長
ここはB/Cに係わる部分ですが、ここの書き方としてはできるだけ禁欲的に、きちんとした方がいいかなということで、これはどちらかというと物理的にきちんと把握できるもので計算してこうですよと。だから、Cに関してBは少し小さいけれども、それ以外の定量化できない、おっしゃるような多面的な効果とか多々あるけれども、明らかなところだけ計算してみましたということです。
柏委員
ただ算出の論理からすると、復旧費用というよりも、やはり守られた、あるいは生み出された多面的価値という物を算出することは筋だと思う。復旧に関する費用、これは手堅い算出方法だが、擬制計算にすぎない。
佐藤座長
耕作放棄がされなかった。その部分は……
柏委員
ここでは変化文について議論しているはず。
佐藤座長
いや、耕作放棄―このことによって耕作放棄がとどめられた。
柏委員
そう、止められた。制度無かりせば……
佐藤座長
もし無かりせば、耕作放棄されていますよ。
柏委員
そう。されています。それによって、それだけの多面的機能が失われたはず。
佐藤座長
いや、耕作放棄されて農地が失われていますよ。それは今ある農地までに維持するためには、これだけ復旧しなきゃいけないコストはどうですかということです。
柏委員
そうなると、議論の内容が違ってくると思うんですよ。
佐藤座長
耕作放棄の防止というのは、この直接的な制度のターゲットですよね。多面的機能の発揮じゃないですよね。
柏委員
多面的機能を守るために、耕作放棄を抑止するわけでしょう。抑止された多面的機能の額はこれくらいですよということを出すのは、わかりやすいんじゃないでしょうか。
佐藤座長
その辺、事務局何かありますか。この計算。
中山間地域振興室長
まず形式的に言えば、この耕作放棄の発生防止のところで書いているということで、耕作放棄の効果を試算してみたということがあります。
それから、多面的機能のお話も当然効果はあると思うので、ちょっと我々の事務的な方で、事務方の方でちょっと議論してみたんですけれども、いろいろな、今までの学術会議とか、いろいろなところで試算というのはされているようですけれども、我々の場合、耕作放棄ですから、非常に点在して、モザイク状に発生するようなところの試算を今やっているわけで、例えば学術会議等のところの数字を使ってやるのは、ちょっとモザイク状のところとの比較で単純にいくのかなという気もしまして、ちょっと躊躇はありますけれども。
柏委員
それならそれで結構でございます。
佐藤座長
はい、どうぞ。
松田委員
今の柏先生のお話は、私はもっと単純に疑問に思った点がありまして、といいますのは、総額2,550億円相当というのは、多面的機能の維持にも使われているわけですね。もし耕作放棄地を復旧しようと思うと1,860億は最大でかかる、その差額があるということを一応「留意する」というふうにおっしゃっているんですが、その書きぶりに関して5ページの評価のところの文章、よろしいでしょうか。
2段落目で「他方で」というところから「留意する必要がある」までは、今の差がありますと、交付総額との差がありますということを言っていらして、「但し」以下は多面的機能があるんだということをここで注記、注意していらっしゃると思うんです。この書き方だと、「差があります」という方が非常に強く出て、「但し」というのは本当に補足的に見えて、読み取れないような気がして、ここも何とかならないのかという気がいたします。それをやはり、普通に読みましたときに、こんなに差がある、意味があるんだろうかという印象を与えるのではないかという危惧を感じまして、「但し」以下を何か、もう少し強調する書きぶりはないのかなというふうに思いました。
佐藤座長
わかりました。どうもありがとうございます。
はい、どうぞ。
村田委員
今の松田さんの話の関連なんですが、やはりここの今の部分の書き方は非常に違和感があるんですよね。座長はさっきおっしゃったけれども「禁欲的」にという、政策的な配慮が強く出過ぎるというのは、非常にこれはおかしい。素直に書けばいいんだと思うんですよね。素直じゃないですよね。わざと「禁欲的」かどうか知りませんけれども、効果がないということを言いたい、言おうとしているような。これはすごいおかしな評価書であって、これはもう絶対やめるべきだと思うんですね。こういう意図的な、何かどこかに配慮したような表現というのは非常によくない。
これはもっと素直にやればいいのであって、復旧費用が適当かどうかという議論もありますけれども、仮に復旧費用だとしても5年間の交付金額2,550億円なんですか、これすべてが耕作放棄の再生に使われているわけではないわけですね。たくさん書いてあるように、他のことにたくさん使われているわけでしょう。アンケート調査でも、交付金を何に使ったかというのはある程度出ているわけですね。耕作放棄地ないしそれに関連することに使われた金額というのは、何割かぐらいというのは、それはそう難しくなく推計できる。2,550億の仮に半分なら半分、3割なら3割、8割なら8割と数字が出るんですね。そういう、現地調査をしたり、他の報告書を見ましたけれども、僕は半分以下だと思うんですけれども、それで2,500億円でしたっけ、効果が、どのぐらいあったんだっけ。
佐藤座長
2,550億。
村田委員
ですね。これは、耕作放棄のためには、むしろ安上がりというか、防止のためには非常に効果があったと思うんですね。さらにプラスアルファ耕作放棄地の発生防止だけでない効果もあったというように書くのが普通というか、素直なんじゃないですか。だから、効果があるのにないかのようにわざと書くというのは非常にこれよくないと私は思いますけれども。
佐藤座長
はい、ありがとうございました。
服部委員
気持ちとしては松田委員とか村田委員のおっしゃることがよくわかるんですが、ただ私は、ここの書きぶり、表現については、座長がおっしゃられたこと、私は共感するんです。いろいろな多面的機能についての評価方法があるわけです。学術会議でもやっている。これは野村総研もやっているし、農業総研もやっているわけです。それは額が一致しないわけです。評価方法によって額が異なってくるわけです。ほとんど一定水準で一致した額ならば、非常に信憑性が高くなるんだけれども、どうしても、やはり評価手法によって相当なばらつきが出てくるんですね、5兆と8兆とか。そのことを考えたら、やはりここではかなり確実な、だれが見ても、「それはそうだ」という数字でもってここは出した方がいいと思うんです。そうした場合、ここで言っている復旧費用というのが、これはだれが見てもなるほどなと思う基準ですよね。それ1点でもって追求するとこうなると。確かにそれは5年間かけた費用よりも少ないんだけれども、しかし確実にその効果があるんだということがここで言えるわけだと思うんです。
加えて「他方で」というところでもって、いわゆる多面的機能にかかわる評価額に関して、まだ計算ができない、ここでしないんだけれども、あるんですよといっていることでもって、私はこれでいいと思うんです。「抑制が効いた表現だ」と、私はこれ賛成なんだけれども。
村田委員
服部さんね、復旧費用でもいいんですが、5年間の交付金額と比べることが妥当だと思いますか。
服部委員
ちょっと質問の趣旨が、いまいちよく分かりません。
村田委員
いや、つまり2,500億円効果があったのに……
佐藤座長
交付額ですね。
村田委員
交付額がね……
佐藤座長
2,550億円、交付額。
村田委員
交付額ですか。
佐藤座長
効果は1,800億円。
村田委員
いや、だから、それを比較の対象としていいと思いますかと、つまり交付額の2,550億というのは、それは他にも使われているんでしょう。
服部委員
そうなんです。
村田委員
そのことを言っているんです。
服部委員
村田さんがおっしゃられているとおりなんだけれども、そこは我々として説明でもって、村田さんが言われるような説明を行う余地があるわけでしょう。私はそうやって説明していけば、さらに説明加えていけばいいと思うんですね。
佐藤座長
ちょっと待ってください……
村田委員
それと服部さんね、これはさっき松田さんが心配されたように、これはもう、この部分だけが通りますよ。つまり世間に、非常に損をしていると。こんなものやめちまえという……
服部委員
私はそうは思わないですね。
佐藤座長
ちょっと待って。書き方をどうするかとか、それはまた別な話として、中身としてこれを取り上げることがいいかどうかということについて、ご意見をお願いいします。
服部委員
これと言いますと何ですか。
佐藤座長
耕作放棄の復旧費用だけで議論することがいいのかどうかという。
服部委員
私は基本的にこれでいいんじゃないのかと思います。
佐藤座長
澤井委員。
澤井特別委員
要するに政策評価の一般論から見まして、約2,500億円のインプットをこの事業で投入して、アウトカムとして何が出てきたかが重要です。それが1番から4番まである訳ですが、直接的な効果としては営農の継続という効果だと思います。それはここでの試算でいけば、800~1,860億円ですか、これは多分それに相当するものだろうと思います。評価の視点は、営農継続から始まって最終的な集落機能の活性化まであるのですが前の議論も出ましたが、1、2-1は非常に直接的な効果、それから2は多分1に付随する、かなり直接的な効果に近いものだと思うんですね。3、4になると、だんだん、他の政策、一般的に行われている農業政策の効果が混じってくる部分なんだろうと思うんです。3、4のところで申し上げようと思ったのですけれども、きちんとした政策評価書を書こうと思えば、他の政策による効果というのを除外して考えないといけないということが一般論としてあるわけでして、要するにこの、直接支払い制度によって、プラスの効果として上がってきたものと見なされるという部分を、厳密にクラリファイして考える必要があると私は思うんですね。この1は大丈夫でしょうが、あと、2、3、4と評価していくと、だんだん他の政策効果や、その他の要素も入ってきて、多分純粋性は少しずつ失われていくんだろうと思います。そこの辺を大前提にして、今の5ページの議論になっているところは、一つは書き方の問題もあるのではないでしょうか。直接効果としては、こういう農地の単純な増加という部分があるわけですから。しかし、それ以外は、非常に中途半端な書き方をしているから、問題になっているのではないでしょうか。考えられる効果としてはこれとこれとこれとあるということを書いた上で、定量化できるのはこれとこの部分ぐらいですよという書き方をしていけばいいので、これは何か非常に中途半端な書き方なんですね。政策評価を書くときは、考えられるアウトカムの要素は全部書き、そのうち定量化できるものは、これとこれが定量化できますが、定量化できない効果もこれだけあるということを書いて、トータルの評価としてこのように評価するという書き方にした方がいいんじゃないかということです。
佐藤座長
はい、どうもありがとうございました。
確かに、今皆さんご意見いただきましたが、特にこの2,500億のうちの耕作放棄を復旧したというのは、その活動の中の本当にごく一部だけですね。そこだけをつなげて計算するというのは確かにおかしな部分もあるので、ここは工夫をさせていただきます。
小田切委員。
小田切委員
今、ある種の結論が出つつあるわけなんですが、重ねてお願いしたいのが、この「留意する必要がある」という強調が随分強いんですね。と申しますのは、この報告書全体に「留意する必要がある」というのが何カ所か出てくるわけなんですが、実はこれつぶさに読んでいきますと、次期対策をある程度念頭に置きながら「留意する必要がある」という書きぶりに読めないこともないわけであります。そういう意図で書いてあるかどうかはともかくとして、そういうふうに後で読めてしまう。そうすると、例えばここでは、交付額が2,550億円、そして現実の効果が1,860億円、次期対策では、それでは実際の予算が3割減になるんではないかなどという憶測が飛びかねないんだろうと思います。そういう意味で、「留意する必要がある」という強調は外すべきだろうと思います。
それからもう一つ、中身についてなんですが、多面的機能云々の議論の前に、私は耕作放棄をめぐる議論は、耕作放棄が耕作放棄を呼び込むという動体的な視点が非常に重要なのだと思うんですね。つまり「山が里におりる」という、そういう現象が強まる中で、農地を農地として保全することによって、新たに発生する耕作放棄をいわば防止するような、つまりその農地だけではなく、ほかの農地の耕作放棄を防止するような、そういう側面があるために、ここでの推計は過少推計になっている可能性がある。澤井委員がおっしゃったようなことを仮に考慮したとしても、過少推計になっている可能性が非常に強いと思います。そういう意味で、あくまでも推計は参考にしか過ぎない。そしてその点で数字等についての扱いは注意すべきだと思います。
佐藤座長
はい、どうもありがとうございます。
はい、どうぞ。
野中特別委員
全体的な議論で、私もそのとおりだと思うんですけれども、今までの議論の中で、耕作放棄を防止したこの3万ha、1,860億円相当以外は、多面的機能の効果というような議論も一部でありましたけれども、私はそういう議論は間違っているんじゃないかと思うんですね。つまり、この法律あるいはこの制度で目的としたのは、もう少し長期的な意味での耕作放棄の防止であるわけです。ここで予想されるような5年間で3万ha程度の耕作放棄の防止であれば、それに絞ってお金を配ればもっと良かったわけです。ところがこの施策は3万haの耕作放棄防止以外にそれでない、その可能性の少なかった63万haにも同じようにお金を配っているわけです。
何で63万haまでお金を配っているかというと、別にこれは多面的機能だけで配っているわけではなくて、そういうところも将来的には耕作放棄につながっていくおそれがあるので、今の段階から生産の体制の即ち条件不利性を補って持続的に耕作していくような体制をつくっていきましょうと、こういうことですよね。ですから、まさに法律的な読み方をすれば、これも耕作放棄の防止をねらっているからこそ、この63万haについても交付金を払っているんだと思うんですね。だから、これは決して多面的機能に絞って払われているわけではないので、そういう意味ではここは制度の趣旨について解釈を間違った、記述の仕方になっているんじゃないかというふうに僕は思います。
佐藤座長
どうもありがとうございます。
手厳しい批判を受けましたので、また冷静にもう一度書き直すことにしますが、ほかにご注意いただけますか。
よろしいですか。
お願いします。
内藤委員
先ほど留意する必要があるということをおっしゃっていたんですが、私も「他方」のところ、2,550億円の下のところの「下回っているとの結果が得られていることに留意する必要がある」というのがありますが、このところが非常にきき過ぎていると思っていますので、「下回っているが」の後ろを取り、本制度の実施によりの前に「加えて」とか「さらに」とかという文章にしますと、違ってくるのではないかと思っております。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
服部委員
全面的に表現を変えてくれた方がいい。
佐藤座長
次回、また新たな修正版を。
服部委員
そもそもこれは不要なんですね。
佐藤座長
修正版を出させていただきます。
ほかによろしいですか、IIIの1に関しては。
次に移ってよろしいでしょうか。
では、IIIの2、8ページをお願いします。
野中特別委員
多面的機能につきましては、基本的に法律の解釈とこれの要綱上の力点の置き方というのが若干違うような気もするものですから、そこに起因するんだと思うんですけれども、私は制度の基本的なものを読めば、耕作放棄が基本的に防止をされるということにより水資源の涵養とか、国土の保全とかという面で非常に大きな機能がそれ自体として果たされていると思います。
同時に、要綱でここに1.、2.、3.で書いてあるようなことのどれかをやれと言っているわけですから、どれかは必ずやっているわけなので、その限りにおいて多面的機能の維持に加えて、若干ですけれども、増進についても100%取組がなされているわけでして、そういう普通の多面的機能の維持、増進ということは図られているんだということをまずしっかり記述する必要があるんじゃないか。
ここで書いているのは、それに加えてということで、確かに保健休養機能とか、生態系の保全とかに係る取組が余り十分でないというのがあるんですけれども、これは前から申し上げているように、例えば都会の人を呼んで活動するということになりますと、いろいろな仕組みが考えられなければいけないわけでして、これをこの制度だけで大いなる効果を発揮をするというのはなかなか難しいというか、限界がそれなりにあるわけです。そこがなかなか進んでないという記述はいいんですけれども、そもそも耕作放棄の防止と最低限の多面的機能の増進活動ということについては、十分効果がそれなりに出ているという点をはっきり記述しませんと、このままだと何か保健休養機能と生態系の保全に資する取組が不十分なので、全体として多面的機能の維持、増進効果も不十分だったのではないかというような印象を一般の方に与えかねないというふうに思っております。
佐藤座長
どうもありがとうございます。
これに関しては、野中委員のご意見もそうだったし、他の委員からもあったと思いますが、幾つかその質の違いがあるから、それを考慮しなさいというようなご意見があったと思うんですが、そこをあえて質を2つに分けてやるというのもかえって煩わしいかなということで外したら、逆に弱められてしまったということになったかと思います。どうもありがとうございます。
ほかに。
小田切委員
私も野中委員の意見に賛成であります。その点で考えると、この要旨の(2)にあります「広く国民の理解を得るためには」というという表現をここの部分でのみ使い、それを集落協定による活動のみで評価することは随分きついんだろうと思います。この制度の運用に当たって、政策のPRを始め国民の理解を得るための様々な活動が当然あったわけなんですが、それ自体についての評価を先ずするということが必要です。そして報告書の最後の方にそういった国民の理解を得るような活動が十分に行われたのかどうか、そういうことを制度の運用の仕方自体について書く必要があるというふうに思っております。その上でこの記述があれば、バランスが取れたものと感じます。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
服部委員
私もお二人の意見に賛成なんです。集落協定の中に多面的機能を維持する活動を一つ行うということが具体的に触れられているわけだから、それに即した内容にした方がいいと思うんです。余りにも話が広がり過ぎてしまっているんじゃないかという指摘で、私もそのとおりだと思うんです。
佐藤座長
後ほどまたご発言ください。
服部委員
もう少し制度に即した評価にした方がいいと思うんです。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
どうぞ。
柏委員
前回の検討会のときにこういった多面的機能を守るという部分に関して、必須のものと、それから追加的なものとに分けて、仕分けして考えていかなきゃいかんという話があったと思うんですけれども、その辺はどうなっていますか。
佐藤座長
それは先ほど申し上げましたように、煩わしいので、外してしまったと。
柏委員
外した、そうなんですか。
佐藤座長
弱まってしまったというご批判なんです。
他によろしいですか。
先に進めてよろしいですか。
3に移ります。「将来に向けた農業生産活動等の継続的な実施」をお願いいたします。
服部委員
この11ページの評価のところなんですけれども、この評価のことで最初の3行です。「本制度は対症療法的に耕作放棄を防止するという短期的、防御的施策に止まるのではなく、持続的な農業生産を確保するという観点から、他の施策との連携を図りつつ、生産性向上や担い手の定着等に向けた取組を積極的に推進する施策であるべきである」と、こういう書きぶりになっています。これはどういう意味で言っているかということがはっきりしないんです。
この評価というのは、今までやってきた活動を評価するという意味でのこれは評価ですね。この中山間地域直接支払制度というものは、5年前に発足したときに「耕作放棄地防止というのは短期的、防御的な施策に過ぎない」と、耕作放棄の防止はいわば従であって、主が「持続的な農業生産を確保する生産性向上や担い手の定着等に向けた取り組みを行っていくことだ」と、これが主で発足したわけじゃないですよね。この書きぶりですと、そういう具合にしかとれないんです。この書きぶりでもって今までの5年間の活動を評価するとしたら、私は当時の設定した基準と違う基準で今までの5年間の活動を評価することになってしまうから、これはちょっとまずいと思うんです。
あくまでも主眼は耕作放棄地の防止であった。後から2分の1は集落で使うという規定が入ってきたことなどもあって、あるいは最初からそういう考えの委員の方もいたかもわかりませんけれども、農業生産を持続的に発展させていくということのためにも意味があるんだという位置づけは多かれ少なかれあったと思うんです。しかし、メインは耕作放棄地の防止であって、それがまずメインの施策として存在している。そして、可能なところでは、いろいろな集落があるわけだから、生産性の向上や担い手の定着のためにこれを使えるところでは使っていくと、それは副次的な目標であったと整理するのが妥当だと思うんです。それ以外には整理の仕方はないと思うんです。
今後、耕作放棄地の防止を主としながら、今まではいわばサブであった生産性向上や担い手の定着等の農業生産の持続的な発展という視点をどれぐらい大きなものとして考えていくのか、これは今後のものとして私は議論するべきものだと思うんですね。この書きぶりの主客が逆転している書きぶりになっているから、ここはちょっと基本的に変えていく必要があると思っています。
佐藤座長
ありがとうございます。確かにおっしゃるとおり、ちょっと表現を。
お願いします。
澤井特別委員
この11ページなんですけれども、集落マスタープランのことなんですが、質問と意見なんですが、集落マスタープランをつくるべきだというのは、何かアンケートなり、ご意見でどこかで出てきていたのでしょうか、つまり集落側の方から。
というのは、私のイメージだと、集落マスタープランのようなものをつくろうということになると、この制度の中でこういうものまで、つまり農村まちづくり計画、地区計画的なものをこの制度がそこまでやるのかなという感じをちょっと持っているものですから。制度の見直し、抜本的な農地政策の見直しも近々あるというふうにも聞いておりますから、その関連で農村総合整備的な事業体系の中で、こういうマスタープラン的なものも位置づけるというのはもちろん同感なのですが、この制度の中でそこまでやるのかなというイメージがあります。先程の他の政策との調整なり、それから評価ということを考えると、これは次期政策を何か頭に置いて書いているような気もするし、そこら辺の意図なのか、客観的な事実としてこういうものが調査で出てきているか。その必要性についての意見が出てきているのですよというのであれば、それはそれで結構ですが、評価の書き方を見ると、何となく意図的に書いているような部分もあるような気がいたしますので、その辺の事情を伺いたい。
佐藤座長
ここは地元から上がってきた意見を取り入れて書いておりますが、前回の検討会、前々回でしたか、地域政策的なことに関わるご意見が随分出たんですが、それはこれの制度と違うんだということで一応切り分けはしています。
澤井特別委員
これとは違うという意味ですか。
佐藤座長
事務局から何か。
中山間地域振興室長
これは集落マスタープランといいましても、そういう大きな範囲を含むものではなくて、むしろ集落が今後どういうふうに自分たちでやっていくべきだろうということを5年間でなくて、もう少し長い目で考えていただけるような雰囲気の内容になる。
澤井特別委員
目標設定的なイメージですか。
中山間地域振興室長
そうですね、何を目指すのかとか、そういうもので。
それで、現行の対策での集落マスタープランをつくるということは任意事項になっておりまして、やっているところは新潟県等です。また、こういうものをやっていくべきだというような県の評価も一部上がっているという状況です。
澤井特別委員
マスタープランという用語が、都市計画マスタープランのように非常に網羅的で総合的な感じがしますから、ちょっとその辺。
服部委員
きついんですよ、その辺のところが。
中山間地域振興室長
あと服部先生のさっきの評価の3行のところですけれども、これは現行対策の報告書の中にこういう表現がありまして、要するにこれは生産性を向上させることは一つの手段として考えていて、究極的には5年間の耕作放棄だけじゃなくて、なるべく自分たちの力で長い長期的な観点でやっていけるようにするためには、その手段としては生産性の向上とか何かがあるということで、こういう取り組みも必要じゃないかということで、多分現行対策上は位置づけられたんじゃないかと思っておりますけれども。
服部委員
でも、それはこういう書きぶりにはなりませんよね。この書きぶりだと、耕作放棄地の防止は短期的、防御的施策に過ぎないという、こういう感じになっちゃうんですよね。
野中特別委員
今の服部委員のご意見に私も基本的には賛成なんですけれども、先程ちょっと言いましたが、例えば4ページの上の方を見ていただきますと、制度の効果として、1.に耕作放棄の防止があり、3.に今の「長期的目標」が出てくるわけです。ということは、耕作放棄の防止という意味が非常に狭くとられているんです。つまり極端に言えば、この5年間で耕作放棄がどう防止されたかというようなことだけを本制度の直接的な効果ととらえるものだから、さっきのような試算にもなるし、こういう限定的な表現にもなると思うんですよ。
そうではなくて、この制度がねらっている耕作放棄の防止というのは、単に現にすぐにも発生する耕作放棄を抑えるというだけじゃなくて、このままいけば中山間全体にそういうことが広がっていくのを今のうちに早目に防止をするということも含んでいるわけですよね。ですから、さっきの4ページの1.、2.、3.でいえば3.みたいな効果も、もちろん担い手がどんどん育ってくるとかそこまでは高度ではないかもしれませんけれども、例えば10ページの記述のように集落営農組織ができたなんていうのは、まさに中期的な耕作放棄防止のために非常にいいわけで、耕作放棄防止のための効果が出ているということなんですよね。
それなのに、3.を別にして1.の方だけをこの制度での耕作放棄防止の効果と捉えるということになると、さっきも議論しましたように、それは非常に狭い意味であり5年間で3万haしか効果がなかったじゃないかという議論になってくると思うんですよ。ですから、この報告書における耕作放棄の防止の効果というのは、そういう短期的なものじゃなくて、少し先まで見込んだものというふうにとらえないと、先ほどのような効果の測定の考え方も誤るし、それからここでの書き方も全部が何か言ってみれば追加的に、従来の言葉で言えば副次的に生じているというような誤解につながってくるんじゃないかというふうに思います。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
ほかに。
松田委員
また言葉づかいの問題なんですけれども、前回私は欠席しましたので、すでにご議論があったことを繰り返すことになるかもしれませんが、ここの3以下で集落の活動に関して表現するときに、「自律的な」という言葉が出てきますね。これは「自律」を立つ方の「自立」ではなくて、律する方の「律」で統一されているのは、何か意味があるのでしょうか。今、野中委員のおっしゃった例えば組織をつくって、そして長期的に社会的な組織ができて、土地を守っていくということを考えると、私はこの意味では立つを使ったほうが合うと思うんです。前回議論なさった上でこちらに統一なさったのですか。
佐藤座長
特にその議論はありませんてした。
柏委員
多分、ここの律するのオートノミーという意味はある意味で担い手の持続的な再生産ができていくというような、その意味において中長期的な視座での耕作放棄防止システムがつくられていくような意味合いも含められているような気がするんですね。「立」つの自立だったら、現状で一定の何か仕組みさえあればという、ですからオートノミーというのは、そういう意味では時間的な感覚、中長期的なという意味で私は理解しています。
松田委員
多分、言葉の感覚の違いだと思うんですけれども。
村田委員
この自律的な農業生産活動が一部に見られているけれども、将来にわたって継続できる見通しが描かれていない。ここを評価する考え方の背景には、この交付金をやると、この中山間対策をやると、いわゆる卒業できる地域があるべきだという思想というか、考え方があるからだと思うんですよね。だけれども、そんなことはないんじゃないか。わずかこんな制度で中山間地域が一度ちょっとてこ入れしたら、あとは卒業して自分で自律的にどんどんうまくやっていくなんて、卒業できると考えることがむしろおかしい。できるはずもないので、それがさっき服部さんが言ったところの「本制度は」とやっているこの3行は立派なことなんだけれども、これはあくまでも条件不利地域対策なんですよね。
そういう意味では、中山間総合対策じゃないんですよ。中山間地域についてこれだけでやるというんだったら、この何倍ものお金も必要かもしれないし、もっと全然別のことも必要だと思うんですよね。それまでは別の政策もあるわけだから、これはあくまでも条件不利地域対策という、そういう限られた政策だという認識がないと、何かちょこっと最初だけ、イニシャルコストを払えば、あとはうまくやっていくなんて、そんな甘い状況じゃないので、そこのところはちょっと認識が違うんじゃないかなという感じがします。
ここのところで、集落マスタープランというのも、これもさっき皆さんご指摘のように、何かこれらしきもの、紙だか図面だか知らないけれども、何かを作れと思われてしまうと思うんですよね、こう書くと。
けれども、この評価書を通して言えることですけれども、タッチーなことは書かれてないですね。タッチーというか、一番重要なことが書かれてない。現地を見て思ったのは、集落は寄り合いをやって、我が集落は何が大切か話し合い知恵を出してやっている。これはいいんだけれども、行政、自治体は、市町村は口を挟めない状況にある。それで自治体は集落マスタープランをつくれなんて言っていると思うんです。これは要するにおれにも口を挟まさせろということなんです。これが直接支払のミソだと思うんですよ、評価のね。
そのことに1行も触れてないというか、避けているわけですよ、タッチーな話だから。それで、むしろ集落マスタープランを作れというふうに書くと、行政や自治体にももっと配慮しろよというふうになっちゃうと、せっかくの直接支払のよさがなくなって、中山間地域何とか対策事業、補助事業みたいな補助金になってしまう。自治体に金をやって、自治体がマスタープランなんて作ってなんて、今までたくさんやってきた、日本の農政は。全部ハコ物とは言わないけれども、くだらないばかばかしいお金の無駄遣いもあったわけね。中山間地域等直接支払制度はいきなり集落に直接金をやることによって、マスタープランもろくなものはないかもしれないけれども、集落で寄り合って必要なことをやって、むだもあるかもしれないけれども、かなり効果が上がってきているわけでしょう。そういう評価というのがないというのがちょっと残念だなと思います。
佐藤座長
どうもありがとうございます。
前半の認識のところ、この制度はもともと5年で卒業させるということも念頭に置いたものですから、卒業なんかできるはずがない非常に厳しい状況なんだけれども。
計画部長
卒業させる制度というよりは、5年間で検証して、効果があったかどうかを確認してもう一回考えましょうということで、5年間で卒業させる制度ではないです。
佐藤座長
はい、どうぞ。
服部委員
今の村田委員の意見に私は本当に賛成だというか、そうだと思います。マスタープランについての危惧も同感なんです。
あくまでも集落の人たちの意思で、耕作放棄地をどうやって防止していくのか、それに関連して集落をどうやって維持していくのか、農業生産活動を維持していくのかというところに尽きると思うんです。行政は行政で、市町村は市町村の判断を持っているわけであって、それはそれでいいですけれども、そこの判断が優先的に入ってくるのじゃなくて、地域の集落の人たちの意向でもって、ほかの人が見てつたないものであっても、そこでその人たちが考えてやることでもってお金を使ってやっていくというところがポイントだと思うんです。また、それによって初めて集落での農業生産活動が維持できて、また発展していけるような芽が出てくるというところに尽きると思うんです。それに反するものは除いていくという視点が要ると思うんですね。そうすると、集落マスタープランというのはどうなんだろうかと、別の意向が入ってくるようなおそれがあるんじゃないだろうかという指摘、私はもそれは同感です。
小田切委員
今の服部委員と村田委員がおっしゃった集落マスタープランというのは、行政の介入を呼び込むという認識が私には全くわかりません。全国各地を見ても、集落で自分たちが当事者意識を持って、そしてスローガンを掲げて、地域のいろいろな計画を自ら立て、それに従って地域作りを進めるということがどこでも見られるわけでございます。そしてなおかつそのときに、例えば1枚の紙にかいたようなフローチャートやより詳細な計画書があったときには、より大きな効果が発揮できるという事例は多々あると思います。ここでのマスタープランというものがそういうものを意味しているならば、私はそれを積極的につくる、現に現行対策にもあるわけですから、それを推進することは大変重要だろうと思います。ひょっとしたらマスタープランのイメージをめぐる齟齬といいましょうか、差異がそこにあるのかなと思うんですが、いずれにしても集落単位の地域づくりプラン、あるいはむらづくりプランというのは、極めて重要なものだろうと思っております。
柏委員
行政がいわゆる今までのトップダウン型の形で集落に何かやらせるとか、そういうことは無意味ですけれども、集落住民の主体性、集落住民の地域力を増していく、例えば集落点検地図みたいなものから手始めに地域の実態を見習していき、議論していく。ビジョンを考えていく。そしてそれを行政が支援するならば何ら問題はない。例えば、いろいろな新潟県の小国町なんか非常にうまく両社の協働がなされています。ですから、住民主体の新たなパートナーシップ、そういったものが目指されてもいいと思います。まさにボトムアップ・システムですよ。旧来型のトップダウン型の地方行政システムを前提にして物を考えるのではなくて、新しいパートナーシップシステム、ボトムアップシステムという視点が重要になってくる。そこでは当然主体は住民ですよ。そして住民のキャパシティビルディングを例えば専門のNPOとか、いろいろなところが進めていくシステムが必要なわけです。
それから、この全体に関わるところですけれども、私は前回、本制度の意義と限界を明確にすべきだと言いましたが、これについては本当にその意義と限界、もちろん文言はいろいろな修正すべき点もありますけれども、きちっと整理されていると思います。意義に関しましては、先程どれだけの3万haの費用で評価したら1,800億円というふうな形も出たし、それにあといろいろな効果もダブルカウントを省いていけばいろいろな一定の効果が十分に出たという、まずこうした意義があると思うんですね。ただし、これは現状少なくとも5年間でこれだけ出たということです。
先ほど野中委員が中長期的な視座で見なきゃならないと言われた。これは中山間の農村のリアリティだと思います。今の成果を出してきた人たちがこれからそのままあと5年、10年とやっていけるという保証はどこにもないわけです。今の高齢化した担い手がリタイアした後は、ヤングオールドがどんどんUターンなりで戻ってきたりして、農村人口を補完していき、そして先人がつくった担い手システムを継承していくというような、保証はどこにもないわけです。高齢単一世代化というのは不可逆的に進んでいる、全国的な中山間実態から見れば。
そういう認識をもとに考えるならば、短期的にはこの5年間あるいは10年間というのはまだ農業をやれる人たちが残っている、ある意味で最後の時期だと思う。ですから、この新しい地域営農の担い手システムをある程度若い年齢の人を引き込んでやりえる営農システムというものを立ち上げる。ここに重点を置かなければ、今回出た効果の継続性は担保されませんよというのがこの制度の限界なんです。そして、この限界があるからといってこの制度が悪いんじゃない。その限界を埋めるような、他の総合的な中山間農業支援システムを用意して本格的な担い手創出対策、Uターン支援対策とか、Iターン支援対策等を強力にやっていく必要がある。ですから、本制度はそういったところで口火はつけたわけですよ。この本制度で。ですから、その口火を消さないための、それを中長期的に担保していくシステムを作っていくための新しい政策が省庁横断的にと言ってもいいかもしれませんけれども、必要とされているということじゃないでしょうか。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
ちょっと時間がないので、先に進めたいと思いますが、どうもありがとうございました。
かなり舌足らずな書き方だったものですから、随分いろいろな方からご意見をいただきました。舌足らずになった基本的な原因は随分議論していただいた評価の枠組みに忠実に沿って書いたものですから、かなり余分なことを省いていますが、恐らく先ほどの例えば村田委員のご発言のように、この制度の特徴的なものを全く書いておりません。従来の政策と違う、集落をダイレクトなターゲットにしてとか、そういうのは多分まえがきあたりで始めに書いた方がいいかもしれません。
それから、5年間で上げられた効果が将来保障されるとは限りませんというご意見も、多分中山間地域の状況の中で高齢化していて5年先は分かりませんという状況がもうちょっと入っていれば、この読み方が違ってくるかもしれませんので、その辺舌足らずな部分を埋めさせていただくということでよろしいですか、次回に改めてつけ加えさせていただきます。
村田委員
それで、今の関連で前に戻って2ページの中山間地域等の状況の要旨のところ、これも依然として何か腑に落ちないというのは、今の話と関連するんですけれども、本制度発足以降において中山間地域の不利性がほとんど変化してないという書き方は、本制度発足によって不利性が改善されるか緩和するかのような気持ちがあるからではないか。自然的・経済的・社会的条件の不利性は変わるはずはないわね。山を崩して平らにするわけじゃあるまいし、これは全然おかしい話です。要旨も要らないんだけれども、書くとすれば中山間地域は依然として不利性があると書けばいいわけで、本制度発足において変化していないと書くから、制度発足によって変化することを期待しているかのように思われてしまう。つまり5年間で卒業するかのように、5年間で条件不利地域がなくなるかのような、そんなばかなことはないわけです。
それと、あと3が今議論しているときに4とも絡むんですけれども、1つ抜けていることがあるんじゃないかと思うのは、この参考資料という横長の資料がありますけれども、それの8ページと9ページ、つまり実施状況、市町村の数を入れて93%、もっと手を挙げてもいいのに挙げてないのが7%あるということかな。9ページはこれは面積で言うと85%というと、あと15%対象として手を挙げてもいいはずなのになってない。これはこれについての言及がないのはおかしい。
つまり僕の理解では、これは4のところに書いてあるのかな、恐らく限界農地だと思うんですよ。あと市町村から5年は長過ぎるから3年にとか、もっと短くしろという意見がありますね。数としては5年は短過ぎる、もっと長くしろというのもあるんだけれども、それはやる気のあるところは長くてもいいと思うけれども、5年が長いということは5年ももたないということなんですよ。そういうのが数は少ないけれどもある。あるいはここで言ったように少数だけれども、手を挙げろといったって挙げない地域があるということは評価する場合に重要で、それはこれの11ページの真ん中に5年継続のことが書いてあるのと、ちょっと先にいってしまいますけれども、4のところに限界農地のがありましたね。
つまりそういうところの対策としては、18ページですか、評価の限界農地ね。林地化をやってももちろんいいんですけれども、維持すべきかどうかというのをちゃんと仕分けして、必要なところはちゃんと復旧すればいい。限界農地対策としては今の制度というのは十分じゃないという評価をする必要があると思うんですよ。つまり限界農地対策にはなってない。それにはまた別の仕組みが必要だと思うんです。だからその記述がないのがちょっと不満だということです。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
澤井特別委員
私は前回休みましたけれども、期間については3年物があってもいいじゃないかという意見を出しているんですが、これは今、村田さんがおっしゃったように、非常に担い手が限界的になっているような地域では、恐らく5年という期間を長く見るか、短く見るかですけれども、非常に長く感じているところがあるだろう。そういうところは今の世の中の計画自体もサイクルを短くする傾向もありますから、原則5年としても、特定の要件のところについては3年物もあってもいいんじゃないかという意見を出したんです。もしそれが難しければ例えば5年の中で中間年の見直しみたいなものを入れて、難しいところは例えば林地化を促進するとか、何かそういう中間年で地域の実情によって手を打てるようなきめ細かさがあってもいいような気がいたします。
佐藤座長
それは後程。今は4です。「集落機能の活性化」です。
お願いします。
小田切委員
前回の議論で、この集落機能の活性化については、追加的な、あるいは発展的な効果として取り扱うということだったわけですが、今回の座長素案ではそれを「結果として表れた効果」と表現していただいております。これ自体には異存ありません。ただし、このように「結果として表れた」効果ということであれば、実は様々な効果があると思います。
先程、柏委員の方からも、若者へのバトンタッチが必要だというふうなご意見があったんですが、私は国内の恐らく数百の協定を歩いていると思いますが、歩いて常々感じることは、意外に若者が協定に関わっているという実態であります。集落協定は比較的大きなお金を動かすということがあって、会計担当者に30代、40代の方が比較的多くタッチしているという実態があります。例えば山口県の阿東町、皆様方が現地調査で行かれたところですが、数年前に聞いた話によると、この協定が導入されることによって、集落のリーダーがほぼ1世代若返ったという、議論もあります。実態としてそうなっているのかはよく分かりませんが、ただ実感としては大変良く分かるところでございまして、そうした集落協定の導入によって、中山間地域全体の若返りといいましょうか、比較的若い世代に光を当てた、ここで書いてあるようなことも含んでですが、そういう現実がありそうです。そうしたことも含めて評価できればいいんではないかと思っております。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
お願いします。
清水特別委員
集落の活性化ということに対しては評価をしますし、この制度の継続も心から望むものでありますが、この制度の交付金額は全体で見れば大変な数量になると思うんですが、個々の農家に配分される額は1,000m2を耕して2万数千円のお金で、金額以上の期待が寄せられてしまっていると思うんです。
この制度では継続的な農業生産活動と多面的機能の確保の両方を期待していると思うんです。金額的なことは余り言ってはいけないと思うのですが、交付金額に対して国や皆様の期待が大き過ぎるということ思います。社会的、国民的合意を得て、この制度を長続きさせるためには、継続的な農業経営か国土保全とか、どちらかに力を入れるべきではないでしょうか。両方に力を入れるということで現在の農業で暮らしていけるんだったら、担い手をあえて育成しなくても、どんどん育っていくと思うんです。現在農業のみで生活するということは大変厳しいので、残っている農家はお年寄りばかりになっています。
ですから、たくさんのことを余り期待しないで、国土保全なら国土保全で皆さんに理解を得られるようにした方がいいと思います。私は6月の市議会でこの制度の継続をお願いしました。中野市には23人しか議員がいないんですが、農業をしていない議員からは賛同を得るのは大変でした。直接支払制度は農業政策ではなく、国土保全政策だからと説得して農業をしていない議員の承諾を得て国へ要望を出したわけですけれども、中野市のような田舎で農業生産額が270億とか言われている農業の市でありながら、この政策に対しての理解が得られにくくなっていますので、もっと目的を絞った形で国民的理解を得るようにした方が私はいいと思うのです。
この制度によって集落機能はとても向上したと思いますけれども、余りにも制度にかける期待が多いので、集落機能の維持、継続が難しいのではないでしょうか。「将来にわたって継続できる見通しが描かれていない状況にあるといえる。」このようなことを書かれてしまうと、とてもマイナスなイメージでこの制度がとられてしまうのではないでしょうか。
佐藤座長
今のは何ページですか。
清水特別委員
11ページでした。
佐藤座長
11ページのどこですか。
清水特別委員
下から8行目ですか。
佐藤座長
15ページの「制度の全体的な評価」も含めてご意見下さい。
服部委員
16ページの(2)の……。
佐藤座長
16ページはちょっとまだにしてください。15ページまで、14、15までにしてください。
柏委員
要するに、本制度の意義と限界を明らかにするということは、本制度をやってきた中で、きちっと一定の効果が出たということと同時に、いろいろな追加的機能も出てきているし、それが非常に価値のあるものでもあると言える。しかし、それが全面的に展開するという状況にまではまだいってない。これは逆に言えば、本制度は中山間対策の先駆け的役割は果たし、その成果を膨らませるためにさらに追加的な新たな施策が必要であるということを示唆するととらえるべきではないか。ここで限界がないというような言い方をしてしまうと、この制度のみでもういいんだという話になってくるわけで、到底そうはいかない。限界をきちっと明らかにすることによって次の地域政策なり、地域農業政策、担い手対策なりにつなげていくというロジックが大切だと思っています。
それから、集落活性化の4のところですけれども、これはそういう意味では追加的機能ということになろうかと思いますけれども、これは重要なことで、例えばそういったことが若い人間を引き込むための一つの条件になってくるし、そういうことを通して人間・社会関係資本といいますか、そういったものが蓄積されてくることになる。ヨーロッパの施策なんかを見ましても、例えば1つのオープンアクセスのチャレンジファンドに対して、いろいろな住民主体のパートナーシップで多様な農村開発を進めるんですけれども、そのときは成果重視よりもむしろ過程重視を重んじる傾向があります。そういったことも含めて、この集落機能の活性化というのは、ある意味で結果を生み出す重要なプロセスでもあるわけです。これはこれで、非常に重要な追加的機能があったといえる。同時にこれを支えていくためには、例えばもっと広い地域政策的な視座が必要ですよというように提起できると思います。
野中特別委員
15ページはこの制度全体の評価ということですよね。質問なんですけれども、最後のところにこの「生産活動の継続のための取組に重点を置くことが必要である」というのは、この制度を何かこういうふうに変えろということを言っている感じですよね。それはどういうことを言おうとしているんでしょうか。
佐藤座長
ここのところは前の30ページの将来に向けた農業生産活動等の継続的な実施との絡みで、継続させるためにもう少し充実させる必要があるんじゃないでしょうかという言い回しです。
野中特別委員
充実ならいいんですけれども、重点を置くというのは、要するに何か焦点を絞れという表現ですよね。
佐藤座長
分かりました。
村田委員
これも先ほど言ったことと重なるんですけれども、中山地域等直接支払制度が中山間総合対策としてここに15ページの一番下、「しかしながら」と書いてあるように、将来にわたっての担い手が育成されるとか、これでやっていけるとか、そんなことはもともと期待されてないし、そういうことができるんだったら今、企画部会で議論する必要もないわけですね。限界というか、この政策の守備範囲ってあるわけですよ。その中でどうだということを書くべきであって、もともと求められてもないような大変なことを求められると困るわけです。政策的配慮が働き過ぎているというのがこの評価書をすごくゆがめているような感じがするんですよね。淡々と書けばいいんですよ。いいことはいい、限界ならば限界と、限界ながらこういう効果があるとか、こういう点ではまだ及びませんねと淡々と書けばいいんです。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
柏委員
いずれにせよこの制度だけで中山間地域の農業・資源管理問題が全部解決するわけじゃないわけですから、本制度の限界は限界で、そしてその限界を埋める他の追加的な本格的な地域農業政策が必要であると、総合的地域政策が必要であると、そういうように書いていただければいいのではないかと思います。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
それでは、次に移ります。
16ページ、全体、18ページの5の前までお願いします。
先ほどの中間見直し的なものを入れなさいというのは、どこで入れるのかな。
服部委員
17ページの交付の仕組みの(2)なんですね。その評価の一番最後の2行なんですよ。「交付金の活用方法については、将来に向けた農業生産活動等の継続のための取組を促進する観点において、十分留意する必要がある」と、こういう私は文章は要らないと思うんですね。交付金の活用は集落で議論して決めるわけでしょう。何でそこにこういうことが入ってくるのか、ちょっとここは理解できないんですよね。
佐藤座長
分かりました。制度の守備範囲の中で書けという先ほどの村田委員のご発言で。
服部委員
これは前のところにも関係するんだけれども、耕作放棄地の防止にプラスして、農業生産活動の発展という、いわば構造改革です。それに資するべきだという観点でお金が使われるべきだという、それが範囲になるわけでしょう。ただ、それはあくまでも耕作放棄地の防止が中心で、プラスアルファとしてそういうものが行われればいいというのが全体の了解だと思うんです。逆になっちゃっているから、かえってこういうのが入ってきちゃうんじゃないかと私は考えているんです。それは集落の判断に立ってやっていくのが重要、協定に入っている人たちのお金の使い方は、そこの判断だと思うんです。
佐藤座長
そこまではいいんですが、永続的に耕作放棄が発生しないためには生産活動が継続しないと、それはあり得ないというスタンスなんです。
服部委員
それをあえて書く必要があるんですか。
澤井特別委員
私は前に交付金の活用方法で眠っているものが大分あるんじゃないかという指摘をしたこともあるんですが、これはもちろん将来計画の中で基金にして積んでいるんだというご説明があったんですけれども、ただいずれにしてもその辺もただただ先送りに基金を積んでいけばいいということでは、今の情勢ではないと思うんですよね。ここがそれを意味しているのかどうかちょっとわかりませんけれども、交付金の有効活用ということについては何らかの記述は必要だと思いますし、だから今おっしゃったご意見とはちょっと意味が違うと思うんですけれども、私は交付金がただノーチェックでそのままで幾ら地域の自律といっても、自主的な運用といっても、ただ眠らせているというのではいけないし、そこは何らかのチェックファクターを入れていただきたいという意見を持っておりますので、その辺が読み取れるようにお願いしたいというふうに思います。
野中特別委員
18ページに、その他のところで遡及返還と限界農地の問題を一緒に書いてあるわけですけれども、私は先ほど村田委員のご意見にも関連をするんですけれども、この限界農地といいますか、この問題は非常に重要な問題なので、別項できちっと分析をすべきだと思います。その中で、この18ページの上の方の「また」以下のところですと、下から3行目、「いわゆる限界的な集落に近い」云々と書いてあるわけですね。下には「限界的集落について」と書いてある。同じものなのか、違うものなのか。
それから、もう一つはここの記述でも「高齢者のみでリーダーが不在で取組が困難な集落、それから限界的な集落に近いと想定される理由で取り組みが見られない市町村」が3割あるわけですね。では残りの7割の市町村というのは何故全然協定を結んでいないのかということですよね。
この検討会で分析をしてきましたときに、この制度は全体として効果はあるけれども、そうはいってもこれだけの制度があるのになかなか動きが見られない地域とかというのがありましたよね。こういう地域はどうして動かないんだろうかという疑問があったと思うんですよ。それが「限界的集落」に相当するかどうかは別といたしまして、既にこれだけの制度を投じて全体的には効果があったけれども、その届かないところが相当あって、それがどういう理由であるのか、もう少し頑張って誘ってあげればいいようなところなのか、そうじゃなくて先ほどここにありましたように、林地に戻しちゃった方がいいようなところなのか、そこのところは非常に重要だと思うんですね。でき得れば他の集落も一緒にして、より広い地域で担い手を育てていくというのがいいわけですけれども、全然できないようなところは確かに林地にしちゃった方がいいし、いろいろなところが混在しているように思いまして、そもそもだから市町村の基本方針がないところ、あってもこういう集落のように全然動いてないところというようなことについてのこの検討会としての認識、分析をこれは限られたものになるかもしれませんけれども、きちっと示すべきではないかというふうに私は思います。
佐藤座長
分かりました。項目を分けるというのは、確かにおっしゃるとおりだと思います。
内藤委員
今、限界農地の話が出ていましたが、山間地に指定されていても、都市近郊で全体的にモザイク地が多いとか「自分の土地だからどうしようといいだろう」と地権者がなかなか農業法人に不耕作地を貸さない等の理由で、対象面積の大きさにならない所があるようです。そういう所では協定を結ばずに、農業経営士の人達が中心になり市民から耕作者を募り数箇所で在来種の栽培をするなどの取組をしているところがあります。
私が知っている神奈川県の津久井郡の例ですが、東京の多摩ニュータウンが出来る時に、地権者に換地した土地が津久井郡にあります。換地された人達の次の代になり、まったく耕作しなくなり不耕作地になりました。耕作放棄地にならないよう農業経営士の人達と津久井地域農業改良普及センターの職員が津久井にある大豆の在来種を大切に育てて行きたいと、神奈川県の広報誌で「大豆を育てて味噌作り」への参加者を募りもう5年間続けていますし、地域の小学校でも大豆の栽培をしています。「大豆を育てて味噌作り」への希望者は増えているので作付面積を増やしたいのですが前述のような理由でなかなかままならないようです。耕作放棄地にならないよう工夫をしているのに、色々な条件で協定が結べない所の調査もしてくださるといいかなと思います。多摩ニュータウンが出来た時には山の中であった津久井郡も、道路が良くなり交通も便利になり、車やバイクによる人々の往来も多くなりました。
都市勤労者の中には今でも、農家は幾重にも保護されていると思っている人達が沢山います。休耕すれば補助金が貰え、転作すれば奨励金が貰える等、切れ切れの情報が伝えられているのでは、大方の消費者の理解は得難いのではないかと思います。
3%という話がありましたが、こういう所を協定に誘うのか誘わないのか。農業をするから農地であり、農地を農地として使わず耕作放棄している地権者の対してはペナルティーを取って欲しいと思います。
又そのような不耕作地は山林に戻すのも仕方ないと思います。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
柏委員
17ページの(2)の評価、一番最後の2行ですが。
佐藤座長
どっちですか、4の方ですか、3の方ですか。
柏委員
3、「交付の仕組み」の(2)の最後の2行目、これは先ほど削除すべきだという意見がありましたけれども、これは本当に削除すべきなのか。本制度がある程度中長期的な視座を持つためには、この仕組みはどうしてもビルトインしておかねばならない。ただしそのやり方はいろいろあります。実に多様なやり方があります。それは集落の人たちの創意工夫に任せて、競争に、学習に任せてやっていけばいいと思います。しかし、将来に向けた農業生産システム、持続可能な集落営農の担い手システムをプール金などを用いてきちっと作っていく努力が重要です。それを入れないと膨大なサンクコストになってしまいますよ。そこのところをきちんと考えるべきです。
以上です。
村田委員
今のところなんですけれども、17ページの3の(2)なんですけれども、共同取組活動に活用することを基本としている、これは妥当なものと評価できると、全くそのとおりなんですけれども、おとなしく書くこともなく、もっと積極的に評価していい。共同取組活動に直接支払をやるというのは、僕の理解だと日本だけだと思うんですよね。小田切さんに教えていただきたいんだけれども。そういう意味では日本型の条件不利地域対策として独特のものだと思うんだけれども、それが妥当なものという程度じゃなくて、望外のというか、当初に想定した以上の大きな効果があると思うんですよね、それが地域の創意工夫を呼び込んだというか。そういう意味では、これは妥当という以上にもっと高く評価していいんじゃないでしょうか。
それから、一番最後のページ、終わりのこれは何を言っているんだかわからないというか、全く要らないんじゃないかと思うんですね。特に後ろの2行というのは、何を言いたいのかわからない。このおわりにというのはそもそも要らないだろうと思います。
全体的に言うと、ちょっと繰り返しになりますけれども、耕作放棄地対策ではきちんと効果があったんだと思うんですよね。ということは皆さん知っているんだから、それを投下コストより安かったなんてわざわざ無理して自虐的な評価をする必要はないのであって、あったことはあったと書く。それから、限界農地ではこれは残念ながらなかったというか、その対策になり得なかった。それは限界といって、この制度の悪いところというか、及ばなかったと書いてもいい。いいところにはよかったねと、ないしはもっと思いもつかなかったすごいいことがあったねというふうにメリハリをつけた評価をする。対策をどういうふうにするかということは余計なお世話だから言わないでいいとしても、ちょっと何か全体として一つ一つの評価について、無理して書こうとしている。悪いところは悪くいいところはいいと素直に書いてもいいと思うんですよね。ちょっと素直さに欠けているという感じがします。
服部委員
ちょっと私と評価が違う点があるので、そこだけ申し上げます。
それは、この17ページの3の交付の仕組みの(2)の今言われたところに関係するんです。村田委員が「交付金の半分以上を取組活動に活用する、これは日本型の内容でいいんじゃないのか」と言ったんだけれども、私は、そこはここに書くならば、これはきちっと点検する必要が本当はあると思うんです。
それは地域の人たちが、集落協定に入っている人たちが要はそうしよう(半分は集落で使う)となればそれはいいです。これは違うわけです。上の方でこれは決めちゃったわけでしょう。後から実施過程で入ってきた枠なんです。その2分の1を共同取組活動に使うという形で枠を設定したことがよかったのかどうか、これは本当は私は点検した方がいいと思っているんです。私は、あくまでも地域の人たち、集落協定に参加している人たちの判断でもって、基本的にどうするのか、お金をどれぐらい使うのか決めるのがその制度の趣旨じゃないのかと私は思っているんです。
だから、本当にこういう具合に書くのであれば、(これは積極的に評価して、半分以上共同取組活動に使うことを積極的に評価して書いているんだけれども)、恐らくそこは点検が要ると思うんです。本当にそれで合意できるのかという、それでこの制度の趣旨を生かすことができるのかどうか、私は本質的に問題があるといまだに思っているんです。だから、そういう発言をこれまで何回もしました。このようなわけで私は、村田委員のここをさらに高く評価しろという発言には、これは同意できません。
本当に積極的に評価することができるのかどうかについても、独自の点検が要るし、独自の点検をした上でもって言えるのかどうかということをここに書いてもらいたいというのが私の気持ちなんです。しかし、時間的な問題があって、なかなかそれは難しいだろうから、こういう書きぶりになるのはやむを得ないかなというのが判断ですけれども、私はこの点に関してはそういう留保を持っているということに関してはひとまず言っておきます。
関連しますけれども、一方、日本に関してはこれはサンクコストになるのか、私はそういう考えが持つことがちょっと理解できないんです。あくまでも主体になっている地域の人たちを基礎にしてやっていくというその考えでもって、お金の使い方を考える必要があると思うんです。そこのところが誰かが指示するということになるのかということんなんですね。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
その前に、時間が最初に申し上げた予定を大分過ぎておりますが、15分位いただいてよろしいですか。
どうぞ。
小田切委員
今日の検討会のご意見の全般に関わることなんですけれども、特に村田委員、服部委員から出ているご意見というのは、実は私がこの見直しの検討会が始まった、ときにかなり強調させていただいた論点だと思います。つまり「小さく生んで大きく育てる」ではないんですが、評価する範囲は小さく、しかし励ましは大きく。評価する範囲内は法律や制度が目的として決めたその範囲内で評価して、しかし地域を励ますのは大きな視点から励ましていこう、そういう視点からずっと発言させていただきました。
しかし、今日お話を聞くと、2人の先生方もそういうことに賛成であったようでして、違う立場から発言されていたように思っていた私の認識が違っていたようです。どうも、私は仮想敵を誤ったのかなと思って、やや反省しているところなんですが、いずれにしても、同じような立場にあるのはご同慶の至りだろうと思います。
それから、2分の1云々の議論なんですが、ここはそもそも集落プール分をどういう割合で協定が使っているのかという実態認識が重要だろうと思います。この文章の中にもすべて個人に配分している、あるいはすべて集落に配分している、そういう実態もあるということが書かれているんですが、県ベースで見ても、実は神奈川県の100%から、これはちょっと例外だとしても、京都府のたしか71%、そして最も小さい集落率は奈良県と高知県の33%という非常に大きな格差がついているわけですよね。つまりそれぞれの地域実態に応じて、自分たちが2分の1以上プールが必要なのかどうか、確かに行政的なガイドラインはあったわけなんですが、それを乗り越えて判断しているということを考えて、その上で評価するのが適当ではないかというふうに思います。
服部委員
だったらガイドラインは要らないわけだ。
小田切委員
ガイドラインは実はQ&Aの中には「努力目標」という言葉で書いてありまして、皆様が考えられているような強いガイドラインとは違うものだと思います。この「努力目標」という言葉については、事務局にご確認していただければ大変ありがたいんですが、いかがでしょうか。
中山間地域振興室長
あくまでも通達上の2分の1が望ましいということが努力目標だという認識です。
佐藤座長
どうもありがとうございました。
松田委員
Vのところは議論は。
佐藤座長
どうぞ、Vに移ります。
松田委員
Vの他施策の関係というのがこれはこの評価の中では不可欠な要素なのでしょうか、他の施策との関係について言及するということが。
ということは、特によく考えて評価しなければいけないと思うのは1.の「食料・農業・農村基本計画の見直しに係る他の政策との整合性にも十分留意していく必要がある」です。農林水産省の中の政策の中で幾つかの異なったベクトルがあると思うんですけれども、この直接支払制度が持っているベクトルはある種のベクトルとは非常に対立する部分があると思っています。特にそれは先程の集落の活性化の部分なんですね。
そこで、例えば対象の農用地を持たない農家の方とか、非農家とか、さまざまな個人ベースでの参加が見られて、そして持続的な土地利用につながっていくという部分を担保するためには、今、メインである基本計画との整合性というのは十分留意しながら書いていただけたらなと思います。これだけの、どちらかというと素っ気ない書き方だと、メインの流れに飲み込まれてしまうんじゃないかなという気がいたしました。それは今まで先生方がおっしゃっていた「十分留意すべきである」という表現が文言として適切じゃないいう指摘とか、いろいろなところへの配慮が見え過ぎるという指摘ともつながるのですけれども。
佐藤座長
ここの部分は今までの検討会の中で折々に各委員のご発言の中で次期対策ということではないにしても、制度の設計し直しとか、ご意見を随分いただいているので、そういうご意見は踏まえながら、こういう形でまとめたといういきさつになっております。だから、そんなの要らないよとばさっと切ってしまってもよろしければ切ってしまうということなりますが、いかがでしょうか。
松田委員
そのような気もするんですけれども、どうなんでしょう。
佐藤座長
でも、2.のところは今日も出ておりましたが、この直接支払だけでは当然効果が上がらないので、総合的にしなさいというのが必要な要件だと思います。
松田委員
やっぱり1.は要るんでしょうか。
佐藤座長
今ちょうど、時期的にいろいろな新しい制度の見直しと絡んでいるものですから、難しい状況にあるということです。
松田委員
というのは、ここの文言からは座長のおっしゃったような説明が見えてこない。
佐藤座長
そうですね、スリムに書いてあるものですから、余り書き込むとまたあちこちぶつかるといけないからという感じがあって。
ほかに。
小田切委員
先ほど舌足らずだったものですので、ここで補足させていただきたいんですが、このVのところを「他の施策との関係」というよりも、「その他留意点」という形で、先ほど私が申し上げました国民的合意の醸成をこの制度それ自体が推進していくことが重要だとか、あるいはそのことについてこの制度が現実にどこまで役割を果たすことができたのかということをぜひ入れていただきたいというふうに思います。
あわせて、前々回の検討会でも、申し上げましたように、この直接支払という手法はその受益者に政策的なメッセージが非常に届きやすい制度であると思っております。そういう意味で、政策的メッセージが届いているという実態、あるいはさらにそれを届くためにどうしたらいいのかという、その点の配慮、考慮もこの点で書き込んでいただければというふうに思います。
佐藤座長
わかりました。Vの表題も含めて見直しをさせてもらいます。
最後、おわりに、これはもう要らないという厳しいご指摘でしたのですが、何かないと格好つかないかなという気もするんですが、いかがですか。
村田委員
今、小田切さんがおっしゃったことがおわりにになるんじゃないですか、僕は今、小田切さんがおっしゃったようなことをぜひ入れるべきだと思うんです。それはまさにその次にある内部評価の終わりになるんじゃないですか。
佐藤座長
わかりました。いいご指摘ありがとうございました。
19ページで最後ですが、ちょっと時間足らずでまたもう一回持ちますので、それまでに今日のご意見を踏まえて、できるだけ急いで修正をしたものを次回出させていただきますが、ほかに。
柏委員
一番最初の2ページの中山間地域等の状況の要旨の部分、これは削除してもいいのではないでしょうか。
佐藤座長
村田委員からもこれはなくてもいいような要旨だというご指摘がありましたので、ここはちょっと工夫させてもらいます。
小田切委員
「おわりに」のところなんですが、今までの議論によれば文章が大幅に変わる可能性、あるいは入れかわる可能性があるわけですが、この報告書それ自体が農村振興局長の実質的な諮問によって、答申として書かれているわけでございますから、国か何をすべきかという、そういう言葉で結ぶのが正しいのだろうと思います。現行の素案では、少なくとも最後の2行は誰が何をするのか、全く分からない文章になっております。国が何をするべきなのかということを、例えばこういう評価だから判断を継続して、制度をさらに発展させるとか、そういうことを書くべきだろうというふうに思います。ここは明確に書いていただきたいと思います。
佐藤座長
一通り厳しいご意見をいただきましたが、他によろしいでしょうか、時間も超過をしてしまいましたが。
きょうはひとまずここで終わりにしたいと思います。次回は先ほど申しましたように、きょうのご意見を踏まえてブラッシュアップし、書き直したものを提出し、ご意見をいただいて、最終的な取りまとめに向けていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
事務局から何かございましたらお願いいたします。
中山間地域振興室長
次回の検討会につきましては、既に委員の皆様方と日程の調整に入らせていただいておりますので、ご協力よろしくお願いいたします。
なお、正式に決まり次第、速やかにご連絡を差し上げたいと思っております。
また、本日の議事録につきましても、公開の前に各委員のご発言内容を確認するためにご連絡させていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
佐藤座長
どうも司会進行の不手際で、予定の時間を17分ぐらい超過してしまいまして、すみませんでした。
では、今日はこれにて閉会いたします。
どうもありがとうございました。
(午後12時18分閉会)
お問合せ先
農村振興局農村政策部中山間地域振興課
代表:03-3502-8111(内線5632)
ダイヤルイン:03-3501-8359




