令和2年度リスク管理検討会(第1回)議事概要
日時
令和2年7月1日(水曜日)14時00分~16時10分
場所
Web会議
出席者
メンバー(敬称略)上原健一郎、鬼武一夫、東野裕広、廣田浩子、堀池俊介、森田満樹
農林水産省関係者
各議事の概要
1.主な議論
- アンケートの回収率が高いのは、事務局の努力の結果で、感謝。
(1) 海産毒素
- シガテラ毒の分析定量には標準物質が必須。日本から、海外で関心のある機関に標準物質を少量配布。化学合成できないため、生成藻類の探索や大量培養技術を開発中。
- シガテラ毒による食中毒が毎年発生しており、原因藻類の生息域が拡大していることから、優先リストに維持して、分析法の開発と標準物質の調製が不可欠。
- 食品安全を行う場合、化学物質名を記載するのが通例だが、下痢性貝毒、麻痺性貝毒の検査にはマウス毒性試験法を用いていたため、どの物質が寄与しているかわからなかった。そのため、結果でまとめて呼んだのが慣習。
(2) かび毒
- 化学物質の中でかび毒はリスク管理の必要性が高い。農林水産省が飼料に積極的に規制値を作ることで、かび毒の食品への汚染を低減することに貢献。
- 乳中のアフラトキシンM1は飼料中のアフラトキシンB1から生成。飼料中のアフラトキシンB1を管理することで、乳中のアフラトキシンM1をコントロールできる。
- オクラトキシンAについて、農林水産省は、年次変動をカバーするため、5年計画で食品や飼料としての麦類中の基準値作成に活用できるデータを取得(今年は4年目)。分析法のバリデーションを実施。国民の安全を守ることができ、輸出国も納得できる基準値を策定することを期待。
- 麦角アルカロイド類を優先リストに入れて欲しい。これは現リストにはないので次回検討予定。
(3) 植物性自然毒
- ピロリジジンアルカロイドは、キク科、ムラサキ科などの植物に含まれる。ピロリジジンアルカロイドを含む植物を動物に食べさせない飼料安全対策を長年実施。食品としては、調理方法によって、自然毒の摂取量が変動する。
- トロパンアルカロイド類については、チョウセンアサガオの種が混入していないかどうかを調査。畑のあぜ道に生えていたら収穫時に種が混入する可能性があるが、それは同じ所に植えないというコミュニケーションの問題。収穫した植物そのものを食べる時に問題があるもののほうが優先度は高い。
(4) 重金属等
- ひじきに含まれているヒ素は無機ヒ素で毒性が高い。消費者の関心も高いことから、積極的に情報を提供して欲しい。英語でも情報提供してほしい。
(5) 食品の製造過程で生成する化学物質
- アクリルアミドの消費者向けのパンフレットは消費者主催の勉強会等で活用。さらなる活用について検討したい。
- 小規模事業者がヒスタミン濃度を測定することは難しいため、HACCP手引き書に、「魚を氷に入れて冷やす」等の対策を例示。
- しょうゆ中のヒスタミンを低減させるため、メーカーが自主的に低減対策を実施中。農林水産省が、しょうゆ中のヒスタミン濃度を測定し、その結果を事業者にフィードバックすることで、更なる低減に繋げたい。
- ヒスタミン、PAHについても情報発信をお願いしたい。
(6) その他
- 特になし。
2.結論
- 既に優先リストに掲載済みの化学物質は、事務局案1で賛成。
1 農薬として登録されていた有機塩素化合物については「優先度を下げる」、その他の化学物質については「優先リストに維持する」という案。
3.次回リスク管理検討会
- アンケートで新規提案のあった化学物質、現在、優先リストに掲載されていないが、新規でリストに掲載すべきと農林水産省が考える化学物質について議論する予定。
お問合せ先
消費・安全局食品安全政策課
担当者:リスク管理企画班
代表:03-3502-8111(内線4459)
ダイヤルイン:03-3502-7674