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農林水産省

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令和2年度リスク管理検討会(第2回)議事概要

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日時

令和2年12月4日(金曜日)14時00分~16時45分

場所

Web会議

出席者

メンバー(敬称略)鬼武一夫、山口廣治(島原康浩の代理)、手塚義博、東野裕広、廣田浩子、堀池俊介、森田満樹
農林水産省関係者

各議事の概要

1.議題と主な議論

(1)「優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質のリスト」(優先リスト)の改訂について

〇優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質の候補物質について

    海産毒素
  • アザスピロ酸について、実態調査のための分析法の開発と標準物質の作製を実施するとの考えに賛同。
  • 地球温暖化により、海洋生物の生育状況は変化している可能性があるため、貝毒全般について原因プランクトンの継続的なモニタリングを行うとともに、最新の知見に基づく二枚貝等の貝毒のリスク管理に関するガイドラインの見直しを望む。
  • 貝毒については生物濃縮の問題であり、ホタテであれば、貝柱にはなく、中腸腺に蓄積する。行政としては、可食部でない部分をきちんと同定して、食用とできる部位は使えるようにしていくべき。
    かび毒
  • 優先リストへの掲載の可否の判断に異議はない。分析技術の進歩により、新たなかび毒の代謝物の発見が報告されている。地球温暖化による汚染や、有機農産物の汚染も心配である。海外情報を含めて、新興のかび毒に関して継続した情報収集に期待する。
  • 農林水産省では、麦類については有機や無農薬栽培のかび毒調査も実施。現状では、慣行栽培と比較し、有機や無農薬のかび毒の濃度が有意に高いとの結果は出ていない。当省は有機農業の推進もしているので、必要に応じて、殺菌剤の使用以外の手段によりかびが生育しにくい環境をつくる耕種的対策を指導する。
  • スパイス類は、穀類と比べて消費量が多くないことからアフラトキシンの含有実態調査を行う優先度は低いが、可能な範囲で調査を検討する。
  • コメのアフラトキシンのリスク管理においては、茨城県から九州にかけての水稲圃場の土壌中の産生菌の調査をお願いしたい。
  • 農林水産省では、土壌など環境中のアフラトキシン産生菌の調査も実施済みであり、関東以西の環境中にはAspergillus flavusなどの産生菌が存在するとの認識である。また、天日乾燥であっても、掛け替えなどにより、適切に乾燥させることで、現状で管理ができている。引き続き、産生菌の可食部への付着を防ぐことと生育しないよう穀物を乾燥し水分を適切に管理することを指導していく。
  • 耐容摂取量は毒性試験データに基づいて設定されるため、新たな毒性データが入手可能とならない限り耐容摂取量の見直しは検討されない。
    植物性自然毒
  • 優先リスト分類3に位置付けるべきとの意見があったシアン化合物については、厚生労働省が指導の目安となる基準を示し、輸入食品は検疫所、流通品は都道府県や政令市が調査しているため、農林水産省が調査を行う優先度は低いと考えている。農林水産省は消費者や事業者に情報発信を継続していく予定。
  • ピロリジジンアルカロイド類の低減の観点から、農林水産省の発信した情報に基づいて、事業者がフキ加工品のあく抜き工程を見直し、改善したことは、事業者と消費者の信頼確保に繋る素晴らしい例。
    重金属等
  • 優先リストについての意見はない。カドミウム・ヒ素については、トレードオフの関係があり、生産段階で両立する低減技術の開発は日本が一番進んでいる。世界に向けて積極的に情報発信していくことを望む。
  • 農林水産省は缶詰果実において、缶詰の鋼材で鉛の低減対策が進み、国際基準に合致していることを確認済であるため、追加で指導を要する状況にないとの認識。
  • 鉛について、含有実態について情報収集を行い、国内での消費量が多い食品において濃度が高いと明らかになるなどすれば、調査を実施していく。
  • カドミウムのような汚染物質の最大基準値は食品の含有実態に基づき設定される。
  • コメに含まれるカドミウム・ヒ素等について、それら重金属類等を低減可能な品種の作出研究が行われているとのこと。そのような状況にあるならば、それらを制限する遺伝的性質を在来種に導入させる育種研究を希望。
     食品の製造過程で生成する化学物質
  • ヒスタミン食中毒については、消費者にはしばしばアレルギーと勘違いされている。また、先般、だしパックの煮すぎがヒスタミン食中毒の原因との報道があり、もし事実ではない情報であるならば、行政に正確かつ適切な情報発信を望む。
  • ヒスタミンについては、厚生労働省によるHACCPの義務化の中で、事業者団体が作成したHACCPに沿った衛生管理の手引書の中でも取り扱われている。
  • ヒスタミンは元の魚類には存在せず、不衛生な状況で管理をするとヒスチジンから生成される物質で、加熱しても安定しており、適正な衛生管理を行うことで、ヒスタミンの生成を抑えることが大切。農林水産省としては、既に作成しているリーフレット等を通じて食中毒発生を防ぐための衛生管理について、引き続き関係者に情報提供をしていく。
  • ヒスタミンによるアレルギー食中毒は魚類を原因とする事例が多い。また、食生活、年齢、個人差、体調等との関係についても情報の整理が必要。
  • 農林水産省は、魚醤としょうゆに関して、事業者のヒスタミン低減に向けた取組やヒスタミン低減の効果検証を支援していく考え。
  • アクリルアミドについて、摂取量の低減のために家庭調理で注意すべきことを、行政から消費者に、より情報発信することを望む。
  • アクリルアミドについては、今後も事業者と連携して低減技術の効果の検証や低減対策の普及に努めたい。
  • ノンフライヤーのような新たな調理機器のアクリルアミド生成に関する知見については、機器の普及状況等を勘案して収集したい。
  • トランス脂肪酸は消費者の関心が依然として高い。消費者の不安に応えるためにも、行政による実態調査データは大切。家庭用製品と業務用製品では含有実態が異なるとの情報もある。よりサンプル数を増やした幅広い食品での含有実態調査の実施と公表や脂質の取り過ぎの注意等の食生活全体を含めた情報提供を行ってほしい。
    その他
  • マイクロプラスチックについて、統一された定義や定量分析法がないとの課題はあるが、特に水産物などについての実態調査は必要である。海外では多数の調査報告やリスク評価も行われており、日本人における暴露源や海外の情報収集をお願いしたい。
  • パーフルオロアルキル化合物は、製造や使用が実質的に禁止されており、環境中に放出されたものの長く留まることが問題であり、一般家庭からの排出もある。ドイツBfRの消費者向けFAQsにおいて、野生イノシシの肝臓など、狩猟肉の内臓が暴露源になりうるとの情報発信がされている。
  • 農林水産省がパーフルオロアルキル化合物の食品由来の摂取量を推定したところ、肉類の摂取寄与は低かった。野生動物の肉、いわゆるジビエについては、農林水産省が鳥獣害対策の観点から利用を推進していることから、必要に応じて情報発信を検討したい。
  • EFSAがカドミウム、鉛、ヒ素、ヨウ素などの海藻中の元素についてリスク評価を行っている。ヨウ素について、農林水産省においても調査と情報収集をお願いしたい。
  • ヨウ素の摂取上限値については海藻をよく食べる日本人とそうでない人種とで差があるとの情報もある。農林水産省は、情報収集を継続していく。
〇次期の食品の安全性に関する有害化学物質のサーベイランス・モニタリング中期計画(案)について
  • これまで農林水産省が、リスク管理の標準手順書に従い、有害化学物質の優先順位を定め、リスク管理を進めてきた努力の賜である。次期中期計画(案)に賛成。農林水産省は、関係者に広く普及・啓発してほしい。
  • 「サーベイランス」と「モニタリング」の用語の意味の違いがより明確になるよう、記載の内容を検討してほしい。

(2)  農林水産省からの情報提供

  • 鶏卵のサルモネラのリスク管理について、情報提供。鶏卵の汚染率調査は、陽性率・年変動を考慮し、複数年で調査を実施するなど、今後の調査方法を検討したい。
  • 一連の情報発信は素晴らしい取組。今般の鳥インフルエンザ発生についても、食品安全委員会や農林水産省から、鶏卵や鶏肉の安全性についてのタイムリーな情報発信に感謝する。
  • 一般消費者は目的がない限り、農林水産省のウェブページを訪れることはないので、SNSによる情報発信は良い取組。消費者に情報を届けるためには、イメージ戦略に留まらないメッセージ性を込めたものの発信を期待。
  • 農薬の安全性に関して、リスク管理機関の立場から、農薬の安全性についての正しい情報発信を期待。

2.結論

  • 農林水産省が優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質のリスト及び食品の安全性に関する有害化学物質のサーベイランス・モニタリング中期計画(案)について、メンバーと農林水産省で情報・意見の交換を行い、方向性や内容については特段の異論はないことを確認。

3.今後の予定

  • 本検討会でメンバーからいただいたご意見や情報を考慮し、必要な修正を行った上で、農林水産省が優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質のリスト及び食品の安全性に関する有害化学物質のサーベイランス・モニタリング中期計画(案)について、パブリックコメントを実施。パブリックコメントで寄せられたご意見や情報を考慮して、必要な場合、修正を加えて、来年2月頃を目処に公表予定。

4.次回リスク管理検討会

  • 令和3年度の食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画(案)について、2021年2月頃に意見・情報の交換を行う予定。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

担当者:リスク管理企画班
代表:03-3502-8111(内線4459)
ダイヤルイン:03-3502-7674

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