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農林水産省

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令和4年度食品の安全性に関するリスク管理検討会(第1回)議事概要

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日時

令和5年2月28日(火曜日)13時40分~16時05分

場所

Web会議

出席者

常に参加するメンバー 
阿部氏、瓜生氏、子安氏、早川氏、廣田氏

農林水産省消費・安全局
食品安全政策課 古畑課長、漆山課長補佐、髙岸課長補佐、五島課長補佐、森専門官、山口専門官
農産安全管理課 永川課長補佐、三浦課長補佐、山田課長補佐
畜水産安全管理課 岩田課長補佐、唐川課長補佐、林専門官

各議事の概要

1.議題と主な議論

議題1:令和4年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画の実施状況及び今後の対応について

資料3に基づき、令和4年度食品の安全性に関する有害化学物質のサーベイランス・モニタリング年次計画の実施状況及び今後の対応について、農林水産省(漆山補佐)から説明。また、令和4年度食品の安全性に関する有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画の実施状況及び今後の対応について、農林水産省(五島補佐)から説明。常に参加するメンバーから以下の意見、情報をいただき、農林水産省から回答した。当日欠席の常に参加するメンバーである森田氏については、事前に意見、情報をいただき、農林水産省が代読の上、回答した。

  有害化学物質
  • 水産物中の危害要因の調査に関する議論

    (森田氏)アザスピロ酸、ドウモイ酸のサーベイランスが予定通り実施されているが、懸念されていたプランクトン等の増加による影響は出ているか。また、令和5年度も継続して行われるとのことだが、ホタテガイ、マガキ以外の貝類や、さらに海域調査など、幅広くサーベイランスを行うことは今後検討されるか。
    (唐川補佐)現在までに報告されている調査結果からは、懸念されるようなアザスピロ酸・ドウモイ酸の検出濃度の上昇傾向は確認できていないが、令和5年度も引き続き生産量が多いホタテガイとマガキについて調査を行う予定としている。今後、令和5年度までのホタテガイとマガキの調査結果を分析し、必要となる調査の種類や内容を検討する。

    (森田氏)鉛、カドミウム、総ヒ素の頭足類のサーベイランスについて、令和4年度は先送りされ、令和5年度以降に調査を行う予定となっているが、対象品目や点数をどこまで拡大する予定か。今後のサーベイランスの拡大によって、コーデックス委員会における基準値策定の参考となるようなデータが収集できることを期待する。
    (唐川補佐)今後の調査における具体的な対象品目や点数については現時点では未定だが、今後の国内での生産量及びコーデックス委員会での議論の動向を考慮し、検討していきたい。

    (森田氏)メチル水銀、総水銀のサーベイランスについて、今年度部位別調査のみを実施し、実態調査を見送ったのはなぜか。我が国の実態がこれまで以上に把握できると期待していたが、見送りをしたということは、今後は実態調査が行われる予定はないということか。
    (唐川補佐)メチル水銀については、現在コーデックス委員会において、マグロ類のサンプリングプランの検討が行われているところであり、その検討の中で、サンプリングの部位についても議論の対象となっていることから、今年度は部位別調査を優先して実施。コーデックス委員会におけるマグロ類のメチル水銀の最大基準値の見直しの作業が当初の予定時期よりも遅れており、現時点では開始されていないことから、今後のマグロ類の実態調査については、サンプリング部位についての議論の結果を考慮しつつ、国際基準値の見直し時期などを見極めた上で、実施を検討したい。
    (漆山補佐)コーデックス委員会ではマグロ類のメチル水銀の最大基準値は策定されたが、サンプリング法や分析法については定まっていないところ。コーデックス委員会での議論を見極めた上で、今後の調査計画を検討していくこととなる。

    (阿部氏)最近、PFOS、PFOAについては米国やEUにおいて規制が強化され、飲料水において許容される濃度も厳しくなっている実態である。サーベイランスでは水産物に特化しているとは思うが、今後日本の安全な魚介類が担保できるよう、サーベイランスについても国際的な動向を考慮した上で頻度を調整していただきたい。
    (漆山補佐)本項目については、森田氏からもコメントをいただいた。PFOS、PFOAについては、食品安全委員会における食品健康影響評価の議論や環境省におけるPFOS、PFOAを含めたPFAS全体に関する議論が始まっており、農林水産省としてもそのような動向を見極めつつ、農畜水産物に関する対応を検討したい。農林水産省ではサーベイランスとは別に、PFOS、PFOAに関連する試験研究も検討中であり、議題3の中で改めて紹介する。

  • 加工食品中の危害要因の調査に関する議論

    (阿部氏)飴菓子類・砂糖類中の鉛、カドミウム、総ヒ素の調査について、昨年のコーデックス総会(CAC)における最大基準値の採択に関する議論のタイミングに合わせて、対象品目を広げてはちみつ等の調査を実施する等、臨機応変に計画を変更したことは評価できる。また、令和4年に梅を主原料とする加工食品について、鉛が検出され米国への輸入が禁止となった事案を承知しているところであり、梅加工品についても、迅速に追加でサーベイランスを実施した点は良かった。そのような迅速な対応が輸出にも繋がるのではと考えており、今後ともお願いしたい。
    (漆山補佐)評価いただき感謝する。令和5年度の調査計画については次の議題での議論となる。令和4年度の調査についても解析結果を取得し、低減対策の必要がないと言える結果であればさらなる措置は不要であるが、低減対策が必要という結果が得られた際には、業界団体を通じて相談させていただきたい。

  • 分析法の妥当性確認/性能検証に関する議論

    (廣田氏)フライドポテトについて、加工の際のアクリルアミド低減技術が進展し、アクリルアミド含有量の低減が進んでいる状況であるところ、令和3年度の調査では、フライドポテトで確立されている低減技術を総菜に応用することへの検証を進めていると報告されていたが、今年度も同様なことは進んでいるのか。
    (漆山補佐)令和3年度の食品の安全性に関するリスク管理検討会(第3回)で令和3年度に総菜(コロッケ・かき揚げ等)について、製造業者と連携して実態調査を実施していると報告した。令和4年度はその調査結果の解析を行い、調査にご協力いただいた事業者の皆様と結果についての情報交換をしてきたところである。調査結果については、令和5年度の早い時期に業界団体の業界紙に掲載する予定。家庭調理にも応用できる技術の成果が得られれば農林水産省のウェブサイトにも掲載したい。ウェブサイトの情報を更新した際には広く皆様にお知らせする。

  有害微生物

ご意見・情報等はなし。



議題2:令和5年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画(案)について

資料4-1及び資料7(2ページ目)に基づき、有害化学物質・微生物リスク管理等総合対策事業委託費の説明と合わせて令和5年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画の全体の考え方について、農林水産省(漆山補佐)から説明。

また、資料4-2(有害化学物質)、資料4-3(有害微生物)に基づき、令和5年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画に掲載する調査候補について、農林水産省(漆山補佐、五島補佐)から説明。

常に参加するメンバーから以下の意見、情報をいただき、農林水産省から回答した。当日欠席の常に参加するメンバーである森田氏については、事前に意見、情報をいただき、農林水産省が代読の上、回答した。

  全体の考え方について

(森田氏)調査対象選定の考え方に「(4)令和5年度からは、輸出重点品目や新たな食料源として国際規格の必要性が検討されている品目を、重点的な実態調査や衛生管理の有効性検証のための調査の対象とする。」が加わったが、「新たな食料源として国際規格の必要性が検討されている品目」とは具体的に何か。
(漆山補佐)コーデックス委員会では、具体的な国際規格の検討は始まっていないが、コーデックスの執行委員会において、新たな食料源となるものについて今後どのように作業を進めるかの議論が行われているところ。その議論の中で、新たな食料源として期待されているものとして、海藻、微細藻類、食用昆虫、細胞培養ベースの食品、植物ベースの代替たんぱく質、3Dプリント食品が例示として挙げられている。これらの食品について、安全性の観点から特に対応が必要な危害要因が特定された段階で、国内外の動向も注視した上で今後の実態調査を検討したい。令和5年度の実態調査計画では、特にこれらの食品についての新しい調査は入っていない。

(森田氏)これまでのサーベイランス・モニタリング中期計画は、農林水産省及び厚生労働省における食品の安全性に関するリスク管理の標準手順書に基づいて、優先的にリスク管理を行うものをリスト化して策定されてきたが、ここに「輸出重点品目」がどう関連するのか、その整合性について教えていただきたい。
(漆山補佐)サーベイランス・モニタリングについては、従来からのリスクベースの考え方に基づき、現行の中期計画を策定済みである。農林水産省の調査において、輸出重点品目のサーベイランスに重点がシフトするわけではなく、現行の中期計画に沿った調査を中心に実施することに変わりはない。一方で、輸出重点品目で挙げられているものの中でも、国内での消費量が少ない食品については、従来の考え方ではサーベイランスの優先度が低いため、国内での実態把握が進んでいないものもあった。政府全体の輸出促進政策の中で、輸出重点品目に関連する国際規格の策定等が今後想定されるため、国際規格策定の際に日本の実態が反映され、円滑な輸出に資するよう、予算の範囲内で可能な範囲で調査を行いたい。

(森田氏)令和4年度に実施した調査の中で、追加で実施した梅の加工品の調査もあったところ。このように輸出の際に問題になった品目について、今後も追加で調査をするのか。そのような調査の実施により、当初計画の調査に影響はないのか。
(漆山補佐)梅の加工品の調査の端緒は米国への輸出の際に問題が発生したことだが、梅の加工品中の鉛等は国内での含有実態の把握がされていなかった品目であり、消費者の健康に悪影響を及ぼす可能性がないか、さらに安全性を向上させる対策が必要かどうかの知見が不足していたため、調査を実施した。したがって、本調査は輸出促進にも関連するが、主眼は国内の消費者の健康保護である。輸出重点品目だから調査するのではなく、あくまでもリスクベースの考え方に揺らぎはない。なお、令和4年度にいくつか見送った調査もあるが、梅加工品の調査を行ったために実施できなくなったものではないことをご承知おきいただきたい。
(阿部氏)決して輸出重点品目を優先せよというものではなく、きちんと実施しなければならない部分は計画通りに行い、余裕があれば輸出重点品目についての調査も実施するということだと思料。輸出において問題が発生した際には、予算を用いてきちんと調査をしていただければと思う。
(漆山補佐)輸出関連予算は他にもあることから、消費・安全局としても品目所管部局や輸出促進部局と連携して必要な調査を実施したい。

  有害化学物質
  • 加工食品中の危害要因の調査に関する議論

    (早川氏)アクリルアミドのサーベイランスにおいて、「調理済みカレー」を新規で分析するとなっているが、市販のルウを用いて自ら調理をしたものを調査するのか。
    (漆山補佐)調理済みのカレーを飲食店もしくはスーパーマーケット等からテイクアウト等により購入し、調査を実施する予定である。市販品はカレーライス等様々な形態で販売されていると承知しているが、市販されているもののカレーソースの部分について、具材と共に分析を実施する。

    (子安氏)同項目の「調理済みカレー」について、市販のルウとレトルト製品で1食分のアクリルアミド量に差があったと説明があったが、レトルト製品では、加圧・加熱・殺菌の工程において120℃以上で加熱されることにより、アクリルアミドの含有量が増加することが懸念される。飲食店で提供されるものがレトルト製品とは限らないと思うが、令和5年度の調査において、その点をどう考えるか見解を伺いたい。
    (漆山補佐)飲食店等においては、業務用のレトルト製品を再調理した形での提供やルウから調理した形での提供等、様々な形態があると承知している。最終的に販売されているカレーの製造方法は、市販品の状態から把握することは困難であるが、令和5年度の調査はいわゆるReady-to-eatの状態で販売されている製品中のアクリルアミド濃度の含有実態を把握することが主眼である。家庭用のレトルト製品については、アクリルアミド含有実態調査を複数回実施し、実態をある程度把握できている。そうした調査結果と令和5年度調査結果とでアクリルアミド含有濃度に差が見られるかを検証し、今後、カレー製品については、どういった製品に調査の焦点を当てるべきかを検討したい。

    (阿部氏)3-MCPDE及びGEについて、「低減のための手引き」が存在し、その効果検証のための実態把握は意味があり、元々海外の食品よりも日本の食品のほうが、含有濃度が低かったという事実も含めて、結果を示すことが重要と考えている。油脂を扱う業界は知っているとは思うが、油脂を利用して加工食品を製造する業界の方にとって、何が有害と言われているのかについて、必ずしも理解されていない状況と認識している。調査結果を食品業界全体が理解し、安心して油脂を利用するためには、コミュニケーションや教育が重要であり、油脂を扱う事業者に与える影響も含め、調査結果を丁寧に説明する必要がある。3-MCPDE及びGE、トランス脂肪酸のように、海外で規制値が設定されるとあたかもその物質が大変危険であるような印象を与える懸念がある。そのため、農林水産省の情報発信の中で、例えばトランス脂肪酸について、日本人の食生活では消費者の健康保護上問題ないと言っていることとどう関連するのか、消費者庁も含めてだとは思うが、一般消費者に誤解がないように伝えるコミュニケーションは大事だと考える。
    (髙岸補佐)コミュニケーションの重要性に関するご意見に同意。3-MCPDE及びGE、トランス脂肪酸は油脂の製造工程で出来るものであり、多岐に渡る食品業界団体に影響があるものである。食品中のこれらの物質を摂取することによる影響の捉え方や必要な対策等について、丁寧に説明を進めていく必要があると考えており、消費者及び食品事業者の皆様とコミュニケーションをとるためにも、関係者の力を借りられれば幸い。

    (髙岸補佐)3-MCPDE及びGEについては、別途、進めている調査研究に関しても情報提供したい。農林水産省は、平成30年度~令和4年度の5年間において、(1)植物油脂の製造工程における両物質の効果的な低減技術の開発、(2)油脂を使用し加工食品を製造する過程における3-MCPDE及びGEの生成への影響に関する研究事業を実施しており、結果を令和5年度には公表する予定。その結果の意味について、食品事業者及び消費者の皆様にご理解いただけるように尽力する。

    (森田氏)トランス脂肪酸については、消費者の関心も高いところであり、令和4年度の加工食品の調査が出来なかったことは残念である。令和5年度は確実に調査を実施いただきたい。令和5年度の調査対象品目は幅広く予定されていて良いと思うが、ファストフードのフライドポテトやコンビニエンスストアのアメリカンドッグなど、販売量が多くヘビーユーザーも多い食品も対象に含めていただきたい。
    (髙岸補佐)令和4年度に実施を先送りした加工食品中のトランス脂肪酸含有実態調査については、品目および調査点数が非常に多いことから、令和5年度に確実に実施するため、令和5年度当初から調査を開始し、受託した分析機関が十分に分析業務に時間を割けるように、既に公募手続きを進めているところ。ご提案いただいたフライドポテト等の品目に関しては、過去(平成28年度)にファストフード店やコンビニエンスストア等で販売されるフライドポテトを含む揚げもの60点を調査した。その結果、60点中約7割で、消費者庁がトランス脂肪酸の含有量を「0 g」と表示できるとしている、食品100 g中トランス脂肪酸0.3 g未満であった。総じてトランス脂肪酸濃度について、令和5年度に調査対象としている加工食品と比較しフライドポテト等は低いことを確認し、揚げもの類については、令和5年度に調査を行う優先度は低いと判断した。まずは令和5年度の加工食品の調査をし、結果を解析した上で、フライドポテトを含む揚げもの類についても、改めて調査する必要があるかどうかを検討したい。

  有害微生物
  • 農産物中の危害要因の調査に関する議論

    (廣田氏)ベリー類のA型肝炎ウイルスの調査に関して、海外で発生している大規模食中毒について、国、原因、喫食状況等の情報があれば伺いたい。国内で同様の食中毒事案が発生したとしても、いちごが原因食品とは考えないのではないかと懸念がある。
    (永川補佐)海外で起きているベリー類を原因食品とするA型肝炎の大規模食中毒事案での喫食状況については、冷凍ベリー類による報告が多く、生鮮ベリー類によるものも報告されているところ。海外で食中毒事案が発生した場合、食中毒の患者から喫食した食事メニュー情報等を聞き取って共通の食事メニューとして何を食べていたのかも含めて追跡調査等し、多くのデータから統計解析等して、食中毒の原因食品を推定するという手法を取っている。なお、ベリー類を原因食品とするA型肝炎の食中毒事案について、近年の最も大きなものは欧州で起きた事案だが、原因究明の結果、喫食原因と考えられる製品が幅広く、結局どの施設・工場で生産されたものが原因か、という詳細まではわからなかったと報告されている。一方で、別の事案では、エジプト産の冷凍ベリー類が原因食品として報告されていたケースもあり、原因究明の状況についてはケースバイケースである。国内で同様の食中毒事案が発生した場合の対応に関しては、厚生労働省と国立感染症研究所が連携し、畜産物・農産物等も対象に含めて遡及調査等を行っているところ。原因食品の想定に関しては、輸入品の話となるが、厚生労働省は「輸入食品等モニタリング計画」を毎年策定しており、その中で、加熱せずに表皮も食する果実や無加熱摂取冷凍食品(果実加工品)を対象にA型肝炎ウイルスの検査を行うものとしている。このことから、厚生労働省は生で喫食する果実や冷凍の果実がA型肝炎の食中毒の原因食品となり得ることを想定しているものと思料される。

    (廣田氏)「いちご(包装済み)」は生鮮が対象で、冷凍は含まないのか。
    (永川補佐)加工品に関しては、事前に森田氏からも同様のご質問をいただいている。ベリー類の加工品は輸入品が多くを占めており、そちらについては厚生労働省が毎年モニタリングを実施し、リスク管理を行っているところ。一方で、ベリー類の喫食による海外でのA型肝炎の大規模食中毒事案については、原因食品として冷凍ベリー類が挙げられた事案だけでなく、生鮮ベリー類が挙げられた事案もある。こうしたことから、令和5年度の調査は国内生産の生鮮ベリー類(いちご)について、生産段階での調査を行うものとしている。引き続き、厚生労働省と情報共有等を適切に行い、リスク管理が政府全体として適切に進められるよう連携して対応していきたい。

    (森田氏)サーベイランス・モニタリング中期計画ではA型肝炎ウイルスは二枚貝が対象となっていたが、そちらの調査計画はどうなっているか。
    (五島補佐)二枚貝のA型肝炎ウイルスについては、中期計画で優先度Aとして記載していたところ、令和3年度に、カキのノロウイルスに係る水準調査の検体の一部(16海域分)を用いて、予備調査を実施した。現在、その調査結果は公表準備中であるが、国産カキ中のA型肝炎ウイルスの保有状況は低く推移していることが確認できたため、現時点では二枚貝のA型肝炎ウイルスの調査の優先度は高くないと考えている。国内でも2018年に性的接触による感染等も含めたA型肝炎ウイルスの感染症としての流行はあったが、それ以降の調査として、国産カキにおける保有状況が低いことが確認できた。引き続き、国内外の状況を注視し、A型肝炎感染症の発生状況の大きな変化等があれば、調査実施の必要性について検討したい。

  • 畜産物中の危害要因の調査に関する議論

    (阿部氏)採卵鶏の廃鶏について、「月齢等が共通であれば菌の保有実態が同じ傾向となるのか、定量的データを踏まえ」とあるが、採卵鶏の場合、ブロイラーに比べ、長い期間飼育するため、段々サルモネラ等の菌の保有率が上がる傾向がある、ということを示しているのか。また、現在鳥インフルエンザの影響で卵がない状況である。鶏卵の事業者は廃鶏にする時期を少しずつ伸ばしながら対応しているという話を伺ったが、そのような状況と関係のある調査か。
    (五島補佐)1つ目の質問に対しては、これまで廃用となった採卵鶏の盲腸内容物中の食中毒菌の保有実態を大規模に調べた国内のデータはないと認識している。過去に、試験的に採卵鶏に食中毒菌を感染させ、その後盲腸便中の菌量を経時的に調べた国内の研究報告がある。その中で、飼養日数が長いほど、排出量が減るというデータがあった。令和5年度では成鶏の盲腸内容物について調べ、カンピロバクターについては定量的、サルモネラについては定性的なデータを取得し、月齢に応じた傾向があるか、傾向があれば将来的にサルモネラの定量的なデータを取る必要があるかも含めて検討したい。2点目の質問について、現在の鶏卵の供給に係る状況と令和5年度の調査が関係しているというものではなく、元々鶏肉の生産段階に係る実態調査を令和4年度~令和5年度の2ヵ年計画で実施を予定しており、肉用鶏のみならず廃用になった採卵鶏も鶏肉になることから、調査を実施する。廃用となった採卵鶏の調査では、サルモネラの保有状況と農場でのワクチン接種の有無等との関連性についても調査することを計画している。

議題3:その他報告事項

  • 有害化学物質の実態調査結果のデータ集について

    有害化学物質の実態調査の結果の公表の一つの形として、令和5年2月に「有害化学物質含有実態調査結果データ集(平成29~30年度)」を公表したことを受けて、資料5に基づき、本データ集について、農林水産省(森専門官)から情報提供。

  • 食料・農業・農村基本法の検証について

    食料・農業・農村基本法は施行20年が経過し、現在検証作業が進められているところ。令和5年2月10日に食品安全等に関するテーマで基本法検証部会(食料・農業・農村政策審議会の下に設置)が開催されたことを受け、資料6に基づき、食料・農業・農村政策審議会基本法検証部会における食料・農業・農村基本法(食品安全関係部分)の検証の状況について、農林水産省(古畑課長)から情報提供。

  • 令和5年度の食品安全関係予算について

    資料7に基づき、令和5年度の食品安全に関する予算について、農林水産省(漆山補佐)から情報提供。

  • 令和5年度安全な農畜水産物安定供給のための包括的レギュラトリーサイエンス研究推進委託事業の公募について

    農林水産省の試験研究の取組として、令和5年度安全な農畜水産物安定供給のための包括的レギュラトリーサイエンス研究推進委託事業における、食品安全に関する委託事業の公募について、農林水産省(漆山補佐)から情報提供。

2.出席の常に参加するメンバーからのコメント

(阿部氏)サーベイランスやモニタリングが確実に実施され、安心して農林水産物を食べることが出来れば、その結果として日本の良い農産物や食品が海外から評価され、輸出が増えていくものと思料。輸出ありきではないことを改めて実感した。消安局の地道な活動が大事である。

(瓜生氏)実態調査の結果が有効に事業者に還元され、活かされることを期待している。

(子安氏)生卵を美味しくいただく等、日本で当たり前に感じている安心・安全はこのような地道なサーベイランスに支えられていると感じた。

(早川氏)サーベイランス・モニタリングの結果の報告について、報告書は農林水産省HPにて公開されていると承知しているが、可能であればパワーポイント等で内容をシンプルにまとめた形で示してもらえると内容がダイレクトに伝わると考えている。PFOS、PFOA以外のPFASについても、諸外国では規制が進展していると認識している。いきなりサーベイランス・モニタリングというわけにはいかないが、リスクプロファイル等の情報の整理を他省庁の動きとも絡めて進めてほしい。

(漆山補佐)早川氏からいただいたコメントに回答する。消費・安全局においても、取組の見える化が課題と思料。行政や事業者の取り組みの見える化や現在のリスク管理の取組状況については、次回以降の検討会でより深く議論をしたい。PFAS全体の取組については、環境省のPFAS に対する総合戦略検討専門家会議においても国民への情報提供の方法について議論されているところであり、他省庁とも連携をし、足並みを揃えつつ進めていきたい。

(廣田氏)消費・安全局が行っているような仕組みで消費者に安心・安全な食品が提供されていると伝えていきたい。食料・農業・農村基本法の20年ぶりの見直しについても注視している。

3.結論

令和5年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画に掲載する調査案について、常に参加するメンバーと情報・意見交換を行った。

4.今後の予定

令和5年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画について、今回の検討会でいただいた質問・意見も考慮し、再度見直しを行い、国内の関係者や関係府省とも調整した上で年度内目途に公表する。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

担当者:リスク管理企画班
代表:03-3502-8111(内線4459)
ダイヤルイン:03-3502-7674

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