第3回農業人材の確保に向けた検討会(令和3年6月30日)議事概要
1 日時
令和3年6月30日(水曜日) 16時30分~18時00分
2 場所
農林水産省 本館3階 第1特別会議室
3 出席者
[有識者(テレビ会議での参加)]
中森 剛志 氏 (新規参入5年目)
川名 桂 氏 (新規参入3年目)
矢野 健太郎 氏 (新規参入2年目)
阿部 陽介 氏 (新規参入5年目)
島田 馨子 氏 (雇用就農6年目)
[農林水産省]
葉梨農林水産副大臣
熊野農林水産大臣政務官
松尾大臣官房審議官
平山就農・女性課長
4 概要
〇葉梨副大臣挨拶
(葉梨副大臣)
本日は御多用のところ、「農業人材の確保に向けた検討会」に御出席いただき、心から感謝申し上げる。
農業者の減少、高齢化が急速に進んでいく中、これまでも新規就農を増やすための施策を行ってきたが、意欲ある多様な若者を農業に呼び込み、新規就農者数を増やし、定着させていくことは喫緊の課題であり、対策を講じなければいけないと考えている。そこで、農林水産省では「農業人材の確保に向けた検討会」を立ち上げた。
第3回目となる今回は、実際に新規就農された5名の方に御出席いただいた。本日、御出席いただいた皆様は、新規就農に至るまでの道は様々だが、いずれの皆様も経営を軌道に乗せておられる、又は法人の中で御活躍されていると聞いている。皆様が新規就農された際に感じたこと、さらに、実際に新規就農された御経験をお聞かせいただきたいと考えている。
本日は、忌憚のない御意見をいただければと思う。
〇有識者からの説明
(中森剛志氏)
東京生まれの非農家出身。東京農業大学を卒業後、25歳の時に埼玉県加須市に移住した。現在は、社員10名で、米、麦、大豆、甘藷を150haの農地で生産している。学生の頃から、日本の農業に危機感を感じており、日本の農業に貢献したいという想いから、流通業や飲食業を経験した。その後も、シンクタンクやNPO法人での活動を通じて、農業の1番の課題は生産分野にあると考えて、水田農業のメガファームを作ることを目指して、中森農産を設立した。日本では、他の先進国と比較して、農業従事者に占める65歳以上の割合が多く、将来に対する不安を感じる。2025年には、団塊の世代が後期高齢者となり、その方々が一気に農業を辞めてしまうリスクがある。
一方で、農業をやりたいと思う人は確実にいると思う。イオンアグリ創造が、募集をした際、たくさんの応募があったという。農業をやりたい人はいるのに、農業ができないのは、(1)優良な雇用就農の受け皿が少ないこと、(2)独立就農する際に必要な情報がクローズになっていることの2点だと考える。
農業人材の確保するためには、4つの取組が重要だと考える。
1つ目は、農地バンクや空き家バンクの情報を、就農希望者に円滑に情報提供すること。農地バンクや農地中間管理事業に関わっているが、地権者が中心となって運営されているので、新規参入者にとって、農地の情報にアクセスするのが難しい。
2つ目は、就農希望者に粗利、損益分岐点など、経営の知識を教育する機会を作ること。これは、特に独立就農する人にとって必要である。
3つ目は、雇用就農の労働環境の改善である。既存の農業経営者に対して、労務管理に関する教育を行うことが必要と考えている。また、社労士にお願いしても良いと思うので、社労士を雇うための費用の支援があっても良いと思う。雇用就農の環境が変われば、雇用就農後の定着率も変わってくる。
4つ目は、優秀な人材を確保するため、キャリアプランを明示できる法人を増やすことである。優秀な人材が入ってくれば、法人が発展し、新たな人材の確保につながる。
(川名桂氏)
令和元年に、東京都日野市に新規就農して、現在、就農3年目。賃借した農地、2100平方メートルで、トマトの養液栽培など、施設野菜と露地野菜を生産している。消費者に近いところで、地域の方と直接つながりながら、魅力的な街づくりにも貢献する農業をしたいという想いから、事業を立ち上げた。販売先は、農園近くの自販機、地元の直売所、宅配といった直接販売が全体の約7割を占め、残りは、仲卸業者に出荷している。
大学卒業後、農業法人に就職し、トマトの施設栽培の立ち上げに携わった。1年間、農家で研修後、福井県で農園を立ち上げ、栽培工程の管理、人事、労務管理、出荷調整、販売営業を経験した。その中で、地方で農産物を大量に生産し、都会で見ず知らずの人に大量に売ることに疑問を感じ、自分のキャリアはこのままでいいのかを考えた時、独立就農する想いが強くなった。
独立するに当たり、より消費地に近いところで、人の生活に関わりながら小規模な農業がしたいということで、東京都農業会議に就農の相談をし、農地を探すことから始めた。農地を長期間貸してもいいという人がなかなか見つからなかったが、その間は、都内の農家で研修をしていた。事業計画を自治体に提出し、審査を受けるなど、独立に向けた準備を進め、2年かかって、ようやく農地を貸してもらえた。
都市部における新規就農は、生産、販売、資金の各面でメリット・デメリットがある。
生産面のメリットは、都市部には、農業に興味を持つ人が多く、ボランティアやパート、従業員など、労働力を確保しやすいことである。デメリットは、農地に限りがあり、分散もしていることから、規模拡大や効率化することが難しく、事業を発展させることが難しいことである。
販売面では、消費地が近いことがメリットだが、産地ブランドがないため、営業・販売が必要。
資金の面では、ハウスを建てる際に、東京都の事業を活用することができた。また、農の雇用事業により、従業員を1名雇うこともできた。デメリットは、ハード面の補助事業では、農地の長期間の賃貸借契約が要件となっており、要件に該当する農地を都市部で探すことが難しく、補助事業を受けにくいことである。
農産物の需給バランスは、供給過多と感じており、そのような情勢の中、農家が生き残るためには、経営力が必要である。そのためには、キャッシュフローや財務などの経営に関する知見が必要である。また、事業計画を作る際に、家族に手伝ってもらうが前提となっているなど、人件費に対する意識が薄く、反収や単価といった情報のみでの経営評価を行うといった農業独自の事業計画の考え方を変えるべきだと思う。
また、雇用就農の間口を広げるために、働きたくなる環境を整備する必要がある。私のところにも就農相談に来るが、作業場や休憩所がなく、普通の仕事の環境とは違いを感じてしまう。事業計画を策定する際に、従業員を雇用することを想定して、社会保障制度への加入や福利厚生、作業場などを設置することを考えておく必要がある。
(矢野賢太郎氏)
埼玉県戸田市出身で、高校卒業後、JAみなみ信州が出資する農業法人における2年間の就農研修を経て、2020年4月に長野県喬木村で独立就農。「露地+施設キュウリ」と「市田柿」を生産している。
子供の頃から「人を笑顔にする仕事がしたい」と思っており、中学2年生の頃から、農業を志していた。祖父が住んでいる長野県に馴染みがあり、長野で「イチゴの観光農園」をやることが夢だった。高校在学中に祖父と一緒に新・農業人フェアに参加。長野県のブースで県内のイチゴ産地として、喬木村を紹介された。喬木村とJAのブースで就農研修の説明を受けて、「地域で暮らしていける農業に魅力」を感じ、南信州での研修を決意した。その後も、地元農家での短期研修に何度も参加し、就農への意欲を高めた。
平成30年3月に埼玉県から長野県に移住して、研修を開始。研修中、JAが出資する農業法人の社員として身分が保証されており、生活の不安はなかった。住居については、JAが飯田市と交渉してくれて研修住宅(元教員住宅)が用意された。研修時は飯田市の所属として研修した。
研修1年目は集合研修で基礎を学び、2年目は実践研修(販売等含む)となっており、内容は、栽培技術と経営・経理・税務など。
飯田市にマッチする住宅と農地が見つからないことから、就農する農地とハウスは、喬木村役場とJAが、引退する農家と賃借の交渉をしてくれて、研修中に確保することができた。農地を譲り受けることができたため、研修修了後、直ぐに経営を始めることができた。経営の柱となっている「夏秋胡瓜」+「市田柿」が、収入源となっている。また、就農後も営農技術指導員が指導してくれる。喬木村の先輩農家の方のサポートがとても大きい。就農研修の一環で行われた農家研修でお世話になった方など中心に、多くの農家の方が気にかけてくれて、困ったとき、分からないとき、相談に乗っていただける。施設キュウリと市田柿を経営の柱として経営確立、安定を図り、その後にイチゴ栽培なども考えたい。
経営を開始する段階での初期投資は、大きなハードルと感じた。それなりの資金がなければ農業を始められないので、資金の補助もありがたいが、初期投資へのサポートが充実するとありがたい。私のように、農業を引退する方から中古ハウスを譲り受けることや、農業機械を、借りやすい価格設定でリース・購入できる仕組みがあると助かる。農家を引退する人と、新たに始める人のマッチングができる仕組みが必要である。
また、就農研修は一般農家での研修が多いようだが、行政とJAが一緒になった組織が企画している「担い手就農プロデュース」による研修制度などは、とても研修効果が大きいと思う。現役の研修生や研修生OBが交流できて、技術や思いなどの交換もできる。このような集団研修的な就農研修制度を全国で作ることが大事だと思う。
(阿部陽介氏)
神奈川県藤沢市出身、就農前はソフトウェア開発会社に勤務。山形県大江町に移住して 7年目になり、就農5年目。現在は、大江町就農研修生受入協議会 (OSIN の会) 事務局長を務めている。
栽培作物は、スモモ2haを中心に、桃やリンゴ、水稲などに取り組んでおり、農地面積は全体で4.7haほど。OSINの会の新規就農者と共同で「水菓子屋 乃介」を立ち上げ、ラ・フランスとリンゴのインターネット販売をしている。
就農のきっかけは、「自己責任のもとで仕事がしたい」と起業を考えたこと。前職では、7年間管理職として勤めていたが、自身の判断で仕事をする機会があまりなかった。妻の「新しく仕事をするのであれば田舎暮らしたい」との思いもあり、IT分野での起業に拘らず就農も考え、新・農業人フェアに参加した。その際に立ち寄ったOSINの会のブースにて、受け入れ農家や研修生から具体的な話が聞くことができ、就農のイメージが膨らんだ。その後、農地を見学し、新規就農者の方々から体験談を聞き、移住を決めた。
就農するに当たって、農地はOSINの会の所属農家に斡旋してもらえた。就農してすぐにリンゴとスモモの農園を30aほど借りることができた。
また、大江町の支援も充実している。町の助成で、共同の作業施設や農機具バンクを整備しており、自前で揃えなくてもすぐに農業を始められる環境が整っている。
就農後もOSINの会の先輩農家に巡回指導してもらえるため、技術面などであまり悩むことがない。
新規就農者を増やしていくための課題として、農業の魅力を直接伝えるような場が少ないことが考えられる。OSINの会の勧誘活動も、年1、2回の農業人フェアに参加することくらい。実際に農地などを見てもらえる就農ツアーなど、直接見たり聞いたりできる手段が必要。行政には、就農の優良事例だけではなく、就農後にすぐにリタイアしてしまった事例などをデータベース化し、研修生、新規就農者へのケアする為の材料として使用できるようにお願いしたい。
(島田馨子氏)
東京都出身、神奈川県相模原市の「ゆうゆう農場」で営業から生産まで担当している。入社(雇用就農)6年目となる。就農前は、印刷の営業、広告代理店、会計事務所に5年ずつ勤務していた。着実にキャリアと年収はアップしたが、外の天気すら分からないオフィスに閉じこもりがちな生活に疑問を感じ、小笠原に旅行した、自然に恵まれた環境への移住に憧れ、お試しに訪れた「ゆうゆう農場」のトマトのおいしさに衝撃を受け、転職を決めた。
畑仕事は初めての経験だったが、楽しく、自分にもできると感じた。農業に必要なスキルは、国語、算数、理科など小学校で身につくものと、コミュニケーション能力や課題解決力など、社会人経験があれば特に難しいものはないと思う。
しかしながら、天候や土地柄、相場などあらゆる要素によって、常に変化する状況に対応する高度な思考力と実行力が求められることが、難しい面であると思う。失敗した際の原因を天候のせいにしがちだが、作付けの時期やマーケットの変化への対応など、考える力が足りないことが根底にある場合が多いと思う。
また、農業は6次産業化、福祉やレジャー産業などとの連携等、大きな伸びしろのある産業だと考える。
新規就農に当たって困ったことは、生活スタイルが変わったこと。土日が休みではなくなるため、家族との時間の確保が難しい。
就農に役立ったことは、前職の営業経験と会計経験、特に「原価」の概念と「税」に関する知識。
就農時にありがたかった行政の支援としては、農の雇用事業による助成があったこと。これがなければ会社は、私を雇用することは難しかったと思う。また、「かながわなでしこfarmers ‘college」では、4日間の研修で、出産や子育てなどの際の仕事をどうするのかについて学ぶことができた。農業女子プロジェクトでは、たくさんの女性農業者と交流することができ、刺激の場となっている。
農業については、衰退と成長の両極端の産業であると思う。後継者不足や外国人労働者の帰国により、激しく衰退する可能性もある一方、果物狩りなどの観光農業やSNSの普及による農業のイメージアップなどにより、激しく成長する可能性も秘めている。課題としては、従来の家族経営中心の農業では、「給与」の概念がないため、原価計算に人件費が含まれていないことが挙げられる。「ゆうゆう農場」では、人件費を捻出することに力を入れている。入社した当時は5人だったスタッフは、15人以上に増えた。年商も3倍に増加している。
新規就農者を増やすために必要な支援は、3つ。(1)助成金などの資金の支援、(2)「頭脳」支援、(3)PR支援。特に、(2)については、税や労務、経営などの各種研修を就農前に学ぶことが大事だと考える。また、あえて「頭脳」支援とした理由は、農業現場においては、考えることが何よりも重要と思うため。例えば、作付けをする際にも、誰が作るのか、誰が売るのか、誰が収穫するのか等、常に考えることが重要だと考える。
〇意見交換
(松尾審議官)
新規就農を開始する際、ワンストップで就農に関する情報を得られるようになると良いと考えているが、皆さんにとって、どの組織がそのような機能を果たしていたと感じているか。
(中森剛志氏)
市町村の職員が農地情報を把握しているため、市町村に支援してもらった。ただ、市町村の職員は3年で異動してしまうのが難点。
(阿部陽介氏)
空き家バンクは、空き家物件を登録すると不動産価値が下がる為、優良物件は登録してもらえない傾向にあり、空き家バンクのサイトの情報が少ない、私が空き家を借りることができたのは、近隣住民との会話がきっかけ。OSINの会のベテラン農家の方が「近所で貸したい人がいる」と、近所の人との交流でないと分からない情報を拾ってもらい、私に紹介していただいた。その後、役場からもサポートしていただいた。
(矢野賢太郎氏)
研修中の住居は、JAと市町村にサポートいただいて、教員住宅を紹介してもらった。就農後の住居については、市町村から、住む場所がないと言われていたが、研修時にお世話になった農家に聞いたら、すぐに紹介してもらえた。市町村に、空き家の情報を集約してほしいと思った。
(松尾審議官)
農の雇用事業は、2年間だが、雇用を維持するために、3年目以降に段差が生じないか。
(川名桂氏)
就農前の研修先農家では、農の雇用事業を活用されていたが、事業がある前提で雇用してしまうと継続性がないという意見を聞いた。事業で助成される資金については、人件費ではなく、雇用環境の改善のための費用などに充てるべきだと言っていた。私自身も現在、経営者として事業を活用しているが、農の雇用事業がなくなっても、給与が払えるような継続性のある経営を行っているところ。
(島田馨子氏)
農の雇用事業の助成金をそのまま給与に充てるという考え方は間違いだと思う。人手が一人増えれば、生産量が増えて売上げも増えるはずなので、本来は経営的には問題ないはず。しかし、未経験の方で入ってきた方だと、売上げを上げることが難しい。このため、2年間で売上げをしっかり上げることができる教育や研修ができれば、農の雇用事業終了後も、問題なく継続して雇用することができる。
(熊野政務官)
経営感覚や税に関する教育が重要であるとの御意見があったが、いつの段階で、どのように行えば有効と考えているか。
(中森剛志氏)
私自身は、2年前に県が主催する農業経営塾で経営に関する知識を網羅的に学習した。
経営塾では、独立して間もない人向けのコースと、年商1億円以上を目指す人向けのコースがあり、私は後者の方に参加したのだが、非常に良かった。このような農業者のフェーズに合わせた教育は良いと考える。経営塾の取組は、全国的に行われており、今後も継続すべき。
(川名桂氏)
就農前に経営について学ぶ必要があると考えるが、市町村などが行う経営計画審査の際にも、経営の重要性について助言することが重要だと考える。また、経営的視点が欠如している計画書については、厳しく指摘や助言をしていく必要がある。
(島田馨子氏)
就農前の研修で、経営を意識することが必要。就農後に学習するとなると、農作業などに気を取られてしまいなかなか難しい。ただ、やってみないと分からないこともあるし、一回の研修だけでは十分な学習にならないこともあるため、就農して3年目や5年目の研修など、継続的にスキルアップできるような研修があると良い。
(葉梨副大臣)
中森さんにお聞きしたい。なぜ、埼玉県加須市を就農地に選んだのか。
(中森剛志氏)
首都圏に近い関東の穀倉地帯のどこかにメガファームを作ろうという動機のもと、色々な地域を巡ったところ、加須市は、交通の便が良いことや高齢化率が高く、将来合理的に農地が集積できると感じたため。
(葉梨副大臣)
どれくらいの市町村を回ったのか、また、他の市町村よりも加須市の支援がよかったのか。
(中森剛志氏)
半年で15市町村くらい回った。行政の支援は、どこもあまり大差ないと感じている。実績のない新規参入者に農地を積極的に紹介してくれるようなケースは、なかなかない。現在の農地も、中間管理事業により全てを集めたわけではない。加須市自体、基幹的農業従事者の高齢化が進んでいること、都市近郊ながらかなりの農地面積があることが決め手となった。
(葉梨副大臣)
150haの農地は集約化されているのか。また、農地を借りるに当たって、情報の入手や貸し手との交渉はどのように行っているのか。
(中森剛志氏)
集約化率は、例えば代々続く大規模農家などと比較すると20%くらい。半径10km圏内で農地は分散しており、効率は非常に悪いが、なかなか理想的な形で農地を集めることは難しい。農地情報は、あまりオープンにされていないため、情報の集まる近隣の大規模農家や資材業者等へアプローチし、情報収集している。
また、現在の農地も、中間管理事業により集まった農地はほとんどない。市町村が行う農地円滑化事業ではかなり集まっていたが、中間管理事業に一本化される為廃止される。現場に詳しい市町村の職員の方が迅速なマッチングができていたという事で、中間管理事業においても現場い詳しい職員を長期で配置してほしい。時間をかけて地域の信頼を得て、情報を集めた中間管理事業の県の担当者が、3年ほどで異動してしまうと、農地に関する情報が蓄積されていかないため、効率が悪いと感じている。
〇葉梨副大臣挨拶
(葉梨副大臣)
本日は、大変興味深い話を聞かせていただいた。経営感覚に関する話は、重要なことだと考えている。 農水省としても、現在2つの問題を抱えている。
まず一つ目は、新規就農者が土地利用型農業を始めようとするとなかなか農地の貸し手が見つからないことがある。大規模農家だと、飼料用米や加工用米など需要に応じて生産ができるが、新規就農者や規模の小さい農家だと、農地が点在しているため、効率が悪く、コストがかかってしまい難しい。できるだけ農地を集約して効率化を図っていかなければ土地利用型農業の後継者を育てていくことはできないため、人・農地プランの実質化に取り組んでいかなければならないと考えている。
もう一つは、就農希望者に効果的に情報を伝えていくための仕組みづくりについてである。新型コロナウイルスの影響もあり、農業への関心が高まっていることもある。一方、本日お話にあった新・農業人フェアのやり方についても変えていく必要があると思うし、各市町村が横並びにやるだけではなく、各地域の取組を競争させるなど、地域に人を呼び込むための仕組みについても、検討する必要があるのではないかと考える。支援についても様々なご意見があったが、こちらも各市町村やJAが独自で行っている支援も含めて、就農希望者に効果的に伝えていくための仕組みづくりが必要であると考える。
今日のお話は、これから政策を考える上で、非常に参考になった。これからも皆様の御意見をいただきたい。
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経営局就農・女性課
担当者:平山、榊、伊藤、日髙
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