このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

2 貧困等の状況にある子供に対する食育の推進


こども食堂における衛生管理のポイントにおけるチェックリスト(厚生労働省)

こども食堂における衛生管理のポイントに
おけるチェックリスト(厚生労働省)

子どもの貧困率(*1)は、「令和4(2022)年国民生活基礎調査」において、令和3(2021)年は11.5%となっています。また、平成29(2017)年「生活と支え合いに関する調査(特別集計)」によると、子供がある全世帯の16.9%に食料が買えない経験がありました。こうした中、地域住民等による自主的な取組として、無料又は安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供するこども食堂等が増えており(*2)、家庭における共食等が難しい子供たちに対し、共食等の機会を提供する取組が広まっています。

政府では、貧困の状況にある子供たちに対する食育の推進や貧困の連鎖の解消につながるこども食堂等の活動への支援を含む官公民の連携・協働プロジェクトとして、「こどもの未来応援国民運動」を推進しています。この国民運動では、民間資金による「こどもの未来応援基金」を通じた支援や、こども食堂等を運営する団体と、団体の活動への支援を希望する企業等とのマッチング等を行っています。

さらに、こども家庭庁では、令和5(2023)年度において、基本的な生活習慣の習得支援や学習支援を行う「こどもの生活・学習支援事業」を拡充し、ひとり親家庭の子供に加え、低所得子育て世帯等の子供もその支援対象とするとともに、新たに食事の提供に係る費用の補助を行うこととしました。また、令和5(2023)年度補正予算において、多様かつ複合的な困難を抱える子供たちに対し、安心安全で気軽に立ち寄ることのできる食事等の提供場所を設けるなど、地域における支援体制の強化を目的とした「地域こどもの生活支援強化事業」を新たに創設し、こども食堂、こども宅食、フードパントリー等の食事提供を伴う事業を実施する地方公共団体に対する支援を行うこととしました。

厚生労働省では平成30(2018)年6月と令和3(2021)年10月に通知を発出し、こども食堂に対して、活用可能な政府の施策や、食品安全管理等の運営上留意すべき事項を周知するとともに、行政・地域住民・福祉関係者・教育関係者等に対して、こども食堂の活動への協力を呼び掛けています。

農林水産省では、こども食堂と連携した地域における食育が推進されるよう、ウェブサイトにおいて関連情報を紹介しているほか、子供たちが健康な食生活を実践できるよう、こども食堂等で共食の場を提供する活動を支援するなど、地域での食育活動や食品アクセスの質の向上等に向けた取組を支援することとしています。

また、令和2(2020)年度からこども食堂やこども宅食において、食育の一環として使用できるよう、政府備蓄米を無償で交付しています。

このように、こども食堂等による食事等の提供には、食育の推進、孤独・孤立対策、食品アクセスの確保等、様々な効果が期待されています。

*1 17歳以下の子ども全体に占める、貧困線に満たない17歳以下の子どもの割合。貧困線とは、等価可処分所得(世帯の可処分所得(総所得(収入)から税金・社会保険料等を除いたいわゆる手取り収入)を世帯員数の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分の額。

*2 認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ及び全国のこども食堂の地域ネットワークの調査によると、全国のこども食堂は、少なくとも9,132か所(令和6(2024)年2月発表)。

事例:管理栄養士を目指す大学生によるこども食堂等の食支援活動
(第7回食育活動表彰 審査委員特別賞受賞)

沖縄大学管理栄養学科子ども食堂サポートチーム(沖縄県)

沖縄大学管理栄養学科子ども食堂サポートチーム(以下「管理栄養学科」という。)は、那覇(なは)市内の関係機関やこども食堂、ボランティア団体と協力して、県内の子供の貧困等の課題を食の面から支援しています。

管理栄養学科は、令和元(2019)年に沖縄県で初めての管理栄養士養成施設として指定されました。管理栄養学科第一期生の一人が、こども食堂で調理の手伝いに参加したことをきっかけに、学生と、こども食堂の子供たちやスタッフとの交流が始まりました。

学生たちがこども食堂の調理を支援するボランティアに定期的に参加することにより、学生たちが普段は関わることが少ない子供との交流が生まれ、子供たちが食の楽しさや興味をもつ機会につながっています。また、学生はこども食堂が「子供を中心とした多世代交流の地域拠点」であることを学ぶことができ、幅広い視野を持った管理栄養士の養成にもつながっています。

このほか、こども食堂の調理支援をする中で得た気づきや課題をより深く学び、実践するために、学生自らが企画を考え、様々な取組を行っています。令和2(2020)年度には、ひとり親世帯を対象に、栄養バランスを考慮した弁当50食を無料で提供しました。弁当のメニューを決めるに当たって、那覇市社会福祉協議会や地域で活動している団体を講師として招いて事前講習会を開催し、ひとり親世帯の実態や、どのような食事が求められているのかなどを聞き取りました。弁当には県産野菜を使用したり、郷土料理を取り入れたりする等の工夫もされています。弁当を食べた親子からは、「普段食べられないような食材が入っていて、彩りも鮮やかでとても手の込んだお弁当でとても感動しました。」、「自分でも栄養の勉強をしたい。」等の声があがりました。

また、令和3(2021)年度にはコロナ禍でもこども食堂のスタッフと子供たちが楽しく調理の体験ができるように、食育レシピ動画や民謡のメロディーにのせた手洗い動画を製作し、動画を使って、3か所のこども食堂とオンラインで同時につなぎ、調理実習を行いました。参加した子供たちからは、「にんじんやたまねぎの切り方がわかった。」、「今日一緒にやったことを自分たちだけで作ってみたい。」などの声があり、子供たちの食の自立支援につながりました。

今後も大学と地域の人々が相互に交流し、地域の課題をともに考え、試行錯誤しながら課題解決に向けた食の支援を続けていきます。

ひとり親世帯への弁当を作る学生

ひとり親世帯への弁当を作る学生

動画を使ったこども食堂での調理実習の様子

動画を使ったこども食堂での調理実習の様子



ご意見・ご感想について

農林水産省では、皆さまにとってより一層わかりやすい白書の作成を目指しています。

白書をお読みいただいた皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。

送信フォームはこちら

お問合せ先

消費・安全局
消費者行政・食育課

担当者:食育計画班
代表:03-3502-8111(内線4551)
ダイヤルイン:03-3502-1320

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader