1 食の循環と食に関する感謝の念と理解
私たちが食べるものは、生産、加工、流通と、多くの人々の手によって支えられていますが、消費者と生産者が互いを意識する機会は必ずしも多くはありません。また、我が国は食料及び飼料等の生産資材の多くを海外からの輸入に頼っています。我が国の食料自給率の推移をみると、単品で最も国民のカロリー摂取量が多く、自給率の高い米の消費が減少し、飼料や原料を海外に依存している畜産物や油脂類の消費量が増えてきたことから、長期的に低下傾向で推移してきました。カロリーベースでは近年横ばい傾向で推移し、平成27(2015)年度では39%でした(図表1-2-1)。
食料自給率(カロリーベース)について国際比較をすると、カナダ、オーストラリア、フランス、アメリカなどの輸出が多い国の食料自給率は100%を超えている中にあって、我が国の食料自給率は、先進国中最低水準になっています(図表1-2-2)。
こうした状況を踏まえて、私たちの食べ物がどこから来ているのかを認識し、日々の食の選択が自らの食との関わりを決めていくことについて理解することは、食育の重要な目的の一つです。
食育基本法においては「食に関する感謝の念と理解」(第3条)として「食育の推進に当たっては、国民の食生活が、自然の恩恵の上に成り立っており、また、食に関わる人々の様々な活動に支えられていることについて、感謝の念や理解が深まるよう配慮されなければならない。」としています。また、平成28(2016)年3月に作成された第3次基本計画においても、重点課題の一つとして、新しく「食の循環や環境を意識した食育の推進」を定め、「食に対する感謝の念を深めていくためには、自然や社会環境との関わりの中で、食料の生産から消費に至る食の循環を意識し、生産者を始めとして多くの関係者により食が支えられていることを理解することが大切である。」としています。
食の簡略化、外部化も含めて食料の消費構造が大きく変化してきています。第2節においては、食を支える生産者等への理解の増進と食に対する感謝の念を深める上で重要な農林漁業体験活動を中心とした取組の現状等について、平成28(2016)年度に行った調査結果等を踏まえて紹介することにします。
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