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農林水産省

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2 農林漁業に関する理解増進や生産者と消費者との交流の促進等の状況


(1)農林漁業体験活動の促進

農林漁業に関する体験活動は、農林水産物の生産現場に関する関心や理解を深めるだけでなく、国民の食生活が自然の恩恵の上に成り立っていることや食に関する人々の様々な活動に支えられていること等に関する理解を深める上で重要です。

農林漁業体験活動には、農林漁業者が生産現場等に消費者を招き、一連の農作業等の体験機会を提供する教育ファームなどの取組や、子供の農山漁村での宿泊を通じて農林漁業体験や自然体験活動等を行わせる取組のように、都市住民と農林漁業者との交流の促進の一環として取り組まれるものがあります。取組によって、教育ファームのように加工・調理体験といった食体験に結びつくものや都市農村交流のように農村での生活体験や自然体験と結びつくものがありますが、ともに食料の生産から消費までに至る食の循環を意識し、食に対する感謝の念を深める取組として、いかに進めていくかが食育の推進に当たっては重要です。

第3次基本計画においては、第2次食育推進基本計画(以下「第2次基本計画」という。)に引き続いて「農林漁業体験を経験した国民を増やす」ことを目標にしています。教育ファーム、「子ども農山漁村交流プロジェクト」などの取組により食育を推進する広範な関係者の協力を得ながら、農林漁業に関する多様な体験の機会を積極的に提供することを通じて、第2次基本計画の目標(農林漁業体験を経験した国民の割合を30%以上とする。)は計画期間中に達成されました。第3次基本計画では、国民の更なる食や農林水産業への理解増進を図る観点から、子供をはじめ幅広い世代に対する農林漁業体験の機会の提供が必要となっていること等を踏まえ、目標を更に高めています。

農林水産省において平成28(2016)年10~11月に全国の20歳以上を対象に実施した「食生活及び農林漁業体験に関する調査」によると、農林漁業体験を経験した国民(本人又は家族)の割合は30.6%でした(図表1-2-3)。

図表1-2-3 農林漁業体験を経験した国民(本人又は家族)の割合

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どのような農林漁業体験に参加したかを尋ねたところ、「学校の取組に参加」と回答した人の割合が61.4%と最も高く、次いで「地方自治体や地域の取組に参加」(22.8%)、「民間のツアーなどに参加」(9.0%)の順になっています(図表1-2-4)。また、体験の際に農林漁業に携わる者から直接指導を受けたかを尋ねたところ、83.0%の人が指導を受けたと回答しています(図表1-2-5)。農林漁業者が学校等の教育関係者、地方公共団体など、食育を推進する様々な関係者と連携して農林漁業に関する多様な体験の機会を提供しています。

図表1-2-5 農林漁業に携わる者の指導を受けた体験の有無

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さらに、農林漁業体験に参加して変化したことを尋ねたところ、「自然の恩恵や生産者への感謝を感じられるようになった」が60.9%と最も高く、次いで「地元産や国産の食材を積極的に選ぶようになった」(25.9%)となっており、農林漁業体験を契機として、食やそれを支える人達への関心に変化がみられます(図表1-2-6)。

図表1-2-6 農林漁業体験に参加して変化があったこと

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農林漁業体験に参加して変化があったことについて、体験に際しての農林漁業者による指導の有無別でみると、「自然の恩恵や生産者への感謝を感じられるようになった」こと及び「地元産や国産の食材を積極的に選ぶようになった」ことについて、体験の際に農林漁業者の指導を受けた人は、それぞれ65.4%、28.8%であるのに対して、指導を受けなかった人は、それぞれ40.2%、12.5%となっています。このことから、農林漁業体験活動においては、農林漁業に携わる者の積極的な関与があるかどうかで、体験後の意識の変化において違いが出ることが示唆されます(図表1-2-7)。また、「地方自治体や地域の取組に参加」して上記2項目の変化があった人の割合は、それぞれ72.3%、41.9%と、他の取組に比べて高くなっています(図表1-2-8)。

図表1-2-7 農林漁業体験に参加して変化があったこと(農林漁業者による指導の有無別)

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図表1-2-8 参加した取組別の変化があった人の割合

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農林水産省においては、現場で実際に農林漁業体験活動などの食育活動を実践している農業協同組合などの農林漁業関係者、学校、企業、民間団体などの食育実践者に対してアンケート調査を行い、その調査結果を踏まえて食育実践のためのガイドブックを平成28(2016)年3月に作成していますが、それによると、実施している食育活動の目的としては、「食への感謝の醸成」を目指す取組が64.0%と最も多く、次いで「農林水産業への理解促進」(43.9%)、「食生活の改善」(43.0%)となっています(図表1-2-9)。

図表1-2-9 食育活動実践者が食育活動を実施する目的

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また、食育活動を行うに当たっての連携先については、「行政機関」が53.5%と最も高く、次いで「学校」37.7%、「生産者」36.8%となっており、行政はもとより学校や生産者など関係者との連携の下、農林漁業体験活動の取組などの食育が実践されています(図表1-2-10)。

図表1-2-10 食育活動を行うにあたっての連携先

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国や都道府県などの行政機関が連携先として割合が高いのは、各種事業の活用や広報誌、ホームページを通じた情報提供により地域の住民に広く活動を周知できる、といった背景があると考えられます。また、学校や生産者については、調理体験や農林漁業体験の活動場所と関連しているものと考えられます。特に、農林漁業関係者が実施主体でない場合、ほ場や牧場などで農林漁業体験活動等を行う際には、生産者との連携が重要になります。

より多くの国民に農林漁業体験活動に参加してもらうには、関心を持っている人の参加を促す取組が必要です。平成28(2016)年度の「食生活及び農林漁業体験に関する調査」によると、農林漁業体験に興味があると回答した人の割合は50.4%となっており、そのうち、農林漁業体験に参加したいと思っている人の割合は、「ぜひ参加したいと思う」と回答した人の割合が17.6%、「内容によっては参加したいと思う」が79.6%であり、合わせて97.2%の人が何らかの形で参加したいという意向を持っています(図表1-2-11、図表1-2-12)。こうした人を農林漁業体験活動への参加に結びつけることが経験者の増加につながります。

図表1-2-11 農林漁業体験への興味

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図表1-2-12 農林漁業体験への参加意向

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農林漁業体験に参加する場合の場所の希望を尋ねた質問では、「近いところ(片道1時間以内)」と回答した人の割合が75.7%と最も高く、次いで「どこでもよい」(12.6%)、「遠くても本格的に農林漁業体験ができるところ」(11.5%)となっており(図表1-2-13)、できるだけ近いところで農林漁業体験活動の場を提供できることが、参加者の増加において重要な要因の一つであると考えられます。

図表1-2-13 農林漁業体験の参加希望場所

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また、これまで農林漁業体験に参加していない人に、参加したことがない理由を尋ねたところ、「体験に参加する方法がわからないから」と回答した人の割合が50.6%となっており(図表1-2-14)、また、どんな工夫があれば参加したいかを尋ねたところ、「収穫物の調理体験ができること」が42.3%、「地域の伝統行事などのイベントに合わせて参加できること」が40.0%でした(図表1-2-15)。

図表1-2-14 農林漁業体験に参加したことがない理由

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図表1-2-15 どんな工夫があれば農林漁業体験に参加したいか

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農林漁業体験に参加したいという人の意向や、参加していない人の要望を踏まえると、まずは、身近で農林漁業体験に取り組めるような工夫を行い、参加者を増やしていく中で、更なる取組へと進めていくことが効果的と考えられます。

(2)地域の農林水産物の利用促進

「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」(平成22年法律第67号)第29条において、「地域の農林水産物の利用の促進は、地域の農林水産物を利用すること、地域の生産者と消費者との交流等を通じて、食生活がその生産等にかかわる人々の活動に支えられていることについての感謝の念が醸成され、地域の農林水産物を用いた地域の特色ある食文化や伝統的な食文化についての理解が増進されるなど、食育の推進が図られるものであることにかんがみ、食育と一体的に推進することを旨として行われなければならない。」とされています。

農林水産省が行った「6次産業化総合調査」によると、自ら生産した地場産物等を活用する農産物直売所、農産物の加工、農家レストランの年間販売金額は増加傾向にあり、農家民宿、観光農園を含めた年間販売金額は、平成26(2014)年度で1兆8,672億円となっています(図表1-2-16)。

図表1-2-16 農産物直売所、農産物の加工、農家レストランの年間販売金額

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また、それぞれの施設での産地別年間仕入金額(農産物直売所は販売金額)の動向をみると、自都道府県産品の使用割合は農産物直売所においては9割を超えており、農家レストランや農家民宿においても7割を超えて利用されています(図表1-2-17)。

図表1-2-17 産地別年間仕入れ金額における自都道府県産の使用割合

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こうした施設は、都市住民が農村に滞在する間に利用する施設でもあり、消費者と生産者が交流する場でもあります。各施設を通じて、地域の食材に触れる機会を得るとともに、食材の生産者等と交流する中で、食や農林水産業への理解も深まります。

また、農業協同組合の取組は、地産地消の取組を進めていく中で、身近で農業体験のできる機会をつくり本格的な農林漁業体験活動等へとつなげ、かつ、交流の範囲を広げて多くの参加者を得て、食や農林水産業への理解の輪も広げています(事例:地産地消から農業体験活動への展開 参照)。こうした事例のように、引き続き、農産物直売所や農家レストラン、農家民宿等を通じて、地域の農林水産物の利用を促進する中で、地元の食材に対する理解の増進や生産者をはじめとする関係者への感謝の念を深めていく取組を推進していくことが求められています。

地産地消を考える際には、直売所等を通じた消費者等に対する取組と併せて、子供たちに対する取組も重要です。

学校給食における地場産物の使用割合については、第3次基本計画においても、第2次基本計画に引き続き目標を設定しています。全体としては増加傾向にあるものの、第2次基本計画の目標(学校給食において都道府県内の地場産物を使用する割合を30%以上とする。)が達成されていないことから、引き続き第3次基本計画でも同じ目標を設定しています。

学校給食における地場産物の使用割合は、平成27(2015)年度の調査結果によると26.9%でした(図表1-2-18)。都道府県の状況の推移をみると、目標の30%以上を達成している都道府県数は増加傾向にあるものの、東京都や大阪府などの都市部を有する都府県での使用割合は20%未満であり、こうした地域で地場産物の使用割合を目標値まで高めていくことには難しい面もあることから、目標達成に向けては、既に目標を達成している道県も含めて各都道府県での着実な取組の推進が求められています。

各学校の現場においては、栄養教諭が中心となって食育を推進しており、その中で、地元の食材を活用し、また、その生産者との交流を図るなどの取組が進められています。そうした取組を進めていく中で生産者の思いが伝わり、子供たちに生産者や食に関する感謝の念が生まれてきます。こうした取組は、各地でなされています。

第3次基本計画においては「学校給食等における地域の農林水産物の安定的な生産・供給体制を構築し、地域の農林水産物の利用拡大を図る。また、地域ぐるみでの取組を推進するため、地域における関係者の連携の場等の設置、地域の戦略等の策定を推進する。」とされており、引き続き、食や農林水産業への理解が深まるように、地域の実情に合わせて農林漁業体験活動や地域の農林水産物の利用を積極的に推進していく必要があります。

事例:地産地消から農業体験活動への展開

おうみ冨士農業協同組合(滋賀県)

おうみ冨士農業協同組合は、平成20(2008)年に地産地消の拠点として直売所「ファーマーズ・マーケットおうみんち」を開設しました。当初は地元農産物が午前中で売り切れてしまい、来店した利用者をがっかりさせてしまうことも多々ありました。近隣の畑では少量ずつではあるものの多品種の野菜が栽培されていましたが、地元の農業者側としては“直売所へ出荷するための人手が足りない”などの事情があり、店頭の品揃えを確保できない状況が続きました。

「青空フィットネスクラブ」会員募集広告

「青空フィットネスクラブ」
会員募集広告

それならば、“直売所の利用者に自分で畑から収穫してもらおう”との発想で「畑の直売所」を実施するようになりました。これは、主に店頭が品薄になる午後、直売所近隣の畑で利用者に農産物の収穫を楽しんでもらい、持ち帰り袋のサイズ(大・中・小)に応じた価格で購入してもらう取組です。これが評判を呼び、「定期的に開催してほしい」などの声が出てきたことから、収穫だけでなく、種まき、雑草抜き、施肥等、時期に応じて農作業を支援する「援農」をしてもらい、代わりに収穫物の一部を持ち帰ってもらう仕組みを平成22(2010)年度から始めました。これを後に「青空フィットネスクラブ」と名付け、農業体験をしながら青空の下で汗を流す楽しさを気軽に味わってもらう取組としました。登録会員数は、開始当初の50名程度から、平成28(2016)年現在は約350名に伸びており、体験の場を提供する農業者の生産意欲向上にもつながっています。

本取組は、直売所の利用者に参加してもらうだけでなく、地元である守山市の地域資源を活用する取組「もりやま食のまちづくりプロジェクト」における「食と農の体験ツアー」との連携プログラムとしても実施しています。

コープしが「ファーマーチャレンジ隊」

コープしが「ファーマーチャレンジ隊」

立命館大学での「旬菜100円朝食」提供

立命館大学での「旬菜100円朝食」提供

また、企業や団体等からも参加があり、特に「生活協同組合コープしが」においては、本取組への参加をきっかけとして、コープの組合員が地元の農家と直接交流する活動へと発展し、食育・農業体験組織「ファーマーチャレンジ隊」が結成されました。さらにコープしがの農業体験活動を県全体に波及するべく、おうみ冨士に加えて県下の3農協が連携した活動へと交流が広がっています。

このほか、地元の学校と連携した取組にも力を入れています。例えば立命館大学との連携では、草津のキャンパスにキッチンカーで出張して、地元産野菜を使った「旬菜100円朝食」を学生たちに毎日提供しています。また、同大学スポーツ健康科学部の研究室との協働で、附属中学校及び高等学校における食育授業への参加、運動部の生徒に対する部活動後の補食(おにぎり、野菜スープ等)の提供など、学生・生徒の食生活や学びをサポートしています。

今後も直売所を「食と農のハブ拠点」として、これまでコンセプトとしてきた「つくる・食べる・つなげる」に、さらに「招く」も加え、地域の多様な人々との連携の下、地域外や外国からの観光客を受け入れる活動も展開していきたいと考えています。

(3)消費面における行動

第3次基本計画では、食の循環に関連して、消費面における行動についての目標として食品ロスに関するものを定めています。そこで、まず食品の選択に関して、農林水産省において平成28(2016)年11月に全国の20歳以上を対象に実施した「食育に関する意識調査」でみると、食品を選択する際に重視するものとしては「鮮度」(66.3%)、や「価格」(64.0%)と回答した人の割合が高く、次いで「安全性」(55.7%)、「国産」(54.8%)の順になっています(図表1-2-19)。また、食費に対する意識として「お金を掛けることは惜しまない」と回答した人の割合が25.5%であるのに対して、「お金を掛けたいが、ゆとりがない」が24.7%、「食費は抑えたい」が23.1%となっており(図表1-2-20)、こうした意識が食品を選択する際にも反映されているものと考えられます。

図表1-2-19 食品を選択する際に重視すること

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図表1-2-20 食費に対する意識

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第3次基本計画においては、新たに「食品ロス削減のために何らかの行動をしている国民を増やす」ことを目標にしました。消費者庁の「消費者意識基本調査」によれば、食品ロス削減のために何らかの行動をしている国民の割合は平成27(2015)年で76.4%でした(図表1-2-21)。

図表1-2-21 食品ロス削減のために何らかの行動をしている国民の割合

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食品ロスについては、事業系が330万トンあるのに対し、家庭系は302万トンと推計されており(農林水産省と環境省による平成25(2013)年度推計)、家庭系も約半分を占めています。

「食育に関する意識調査」において、食品産業や家庭において食品の食べ残しや食品の廃棄が発生していることに関して「もったいない」と感じることがあるかと尋ねたところ、「いつも感じている」が52.9%、「しばしば感じている」が25.9%、「時々感じている」が15.8%となっており、合わせて94.6%の人が「もったいない」と感じています(図表1-2-22)。そうした意識も食品ロス削減に向けての行動につながっているものと考えられます。

図表1-2-22 食べ残しや食品の廃棄に対する意識

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また、実際に購入した食品を食べないまま捨ててしまうことがあるかを尋ねた質問では、「よくある」と回答した人が1.4%、「ときどきある」が31.6%でした(図表1-2-23)。この両者に対して、捨ててしまった原因を尋ねたところ、「消費・賞味期限内に食べられなかった」が70.5%、「購入後、冷蔵庫や保管場所に入れたまま存在を忘れてしまった」が61.1%(図表1-2-24)であるなど、必要以上に在庫を抱えている状況がうかがえます。

家庭系の食品ロスの削減が求められる中、各家庭においては、食品の消費・賞味期限の確認や冷蔵庫や保管場所の点検等の地道な取組を続けることが重要と考えられます。

図表1-2-23 食品ロスの実態

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図表1-2-24 食品ロスの原因

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