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農林水産省

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第2節 食品表示の適正化の推進


食品の表示は、「消費者基本法」(昭和43年法律第78号)において消費者の権利として位置付けられている消費者の安全の確保や消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保等を図る上で重要な役割を果たすものです。

平成27(2015)年には食品表示法が施行され、これまで食品の表示について一般的なルールを定めていた「食品衛生法」(昭和22年法律第233号)、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(昭和25年法律第175号。平成27(2015)年4月1日から「農林物資の規格化等に関する法律」)、「健康増進法」(平成14年法律第103号)の3法の食品の表示に関する規定が統合されたことにより、食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度が創設されました。

新たな食品表示制度では上記3法を統合するだけでなく、必要な見直しを行いました。主な制度の変更点として、<1>加工食品への栄養成分表示の義務化、<2>アレルギー表示に係るルールの改善、<3>機能性表示食品制度の創設等があります。

消費者庁においては、新たな食品表示制度について、消費者、事業者への普及啓発を行い、理解促進を図っているところです。なお、加工食品と添加物は5年の間、以前の制度に基づく表示を認めるという猶予期間を設けています(生鮮食品については、平成28(2016)年9月30日をもって猶予期間は終了しています。)。

また、「消費者基本計画」(平成27(2015)年3月24日閣議決定)において、インターネット販売等における食品表示、加工食品の原料原産地表示、食品添加物表示、遺伝子組換え表示の在り方などの個別課題については順次実態を踏まえた検討を行うこととされています。これを受け、インターネット販売等における食品表示については、平成27(2015)年に「食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会」を開催し、平成28(2016)年12月に報告書を公表しました。本報告書では、事業者は、消費者が購入時に食品の義務表示事項と同等の情報を確認できるような環境を整備することを目標としつつ、段階的に情報提供の取組を推進・拡大することが望ましいとされています。引き続き、インターネットで食品を販売する事業者やその関係事業者等へ本報告書の周知を行っていきます。また、加工食品の原料原産地表示については、平成28(2016)年1月から、消費者庁と農林水産省が共同で「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」を開催し、平成28(2016)年11月に中間取りまとめを公表しました。(コラム:加工食品の原料原産地表示制度について 参照)

「規制改革実施計画」(平成25(2013)年6月14日閣議決定)及び「日本再興戦略」(平成25(2013)年6月14日閣議決定)に基づき、科学的根拠に基づいて、企業等の責任において食品に機能性を表示できる制度として新たに創設された機能性表示食品については、平成27(2015)年4月に制度が施行されて以来、平成29(2017)年3月末の時点で815件の届出情報を公表しています。平成28(2016)年4月からは機能性表示食品の届出データベースが創設され、消費者が自ら簡単に検索できる制度となりました。

機能性表示食品制度の検討過程において残された課題である食事摂取基準に摂取基準が策定されている栄養成分(ビタミン・ミネラル等)や、機能性関与成分が明確でない食品の取扱い等については、消費者基本計画においても、引き続き検討することとされました。これを受け、平成28(2016)年1月から「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」を開催し、平成28(2016)年12月に報告書を公表しました。本報告書では、栄養成分については、糖質・糖類は主なエネルギー源となるでんぷんやぶどう糖等を除き本制度の対象とし、ビタミン・ミネラルは現時点において本制度の対象としないこととされています。また、機能性関与成分が明確でない食品については、植物エキス等を本制度の対象とすることとされています。今後、消費者庁において、本報告書の内容に基づき、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン(平成27年3月30日制定、平成28年3月31日一部改正)」の改正作業等を進めていきます。このほか、遺伝子組換え表示の在り方について、制度の見直しに向けた必要な調査を平成28(2016)年度に実施し、平成29(2017)年4月からは有識者等を構成員とする検討の場を設け、検討を進めていきます。

さらに、平成25(2013)年10月から翌年にかけて、ホテル・百貨店等が提供する料理のメニュー等の表示に関して、実際には、表示されていた食材と異なる食材が使われていた、いわゆる「食品表示等問題」について、消費者庁は、食品表示等問題関係府省庁等会議を開催しての対策パッケージの取りまとめ、「不当景品類及び不当表示防止法」(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)違反が認められた事業者に対する措置命令、事業者の予見可能性を高めるためのガイドラインの作成など、表示の適正化に向けた取組を行ったほか、平成26(2014)年度には景品表示法について、行政の監督指導態勢の強化のため調査権限を事業所管大臣等に委任可能とする等の改正、不当な表示による顧客の誘引を防止するため、不当な表示を行った事業者に対する課徴金制度を導入する等の改正が行われ、平成28(2016)年4月に施行されました。

コラム:栄養成分表示に関する取組について

○栄養成分表示とは

食品を見ただけではどのような栄養成分がどのくらい含まれているのか分かりませんが、それを一目で分かるようにしたのが栄養成分表示です。栄養成分表示をきちんと読みとき、上手に活用して自分に合った食品を選ぶことが、食生活の改善につながります。

○栄養成分表示の義務化について

消費者の日々の栄養及び食生活の管理による健康の増進に寄与することを目的に、平成27(2015)年4月から施行された食品表示法に基づく新たな食品表示制度では、容器包装に入れられた加工食品及び添加物について、これまで事業者の任意で表示されていた栄養成分表示が義務化されました。これにより、全ての消費者向けの加工食品及び添加物には、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウムの5項目が表示されることとなります。また、ナトリウムの量は、「食塩相当量」で表示されることとなりました。

※加工食品と添加物は平成31(2019)年度末までの間、従前の制度に基づく表示を認めるという猶予期間を設けています。

○栄養成分表示を活用しよう

消費者庁では、栄養成分表示制度の普及啓発とともに、消費者に活用してもらう取組を進めています。消費者に活用してもらうためには、まず、消費者の知識や理解を深めることが重要であることから、栄養成分表示の消費者教育に活用してもらうための資料を作成・公表しました(平成28(2016)年10月)。また、従前の栄養表示基準に基づく栄養成分表示の経過措置期間の終了に向け、事業者に新たな栄養成分表示を適切に表示していただくための資料も同日に公表しました。

今後は、栄養成分表示の活用に向けて更なる消費者教育を充実させるために、様々なライフステージ、地理的状況を踏まえた効果的な栄養成分表示の活用方法等の検討・実証を行い、消費者・教育機関等へそのノウハウを普及する取組を行うこととしています。

(資料「栄養成分表示を活用しよう」 https://www.caa.go.jp/foods/index4.html)(外部リンク)

資料「栄養成分表示を活用しよう」表紙

資料「栄養成分表示を活用しよう」表紙

資料「栄養成分表示を活用しよう」の画像

コラム:加工食品の原料原産地表示制度について

○原料原産地表示制度について

生鮮食品には原産地の表示が、加工食品についても、輸入品には原産国名の表示が義務付けられ、国内製造品の一部に原料原産地名の表示が義務付けられています。

「加工食品の自主的表示等の状況調査」の結果

「加工食品の自主的表示等の状況調査」の結果

データ(エクセル:10KB / CSV:1KB

加工食品の原料原産地表示制度は、平成13(2001)年から個別の8品目について順次義務化を導入した後、平成16(2004)年に現行の制度の原型となる横断的な要件を定め、要件に従って義務表示対象品目の追加を検討してきましたが、現在、義務表示対象は22食品群及び4品目に留まっています。

また、平成28(2016)年5月実施の「加工食品の自主的表示等の状況調査」においては、義務表示対象の商品の全体に占める割合は、1店舗内の商品ベースで約11%に過ぎず、自主的に何らかの産地情報を表示している商品も、全体の約16%に留まっています。

○義務表示対象の拡大に向けて

加工食品の原料原産地表示については、消費者基本計画において、「順次実態を踏まえた検討を行う」こととされ、「食料・農業・農村基本計画」(平成27年3月31日閣議決定)において「実行可能性を確保しつつ拡大に向けて検討する」と整理されたこと等を契機として、「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」を平成28(2016)年1月から開催し、今後の対応方策について幅広く検討したところです。さらに、「日本再興戦略2016」(平成28年6月2日閣議決定)において、「消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会の確保に資するよう、原料原産地表示について、全ての加工食品への導入に向け、実行可能な方策について検討を進める」とされ、全ての加工食品への導入に向けた実行可能な方策とは何かという観点も踏まえた検討が求められました。以上を踏まえ、平成28(2016)年11月までの全10回にわたり、消費者への情報提供の必要性、事業者の実行可能性、消費者の誤認防止など様々な論点につき、幅広い意見が出され、検討結果について中間取りまとめがなされました。

○検討会における中間取りまとめについて

新たな表示ルールの表示例

新たな表示ルールの表示例

中間取りまとめでは、今後の制度について、<1>国内で製造されている全ての加工食品について、重量割合上位1位の原料の原産地を義務表示の対象とする、<2>義務表示の方法として、「国別重量順表示」を原則とするが、事業者の実行可能性を勘案し、「国別重量順表示」が難しい場合の表示方法として、「A国又はB国」といった「可能性表示」や、「輸入」といった「大括り表示」など、実行可能な表示方法の仕組みを整備するとともに、中間加工原材料については「製造地表示」を認めることとなりました。この中間取りまとめを踏まえた新しい表示制度の具体化のため、食品表示基準(内閣府令)の改正を行うこととしており、加工食品においても消費者が食品を購入する際の参考となる情報が大幅に増えることになり、食品選択に関する意識の高まりに応えることとなることが期待されます。

加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会中間取りまとめの概要

加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会中間取りまとめの概要



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