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農林水産省

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1 保育所における食育の推進


(1)子供の育ちを支える食育 -養護と教育の一体性の重視-

保育所における「食育」は、「保育所保育指針」(平成20年厚生労働省告示第141号)において、健康な生活の基本としての「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培うことを目標としています。そして、子供が毎日の生活と遊びの中で、食に関わる体験を積み重ね、食べることを楽しみ、食事を楽しみ合う子供に成長していくこと等に留意して実施しなければならないとしています。また、栄養士が配置されている場合は、専門性を生かした対応を図ることとしており、保育所の栄養士数(常勤換算)は、食育基本法が施行された平成17(2005)年の6,855人から着実に増加し、平成28(2016)年は15,645人(*1)となっています。

「保育所保育指針」は、各保育所の保育の質を高める観点から、約10年に一度改定されており、平成27(2015)年12月から厚生労働省社会保障審議会児童部会保育専門委員会において、平成30年度改定に向けた検討を行いました。そして、平成29(2017)年3月31日に告示された新たな「保育所保育指針」(平成30年厚生労働省告示第117号)では、引き続き、食育は保育の一環として位置付けられ、子供の育ちを支える食育の重要性が示されるとともに、第3次基本計画を踏まえた食育推進に関する記載の充実等が図られました。

また、平成29(2017)年4月に策定した「保育士等キャリアアップ研修ガイドライン」では、専門分野別研修の一つとして「食育・アレルギー対応」分野を位置付け、その専門分野に関するリーダー的職員を育成することとしました。

保育所における食育活動(食べ物とからだの関係について)

保育所における食育活動
(食べ物とからだの関係について)

保育所における地域の親子に対する食育活動

保育所における
地域の親子に対する食育活動

(2)食を通した保護者への支援

子供の食を考えるとき、保育所だけではなく、家庭と連携・協力して食育を進めていくことが不可欠です。食に関する子育ての不安・心配を抱える保護者は決して少なくありません。保育所保育指針では一つの柱として、保護者に対する支援を重視しています。保育所には、今まで蓄積してきた乳幼児期の子供の「食」に関する知識、経験、技術を「子育て支援」の一環として提供し、保護者と子供の育ちを共有し、健やかな食文化の担い手を育んでいくことが求められています。

さらに、保育所は「児童福祉法」(昭和22年法律第164号)第48条の4の規定に基づき、保育所に入所していない子供を育てる家庭に対しても、保育所の行う保育に支障がない限りにおいて、地域の実情や当該保育所の体制等を踏まえ、地域の保護者等に対する子育て支援を積極的に行うよう努めることが期待されています。具体的な食を通した活動として、次のような活動が展開されています。

  1. 食を通した保育所機能の開放(調理施設活用による食に関する講習などの実施や情報の提供、体験保育等)
  2. 食に関する相談や援助の実施
  3. 食を通した子育て家庭の交流の場の提供及び交流の促進
  4. 地域の子供の食育活動に関する情報の提供
  5. 食を通した地域の人材の積極的な活用による地域の子育て力を高める取組の実施

上記のような「食」の場を通して保護者同士の交流の場の提供や促進を図っていくことで、保護者同士の関わりの機会を提供し、食に対する意識が高まることが期待されます。また、実際、多くの保育所で、育児相談や育児講座等を通し、保護者の育児不安を軽減する活動が展開されています。

(3)子供の発育・発達を支援する食事の提供

近年は、保護者の就労形態の変化に伴い、保育所で過ごす時間が増加している子供も多くみられるようになり、家庭と共に保育所も、子供のための大切な生活の場となっています。そのため、保育所で提供される食事は乳幼児の心身の成長・発達にとって大きな役割を担っています。

厚生労働省では、乳幼児の発育・発達の過程に応じて、計画的に食事の提供や食育の実施が行えるよう、平成22(2010)年に「児童福祉施設における食事の提供ガイド」を策定するとともに、平成24(2012)年に「保育所における食事の提供ガイドライン」を作成し、その普及啓発に取り組んでいます。

また、アレルギー疾患を有する子供が年々増加傾向にあり、保育所での対応に苦慮していることから、厚生労働省においては、保育所職員が保育所での具体的な対応方法や取組について共通の認識を持つとともに、保護者も含め、保育所を取り巻く関係者が連携しながら組織的に取り組むことができるよう、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を平成23(2011)年に作成し、各保育所に配布しています。食物アレルギーを持つ子供への食事の提供については、食物アレルギーの生活管理指導表を活用し、医師の診断・指示に基づいて原因食物(*2)を給食から完全に除去することを基本として、食物アレルギーのない子供と変わらない安全・安心な保育所での生活が送れるよう、同ガイドラインの普及啓発を図っています。

さらに、保育所を始めとする児童福祉施設の給食関係者を対象とし、子供の「食」を通じた健康づくりの一層の推進を図るため、毎年「ブロック別児童福祉施設給食関係者研修会」を全国4ブロックで開催しています。平成29(2017)年度は、本研修の中で、全ブロック共通の講演として、平成29(2017)年3月31日に告示された新たな保育所保育指針についても情報共有を行いました。

*1 厚生労働省「平成28(2016)年社会福祉施設等調査」

*2 食物アレルギーの原因となる(と思われる)食物



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