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農林水産省

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2 食生活改善推進員の健康づくり活動の促進


地域における食育の推進に当たっては、地域の健康課題や食習慣、食文化等を理解し、地域に密着した活動を幅広く推進していくことが重要です。一般財団法人日本食生活協会は、その傘下の全国食生活改善推進員協議会と行政との連携を図りつつ、「私達の健康は私達の手で」をスローガンに、生活習慣病予防対策に重点を置き、時代に即した健康づくりの食育活動を進めています。現在、全国46道府県の1,351市町村に協議会組織が存在し、ボランティア団体として住民のニーズにあった健康づくり事業を推進しています。食生活改善推進員は、市町村が行う食生活改善推進員の養成事業の修了後、自らの意思により当該協議会の会員となることで活動が始まりますが、地域における食育推進活動の最大の担い手となっており、平成28(2016)年度は一年間で約302万回、延べ1,600万人に対して健康づくり活動を実施しました。

主な活動には次のようなものがあります。

(1)生活習慣病予防のための減塩推進スキルアップ事業(第2弾)について

「健康日本21(第二次)」では生涯を通じる健康づくりに「一次予防」が重視され、健康寿命の延伸のための生活の質の向上が求められています。

講習会テキスト

講習会テキスト

平成28(2016)年度は、第1弾として、第3次食育推進基本計画でも取り上げられている若者・働き世代に対象者の枠を広げ、朝食欠食の解消と食事バランスの必要性について、高校、大学、企業等への出前講座やジュニアアスリートの保護者を対象とした普及活動、婚活事業とタイアップをした普及活動を行いました。特に、学生を対象とした活動を全国で展開していたことから、平成29(2017)年度は、第2弾として、若者世代を対象とした活動は学生にしぼり、全国の高校、短大・大学、専門学校を対象に実施しました。

成人・高齢者世代においては生活習慣病予防が重要であり、一次予防の取組として、減塩と野菜摂取の取組を引き続き行いました。高齢者に対しては、「フレイル(高齢者の虚弱)」について正しく理解してもらうことや、低栄養予防の取組と併せて単身世帯の孤食の改善も行いました。特に、家庭訪問の成果は大きく、平成29(2017)年度はこれまで未訪問地域となっていた市町村にも訪問地域を拡大し、健康寿命の延伸に向けて、各家庭において減塩普及のための塩分チェックなどの取組を行いました。

高校へ出前教室

高校へ出前教室

家庭訪問

家庭訪問

(2)「おやこの食育教室」で「食育5つの力」

おやこの食育教室

おやこの食育教室

「おやこの食育教室」は、体験学習を通して「食育5つの力」である〈1〉食べ物を選ぶ力、〈2〉料理ができる力、〈3〉食べ物の味が分かる力、〈4〉食べ物のいのちを感じる力、〈5〉元気なからだが分かる力を理解することを目的としています。平成29(2017)年度は「食育5つの力」の中から、「選ぶ力」と「味が分かる力」をテーマに、調理実習では、オリジナルスープ作りに挑戦しました。スープの味、具材を選びスープを作り、「減塩くん(塩分測定器)」でスープの塩分濃度を測定し、幼少期からの減塩教育に取り組みました。また、日本食生活協会が作成した「食育ランチョンマット」を教材として、食の基本である主食、主菜、副菜の正しい並べ方を学びました。本教室は、色々な体験を通して様々な能力を見出す絶好の機会でもあり、親子で共食の大切さを感じ取ってもらうことにもつながりました。

食育ランチョンマット

食育ランチョンマット

(3)生涯骨太クッキング

生涯骨太クッキング

生涯骨太クッキング

健康寿命の延伸と生活習慣病の予防を目的として、日本人の食生活に不足しているカルシウム摂取量を増やすための乳製品を使った料理講習会「生涯骨太クッキング」を実施しました。併せて、平成29(2017)年度は、「糖尿病予防は減量から」、「高血圧予防は減塩から」をテーマに肥満予防と減塩について学習を行いました。一方、最近では「フレイル(高齢者の虚弱)」が問題となっており、フレイルから要支援や要介護を招きやすくなることから、低栄養予防と骨折・転倒予防のためのロコモチェック・ロコモーショントレーニングにも取り組み、健康維持及び増進に努めました。

(4)男性のための料理教室

男性のための料理教室

男性のための料理教室

高齢者の単身世帯が増加する中、男性を対象に、食生活の自立や生活習慣病を防ぐことを目的とした料理教室を実施しました。「男性料理教室20のレシピ」を教材に、ご飯の炊き方から始め、「生きるための20品目」を覚えてもらいました。この男性料理教室の参加者からは、「人と人とのつながりが地域参加へのきっかけにもなっている」との声が寄せられています。

(5)やさしい在宅介護食教室

やさしい在宅介護食教室

やさしい在宅介護食教室

やさしい在宅介護食

やさしい在宅介護食

シニアカフェドリル

シニアカフェドリル

高齢になると加齢に伴い食欲が低下し、料理を作る意欲も減退していくため、知らぬ間に低栄養状態になる高齢者が増加しています。今後も高齢化は続き、家庭での食事介護の知識を習得することが求められてくることから、平成29(2017)年度は自分でも作ることができる介護食を知り、その作り方を学ぶことを目的に、「やさしい在宅介護食教室」を実施しました。

また、単身の高齢者への食事支援や安否確認の一つとして、「おとなりさん、お向かいさん活動」の「一皿・一声運動」を実施しました。また、家に閉じこもりがちな高齢者に声かけをしていきいきサロンに誘い、「シニアカフェドリル(脳の体操ドリル)」等によるふれあい活動も行いました。

(6)「毎月19日は食育の日」全国一斉キャンペーン活動

全国食生活改善推進員協議会では、国が毎月19日を「食育の日」と設定したことに賛同し、平成18(2006)年度から「毎月19日は食育の日 家族そろって食事を楽しみましょう」をテーマに全国各県において駅やスーパーマーケットなど多くの人が集まる場所で食育の日のチラシを配布し、食育の大切さや食育の認知度を高めるための活動を行いました。

「毎月19日は食育の日」全国一斉キャンペーン活動<1>

「毎月19日は食育の日」全国一斉キャンペーン活動<1>

「毎月19日は食育の日」全国一斉キャンペーン活動<2>

「毎月19日は食育の日」全国一斉キャンペーン活動<2>

事例:アイディアあふれる活動による健康増進や食文化の継承につながる食育の推進
(平成29(2017)年度食育活動表彰 農林水産大臣賞受賞)

食生活改善推進員 横川 照子

食育寸劇劇団「チャンチキ一座」の様子

食育寸劇劇団「チャンチキ一座」の様子

富山県高岡市で食生活改善推進員として活動している横川照子さんは、32年もの間、アイディアあふれる取組によって健康増進や食文化の継承につながる食育の推進を行っています。

平成17(2005)年に設立された食育寸劇劇団「チャンチキ一座」では、生活習慣の改善やがん予防をテーマに出張公演を行っており、脚本から役者まで幅広く携わっています。また、平成24(2012)年の「内食グランプリ」、平成27(2015)年の「男性食生活改善推進員による家庭自慢料理コンテスト」など市民参加型の活動を展開しました。地域の生産者と連携した農作業体験等の活動を行い、若い世代の食への感謝と理解を深めています。

電車内での食育活動の様子

電車内での食育活動の様子

平成24(2012)年には「高岡万葉まつり」におけるイベント「万葉故地交流会」で地域食材を使用した郷土料理「おもてなし弁当」を参加者に提供しました。そして、平成25(2013)年には、地産地消に配慮した「たかおか歴史めぐりおもてなし弁当」レシピを考案しました。

平成27(2015)年には高岡市と射水市を結ぶ路面電車「万葉線」の車内で若者食育実践セミナーを開き、その中で郷土食弁当の提供と食育講座の実施を行うなど、食文化の継承と地域の活性化にも熱心に取り組んでいます。

スーパーマーケットでの「食育の日」の取組

スーパーマーケットでの「食育の日」の取組

また、毎年実施している食生活アンケートの結果をもとに、幅広い世代に「減塩」や「野菜1日350g摂取」など、食に関する情報を様々な機会を通じて発信しています。例えば、「食育の日」である毎月19日には、スーパーマーケットや学校・企業において、減塩や野菜摂取(野菜もう一皿運動)を浸透させる活動や生活習慣病予防の啓発チラシの配布等を行っています。その他にも、高岡市急患医療センターにある街歩きの休憩所「時の回廊ギャラリーlienりあん」では、塩分控えめの味噌汁や昆布おにぎり、季節の飲み物等を提供し、食生活改善を訴えています。

こうした取組を通じて、今後も生活習慣病予防のための食育活動を展開していきます。

事例:地域の子供たちの心に届く食育プログラム「食育戦隊ゴハンジャー」の取組
(平成29(2017)年度食育活動表彰 農林水産大臣賞受賞)

食育プログラム開発チーム 食育戦隊ゴハンジャー(山口県立大学)

食育戦隊ゴハンジャー

食育戦隊ゴハンジャー

山口県立大学では、平成18(2006)年度から、学校やスーパーマーケット等、子供たちの生活の場や興味が湧く場において、楽しみながら食について学べる食育活動(平成28(2016)年は年6回、のべ950名が参加)を実施しています。

この活動の目的は、子供たちが自身の食生活について考え、改善点に気づき、家庭での継続的な食育につなげることです。専門性が異なる教員と学生がチームを作ることで、型にとらわれない食育活動となっており、特に三色食品群をイメージした自作のキャラクター「食育戦隊ゴハンジャー」や五感を用いて実際に体験できるよう工夫したオリジナル教材は、子供たちの興味を引き出しています。

連携しているスーパーマーケットでは、地域の子供たちに対し、買い物や調理体験に加え、生産者から届いた食材の袋詰めやレジ打ち等、食べ物が消費者の手に渡るまでの工程を体験できる、施設の強みを活かしたプログラムを実施しています。栄養学科の教員と学生のメンバー約70人が協力し、活動中の子供たちの発言記録、ワークシート、保護者へのアンケート結果等を分析、共有し、次のプログラムや継続的な食育につながるよう工夫しています。

活動で使用する教材は、参加者の年齢や活動目的に応じたものを作成しています。また、絵本やワークブックはプログラム参加者以外にも理解できる内容とし、無償配布を行っています。こうしたチームの食育活動を、毎年度の活動報告書及び大学のホームページに掲載し、情報発信しています。

オリジナル教材

オリジナル教材

活動の様子

活動の様子

スーパーマーケット(コープやまぐち)での取組

スーパーマーケット
(コープやまぐち)での取組



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消費者行政・食育課

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