1 妊産婦に対する栄養指導
近年、20 歳代及び30歳代の女性では、痩身(そうしん)(低体重)や食事の偏り等、栄養・食生活における健康上の課題が指摘されています。また、痩身(そうしん)傾向児が10歳代で増加するなど、痩身(そうしん)傾向の低年齢化が見られます。妊娠期・授乳期においては、母子の健康の確保のために適切な食習慣の確立を図ることが極めて重要であり、特に、妊娠期の適切な体重増加量については、出生体重との関連が示唆されること等から、妊娠中の体重増加量が一律に抑制されることのないよう、肥満や痩身(そうしん)といった妊婦個々の体格に配慮した対応が求められています。
このため、厚生労働省では、妊娠期・授乳期における望ましい食生活の実現に向け、「妊産婦のための食生活指針(*1)」を作成し、妊婦個々の体格に応じて適切な体重増加量が確保されるよう妊娠中の推奨体重増加量を示すとともに、妊産婦が何をどれだけ食べたら良いかが分かりやすく伝わるよう食事の望ましい組合せや量を示した「妊産婦のための食事バランスガイド」を示しています。妊産婦に対する健康診査や各種教室等においては、これらを活用しながら栄養指導を行っています。
*1 平成18(2006)年2月に「健やか親子21」推進検討会が作成
コラム:「健やか親子21(第2次)」の中間評価
「健やか親子21」は、20 世紀の母子保健の取組の成果を踏まえ、関係者、関係機関・団体が一体となって母子保健に関する取組を推進する国民運動計画です。21 世紀の母子保健の主要な取組を提示するビジョンとして、平成13(2001)年から開始し、「健やか親子21」の計画期間(平成13(2001)年~平成26(2014)年)の終了時に最終評価及び次期計画の検討を行い、平成27(2015)年から「健やか親子21(第2次)(*1)」を開始しました。
*1 「健やか親子21(第2次)」ホームページ(厚生労働省)https://sukoyaka21.jp/(外部リンク)

「健やか親子21(第2次)」は、平成27(2015)年度から令和6(2024)年度までの10年間を計画期間とし、中間年である令和元(2019)年度に「「健やか親子21(第2次)」の中間評価等に関する検討会」を開催し、これまでの5年間の取組状況を評価しました。
「健やか親子21(第2次)」の策定に向けた検討では、地域間での健康格差を解消する必要性及び多様性を認識した母子保健サービスを展開する必要性の2つの方向性が示され、策定時から10年後に目指す姿を「すべての子どもが健やかに育つ社会」としています。「すべての子どもが健やかに育つ社会」の実現に向けて、従来の施策や取組の確実な実施や更なる充実を目指した3つの基盤課題と、その取組を一歩進めた形で重点的に取り組む必要があるものとして2つの重点課題を設定しています(図表1)。各基盤課題と重点課題の指標は「健康水準の指標」、「健康行動の指標」、「環境整備の指標」の三段階に整理され、目標を掲げる52 指標(うち再掲2指標を含む)と、28の参考指標から構成されています。
中間評価では、52指標中34指標が改善し、既に最終評価目標に到達した指標も見られました。一方で、子供の健康や食生活に関しては、学童期・思春期から成人期に向けた保健対策の指標の一つである「朝食を欠食する子どもの割合」が策定時より悪化するなど、食生活等の生活習慣に関する課題が明らかとなりました(図表2)。

朝食欠食は、朝だけの問題ではなく、一日の生活リズムも関係しており、就寝時間、起床時間とも連動します。さらに、貧困の状況等も含めた総合的な視点の中で、子供の食生活について対応していくことが求められています。若い世代において、朝食欠食の割合が高い状況が見られることを踏まえると、朝食を食べなかった世代が親となり、その食習慣が次世代の子供の食生活に影響することも懸念されます。学童期・思春期は、生涯の健康づくりの重要なスタートの時期であり、健康に関する正しい知識を身につけること、自身の心身の健康に関心を持つことは、生涯の健康づくりに向けた大事な第一歩となります。
なお、平成30(2018)年12 月に成立した「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」(平成30年法律第104号。以下「成育基本法」という。)は、子供たちの健やかな成長を切れ目なく支援することを目的としており、令和元(2019)年12月1日に施行されました。今後は「健やか親子21(第2次)」と「成育基本法」が一体的に展開していくことが望まれます。厚生労働省では、引き続き、「健やか親子21(第2次)」を国民全体に周知するとともに、「すべての子どもが健やかに育つ社会」の実現に向け、関係者と連携し、次世代を担う健やかな子供たちを育む取組を推進していきます。
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