2 乳幼児の発達段階に応じた栄養指導の充実

授乳スタートガイド

離乳スタートガイド
授乳期・離乳期は、子供の健康にとって極めて重要な時期であり、親子双方にとって、慣れない授乳や慣れない離乳食を体験する過程を支援することが重要です。このため、厚生労働省では、妊産婦や子供に関わる産科施設、小児科施設、保健所・市町村保健センターなどの保健医療従事者が授乳や離乳の支援に関する基本的事項を共有することで妊産婦への適切な支援を進めていくことができるよう、「授乳・離乳の支援ガイド(*1)」を平成19(2007)年3月に作成しており、地方公共団体や医療機関等で活用されています。ガイド作成後の科学的知見の集積、育児環境や就業状況の変化、母子保健施策の充実等、授乳や離乳を取り巻く社会環境等の変化を踏まえ、同ガイドを平成31(2019)年3月に改定しました。これまでよりも育児支援の視点を重視するとともに、食物アレルギー予防に関する支援についての記載を充実させる等、内容を見直しました。令和元(2019)年度は、一般の方への普及啓発を行うため、見直しの内容を踏まえ、授乳や離乳について分かりやすく記載したリーフレットを作成しました。
また、厚生労働省では、授乳・離乳の支援、乳幼児の食生活改善のための基礎資料として、全国の乳幼児の栄養方法や食事の状況などの実態を把握するため、昭和60(1985)年から10年ごとに「乳幼児栄養調査」を実施しています。直近の調査は、平成27(2015)年9月に実施し、平成28(2016)年8月に結果の概要を公表しました。今回の調査結果からは、母乳で乳幼児を育てる母親の割合(*2)が増加したことや、経済的な暮らし向きによって子供の食物摂取の状態に差があること等が明らかになりました。
地域では、市町村保健センターを中心に管理栄養士・栄養士等による乳幼児を対象とした栄養指導が実施されており、健康診査や各種教室等における保健・栄養指導を通じて、出産から離乳食の開始時期以降に至るまでの一貫した支援が図られるような取組を行っています。平成29(2017)年度に保健所及び市区町村で栄養指導を受けた乳幼児は2,972,079人(*3)です。
児童福祉施設では、適切な栄養管理方法や食事提供における留意点、食を通した自立支援などについてまとめた「児童福祉施設における食事の提供ガイド(*4)」を参考に、子供の健やかな発育・発達を支援する観点も踏まえ、食事の提供を充実させるなど、食育の推進を図っています。厚生労働省では、毎年、児童福祉施設給食関係者等を対象とした研修を開催し、子供の食を通じた健康づくりの推進に関する情報共有を行うとともに、地方公共団体から推薦された児童福祉施設の給食関係者等が取組事例を発表するなど、質の向上にも努めています。令和元(2019)年度は、宮城県、東京都、大阪府及び福岡県の4か所で開催し、約1,000名が参加しました。
また、21 世紀の母子保健の主要な取組を提示するビジョンとして、20 世紀の母子保健の取組の成果を踏まえ、関係者、関係機関・団体が一体となって母子保健に関する取組を推進する国民運動計画として、「健やか親子21」を平成13(2001)年から開始しました。「健やか親子21」の計画期間(平成13(2001)年~平成26(2014)年)の終了時に最終評価及び次期計画の検討を行い、平成27(2015)年4月からは第2次計画である「健やか親子21(第2次)」を進めています。「すべての子どもが健やかに育つ社会」を目指し、学校など関係機関のほか、食品産業や子育て支援に関連する民間企業等とも新たに連携、協働し、子供だけでなく、親への支援や親子を取り巻く温かな環境の形成等を通し、幅広い対象者に向けた「健やか親子21(第2次)」の普及啓発に取り組んでいます。令和元(2019)年度は、計画の中間年に当たることから中間評価を行いました(コラム:「健やか親子21(第2次)」の中間評価 参照)。さらに、平成27(2015)年度から、「健やか親子21(第2次)」のスタートに合わせ、「健康寿命をのばそう!アワード」に母子保健分野を加え、食育を含む母子の健康増進を目的とする優れた取組を行う企業・団体・地方公共団体を表彰する制度を創設しました。令和元(2019)年度は、応募のあった90 件のうち14の企業・団体・地方公共団体が表彰されました。
*1 平成19(2007)年3月に「授乳・離乳の支援ガイド策定に関する研究会」が作成
*2 毎日母乳を与えているわけではない場合、又は外出時や入眠時等に少しだけ与える場合は該当しない。
*3 厚生労働省「平成29(2017)年度地域保健・健康増進事業報告」
*4 平成22(2010)年3月に「児童福祉施設における食事の提供及び栄養管理に関する研究会」が作成
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