第3節 子供や若者とその保護者に対する食育推進
食育の取組は、日常生活の基盤である家庭において、確実に推進していくことが極めて重要です。特に、家族が食卓を囲んで共に食事をとりながらコミュニケーションを図ることは食育の原点であり、共食を通じて、食の楽しさを実感するだけでなく、食や生活に関する基礎を修得する機会にもなります。
令和元(2019)年11 月の「子供・若者育成支援強調月間」(内閣府、関係省庁、地方公共団体その他関係諸団体が実施主体)では、その実施要綱中、取り組むべき課題の重点事項の一つとして、「生活習慣の見直しと家庭への支援」が掲げられ、食育の推進、生活時間の改善等により、子供の生活習慣の見直しに取り組むこととされるなど、国民運動の一環として食育の推進が図られています。
また、政府は、「第4次男女共同参画基本計画」(平成27(2015)年12月25日閣議決定)の第1分野「男性中心型労働慣行等の変革と女性の活躍」の章において、具体的な取組として、「男性が家事・育児等を自らのことと捉え、主体的に参画する動きを広めるため、男性を対象とした啓発手法の開発・実施、食育の推進、男性のロールモデルによる活躍事例の発信、キャンペーンや顕彰を通じ、国民全体の気運の醸成を図る。」ことを決定しました。
内閣府では、平成28(2016)年に、若年世代の夫婦・カップルを主な対象とした、家族の役割シェアについて具体的にイメージしながら実践するためのコミュニケーションツールとして、夫婦が本音で話せる魔法のシート「○○家作戦会議」を作成し、男女共同参画局のホームページ上で公開しています(*1)。
*1 夫婦が本音で話せる魔法のシート「○○家作戦会議」(内閣府)http://www.gender.go.jp/public/sakusenkaigi/index.html(外部リンク)

「夫婦が本音で話せる魔法のシート「○○家作戦会議」」サイト

「“おとう飯(はん)”始めよう」キャンペーンロゴマーク

“おとう飯(はん)”の心得
また、令和元(2019)年6月開催の「すべての女性が輝く社会づくり本部」において、「女性活躍加速のための重点方針2019」が決定され、前年の同重点方針2018に引き続き、男性の暮らし方・意識の変革として、男性の家事・育児等への参画について国民全体の機運醸成を図ることとされました。内閣府男女共同参画局では、平成29(2017)年度に、子育て世代の男性の家事・育児等の中で、料理への参画促進を目的とした「“おとう飯(はん)”始めよう」キャンペーンを開始し、令和元(2019)年度も引き続き実施しました。
令和元(2019)年9月からは、本キャンペーンの取組として、“おとう飯(はん)”大使である石橋尊久(いしばしたかひさ)氏が男性の料理参画を促進する「“おとう飯(はん)”語録」を発信しています。
こうした取組を通じて、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)が推進されるとともに、男性の家事や育児への参画につながることが期待されます。
事例:家族や友人と共(トモ)に食(ショク)事を ~トモショクProject~
NPO法人ファザーリング・ジャパン(東京都)

トモショク Projectのロゴマーク
「Fathering(ファザーリング)=父親であることを楽しむ」を合言葉に、「笑っている父親」を増やすために様々な活動を行っているNPO法人ファザーリング・ジャパンでは、令和元(2019)年6月にトモショクProject(以下「プロジェクト」という。)を立ち上げました。プロジェクトは、働きながら家族や友人と食事を共にする時間が作れる働き方・生き方を推進するものです。家族や友人、職場や地域の人等、誰かと食事を共にする「共食(きょうしょく)」を、共(トモ)に食(ショク)事をする「トモショク」と名付け、親しみを持って取り組んでもらえるようにしました。
「トモショク」の推進によって、個人としてはワーク・ライフ・バランスの充実、本人を含む家族の食を通した幸せと健康の維持等が、企業としては働き方改革の推進、男性の育児休暇取得促進等が、それぞれ期待できます。プロジェクトでは、趣旨に賛同した個人、法人、団体、地方公共団体等が「トモショク9か条(トモショ9)」を意識し、実行することを「宣言」します。「トモショク9か条」は、「時間」、「料理」、「シェア」、「感謝」、「健康」、「笑顔」、「協力」、「子育」、「有限」からなり、例えば、「シェア」は「料理シェア(家事分担)しながらも、臨機応変にやれる人が「判断」しトモショクすること」、「有限」は「家族や友人と食事をする機会を大切にし、機会は有限であることを理解すること」です。
ある企業では、令和元(2019)年10月に「トモショクProject料理実演&ワークショップ~料理上手になって、家族・友人とトモに食事をする方法~」を開催し、男女70人が参加しました。講演、料理実演の後、ワークショップを行い、参加者が「日常の仕事を効率的に終わらせ、家族で食卓を囲む時間を大切にします」、「平日2日以上、家族と食卓を囲める時間に帰宅する」等の「トモショク」宣言を行いました。また、参加者に、この日に学んだ料理を自宅で復習し、作った料理を撮影して画像と感想を提出するという宿題を出したところ、多数のフィードバックがあり、「休日にまた家族と一緒に料理をしようと決めました」といった感想が聞かれました。
このほか、「トモショク」を働き方改革の具体的方策の一つとして捉え、学長名で宣言を行った大学や、「パパママスクール」の一環としてワークショップを開催する地方公共団体等、様々な主体による取組が進んでいます。
プロジェクトでは、ホームページでの事例紹介、SNSを使った情報発信・コンテンツ提供、企業と共同したアプリサービスの配信等、「トモショク」の輪を広げています。
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