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農林水産省

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1 食育や日本食・食文化の海外展開と海外調査の推進


平成27(2015)年の国連サミットにおいて、全ての加盟国が「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に合意しました。その中で、令和12(2030)年を達成年限とし、17のゴールと169のターゲットから構成されるSDGsが掲げられました。これは、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能でより良い社会の実現を目指す世界共通の目標です。

政府は、平成28(2016)年5月に内閣総理大臣を本部長、内閣官房長官及び外務大臣を副本部長、全閣僚を構成員とする「SDGs推進本部」を設置しました。SDGs推進本部は、SDGs達成に向けた日本の中長期的戦略である「SDGs実施指針」や政府の行動計画である「SDGsアクションプラン」を定めています。令和2(2020)年12月に定められた「SDGsアクションプラン2021」の中で、食育の推進は政府が進めていくSDGsの取組の1つとして記載されています。

政府は、我が国の食育の理念や取組等を積極的に海外に発信し、「食育(Shokuiku)」という言葉が日本語のまま海外で理解され、通用することを目指しています。

外務省では、海外広報活動の中で食育関連トピックを取り上げています。具体的には、日本の食文化等も取り上げている海外向け日本事情発信誌「にぽにか」を在外公館を通じて配布しています。また、令和2(2020)年5月に、外務省の日本情報発信ウェブサイト「Web Japan」において、「食育」をテーマにしたジャパン・ビデオ・トピックスを公開しました。

さらに、海外の大使館・総領事館などでは、対日理解の促進、良好な対日感情の醸成を目的に、各国の要人、文化人、飲食・食品業界関係者、一般市民などに対して、日本食の紹介や作り方のデモンストレーションをオンラインでの配信も利用しながら行うなどして、日本の食文化の魅力を発信する取組を行っています。

農林水産省では、従来実施している海外での日本食普及セミナーや日本料理講習会が新型コロナウイルス感染症の影響により実施できなかったことから、オンラインによる外国人日本料理コンテストや外国人を対象としたオンラインセミナーなどにより、日本食・食文化の魅力発信に取り組みました。また、平成28(2016)年度に創設した海外の外国人料理人の日本料理に関する知識・調理技能を習得度合いに応じて認定する「日本料理の調理技能認定制度」の認定者は、令和2(2020)年度末時点で、前年度に比べて462人増加の1,375人になっています。

さらに、農林水産省の英語版ウェブサイトの、「Promotion of Shokuiku(Food and nutrition education)」で、「食生活指針」、「食事バランスガイド」、「「食事バランスガイド」解説」、「日本型食生活のススメ」等の英訳版を掲載しています(*1)。そのほか、独立行政法人国際協力機構筑波センターがオンラインで実施した研修プログラムにおいて、アフリカから参加した研修員に向けて、我が国の食育に関する取組を紹介しました。

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所では、アジア各国の若手研究者を研究所に招き、研修や共同研究を行っています。令和2(2020)年度国際協力若手外国人研究者招へい事業では、モンゴルから1名を11月より3か月間受け入れる予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、本年度の招へいの中止を決定しました。令和3(2021)年度は新型コロナウイルス感染症の感染状況に応じて招へい事業を実施する予定です。

また、スペインとの国際研究において、日本の食育を手本としたスペイン版食育(Eduksano)を推進するため、日本の食育関連の法令、施策、取組とその効果を英語版報告書「Promotion of Shokuiku(Food and nutrition education) - Lessons learned from Japanese context」にまとめました。現在、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所のホームページで全文公開中です(*2)。

1 Promotion of Shokuiku(Food and nutrition education)(農林水産省):https://www.maff.go.jp/e/policies/tech_res/shokuiku.html

https://www.nibiohn.go.jp/eiken/programs/shokuiku_report.pdf(外部リンク)

Promotion of Shokuiku (Food and nutrition education)–Lessons learned from Japanese context. 表紙

Promotion of Shokuiku (Food and nutrition
education)–Lessons learned from Japanese
context. 表紙

事例:海外に所在する日本人学校における日本食を通じた食育の実践

公邸料理人による食育の様子-1
公邸料理人による食育の様子-2

公邸料理人による食育の様子

海外に所在する日本人学校・私立在外教育施設においては、学習指導要領に基づき、日本国内と同等の水準の教育が行われており、食育についても、所在国の状況も踏まえつつ各教科等における取組が進められています。

【バハレーン日本人学校(バーレーン)の取組】

バハレーン日本人学校においては、令和元(2019)年度の小学部2年生の生活科の授業で、在バーレーン日本国大使館の協力の下、公邸料理人を日本人学校に招き、公邸料理人の仕事についての学習を行いました。その際、食文化の一例として恵方巻(えほうまき)の作り方について保護者も交えた調理実習を行いました。

令和2(2020)年度には、生活科と総合的な学習の時間で全校児童生徒が在バーレーン日本国大使公邸を訪問し、世界各国における食文化の違いを学習するとともに、和菓子作りの実演を通して、日本の食文化の素晴らしさに触れました。

海外で生活する子供たちにとって、現地と日本の食を比較することは、国や地域による食の違いを実感するとともに日本食の素晴らしさを見直す機会になりました。

【パリ日本人学校(フランス)の取組】

パリ日本人学校においては、日本食を通じ伝統文化を学ぶとともに現地校との国際交流を行うなど、食育につながる学習を行っています。

小学部3年生の理科と総合的な学習の時間においては、フランスで日本の野菜を育てる日本人の農園を毎年訪問し実際に野菜の収穫体験をしたり、日本の野菜の良さや育て方を教えてもらったりしています。その後、子供たちは育てた野菜を各家庭に持ち帰り、各家庭で日本の野菜を使った日本の料理を味わいます。

また、中学部2年生の家庭科と特別活動においては、毎年パリ市内に所在する現地の学校との交流の中で、それぞれの国の食文化の紹介を行っています。令和元(2019)年度は、日本人学校の子供たちが、様々な具材を入れて自ら工夫したおにぎり、みそ汁、お新香などを紹介し、和食の文化を伝えるとともに、現地校の子供たちからは、フランスの各地方でつくられる伝統的なパン・ケーキを紹介してもらい、それらを共に食しました。また、現地校への訪問の際は、フランスでよく食べられるランチを共に食しました。これらの学習を通じて、各校の子供たちが自国の食について再認識するとともに、他国の伝統的な食への理解を深めることができました。

フランスで日本の野菜を育てる農園への訪問の様子

フランスで日本の野菜を育てる農園への訪問の様子

現地の学校との交流の様子

現地の学校との交流の様子



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消費・安全局
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担当者:食育計画班
代表:03-3502-8111(内線4578)
ダイヤルイン:03-6744-2125
FAX番号:03-6744-1974

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