2 環境と調和のとれた持続可能な食料生産とその消費にも配慮した食育の推進

みどりの食料システム戦略の具体的な取組
我が国の食料・農林水産業は、高品質、高付加価値な農林水産物、食品を消費者に提供するとともに、日本固有の食文化の魅力の源泉として国内外から高い評価を受けています。一方、生産者の減少・高齢化、地域コミュニティの衰退といった課題、国内外で重要性が増している地球環境問題やSDGsへの対応の必要性等を踏まえ、農林水産省では、持続可能な食料システムの構築に向け、令和3(2021)年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定しました。
本戦略の実現に向けては、食料・農林水産業の調達から生産、加工・流通、消費までの一連の活動の各段階で課題の解決に向けた行動変容を促すことが鍵となります。消費分野では、見た目重視から持続可能性を重視した消費の拡大など、環境にやさしい持続可能な消費の拡大や食育の推進などが期待されます。
食育に関する取組としては、特に「環境にやさしい持続可能な消費の拡大や食育の推進」として、「栄養バランスに優れた日本型食生活の総合的推進」の中で、栄養バランスに優れた「日本型食生活」に関する食育、地産地消の推進や持続可能な地場産物や国産有機農産物等を学校給食に導入する取組の推進等を実施するとしています。
第4次基本計画では、「取り組むべき施策」として「環境と調和のとれた持続可能な食料生産とその消費にも配慮した食育の推進」を掲げており、有機農業を始めとした持続可能な農業生産や持続可能な水産資源管理等、生物多様性と自然の物質循環を健全に維持し、自然資本を管理し、又は増大させる取組に関して、国民の理解と関心の増進のため普及啓発を行っています。
具体的には、学校給食での有機食品の利用など有機農業を地域で支える取組事例の共有等を行うため、「有機農業と地域振興を考える自治体ネットワーク」の活動として、令和3(2021)年6月に千葉県木更津市(きさらづし)、12月に愛知県東郷町(とうごうちょう)の事例等を共有するセミナーを開催するなど、関係者の取組が進むよう連携の強化に取り組んでいます。
また、食や農林水産業の持続可能な生産消費を促進するためには、一企業の取組だけで解決することは困難です。そのため、農林水産省、消費者庁、環境省が連携し、企業・団体、国が一体となって、持続可能な生産と消費を促進する「あふの環(わ)プロジェクト」を令和2(2020)年6月に立ち上げました。
「あふの環(わ)プロジェクト」では、勉強会や交流会のほか、生産から消費までのサプライチェーン全体での行動変容を促すための様々な取組を行っています。
具体的には、令和3(2021)年9月に開催したサステナウィークでは、「選ぶ、食べる、サステナブル展」において、見た目重視から持続性重視の買い物へと行動変容してもらえるよう、環境に配慮した生産方法や見た目向上のために生産現場で行われている工夫や苦労等、食品の背景にある隠された価値について情報発信をしました。また、料理家をゲストに迎え、旬の野菜や持続性を意識した食材の見分け方や、購入の方法、家族で実践できる食育のアイデアなどについてトークイベントを実施し、動画を公開するなどしました。
くわえて、環境や社会課題の解決に向け積極的に取り組む国内企業や団体、Z世代の学生と共に、オンライントークイベントを行い、生産者、消費者、企業の三者が連携していく重要性を発信しました。
令和4(2022)年に「あふの環(わ)プロジェクト」とAgVenture Lab(アグベンチャー ラボ)が共同で開催した「サステナアワード2021伝えたい日本の“サステナブル”」では、食と農林水産業の持続可能なサービス、商品を扱う地域、生産者、事業者の取組を分かりやすく紹介する動画を募集し、明石浦(あかしうら)漁業協同組合の「『豊かな海へ』海底耕耘(こううん)プロジェクト」が農林水産大臣賞、パタゴニアプロビジョンズの「五人娘(寺田本家)パタゴニア プロビジョンズ」が環境大臣賞、波佐見町(はさみちょう)地域内循環プロジェクトの「半農半陶の里 波佐見の地域内循環の取り組み」が消費者庁長官賞、南国にしがわ農園の「私たちの想い」がAgVenture Lab賞を受賞しました。
さらに、生産から流通・加工、外食、消費等へとつながる食分野の新しい技術及びその技術を活用したビジネスモデルであるフードテックへの関心の高まりを受け、農林水産省では、令和2(2020)年10月、食品企業や、スタートアップ企業、研究機関、関係省庁等の関係者で構成する「フードテック官民協議会」を立ち上げ、同協議会には令和4(2022)年1月末現在、約950人が入会しています。同協議会では、特定の分野について協調領域の課題解決に向けた専門的な議論を行うための作業部会を発足させるとともに、フードテックの機運を盛り上げるため、ウェブサイトでの情報発信等を行っています。そのほか、農林水産省は、フードテック分野の研究開発を推進するとともに、投資促進を図りながら、新たな市場の創出を促進することとしています。
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