2 学校における食に関する指導内容の充実
学校における食に関する指導は、子供が食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができることを目指し、学校給食を活用しつつ、学校の教育活動全体を通じて行われています。
また、小・中学校、高等学校等を通じて家庭科を必修科目等として位置付け、この中で実際の調理も含めた食に関する指導が全ての子供たちに行われています。
(1)栄養教諭による取組
栄養教諭は、学校における食育推進の要として、食に関する指導と献立作成や衛生管理などの学校給食の管理を一体的に展開することにより、教育上の高い相乗効果をもたらしています。
ア 食に関する指導の連携・調整
食は、各教科等で学習する内容に幅広く関わっています。栄養教諭は、各教科等の指導だけでなく、学校における食に関する全体的な指導計画の策定に中心的に携わるなど、教職員間の連携・調整の要としての役割を果たしています。そして、栄養教諭のみならず関係教職員が食に関する指導の重要性を理解し、必要な知識や指導方法を身に付けるとともに、十分な連携・協力を行うことにより、体系的・継続的に効果的な指導を行うことができます。
イ 各教科等における教育指導
栄養教諭は、専門性を生かして、各学級担任や教科担任等との連携を図りながら積極的に指導を行っています。また、栄養教諭は、学校給食の管理業務も担っていることから、各教科等の授業内容と関連させた献立を作成し、学校給食を生きた教材として活用するなど、効果的な指導を行っています。
学習指導要領においては、学校における食育の推進について、各教科等のそれぞれの特質に応じて適切に行うように努めることや、指導を通して、家庭や地域社会との連携を図りながら、日常生活において適切な健康に関する活動の実践を促し、生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮することとしています。また、教育課程の編成及び実施に当たっては、食に関する指導の全体計画を含む各分野における学校の全体計画等と関連付けながら、効果的な指導が行われるよう留意することも明記しています。
ウ 学校・家庭・地域における栄養教諭を中核とした取組
子供の望ましい食生活の実践を目指して、栄養教諭等には、家庭や地域と連携した取組を行うことについても特に大きな成果が期待されています。
具体的取組としては、保護者会等を通じた食に関する指導、給食便りやパンフレットの配布、農作業体験などの体験活動、料理教室、給食試食会など家庭や地域と連携した取組、PTAの積極的な取組を促すための働き掛け等が挙げられます。
栄養教諭には、単独校調理場だけでなく、共同調理場を担当する者もおり、より広域の学校給食を管理していることを生かし、学校間や校種間の連携に大きな役割を果たしています。
地域の児童生徒の食生活や生活習慣等の実態を把握し、児童生徒や各学校が抱える課題と食育推進のための方策を明らかにし、栄養教諭と各学校の給食主任等が連携するための組織を構築することで、地域全体の食育を推進しています。
(2)食に関する学習教材等の作成
幼児教育において、食育の基礎を育むとともに、高等学校においても、小・中学校と同様に学校教育活動全体を通じて食育の推進を図ることとし、幼児教育から高等学校まで、切れ目のない食育を推進し、子供の健康な食習慣、生活習慣の定着を図っていくことが大変重要です。
このため、文部科学省では、各学校において、児童生徒の望ましい食習慣の形成等、食に関する指導の充実に資するため、「食に関する指導の手引-第二次改訂版-」を作成するとともに、各教科等における食に関する指導において使用する小・中学生用食育教材等や、高校生用健康教育教材を作成しています。また、小・中学生用食育教材においては、学級担任等が栄養教諭と協力し、授業等の時間に食に関する指導を効果的に行うことができるよう、指導上のポイント等をまとめた指導者用資料も作成するとともに、編集可能な媒体でウェブサイトに掲載し、各学校の指導に応じた活用を促進しています。
(3)食育を通じた健康状態の改善等の推進
近年、子供の食を取り巻く社会環境が変化し、栄養の偏りや朝食欠食といった食習慣の乱れ等に起因するやせや肥満、生活習慣病等の増加が指摘されています。
栄養教諭は、学級担任、養護教諭、学校医、学校歯科医等と連携して、保護者の理解と協力の下に、偏食のある子供、やせや肥満傾向にある子供、食物アレルギーを有する子供、スポーツをしている子供等に対しての個別的な相談指導や食と健康に係る必要な知識の普及等を行うなど、健康に関する課題の改善に向けた取組を行っています。
令和3(2021)年2月には、「学校給食実施基準」(平成21年文部科学省告示第61号)を一部改正しました。食品構成については、児童生徒一人一回当たりの栄養量の摂取基準である「学校給食摂取基準」を踏まえ、多様な食品を適切に組み合わせて、児童生徒が各栄養素をバランスよく摂取しつつ、様々な食に触れることができるようにすることとしています。
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