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農林水産省

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1 地産地消の推進


地域で生産したものを地域で消費する地産地消の取組は、消費者に「顔が見え、話ができる」関係で地場産物を購入する機会を提供し、農山漁村の活性化を図る上で重要な取組です。また、農山漁村における6次産業化(生産・加工・販売の一体化等)にもつながる取組です。

直売所や量販店での地場産物の販売、学校や病院・福祉施設の給食、外食・中食産業や食品加工業での地場産物の利用等により、消費者は身近な場所で作られた新鮮な地場産物を入手できるだけでなく、地場産物を使った料理や地域の伝統料理を食べることができます。また、農林水産業を身近に感じる機会が得られ、食や食文化についての理解を深められることが期待されます。さらに、直売所は、地場産物の販売だけでなく、地場産物の特徴や食べ方等の情報提供を行っており、消費者と生産者とのコミュニケーションを生かした食育の場にもなっています。

地産地消を推進する際には、地域の自然、文化、産業等への理解を深めるとともに生産者の努力や食への感謝の気持ちをはぐくむことが重要です。また、食料自給率の向上に資する国産の小麦や我が国で唯一の自給可能な穀物である米を原料とする米粉の利用について理解を深めることも重要です。学校給食において、国産の小麦や米粉を導入する動きも見られ、滋賀県では令和4(2022)年度から学校給食用のパンが全て滋賀県産の小麦100%使用したものとなり、また、新潟県では米粉を使った学校給食を提供することにより、児童生徒に米粉に慣れ親しんでもらうこと等を目指し、学校給食での新潟県産の米粉パンや米粉麺の導入に係る経費の一部を支援しています。地域産品として子供の頃からジビエに慣れ親しんでもらい、農村地域の課題となっている鳥獣被害対策等の現状への理解や命の大切さを知ってもらうため、一部の学校給食で捕獲した鳥獣の肉であるジビエの提供も行われています。

なお、地産地消については、「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」(平成22年法律第67号)に基づく「農林漁業者等による農林漁業及び関連事業の総合化並びに地域の農林水産物の利用の促進に関する基本方針」(平成23年農林水産省告示第607号)において、地場産物の使用の促進の目標として、<1>令和7(2025)年度までに年間販売額が1億円以上の直売所の割合を50%以上とすること、<2>令和7(2025)年度までに学校給食において都道府県単位での地場産物を使用する割合(金額ベース)を現状値(令和元(2019)年度)から維持・向上した都道府県の割合を90%以上とすること、<3>令和7(2025)年度にグリーン・ツーリズム施設の年間延べ宿泊者数及び訪日外国人旅行者数のうち農山漁村体験等を行った人数の合計を1,540万人とすること等を設定しています。同法及び同基本方針に基づく地方公共団体による促進計画の取組が進められていくこと等により、地産地消の一層の促進が図られることが期待されます。

農林水産省では、地産地消を含む農山漁村の活性化や所得向上に取り組んでいる優良事例を選定し、全国に発信する取組を行うほか、地域資源を活用した新商品の開発等を進める地域ぐるみの6次産業化としての直売所の売上げ向上に向けた取組や施設整備への支援を行いました。また、産品の名称を知的財産として保護する「地理的表示(GI)保護制度」について、多様な産品が登録できるよう運用を見直すとともに、その地域ならではの登録産品の観光資源としての活用等を推進しています。このほか、学校給食におけるメニュー開発・導入実証等への支援や、学校等の施設給食への地場産物の利用拡大を促進するため、専門的知見を持つ人材育成の研修や安定供給体制の構築を進めるため地産地消コーディネーターの派遣への支援を行いました。さらに、直売所の売上げ向上に向け、インバウンド等需要向けの新商品の開発、消費者評価会の開催、観光事業者等とのツアー等の企画、集出荷システムの構築などの取組への支援を行っています。

我が国は、多種多様な農畜水産物・加工食品を多くの国・地域から輸入しています。食料の輸送量に輸送距離を乗じた指標として「フード・マイレージ」があります。これは、1990年代からイギリスで行われている「Food Miles(フードマイルズ)運動」を基にした概念であり、「生産地から食卓までの距離が短い食料を食べた方が輸送に伴う環境への負荷が少ないであろう」という仮説を前提として考え出されたものです。国内生産・国内消費の拡大、地産地消の推進等の取組は、環境負荷の低減に資することも期待されます。

「食料・農業・農村基本計画」(令和2(2020)年3月31日閣議決定)においては、食と農とのつながりの深化に着目した官民協働の新たな国民運動が位置付けられています。そのため、令和3(2021)年7月から、食と環境を支える農林水産業・農山漁村への国民の理解と共感・支持を得つつ、国産の農林水産物の積極的な選択といった具体的な行動変容に結びつくよう、若者(Z世代)を重点的にターゲットとした官民協働による国民運動として「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」を展開しています。

事例:小中学校における食育活動のより一層の推進を目指して~県と県教育委員会及びJAグループの3者で「食育に係る連携協定」を締結

鹿児島県

連携協定締結式

連携協定締結式

鹿児島県では、本県ならではの多彩な食文化と新鮮な農林水産物を生かし、県民の健康で豊かな食生活の実現を目指して策定した「かごしまの“食”交流推進計画」に基づき、関係機関・団体と連携し、食育活動を推進しています。

県内の各JAにおいても、小中学生を対象とした農業・調理体験を実施するなど食育活動を推進しており、小中学校における食育活動のより一層の推進を目指し、令和4(2022)年8月、県と県教育委員会及びJAグループ鹿児島の3者で「食育に係る連携協定」を締結しました。

子供たちに、農業・農村の役割、食の楽しさや大切さなどについて理解を促すため、3者で連携し、農業体験活動の推進、学校給食における地場産農畜産物の活用促進など、食育の取組をさらに充実・強化していくこととしています。

また、担当者の連携強化や食育を支援する人材リストの整理など、食育支援に係る体制強化を図り、小中学校における食育活動のより一層の推進を目指します。



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消費・安全局
消費者行政・食育課

代表電話番号:03-3502-8111(内線4578)
ダイヤルイン:03-6744-2125

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