第2節 専門調理師等の活用における取組
一般社団法人全日本司厨士(しちゅうし)協会は、各地の保育所・幼稚園・小学校での料理教室等の開催や福祉施設での継続的な慰問活動等、総合的な食育の推進・普及を実施しています。また、全国の地方支部においては、若手シェフ向けの講習会を多数開催し、調理技術の継承にも力を入れています。
地元の食材の認知度の向上や次世代のシェフを目指す学生・生徒の技術力の向上を目的として、地場産物を使った料理コンクールや、鶏のさばき方、魚のおろし方といった調理技術の講習会等を実施しています。
さらに、世界各地に配属される公邸料理人の育成に当たって、赴任している方の現地レポートを機関紙に掲載するなど情報を提供するとともに、若手シェフを対象とした講習会を開催し、食文化の継承のために、調理技術の向上等に努めています。
公益社団法人日本調理師会では、食を通じて親子の心の触れ合いを図り愛情を深めるとともに、地域の特産品を主な食材とした手作り弁当により子供の味覚を育み、それによって食育の推進に寄与することを目的に、毎年「全国こどものための愛情弁当コンテスト」を開催しています。本コンテストでは、全国から、育ち盛りの子供たちに対して、応募者が食べさせてあげたい地域の特産品を用いた弁当レシピを募集しており、第12回大会では、最優秀作品5賞を決定しています。令和4(2022)年度は、各地域の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の実情に応じて、表彰式や様々なイベント活動を再開しています。地産品を使った伝統的な日本料理や郷土料理、西洋料理・中国料理等の部門を設けた料理コンクールを通じ、今後とも、日本古来の伝統料理の伝承や地産地消の推進について広く普及啓発していきます。
事例:若手シェフへの技能の伝承
一般社団法人全日本司厨士協会
一般社団法人全日本司厨士協会では、若手シェフの育成は食文化の継承につながるものと考え、彼らの調理技術の向上を目的とした料理講習会や料理コンクール等を全国各地で継続的に開催しています。
東海地方本部では、令和4(2022)年7月に水産加工の企業と共同で真鯛と舌平目のおろし方の講習会を開催しました。普段、魚をおろす機会のない10名の参加者は懸命にその技術を学び、実習後にベテランシェフが作った舌平目の料理を試食することで、五感を総動員させた講習会となりました。そのほか、地元食材を使った料理コンクールを令和4(2022)年6月と7月に開催しました。レシピと展示作品で評価を行う1次審査及び1次審査を通過した選手が調理した料理の味や作業工程等で評価を行う2次審査により総合的に審査しました。
京滋地方本部では、令和4(2022)年9月に有機農業の見学会を開催し、20名の参加者は生産者と交流をしながら土壌の作り方等を学びました。
中国地方本部では、「食品衛生法等の一部を改正する法律」(平成30年法律第46号)に基づくHACCP(*1)に沿った衛生管理の制度化について、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、LINEのアプリ上で法改正やHACCPの要点をまとめた動画を共有する講習会を令和4(2022)年8月に開催しました。受講者からは「いつでも、どこでも繰り返し受講できる」と好評でした。SNSを使った学習は時間を有効に使えるため、今後の若手シェフ育成の重要なツールとなることを期待しています。
今後も、様々な角度から若手シェフの育成を行うとともに、日本の食文化を広く世に発信していきます。
*1 Hazard Analysis and Critical Control Pointの略。食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を食品衛生上問題のないレベルにまで除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法
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