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農林水産省

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食品中のカドミウムに関する基準値

平成31年3月20日更新

食品の汚染物質に対する基準値は、消費者の健康が保護されることを前提として、合理的な範囲で出来るだけ低く設定するとの考え方が、国際的に主流です。この考え方のもと、コーデックス委員会は、食品中のカドミウムの国際基準値を設定しました。
また、同じ考え方に基づいて、我が国においても、コメ中のカドミウムの基準値が0.4 ppm (mg/kg)以下に設定されています。
このページでは、コーデックス委員会が策定した国際基準値について説明しています。

食品中のカドミウムに関する国際基準値

1.コーデックス委員会が策定した国際基準値(CXS 193-1995)

国際的な食品の規格(コーデックス規格)は、FAO / WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)のリスク評価の結果に基づき、政府間機関であるコーデックス委員会が審議、決定します。世界貿易機関(WTO)は、その加盟国が食品安全に関する措置を取るならば、それがコーデックス規格に基づいたものであることを求めています。

コーデックス委員会が定めている食品中のカドミウムの国際基準値は、以下のとおりです(「食品及び飼料中の汚染物質及び毒素に関する一般規格」(General Standard for Contaminants and Toxins in Foods and Feed, CXS 193-1995)の要約)。

食 品    基準値
(mg/kg)
基準値が適用になる食品の部位 備 考
精米    0.4 全体  
小麦    0.2 全体 普通小麦、デュラム小麦、スペルト小麦、エンマー小麦に適用。
穀類 0.1 全体 コメ、小麦、ソバ、キノア、カニューアを除く。
豆類 0.1 全体 乾燥した大豆を除く。
根菜類 0.1 地上部を除いた全体。
付着した土壌を除く(流水ですすぐ又は乾いたものは優しく払い落とす)。
バレイショは皮を剥いたものに適用。
セロリアックを除く。
果菜類 0.05 茎を除いた食品の全体。
スイートコーン、生鮮コーンは、皮を剥いた粒及び軸に適用。
トマト及び食用きのこを除く。
葉菜類 0.2 明らかに傷んだ又は萎れた葉は除いた後の通常販売される全体部位。 アブラナ科の葉菜類にも適用する。
マメ科野菜類 0.1 可食部全体。水分が多い形態では鞘全体又は鞘を除いたものが食べられる。  
アブラナ科野菜類 0.05 球茎キャベツ及びコールラビ:明らかに傷んだ又は萎れた葉を除いた後の通常販売される全体部位。
カリフラワー及びブロッコリー:花蕾(未熟な花房に限る。)
芽キャベツ:"button"(側芽)に限る。
 アブラナ科の葉菜類を除く。
鱗茎類 0.05 タマネギ及びニンニクの乾燥した鱗茎:根及び付着した土並びに簡単に剥がれる羊皮様外皮を除いた全体部位。  
茎菜類 0.1 明らかに傷んだ又は萎れた葉を除いた全体部位。
ルバーブ:葉柄のみ。
アーティチョーク:花蕾のみ。
セロリ及びアスパラガス:付着した土を除く。
 
海産二枚貝 2 貝殻を除いた全体部位。 クラム、ザルガイ、イガイに適用する。ただし、カキ及びホタテを除く。
頭足類 2 殻、甲羅を除いた全体部位。 内臓を除いたコウイカ、タコ、イカに適用。
ナチュラルミネラルウォーター    0.003(mg/L)    
食塩 0.5    
乾燥総カカオ固形分を50%以上70%未満含む又は含むことを謳うチョコレート 0.8 卸売又は小売流通する食品全体 スイートチョコレート、ジャンドューヤチョコレート、セミビターテーブルチョコレート、バーミセリチョコレート/チョコレートフレーク及びビターテーブルチョコレートを含む。
乾燥総カカオ固形分を70%以上含む又は含むことを謳うチョコレート 0.9 卸売又は小売流通する食品全体 スイートチョコレート、ジャンドューヤチョコレート、セミビターテーブルチョコレート、バーミセリチョコレート/チョコレートフレーク及びビターテーブルチョコレートを含む


コーデックス委員会に関してより詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

コーデックス委員会の詳細
国際食品規格の作成手順(ステップ手続き)
コーデックスにおける食品中の汚染物質の基準値設定の考え方


2.国際的なカドミウム基準値の検討の経過

国際的な食品規格基準の策定を行う政府間機関であるコーデックス委員会(CAC)の下部組織である食品添加物・汚染物質部会(CCFAC)は、1988年に穀類、1998年にその他の品目のカドミウム基準値の検討を開始しました。

検討が進められるなか、農林水産省は2001年から食品中のカドミウムの実態調査を開始し、2003年に調査結果と「消費者の健康保護が図られることを前提として、基準値を合理的に達成可能な範囲でできる限り低く設定する」という考え方(ALARAの原則)に基づいて推定した基準値案を作成し、CCFACに提出しました。

また、我が国は、コーデックス委員会から独立したリスク評価機関であるFAO / WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)に対しても食品中のカドミウムの実態調査結果や疫学調査結果等のデータを提出しました。

その後、コーデックス委員会は、2005年に小麦、野菜等、2006年に精米の基準(0.4 mg/kg)を策定し、また、海産二枚貝、頭足類についても基準を策定しました。
現在は、食品汚染物質部会(CCCF)においてチョコレート製品に関する基準値の策定が進められています。

コーデックス委員会におけるカドミウム基準値検討の経過と、JECFAにおけるカドミウムのリスク評価の経過については下の表をご覧ください。

年   月 コーデックス委員会
(主としてCCFAC、CCCF)
FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)と
日本からのデータの提出等
1972年    [第16回JECFA]
カドミウムの毒性を初めて評価。
1988年 穀類と豆類(成熟、未成熟の両方を含む)のガイドライン値の検討は、毒性データが不十分で、実質的に足踏み状態。  [第33回JECFA]
暫定週間耐容摂取量を1週間で体重1 kg当たり7 μgと決定。
1993年  [第41回JECFA]
暫定週間耐容摂取量を維持。
1997年 日本政府は、ラットの慢性毒性試験などを開始。
1998年3月  [第30回CCFAC]
各国の食品中のカドミウム実態調査の結果をもとにして、デンマークが基準値原案を提案。
 
1999年3月  [第31回CCFAC]
基準値原案に対するコメントを求める。
 
2000年1月 日本政府は、慢性毒性試験などをJECFAに提出。
2000年6月    [第55回JECFA]
疫学調査等のデータが不十分で安全性評価は十分でないとの結論で、暫定週間耐容摂取量を変更せず。
新たな疫学調査の実施を要請。
カドミウムの主要な摂取源となる食品について示唆。
日本政府は、これに応じて疫学調査や食品中の含有量の実態調査を開始。(PDF : 99KB)
2001年3月  [第33回CCFAC]
コメ、小麦、大豆、落花生を除く穀類と豆類(成熟、未成熟の両方を含む)のガイドライン案を、コーデックス委員会総会が最終採択するよう勧告。
コメ、小麦、大豆、野菜、軟体動物などの基準値原案を、総会が予備採択するよう勧告。
日本が実施中のカドミウム疫学調査結果などを含む科学的データに基づいてリスク評価を行うことを2003年6月に開かれるJECFAに対して依頼し、その結果にもとづいて基準値案を見直すことに合意。
報告書(カドミウム部分の抜粋)(PDF : 19KB)
<原文>(PDF : 2,961KB 外部リンク)
 
2001年7月  [第24回CAC]
コーデックス委員会総会は、コメ、小麦、大豆、落花生を除く穀類と豆類(成熟、未成熟の両方を含む)のガイドライン案0.1 mg/kgを基準値として採択。
 
2001年9月 [第49回執行委員会は
コメ、小麦、大豆、野菜などの基準値原案を予備採択せず、食品からのカドミウムの摂取量(特に主要な食品からの摂取量)のデータを検討する必要があることを指摘。
日本政府は、14年度の疫学調査を13年度中に前倒しして実施することを決定。
2002年3月  [第34回CCFAC]
コメ、小麦、大豆、野菜などの基準値原案について再びコメントを求めることを決定。
JECFAに対して、疫学調査結果の評価と併せて、食品のカドミウム汚染実態調査の結果を基に、各食品に由来するカドミウムの摂取量の推定(暴露評価)と総合的なリスクの判定を依頼。
報告書(カドミウム部分の抜粋)(PDF : 15KB)
<原文>(PDF : 969KB 外部リンク)
 
2002年11月   日本政府は、(1)厚生労働省が中心に実施した疫学調査の結果及び、(2)農水省が中心となって実施した農作物等に含まれるカドミウム実態調査の結果をJECFAに提出
プレスリリース
2003年3月  [第35回CCFAC]
コメ、大豆、落花生、軟体動物の基準値原案について再びコメントを求めること、小麦、野菜、果実、肉類の基準値原案をコーデックス委員会総会が予備採択することを勧告。
報告書(カドミウム部分の抜粋)(PDF : 16KB)
<原文>(PDF : 598KB 外部リンク)
 
2003年6月    [第61回JECFA]
第55回会議以降に提出されたデータを評価し、暫定週間耐容摂取量7 μg/kg・bw/weekを維持。
審議結果概要(PDF : 264KB)
2003年7月  [第26回CAC]
小麦、野菜、果実、肉類の基準値原案について、リスク評価が不十分であるとして差し戻してコメントを求めることを決定。
審議結果概要(PDF : 14KB)
我が国の提出意見(PDF : 28KB)
 
2004年3月  [第36回CCFAC]
摂取寄与の小さい果実、肉類、大豆等の基準値の検討を中断すること、軟体動物の基準値原案について再びコメントを求めることを決定。コメの基準値原案を0.4 mg/kgに変更し、コメ、小麦、バレイショ、野菜の基準値原案をコーデックス委員会が予備採択するよう勧告。JECFAに対してカドミウムの摂取量評価を依頼。
報告書(カドミウム部分の抜粋)(PDF : 21KB)
<原文>(PDF : 6,775KB 外部リンク)
我が国の提出意見(PDF : 55KB)
プレスリリース(PDF : 18KB)
 
2004年7月  [第27回CAC]
コメの基準値原案を0.4 mg/kgのまま再びコメントを求め、さらに検討すること及び小麦、野菜等の基準値原案を予備採択することを決定。翌年2月に実施されるJECFAの評価を十分に考慮するよう部会に要請。
報告書(カドミウム部分の抜粋)(PDF : 90KB)
我が国の提出意見(PDF : 22KB)
プレスリリース(PDF : 83KB)
 
2004年10月   日本政府は、(1)厚生労働省が実施した国民栄養調査の結果及び、(2)農水省が中心になって実施した農産物等に含まれるカドミウム実態調査の結果をJECFAに提出。
提出資料(PDF : 360KB)
2005年2月    [第64回JECFA]
国際基準値が検討されている各品目について、基準値を0.2、0.3、0.4及び0.5 mg/kgのいずれの値に設定したとしても、総カドミウム摂取量の差はほとんどなく、人の健康上のリスクの観点からもほとんど影響がないと結論。
結果の概要(PDF : 29KB)
プレスリリース(PDF : 15KB)
2005年4月  [第37回CCFAC]
(1)小麦、野菜などについては、現行案を最終採択すること、(2)精米については、原案を予備採択すること、(3)軟体動物については、対象を「海産二枚貝(カキ、ホタテを除く)」、「頭足類(内臓を除去したもの)」とした上で予備採択することにそれぞれ総会に対して勧告。
議事録(PDF : 23KB)
<原文>(PDF : 2,034KB 外部リンク)
我が国の提出意見(PDF : 108KB)
プレスリリース(PDF : 19KB)
 
2005年7月 [第28回CAC]
(1)小麦、野菜などについては、現行案を最終採択、(2)精米については、原案を予備採択、(3)「海産二枚貝(カキ、ホタテを除く)」、「頭足類(内臓を除去したもの)」については、現行案を予備採択することにそれぞれ合意。
審議結果の概要(PDF : 73KB)
我が国の提出意見(PDF : 120KB)
プレスリリース(PDF : 21KB)
 
2006年4月 [第38回CCFAC]
(1)精米については、現行案を最終採択すること、(2)海産二枚貝(カキ及びホタテガイを除く)及び頭足類(内臓を除去したもの)については、基準値案1.0 mg/kgを2 mg/kgに修正して最終採択すること、を総会に対して勧告。
議事録(カドミウム部分抜粋)(PDF : 72KB)
<原文>(PDF : 1,612KB 外部リンク)
我が国の提出意見(PDF : 84KB)
プレスリリース(PDF : 162KB)
 
2006年7月 [第29回CAC]
(1)精米については0.4 mg/kg、(2)海産二枚貝(カキ及びホタテガイを除く)及び頭足類(内臓を除去したもの)については、2 mg/kgの現行案を最終採択。
審議結果(概要)(PDF : 76KB)
我が国の提出意見(PDF : 115KB)
プレスリリース(PDF : 162KB)
 
2010年   [第73回JECFA]
新たな疫学調査結果に基づいて再評価を行い、従来のPTWIを取り下げ、暫定月間耐容摂取量(PTMI)として25 µg/kg体重を設定。
2012年 [第6回CCCF]
カカオ及びカカオ製品に由来する暴露評価をJECFAに依頼
 
2013年   [第77回JECFA]
カカオ製品からのカドミウム暴露はPTMIの0.02-1.6%であり、高暴露者でも健康への懸念はないと結論。
2014年 [第8回CCCF]
チョコレート及びカカオ製品の基準値策定に関する新規作業を行うことを決定。
[第37回CAC]
新規作業を承認。
 
2015年 [第9回CCCF]
電子作業部会で基準値を設定する品目を明確にした上で次回会合で議論することに合意。
 
2016年 [第10回CCCF]
会期中作業部会を開催し、基準値を設定する品目に合意。基準値は総カカオ固形分に基づいて引き続き電子作業部会で検討して次回会合で議論することに合意。
 
2017年 [第11回CCCF]
会期中作業部会を開催し、チョコレート及びココアの品目分類を承認するとともに、中間製品に関する作業は中止すること等に合意。データを募集して引き続き電子作業部会で基準値案を検討することに合意。
カカオ中のカドミウム低減のための実施規範の策定を検討するための討議文書を電子作業部会で作成することに合意。
 
2018年 [第12回CCCF]
総カカオ固形分が50%以上70%未満のチョコレート及び総カカオ固形分が70%以上のチョコレートの基準値案を総会に諮ることで合意。
総カカオ固形分が50%未満の基準値は引き続き電子作業部会で検討するとともに、調製カカオの基準値策定作業は中断し、100%総カカオ固形分のカカオパウダーについての基準値を検討することで合意。
実施規範の策定が可能かどうか検討するため引き続き電子作業部会で討議文書作成を行うことで合意。
[第41回総会]
総カカオ固形分が50%以上70%未満のチョコレート及び総カカオ固形分が70%以上のチョコレートの基準値を採択。
 
CAC (Codex Alimentarius Comission) : コーデックス委員会総会
CCFAC (Codex Committee on Food Additives and Contaminants) : コーデックス委員会食品添加物・汚染物質部会
CCCF(Codex Committee on Contaminants in Foods):コーデックス食品汚染物質部会
JECFA (Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives) : FAO/WHO合同食品添加物専門家会議

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課

担当者:土壌汚染防止班
代表:03-3502-8111(内線4507)
ダイヤルイン:03-3592-0306
FAX番号:03-3580-8592

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