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農林水産省

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国際機関の動向

   FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、2010年の評価で、暫定耐容週間摂取量(PTWI)を設定することが適切ではないと判断しました。評価の経緯については「国際機関におけるリスク評価の概要」をご覧ください。
   コーデックス委員会では、JECFAのPTWIを設定することが適切ではないとの判断や、各国での鉛の低減対策が進んだことを受けて、食品の基準値引き下げを進めています。検討状況の概要は「国際機関における検討状況」をご覧ください。また、現時点における食品中の鉛の国際基準値については、「食品の基準値(コーデックス規格)」をご覧ください。
  コーデックス委員会は、基準値のほか、食品中の鉛の汚染防止及び低減のための実施規範も設定しています。また、WHOは、飲料水のガイドラインを作成しています。

国際機関におけるリスク評価の概要

  FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、鉛の暫定耐容週間摂取量(PTWI)を、1986年に25 µg/kg 体重/週と算出しました。その後、2010年に再度リスク評価を行った結果、鉛にPTWIを設定することは適切でないと結論づけました。

第30回JECFA (1986年) 乳幼児や子供の1日当たりの平均鉛摂取量が3~4 µg/kg 体重 であれば、鉛摂取量と血液中の鉛濃度の上昇との間に相関が認められないと結論し、この値を基にPTWI(25 µg/kg 体重/週)を算出した。
第41回JECFA (1993年) 新生児と同様に胎児も鉛の影響に対する感受性が高く、妊娠可能な年齢の女性では、体内に蓄積した鉛が移動し、胎盤を通過して胎児が暴露する可能性があることから、PTWIの対象とする集団を全ての年齢層に広げた。
第53回JECFA (2000年)   複数の地域において行われたコホート研究の結果から、血液中鉛濃度と認知発達、知的行動への障害との関係を明らかにしようとしたが、交絡変数の影響と血液中の鉛の分析や精神測定の精度の限界により、10~15 µg/dL 未満の血液中鉛濃度による影響の推定についての不確実性が増加することから、閾値が存在するとしても検出できないとした。PTWIの再検討はされず、PTWIは維持された。
第73回JECFA (2010年)       用量反応解析に基づき、従来のPTWI である25 µg/kg 体重/週 の鉛摂取量は、小児ではIQで3ポイントの低下、成人では収縮期血圧の3 mmHgの上昇をもたらす可能性があると推定した。この結果、従来のPTWIは健康保護の指標とはみなせず、また、用量反応解析で鉛による有害反応の閾値が得られなかったため、PTWIを設定することは適切でないと結論した。

国際機関における検討状況

  JECFAが鉛のリスク評価を再度実施しPTWIを設定することが適切でないと判断したことや、排出源対策の進展により、農作物や食品中の鉛濃度が世界的に低減したこと、分析技術の進歩によりより低い定量限界が達成可能となったことなどから、コーデックス委員会は、以前に策定した最大基準値の見直しを実施しています。なお、食品中の鉛については、コーデックス委員会の下に設置されている食品汚染物質部会(CCCF)で検討されます。

第5回CCCF
(2011年3月)
従来から設定されている食品中の鉛最大基準値(ML)のうち、乳幼児に重要な食品と果実及び野菜缶詰に集中して見直すために作業部会を設置することに合意した。
第6回CCCF
(2012年3月)
「果実飲料」、「乳・二次乳製品」、「乳児用調製乳」、「果実缶詰」、「野菜缶詰」、「果実」、「穀類」(そばとキノアを除く)の鉛MLを見直す新規作業の開始に合意し、同年の第36回総会で承認された。
第8回CCCF
(2014年3月)
「果実類(ベリー類と小型果実類を除く)」、「鱗茎類」、「葉菜類」、「根菜類」、「二次乳製品」については現行のMLを維持することが支持された。「乳児用調製乳」については現行の0.02 mg/kg を0.01 mg/kg に見直すML改訂原案をステップ5/8で総会に採択を諮ることに合意し、同年の第37回総会で承認された。
第9回CCCF
(2015年3月)
「果実缶詰」、「野菜缶詰」と「果実飲料及びネクター」についてML改訂案が、「ベリー類及び小型果実類(クランベリー、カラント、エルダーベリーは除く)」、「マメ科野菜類」、「アブラナ属野菜類」、「果菜類」についてML改訂原案が提案され、それぞれステップ8及びステップ5/8での採択を総会に諮ることに合意した。
同年の第38回総会で承認された。
第10回CCCF
(2016年4月)
以下の品目に対するML改訂原案をステップ5/8で総会での採択に提出することに合意した。
「パッションフルーツジュース」、「ベリー類及びその他小型果実類の缶詰」、「葉菜類の缶詰」、「マメ科野菜類の缶詰」、「ジャム、マーマレード及びゼリー類」、「キュウリのピクルス」、「トマト缶詰」、「食用オリーブ」。同年の第39回総会で、「トマト缶瓶詰」、「ジャム、マーマレード及びゼリー類」については最終採択に反対意見があり、ステップ5での予備採択に合意し、その他の品目については最終採択が承認された。
「アブラナ属野菜類の缶詰」、「マンゴーチャツネ」、「栗及び栗ピューレ缶詰」、「濃縮加工トマト」、「生鮮の菌類及びキノコ類」、「魚類」、「乾燥豆類」について、再度、電子作業部会を設置して現行のMLの見直し作業を継続することに合意した。  
第11回CCCF
(2017年4月)
「魚類」、「ベリー類及びその他小型果実類からのみ作られるジュース」に関しては、現行MLを維持することで合意した。
「トマト缶瓶詰」、「栗及び栗ピューレ缶詰」、「乾燥豆類」、「ジャム、ゼリー及びマーマレード類」に関して、改訂ML原案又は改訂ML案に合意し、総会にステップ05月08日又はステップ8での採択を諮ることに合意した。同年の第40回総会で合意した。
「濃縮加工トマト」、「アブラナ属野菜缶詰」、「生鮮栽培キノコ(マッシュルーム、シイタケ、ヒラタケ)」、「マンゴーチャツネ」、「グレープジュース」のMLの改訂原案について、電子作業部会を設置し、引き続き検討するとともに、新たに「ワイン」、「食塩」、「スプレッド類」、「食用油脂」のMLの改訂原案についても検討することに合意した。
第12回CCCF
(2018年4月)
「グレープジュース」、「マンゴーチャツネ」、「アブラナ属野菜缶詰」、「生鮮栽培キノコ(マッシュルーム、シイタケ、ヒラタケ)」、「食塩」、「スプレッド類」、「食用油脂」についてのML改訂原案のステップ05月08日での採択、「濃縮加工トマト」のMLの廃止を総会に諮ることに合意した。同年の第41回総会で承認された。
「ワイン」、「内臓肉」のMLの改訂案については、再度、電子作業部会を設置して検討することで合意した。
新たに鉛のMLを策定すべき食品の優先順位付けに関しては、再度、電子作業部会を設置し、優先品目リストを含む討議文書を作成することで合意した。
「食品中の鉛汚染の防止及び低減に関する実施規範」(CXC 56-2004)の改訂提案があり、次回部会に向けて、電子作業部会が討議文書を作成することで合意した。

食品の基準値(コーデックス規格)

  食品の国際的な規格を策定するコーデックス委員会は、食品に含まれる鉛に関する最大基準値を設定しています。
最新の最大基準値は以下の表のとおりです。(CXS 193-1995(2019年修正版)より抜粋)

品目
最大基準値(mg/kg)
穀類(ソバ、キヌア、カニューアを除く) 0.2
(乾燥)豆類 0.1
  果実類
  果実類(クランベリー、カラント、エルダーベリーを除く) 0.1
  クランベリー、カラント、エルダーベリー 0.2
  野菜類
  果菜類(菌類及びきのこ類を除く) 0.05
  アブラナ属野菜類(ケール及びアブラナ科の葉菜を除く) 0.1
  鱗茎類 0.1
  葉菜類(アブラナ属葉菜にも適用、ホウレンソウを除く) 0.3
  マメ科野菜類 0.1
  根菜類・塊茎類 0.1
  生鮮栽培キノコ類(マッシュルーム、シイタケ、ヒラタケ) 0.3
  果実・野菜加工品(抜粋)
  果実缶詰 0.1
  果実ジュース(ベリー類及び小型果実類のみを原料としたものを除く) 0.03
  果実ジュース(ベリー類及び小型果実類のみを原料としたもの、グレープジュースを除く) 0.05
  グレープジュース 0.04
  ジャム、ゼリー及びマーマレード類 0.4
  マンゴーチャツネ 0.4
  栗及び栗ピューレの缶詰 0.05
  テーブルオリーブ 0.4
  野菜缶詰 0.1
  トマト缶瓶詰 0.05
  キュウリのピクルス 0.1
  その他
  牛肉、豚肉、羊肉、家きんの肉と脂 0.1
  牛の内臓 0.2
  豚の内臓 0.15
  家きんの内臓 0.1
  魚類 0.3
  乳 0.02
  乳二次製品(濃縮乳や全粉乳、脱脂粉乳など) 0.02
  乳児用調製乳、乳児用医療用調製乳及びフォローアップミルク 0.01
  食用油脂類 0.08
  ファットスプレッド及びブレンデッドスプレッド類 0.04
  ワイン(酒精強化ワイン、リキュールワインを含む)*¹ 0.2
  ワイン(酒精強化ワイン、リキュールワインを除く)*² 0.1
  酒精強化ワイン、リキュールワイン*² 0.15
  食塩(塩沼の塩を除く) 1
  ナチュラルミネラルウオーター 0.01 (mg/L)

*¹ 第42回コーデックス総会(2019年7月開催)での採択前に収穫されたブドウを原料としたもの
² 第42回コーデックス総会(2019年7月開催)での採択後に収穫されたブドウを原料としたもの

食品中の鉛の汚染防止及び低減のための実施規範

  コーデックス委員会は、鉛による食品の汚染防止や、食品中の鉛濃度の低減のための措置をまとめた実施規範を作成しました。その概要は以下のとおりです。
現在、CCCFにおいて、本実施規範の改訂に向けた検討が進められています。

「食品中の鉛の汚染防止及び低減のための実施規範」(CXC56-2004)のうち、「農業における規範」に関する章から抜粋

  • 有鉛ガソリンは、大気中の鉛汚染における主要な原因である。農業を行う地域で、有鉛ガソリンの使用を止めるか、減らすべきである。
  • 工場、道路、武器補給処、射撃場の近くでは、他の地域に比べて土壌中の鉛濃度が高い可能性がある。また、外部の塗料が風雨にさらされた建物の近くの土地でも、土壌中の鉛濃度が高い可能性がある。可能であれば、鉛濃度が、その地域で植物を栽培するのに適当であるとされる濃度を超えているかどうかを知るため、鉛の発生源の近く、またはより高濃度に鉛を含む可能性のある土壌中の鉛を分析するべきである。
  • 農業者は、以前果樹園として利用されヒ酸鉛が使用された履歴のある土地で、内部に鉛を蓄積する可能性のある作物(にんじんや他の根菜等)や表面に鉛を蓄積する可能性のある作物(葉菜等)を栽培することは避けるべきである。
  • 国が定めた鉛の最大基準値に適合しない下水汚泥が使用された土地での栽培は避けるべきである。
  • 葉菜は、他の野菜や根菜と比べて、大気経由の汚染に脆弱である。穀物も大気から鉛を吸収するとの報告がある。大気中の鉛濃度が高い場所では、大気経由の汚染に対して比較的頑強な作物の選択を検討すべきである。
  • 鉛を含む化合物(ヒ酸鉛を含む農薬等)や、鉛で汚染されている可能性のあるもの(不適切に調製された銅系抗菌剤やリン酸肥料等)の農地への使用を避けるべきである。
  • 灌漑用水を鉛の汚染源から保護するとともに、作物の鉛汚染を防止、低減するために、鉛濃度をモニタリングすべきである。例えば、灌漑に用いる井戸水は、汚染を防ぐために適切に保護し、定期的にモニタリングすべきである。
  • 国及び地方公共団体は、農地が鉛に汚染されないための適切な行動を農業者に認識させるべきである。

飲料水のガイドライン(WHO)

  世界保健機関(WHO)は、飲料水中の鉛濃度について、ガイドライン値 0.01 mg/L を設定しています(2016年7月現在)。

用語解説と参考文献

  • コーデックス委員会
  • FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)
      JECFAとは、国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が合同で運営する専門家の会合です。1956年から活動を開始し、FAO、WHO、それらの加盟国及びコーデックス委員会に対する科学的助言機関として、添加物、汚染物質、動物用医薬品などの安全性評価を行っています。通常、年2回の会合が開催されます。
  • 暫定耐容週間摂取量(PTWI:Provisional Tolerable Weekly Intake)
      JECFAが汚染物質について設定する、ヒトがある物質の一定量を一生涯にわたって毎日摂取し続けても、現時点でのあらゆる知見からみて、認むべき健康への悪影響が現れないと推定される一週間当たりの摂取量。通常、体重1 kg当たりの物質量で示されます。
      JECFAでは、耐容量に「Provisional」(暫定)という用語を冠して使用しています。これは、汚染物質については毒性評価に必要なデータを100%入手することが事実上困難であるため、との考えからです(意図的に使用される食品添加物や農薬等の場合には、登録者は毒性評価に必要なデータを提出しなければならず、データが不十分となることは、通常ありません)。
      なお、データ不足により、その評価結果が不十分と考えられる場合は、さらに「Temporary」(一時的な)という用語が冠されるか、データが得られるまで耐容量が設定されません。

参考文献(外部リンク)

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課

担当者:土壌汚染防止班
代表:03-3502-8111(内線4507)
ダイヤルイン:03-3592-0306

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