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農林水産省

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農林水産省の取組

農林水産省では、国内で流通する食品におけるフラン及びフラン化合物の含有実態や低減技術等のデータを収集し、健康影響についての予備的な評価を実施すべく、関係する調査や試験研究を行っています。

1.食品中のフランの含有実態調査

農林水産省では、2007年度、2008年度、2011年度に国内で市販されている食品中のフランの含有実態調査を実施しました。その結果、幅広い加工食品にフランが含まれていることが分かりました。なお、現時点では、食品衛生法に基づく食品中の規格基準は設定されていません。
フラン化合物については、今後、実態調査の実施を計画しています。


表:加工食品中のフラン濃度(2007、2008、2011年度)

品目 試料点数 定量下限
(µg/kg)
定量下限未満の点数 フラン濃度(µg/kg)
 最小値  最大値  平均値(注)  中央値
 納豆  30  1.0  30 - - 0.4 -
 油揚げ・厚揚げ  30  1.3  29 < 1.3 1.3 1.0 -
 豆腐  10  1.3  5 < 1.3 2.3 1.1 -
 塩干魚類、塩蔵魚類、素干魚類及び煮干魚類  40  1.3  12 < 1.3 22    5.8 3.4
 魚類練り製品  20  1.0  19 < 1.0 1.3 0.5 -
 麦茶(容器入り飲料)  10  0.5  5 < 0.5 8.8 2.1 -
 麦茶(煎り麦)  30  1.2  0 670    5200    2300    2200   
 ほうじ茶(容器入り飲料)  10  0.5  0 3.6 16    8.7 8.3
 茶系清涼飲料(容器入り飲料)  30  0.4  1 < 0.4 3.3 1.4 1.3
 コーヒー飲料等  80  0.4  0 4.1 150    65    63   
 レギュラーコーヒー(浸出液)  30  0.5  0 5.8 150    34    24   
 レギュラーコーヒー(豆)  30  1.2  0 1500    6100    3100    2800   
 インスタントコーヒー(固形)  30  1.2  0 32    2800    370    170   
 果実・野菜飲料  30  0.4  2 < 0.4 5.4 2.2 1.8
 豆乳  10  0.5  8 < 0.5 2.4 0.6 -
 しょうゆ  30  0.4  0 16    100    40    37   
 めんつゆ・しょうゆ加工品  20  0.4  0 19    100    45    43   
 豆みそ  33  1.3  0 87    770    240    210   
 豆みそ以外のみそ  27  1.1  0 2.0 51    16    11   
 みりん風調味料、発酵調味料  10  0.5  0 4.3 13    8.8 10   
 その他の調味料類  20  1.3  3 < 1.3 58    25    31   
 農産物缶詰(大豆)  10  1.0  0 7.4 54    29    31   
 野菜缶詰及び果実缶詰  30  1.3  1 < 1.3 79    9.3 3.5
 調理食品缶詰  15  1.3  0 11    140    69    67   
 ソース缶詰   5  1.3  0 18    130    73    87   
 スープ缶詰  10  1.3  0 7.7 44    19    15   
 魚類缶詰・瓶詰  20  1.3  0 3.2 300    76    72   
 レトルトパウチ食品 100  1.3  0 4.5 140    42    36   
 ベビーフード(レトルトパウチ食品)  40  1.3  0 8.7 86    30    24   
 ベビーフード(瓶詰)  40  1.3  0 3.6 140    24    19   
 ベビーフード(飲料)  20  0.4  5 < 0.4 30    4.4 2.6
 カップ入りベビーフード(主食・おかず)  30  1.8  0 8.1 58    21    18   
 スナック菓子  50  1.6  1 < 1.6 110    27    22   
 ビスケット類  50  1.6  2 < 1.6 130    22    14   
 米菓  50  1.6  0 4.3 140    50    42   
 シリアル食品  30  1.6  1 < 1.6 62    23    20   
 包装米飯  30  1.3  29 < 1.3 2.1 0.6 -
 パン類  30  1.6  28 < 1.6 3.3 1.0 -
 ジャム類  30  1.5  9 < 1.5 6.1 2.1 1.6

(注)平均値は定量下限未満の試料数が全試料数の60%以下の食品については以下に示す平均値1を、定量下限未満の試料数が60%を超える食品については平均値2を算出して本表に記載。
 平均値1:定量下限未満の濃度を定量下限の1/ 2として算出。
 平均値2:検出下限未満の濃度を検出下限とし、検出下限以上かつ定量下限未満の濃度を定量下限として算出。

<参考1:サンプリング方法>
2007、2008年度
全国8地区(北海道、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国、九州)のうちの6以上の地区において代表的な都市を1つ又は2つ選定し、その都市においてランダムに選択した店舗で市販品を購入
2011年度
各品目について、調査点数の約半数は東日本の小売店舗、残りは西日本の小売店舗での購入となるよう、それぞれの地域の代表的な都市を選定し、その都市においてランダムに選択した店舗で市販品を購入

<参考2:分析法>
単一試験所内で性能を検証した分析法(ヘッドスペース-GC/MS法)を用いて分析を実施。

2.研究事業の実施

<食品の加工調理がフラン濃度に及ぼす影響の把握(2011-2012年度)>
   フラン濃度が比較的高い食品である、大豆や魚の缶詰、レトルトカレー、しょうゆ、みそ、コーヒー、ベビーフードを対象に、食品の加熱調理等による二次生成の可能性、撹拌や加熱後の放置によるフラン濃度への影響、食品の形状や保存条件の違いによるフラン濃度の変化、について基礎データを収集しました。
  その結果、レトルトカレーの加熱時間を長くする、ベビーフードを加熱後に撹拌しながら喫食可能な温度まで冷ます等によって食品中のフラン濃度が減少することがわかりました。

<食品中のメチルフラン類縁体の分析法の開発(2018-2020年度)>
  国内で流通する食品中のメチルフラン類縁体等の含有実態を把握し、食品の安全性を向上させる措置の必要性を検討するため、食品中のフラン及びメチルフラン類縁体等の同時分析が可能な分析法を開発し、5種類の加工食品(コーヒー浸出液、りんごジュース、しょうゆ、乳児用調製粉乳、ベビーフード)について、単一試験室での妥当性を確認しました。
  開発された分析法(ヘッドスペース-GC/MS法)では、上記の加工食品について、それぞれ4~6種の分析種(フラン、2-メチルフラン、3-メチルフラン、2,5-ジメチルフラン、2,3-ジメチルフラン、2-エチルフラン)に係る精確な分析が可能であることを確認しました。
【参考】
食品衛生学雑誌 2023年64巻1号p.29-33「加工食品中のフランおよびアルキルフラン類縁体の同時分析法の開発」(外部リンク)

これらの研究の成果報告書は、レギュラトリーサイエンスに属する研究で終了した試験研究課題のウェブページに掲載されています。